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自分が持っている歌詞中の世界コミュの第9話  君を抱いたら

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2004年12月24日
最近の僕らといったら二人とも笑顔が少なかった。
毎年毎年、年末になると忙しさのあまり二人とも笑顔をなくしていた。

しかしこの日だけは笑顔でいたいと、会う約束をしていた。

今日の仕事は直帰という事で会社の車を借りて待ち合わせ場所の
池袋パルコ前まで車を走らせた。

池袋に着くと町はすっかりクリスマス使用になっていて
デパートはキレイなイルミネーションで飾られ、
そこらじゅうでクリスマスソングが流れている!!

待ち合わせ場所に着くと
携帯をいじりながら僕を待つ瑞樹の姿が見えた。
瑞樹の周りにも待ち合わせをしていると思われる
男の人や女の人が、それぞれ大切な人を待っている。

車を降りて瑞樹に声をかけようとすると
瑞樹は隣の男の人に話しかけた。
どうやら僕が車で来るとは思っていない瑞樹は
僕が来た事に気がついていない様子だった
近寄っていき、何を話しているのか耳を済ませてみると

「こっちは池袋東口ですよ☆」

と男の人に言っていた。
すると男の人は

「いや、だって西武デパートがあるじゃないですか?」

「ええ、でもこっちが東口なんですよ〜」

「え?」

男の人はこっちには西武デパートがあり
反対側には東武デパートがあるといって
待ち合わせ場所を間違えていて
西口で待つ彼女と思われる人と電話越しにけんかをしていたらしい。
なんども瑞樹が説明しても納得がいかない様子の
男の人に突然瑞樹が

「ほら、歌にもあるじゃないですか
 東が西武で、西、東武♪
 高くそびえるサンシャイン
 ビーック、ビック、ビック、ビックカメラ」

「あーーー」

と納得した感じの男の人、
その一部始終を僕は腕を組みながら見ていた

男の人は瑞樹にお礼を言って西口のほうに向かった。
ひと仕事を終えたかのようにほっとする瑞樹が僕に気がついた

「いつからそこにいるの?」

「瑞樹が、携帯をいじくっている頃からかな?」

「えーーーーーーー
 じゃー今の全部見ていたの?」
 
「うん、ビックカメラの歌もしっかり聴いたよ」

そう言うと顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
僕はそんな瑞樹の手を引いて車に迎え入れた。

「あれ?今日は車?」

「うん、直帰だったからそのまま借りてきた」

「そうなんだ〜
あれ?もしかして私、悠介の運転する車に
乗るの初めてじゃない?」

「そういえばそうだね」

「今日はどこいくの?」

「ひ・み・つ」

そんな会話をしながら、僕は目的地に車を走らせた。
瑞樹は相当疲れていたのだろう、
車に乗ってすぐに助手席ですやすや眠ってしまった。

「姫・・・・・・
 瑞樹姫・・・・・・・・」

「ん?」

寝ぼけて僕の車で寝ていた事をいまいち把握しきれていない
瑞樹は目を擦りながら今どこにいるのかわからずに

「ここ、どこ?」

僕は眠気眼の瑞樹の手を引き
車を降りてフロントにチェックインの手続きに向かった。
僕がチェックインをしているうちに瑞樹は自分が
横浜のホテルにいることがわかったようだ。

部屋に行くと窓からはみなとみらいの観覧車が見える

突然雨が降り始めて窓に雨粒が当たる。
しかし瑞樹はそんな事はお構いなしに、外を眺めている

「見てみて!!下を通る車のヘッドライトが川すれすれに飛ぶ
 ホタルみたいだね!!なんかあのときの夏みたい!!」

なんだか今日の瑞樹は僕の知らない瑞樹のようだった。
今までどことなくクールなイメージの瑞樹が今日ははしゃいでいる。
僕は思わず瑞樹を後ろから抱きしめた。


すると今まではしゃいでいた瑞樹が嘘のように
僕の腕が痛むほど、強くつかんで遠くを見つめていた。
窓に映る瑞樹の瞳には涙が浮かんでいる。
「どうしたの?」
と僕が聞こうとしたのよりほんの少しだけ瑞樹が

「もう少しだけ、もう少しだけでいいからこうしていて」

と言った。
僕はのどまで出かかっていた「どうしたの?」という
言葉を飲み込み強く抱きしめた。
もう一度、窓越しに瑞樹を見ると瞳からは涙がポロポロこぼれていた。

どれくらい窓際で外を眺めていただろうか?
まるで魔法使いに石にされてしまった人のように
しばらく抱き合いながら、外を眺めていた僕らは

「ごめん、お風呂に入ってくるね」

と言った瑞樹の言葉で魔法から解けたかのように動き出した。

瑞樹がお風呂に入っているときに瑞樹の涙の意味を考えていたが
僕にはどうしても思いつかなかった。
理由を聞いてあげるのが優しさなのか
聞かずに涙に気がつかなかった事にするのが優しさなのか考えていた。

