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痛快!オザケン通りコミュの「ライフ」秀逸コラム/

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小沢健二「ライフ」

スカパラ、ヒックスヴィル、そして元サウス・トゥ・サウスの中西康晴というこの上ない贅沢なコネクションによる“肥えたグルーヴ”と、小沢の特殊な唱法との出会いは、ちょうど、「本物」の助っ人を必要としたトーキング・ヘッズのそれにも似ている。「背景」の強さの前に晒されることで「歌唱」の「力」は強調される。小沢の唱法は特殊である。発明といってもいいほどの個性だ。後にリミックスという名で小山田圭吾は「今夜もブギーバック」を“モノマネ”したが、モノマネしたくなる歌手こそ「歌手」である。本盤のすぐあと筒美京平との出会いも、平山三紀、郷ひろみと連なる筒美の「ヘンな声好き」の指向にジャストだった…、とこれでは、音楽誌が書きそうな話だ。

「ぼくらが旅に出る理由」では「それで僕は腕をふるって、君にあて手紙を書いた。とても素敵な長い手紙さ。何を書いたかはナイショなのさ」と、小沢健二は、歌の中の「君」と、同時に歌を聴いている人にも向かって歌っているが、これは言い換えれば「恋愛している私の実況中継」だ。これまで女子の専売特許だったこの行為をこれだけポジティブに、鮮やかにやってしまったことが、このアルバムの最大の魅力だと思う。その力の前に、スライ&ファミリー・ストーンのタイトルのロゴや、銀河鉄道999や、ペティ・ライト「クリーン・アップ・ウーマン」や、スカルスナップス「イッツ・ア・ニュー・ディ」や、山田太一や、マーティン・スコセッシや、ジャクソン・ファイブ「アイ・ウィル・ファインド・アウェイ」や、デビッド・ボウイや、オリジナル・サヴァンナ・バンドなど、このアルバムにまつわるもろもろの記号は、便箋の模様のようなものにすぎない。

「LIFE」がリリースされたのと同じ年の94年にリリースされたピチカート・ファイヴのアルバム「オーヴァードーズ」収録の「エアプレイン」。小西康陽による歌詞の一節「ホールデン・コーンフィールドみたいとかなんとか/言われてゴキゲンになるようなタイプ」というのが、小沢健二のことだという話を、直接小西さんから聞いたのか、それともインタヴューで読んだのか忘れてしまった自分に呆れる。つまり、それほど「昔」の話。でも「LIFE」はけっして「昔」ではない。この「はじけっぷり」は単に表現のひとつの方法だとは思わない。今も、これからもずっと僕にとって大切な、何かだ。いや、すべてだ。

…というような話を恥ずかげもなく書けるようになったのは、この「LIFE」のおかげです。声が似ているせいもあるけど、「僕は強く感じまくるのさ」なんて、まるで自分が歌っているのではと思うこともあったりします。…というような事を恥ずかしげもなく書けるようになったのは(以下略)

「LIFE」の小沢健二ほど、硬派なものはない。

※ソース/「別冊宝島♯771・音楽誌が書かないJポップ批評/フリッパーズ・ギターと渋谷系の時代」安田謙一
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安田謙一氏によるこのコラムは、氏の洒脱な文章を集めた単行本「ピントがぼける音」にも収録されている。
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〜この「はじけっぷり」は単に表現のひとつの方法だとは思わない。今も、これからもずっと僕にとって大切な、何かだ。いや、すべてだ〜
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〜「LIFE」の小沢健二ほど、硬派なものはない〜
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最初これを読んだ時は、うん、うん、そうなんだよなー、と頷くことしきりであった。
(ウッディー)

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