ＳＯＮＧＳコミュの第290回(11/16)　ちあきなおみ

更新のちほどです

語り：守本アナウンサー＞ちあきなおみさん。彼女の歌は今も根強い人気を誇っています。
デビューから45年。今回「喝采」を手掛けた音楽ディレクターが彼女の素顔を初めて語り
ました。
「SONGS」ちあきなおみ。彼女の歌声がなぜ多くの人を魅了し続けてきたのか。その秘密
に迫ります。

ちあきさんは1969年、「雨に濡れた慕情」でデビュー。個性的なアイドルとして脚光を浴び
ます。デビュー2年目に発表した「四つのお願い」が大ヒット。紅白初出場を果たします。

四つのお願い

ちあきさんは1947年東京生まれ。お母さんの勧めで4歳のときにタップダンスを習い始め
ます。５歳の時には日劇のステージへ。13歳で芸能事務所に所属。長い下積み生活を続け
人前で歌いながら歌の力をつけていきました。
そんなちあきさんにはいつもお母さんの支えがありました。「四つのお願い」に続いて発表
した「X＋Y =LOVE」もお色気アイドル路線でヒット。その後も優れた歌唱力を生かして多
くの作品を発表しますが、徐々に売り上げが伸び悩んでいきます。

ちあきさんは自分の音楽と世間とのギャップに苦しんでいました。デビュー4年目に訪れた
危機。それを救ったのは「喝采」でした。この曲でちあきさんの音楽ディレクターを務めた
東元晃さん。東元さんはアイドルとして活動していたちあきさんに新たなジャンルへの挑戦
を提案します。

東元さんの提案した歌は悲しみを背負った女性歌手のせつない女心を描いた曲。
レコーディングは意外な形で行われました。再起をかけて臨んだ「喝采」のレコーディング。
ちあきさんは納得するまで何度も歌い続けました。
1972年に発表された「喝采」は瞬く間にヒットチャート上昇。その年の日本レコード大賞
受賞しました。この歌でちあきさんは女心を歌う歌手へと成長をとげたのです。

喝采

「喝采」で大人の歌手としての地位を確立したちあきさん。その表現力に注目した人物が
います。船村さんが作曲した「さだめ川」そして「酒場川」。
ちあきさんは、演歌という新たなジャンルに挑みます。「酒場川」のB面に収録されていた
「矢切りの渡し」船村さんが描いた渡し船という日本的なモチーフをちあきさんが見事に表
現しました。その後、この曲は数多くの歌手によってカバーされ日本の演歌を代表する名曲
となったです。

矢切りの渡し

幅広い表現力を身につける一方でちあきさんが自分が何を歌っていくべきか迷っていました。
そんなちあきさんが新たに歌ったのがフランスのシャンソンでした。
翌年にはアメリカンジャズのスタンダードをカバーした作品を発表。
そして83年のアルバム「待夢」ではポルトガルの民謡ファドに挑戦します。
ポルトガルの庶民な日々の悲しみや苦しみを忘れようと声を絞り出すように歌ってきた大衆
の歌。ちあきさんはファドと出会えい強い衝撃を受けます。
ファドの伝説的歌手アマリア・ロドリゲスが歌った名曲「難船」
ちあきさんはこの曲に日本語の歌詞をつけ深い哀愁の世界を表現しました。

霧笛

1985年、ちあきさんは流行歌を集めたカバーアルバムを発表します。
世界の様々な歌を歌ってきたちあきさんが子供の頃から大好きだった日本の名曲に新たな命
を吹き込んだのです。

星影の小径

1988年、ちあきさんは新たな決意を込めてオリジナルソングを作ります。
作曲を依頼したのは「矢切りの渡し」を手がけた船村徹さんです。船村さんにはちあきさん
に歌ってほしいテーマありました。
そして生まれたのが「紅とんぼ」。お店をたたむ女将の切ない心情を描きました。
ファドやシャンソンなど様々なジャンルを歌ってきたちあきさんがたどり着いた人情そして
愛の歌です。ちあきさんはこの曲で11年ぶりに紅白に出場します。

紅とんぼ

聴く人の心をつかんで離さないちあきさんの歌。そこには歌に対する独自のこだわりがあり
ました。「聴く人の心にそっと寄り添うように歌いたい。」 91年にカバーした昭和の名曲
「黄昏のビギン」ちあきさんが歌うこの歌は今も多くの人に愛されています。

黄昏のビギン

1992年最愛の夫　郷鍈治さんが亡くなりちあきなおみはすべての音楽活動休止。
今もその沈黙は続いています。

冬隣