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fantasy world (short story)コミュの見えない世界 ?

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目が覚めると薄暗く、埃っぽい空気に包まれていた。
僕は何かの棚の中に寝かされていて、首を横に向けると対面にも棚が無数にあった。そのひとつひとつには中が見えなくなるほど埃をかぶったビニールに、大きな何かが包まれていた。
僕は、どうしてこんな知らない場所にいるのか、必死にぼんやりとする頭で答えを探そうとした。


長い雨がやみかけて、どんよりとした厚い灰色の雲の隙間から光が漏れてきそうな気がしていた。頬にあたる風は生暖かく湿っていて、まだまだ波乱の予感を漂わせていた。

世界中で自分のことを知っている人は誰もいないんじゃないか・・・、ここで消えてしまっても誰も気がつかないんじゃないか・・・ってそう思うとなんだかもの悲しくて、町中の壁に自分のかけらを残してやりたくなった。

深夜、両手に傷をつけ、生きた証を壁に刻み付ける。他に表現方法はいくらでもあるだろうけど、これしか浮かばないから・・・。

汚れたパーカーに雨が滴り落ちる。付けても付けても消え続けてしまう僕の証。
神様・・・。僕はなぜここにいるの。
やがて全身の力が抜け冷たいアスファルトの上に倒れこむ。両手が焼け付くように、そして、心も焼け付くように痛い。

このまま死んでいくのかなぁなんて、ぼんやり考えていた僕の目の前に、数人の黒い人たちが現れる。
そして何も考えたくなかった僕はされるがまま連れて行かれた。


「あぁ、あれは夢じゃなかったのか・・・。」
ポツリと言葉をはいた。何だろう。とても居心地の悪い場所。体が無意識にここにいてはダメだと反応しているよう。
自分で傷つけた両手にはご丁寧に汚い包帯が巻きつけてある。
狭い木の棚から這い出し、そっとコンクリートの床に降りる。
意外と体って丈夫なもんだな。ばねの様にしなやかに動く。ただ、バカみたいに傷つけた両手がうずくけど・・・。

何十メートルと続く棚の間を灯りを探しながら歩く。天窓から差し込む光は薄暗い。たぶん夕方なんだろう。外の光が遮断されたら、何も見えなくなりそう。
一人で好んで夜に出歩くのはいいのに、望まずに闇の中に放り込まれるのは嫌な気分だ。
それにしても、何がこんなにたくさん袋に入れられて並べてあるんだろう。
陰気臭く、つんとして息をするのも少し苦しい。天井には長い間使われていない蛍光灯が埃をたくさん巻きつけてぶら下がっている。
奥の方には流しやのこぎりのようなものもあるようだ。
何だかわからないまま鉄の扉の前まで来た僕は、ドアノブに手をかけようとした。でもそのとき、反対側からドアノブをまわされた。
なぜか、僕は身を隠さないといけないと思い、近くの棚の影に隠れた。

コメント(2)

この作品の続きが気になっていたりして……。
こっそりと続きを待ってみたり……(笑)

ノワールっぽい雰囲気で、結構ダークだったり、やっぱり、スピッツが好きというスピカさんからこういう文章が出てくるギャップに毎回驚いています。
ラボーナさん:
知らない間に感想を・・・ぴかぴか(新しい)嬉しいです。ありがとうございますわーい(嬉しい顔)
続きはどうなるんでしょうね〜(笑)
ぶわーっとイメージが膨らんだら書いてみますペン

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