いかにもベスト・アルバムを出しそうもないバンド。そんなランキングがあったなら、DIR EN GREYは間違いなく上位に名を連ねることになるだろう。もちろん敢えてこんなことを言うのは、その彼らが実際に間もなくベスト・アルバムをリリースするからであり、僕自身もその発表をかなり意外に感じていたからでもある。
▲DIREN GREY live at NAMBA HATCH,DEC.14th,2007実際、今年は彼らにとって10周年のアニヴァーサリー・イヤーでもあり、過去の歴史を総括するようなアイテムをリリースすること自体はきわめて自然で、しかも必然性の高いことだといえる。このバンドを取り巻く状況/環境や、音楽シーンの地図における彼らの位置といったものの近年の劇的なまでの変化ぶりを踏まえれば、現在、彼らの音楽的変遷のありさまをわかりやすく理解させてくれるベスト・アルバムというのは、世のニーズがとても高いものだということも察することができるはずだ。
そうした現状を踏まえているにもかかわらず、それを“意外”だと感じたのは、DIR EN GREYというバンドの天の邪鬼な体質を理解しているつもりだからだ。彼らが世間の要求に応える? とんでもない。むしろどんなになだめすかしても、それを受け入れてくれないのが彼らである。