「は〜〜〜〜〜〜〜
 さっぱりした!!!!」

ケロっとしてお風呂から出ると冷蔵庫の中からビールを取り出し

「悠ちゃんも飲む?」

などと言い出した、
え?と思った僕だったがお風呂から出てくると
いつも通りの瑞樹に戻っていて僕は何がなんだかわからずに
とりあえずビールを飲んだ。

「じゃー俺も風呂にでも入るかな?」


お風呂から上がると机の上にラッピングがしてある箱がおいてある

「ん?これは?」

と瑞樹に問いかけると
ニヤニヤしながらうなずく
あけてみるとオメガの時計が・・・・・・・

「プレゼント?」

「悠ちゃん、高校のときの私が誕生日プレゼントであげた
 Gショック今でもしているでしょ?
 それも嬉しいんだけど、スーツの時にはちょっとね(笑)
 私だと思ってお仕事もがんばって!!」

「ありがとう!!嬉しいんだけど・・・・・
 俺何も用意していないよ(涙)」

「いいの!!私があげたかっただけだから・・・
 それにこんな素敵なホテルも取ってくれたじゃない」

そう言って瑞樹は笑ってくれた。
元の瑞樹に戻っていたので僕はこれからこの仕事を続けていくべきか
瑞樹に相談しようとした。

「あのさー瑞樹
 俺、実は今の会社さー」

「ちょっと待って!!
 悠ちゃん今日だけはすべての事を忘れて
 二人だけの時間を楽しもう?」

そう言われてしまった。
それもそうだ誰でもせっかくのクリスマスイブの夜に
人生のことなんか相談されたくない!!

「ごめん」

といって僕は瑞樹を抱き寄せた。



翌朝
僕は瑞樹の声で目を覚ました

「悠ちゃん!悠ちゃん!!起きて!!!」

「う〜〜〜〜〜ん?」

寝癖全快の僕は頭を掻きながら起き上がった。

「何?これは?」

瑞樹の手には大きな赤い靴下が・・・・
中には四角い小さな箱が入っている。

「サンタさんじゃないの?」

寝ぼけたふりをしてもう一度シーツをかぶった僕、
シーツの中での僕は満面の笑みだった。

昨日プレゼントを買ってないと言ったのはこれが
やりたかったためで僕の得意な驚かし作戦だったわけだ。

瑞樹が先に眠るのを確認してかばんの中に隠し持っていた
赤い靴下に
前二人で買い物に行ったときに欲しいけど高くて買えないと言っていた
指輪を仕込んで瑞樹の枕元に置いていた。
それを朝おきた瑞樹が見つけて大騒ぎしているわけだが、
僕はさすがに恥ずかしくてシーツの中に逃げ込んだというわけだ。
そんな照れている僕に瑞樹が

「悠ちゃん手紙も入っているけど読んでいい?」

と聞いてきた。
僕はシーツから手だけを出してOKサインを作った


悠介の手紙
(この手紙を読んでいる頃はもう朝なんだよね
 瑞樹を抱いたら
 時をいつもより
 早く進めてもとめる事はできない!!
 最近よくそう感じるようになった。それでも
 夢を追うのに疲れて、くじけそうになったとき
 視線をゆるめたらいつもそばにいてくれてありがとう
 今まで繰り返してきた悲しい別れも
 瑞樹に会うためならそれも悪くないと今は思える
 今だから言うけど瑞樹と始めてあった高校1年の頃
 僕は大失恋をしたんだ。
 でも瑞樹を始めてみた時、
 季節が僕のところへ鮮やかに戻った。
v就職してどの町に行っても瑞樹の事を探していた。
 そんなに大好きな瑞樹だから
 僕が素敵だと思うこと全部
 あせらずにでもすぐに見せたいし聞かせたい。
 だからずっと一緒にいようね
 
手紙を読み終わった瑞樹はシーツの中に隠れている
僕に抱きついてきて

「ありがとう」

と声を震わせながら言った。



2004年12月24、25日
(悠介の日記)
今回はなかなかいいクリスマスだったと思う。
瑞樹からもらった時計は大切にするからね!!
少し気になるのは今日の瑞樹のあの涙・・・
きっと仕事か何かで、なんかあったのだろう。
何にもいってやれることはないけど、俺は瑞樹を守るから
何かあったらいってほしい。
機会があったら俺も瑞樹にこれからの事を相談しようと思う。

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