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印象派の集いコミュの印象派とジャポニズム

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昨日はブリジストン美術館の土曜講座「フランス近代絵画と
ジャポニズム」を拝聴してきました。

講師は高階秀爾先生(大原美術館館長)で、大変素晴らしい
講演でした。

印象派の作品とジャポニズムの関係は興味深く、
特にモネが日本美術を愛する理由として述べたという
「影をもって実在を示し、部分を持って全体を表す」という
言葉は、とても心に響きました。

具体例を示しましょう。
1枚目の絵をご覧ください。

これはモネの代表作の睡蓮ですが、
水面に木の影が映りこんでいるのがわかりますでしょうか。

影とは反射のことを表します。
ご覧のとおり画面には実在する木の姿は描かれておりません。
けれども、水面に反射する木の姿がはっきりと私達にその
存在を示しています。

これは日本の浮世絵では良く使われる手法ですが、
当時のヨーロッパでは画期的なことでした。

次に2枚目の絵をご覧ください。

こちらも同じく睡蓮です。
画面上部に注目してください。
柳の葉が部分的に顔を出しているのがおわかりでしょうか。

頭上から下がっている柳の葉を描くことで、見事に柳の木
全体を表しています。

当然この手法も浮世絵から影響を受けたもので、ヨーロッパ
絵画の伝統にはなかったものです。

こうして見ても、印象派の作品がどれほど日本美術の影響を
受けているかわかると思います。

さらに3枚目の絵は一見して日本趣味が見て取れる
妻カミーユを描いた「ラ・ジャポネーズ」です。

この作品は一説に菱川師宣「見返り美人」の影響を受けてい
るのではないかと言われています。

艶やかな赤い内掛けに、手には扇子。
そして、壁一面に日本の団扇が飾られています。

良く見ると団扇の絵には「海老で鯛を釣る」と言った
日本の代表的なモチーフが使われていたりします。

※画面の背景に浮世絵や屏風が使われるケースは他の画家でも
 良く見かけます。
 マネの「ゾラの肖像」、ゴッホの「タンギー爺さん」など、 たくさんの作品が存在します。

今度は扇子に注目してください。
当時のナショナリズム的な批評家が日本趣味一色のこの絵
のなかで、扇子を指して「三色旗」だと言ったそうです。
確かに、青白赤の三色旗ですね。
かなりのこじ付けに思いますが(笑)。

私個人の意見ですが、この作品実は日本趣味一色では
ないと思います。
本来カミーユの髪は美しい黒髪。
あえて金髪に描いていますね。
内掛けの色との相性を考えたのでしょうか?
日本趣味で統一するなら、黒髪のままのほうが自然な
感じがしますが、皆さんはいかがお考えでしょうか。

さて画像から離れて連作についてお話したいと思います。

モネの「積み藁」「ポプラ並木」「ルーアン大聖堂」
と言った連作は大変有名ですし、「睡蓮」も連作の一つですね。
この連作も実は北斎の「富岳三十六景」から影響を受けた
そうです。

連作はモネに限らず、ピサロ、セザンヌも取り組んでいますが
、セザンヌの代表作「サント・ヴィクトワ−ル山」は生涯36
作品を手がけたそうです。
これは「富岳三十六景」と不思議な一致ですね。

ゴッホが浮世絵をコレクションしていたことは有名ですが、
ゴッホ美術館には今でも生前のコレクションが展示されている
そうです。

南仏アルル時代の作品は、オランダ時代から比べると
驚くほど色彩豊かな明るい作品になるのですが、
これは印象派と日本の浮世絵の影響です。

アルルを訪れたゴッホの言葉。
「オランダに比べるとパリは明るく、
 アルルはもっと明るい。
 まるで日本に来たようだ。」

ゴッホにとって日本は明るい色彩の溢れる理想郷だったの
かもしれませんね。

印象派の作品を鑑賞する際に、日本美術の影響を探して
みるのも面白いのではないでしょうか。

それでは。

コメント(8)

ぬのさん、はじめまして。
ぬのさんも講演をお聴きになってたのですね。
もしかしてすれ違っていたかもしれませんね。
確かにあの内容で400円はとても安いと思います。

Juliaさん、こんばんは。
こちらこそお疲れ様でした。
自分に必要な部分だけ頭に叩き込んだので、他の部分は
随分と抜けています(笑)。
非常に良い内容の講演でした。
久しぶりに長文のトピになりました。

ハミガキさん、こんばんは。
私も夫妻が楽しんでいるように思います。
以前にも書いたのですが、この作品のカミーユは
ちょっとはしゃいでいて幸せそうです。
どことなく儚げで不安そうな表情を見せるカミーユ
が多いだけに、この作品はとても印象的に感じます。
ミズシーさん
石橋美術館出張展・高階講演会・後の評論会?いずれも面白かったですね。絵入りの解説はよく分かります。私もレポートを書いてみました。↓
http://cardiacsurgery.hp.infoseek.co.jp/TAKASHINA.pdf
ぷるたまさん、こんばんは。
本当に素晴らしい講演会でした。
モネも本当に日本美術を愛していたようですね。
日本庭園に太鼓橋。。。一度はモネの庭に行ってみたい
ものです。

コスモスさん、こんばんは。
書き込み有難うございます。
連作という発想は日本人のものだったんですね。
私達はもっと日本美術に誇りをもってもいいのかも
しれませんね。

とらさん、こんばんは。
ご参加有難うございます。
何とか講演の臨場感を出したくて画像を入れてみました。
非常に有意義な一日でした。

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