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放浪する物語の為の集団墓地コミュのSpoon

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ダスタはそっとその扉の鍵を開けた

忘れてしまったかも知れない過去の記憶という敵が、たちまち襲いかかって来ては、自分の知る自分を消されてしまうと思ったからだ
それでも、もう戻れないことは分かっている



其処は想像していたよりも殺風景な場所だった
変に生暖かく、いつもの松明意外これといって面白い物体がない
距離は定かじゃあないが、遠くにモヤっとまた次のドアらしきものが見える位だ
自分が今、この何とも形容しがたい地面に立っているという事実だけが
せめてもの娯楽と言えるのだろう

無に近い空間では、気が狂うと云われる
ここで物質の代わりに、不安定な迷いが空間にたちこめた

自分がこれまでやってきた行いも
気が狂う様な散々な出来事も
きっと何かのためだった
地上へ脱出する、という目的だけではなくて
もっともっと昔からある疑問
ただ、肝心のそれだけが、何故か全く思い出せない
それでもかえって良かったのかも知れないとも思う
仮に「脱出」が自分にとって過去最悪の結果をもたらすのかも知れない
生まれてから外の世界を幾度となく想像したけれど
実際に見たこともなければその匂いも嗅いだことさえもないのだ

いっその事、このままレストランに戻ってジジイに謝る方が楽なのかも。
ずっと此処で暮らすのもやっぱりアリなのかも。
自分は飛んでもない事をしようとしているのかも。

…いいや。もう戻れやしない。
「あんな事」をしてしまったんだ。
許されるわけがない。


心臓の音以外に今、響く音があるのならどんなに心地よい事だろう
なんてことはない、なんとでもなるさ。
自分が自分で無くなってしまうなら、その時はその時だ。
きっと古臭い奴等が代々語り継いで来た愚かな妄想なんだ。
俺が見ようとしているのは素晴らしい世界に違いない。
…違いない。



ダスタは自らまた歩を進め、静寂を破ることにした


コメント(1)

おおう!続きはあるのですか!!!??

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