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洋楽名盤・新譜 レビューコミュのポール・バターフィールド・ブルース・バンド 「イースト・ウエスト」

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The Paul Butterfield Blues Band 「East West」1966年US
ポール・バターフィールド・ブルース・バンド 「イースト・ウエスト」
  
1 Walkin' Blues
2 Get Out Of My Life
3 I Got A Mind To Give Up Living
4 All These Blues
5 Work Song
6 Mary, Mary
7 Two Trains Running
8 Never Say No
9 East-West
  
  
ポール・バターフィールド(ハーモニカ)
マイク・ブルームフィールド(ギター)
エルヴィン・ビショップ(ギター)
マーク・ナフタリン(キーボード)
ジェローム・アーノルド(ベース)
ビリー・デイヴンポート(ドラムス)
     
男のロック、ポールバターフィールドです。
とにかく凹んだときに、効きます。効き目大です。
染み込み、染み渡ります。
   
とんでもなくむかついていても、ため息ばかり出るような絶望的な気分の時でも、なぜかこの音はすっとなじんで、はいってきて、荒々しくも優しく、いつのまにか元気にさせてくれます。
このバンドの音にはイギリスのブルースロックと決定的に違ものが宿ってます。
ボーカルだけでなく、ギターにもベースにも、腹の座ったようなところがあります。
    
ポール・バターフィールドは1941年シカゴ生まれシカゴ育ち、実際、マディ・ウォーターズを間近で聴き、リトルウオーターやソニー・ボーイ・ウイリアムソン2世に直接ブルースハープを習った、という話もあります。
  
戦後のシカゴブルースは洗練を深めていってはいたものの、アメリカにおいては差別階級としての黒人の音楽を大きく出ることはない状態でした。逆にイギリスでは、アメリカの人種問題の偏見の無いところで、純粋にブルースをすばらしい音楽として取り入れられ、ブルースロックはイギリスが中心となり、ブリティッシュロックそのものの形成へと繋がってゆくわけです。ブルースだけでなく、チャックベリーなどの黒人によるエンタメ系のR&B、ロックンロールにしても白人として取り入れてゆく流れは圧倒的にイギリスが主な土壌となったわけで、アメリカ人のプレスリーは例外としても、アメリカ人のジミヘンも音楽的市民権を得るには英国へ渡らざるを得ない、という状況でした。
  
そんな状況で、ポール・バターフィールド・ブルースバンドは、シカゴにおいて、リズム隊の2人が黒人、ジェローム・アーノルド(Bass)、サム・レイ(Drams)、シカゴ大で出会った、エルヴィン・ビショップ、そしてマイク・ブルームフィールドの2大ギタリストとオルガンのマーク・ナフタリンを加えた白人4人の計6人でスタートしました。黒人2人を入れた構成は画期的で、さらにエルビン・ビショップ(タルサ)もサム・レイ(バーミングハム)も南部出身でした。しかも初代のリズム隊の2人はハウリン・ウルフのバック・メンバーでした。

この構成で、彼らはホワイト・ブルースバンドとしてシカゴで名をあげていったわけです。なにしろデビューシングルが「Born in Chicago」ですから。
  
アメリカにおいて、全国規模でブルースに光が当たったのは60年代のフォークブームにおいてでした。白人のフォークの詩人達が、トラディショナルないわゆるカントリーブルースに再び着目したわけです。そして、1965年のニューポート・フォークフェスティバル、多くのフォークシンガーに混じって出演したポール・バターフィールド・ブルースバンドを見たのがボブディラン、彼らのエレクトリックなブルースの演奏を聴いてディランは衝撃を受け、彼らにバックで演奏を依頼し、その後ディランもエレクリックでロックな方向に舵を切らせることになるわけです。
    
1966年のデビューアルバムに続く本作は、くしくもブルースブレイカーズの「ジョンメイオール&エリッククラプトン」と同じ年に発表。

プロデューサーはDoorsと同じポール・A・ロスチャイルド。ブルースだけでなく、時代的にインド風な要素やジャズ的な楽器のアドリブ演奏を聴かせるインプロヴィゼーションを取り入れ、クラプトンらのブリティッシュ・ブルースロックへも影響を与え、同時代のロックとしての幅広いものとなり、なおかつブルースの奥深さも湛えた傑作となりました。

1曲目はロバート・ジョンソン。2曲目はアラン・トゥーサン。5曲目のWork songはキャノン・ボール・アダレイのJazzを取り入れ、ブルースとJazzの融合、2人のギターのやりとりも楽しい。最終曲の「East West」では東洋風かつインプロヴィゼーションが大胆に導入されます。導入部のエルヴィン・ビショップのソロ、ポールのブルースハープ、続くマイク・ブルームフィールドのソロがブルースとインド風の旋律の調号具合が得も言われぬ緊張感をもって不思議な高まりを作り出し、マイクとエルビンのツイン・リードへと引き継がれます。全編に渡って聴かれるこの3者の絡み合いがすばらしい。
  
いかにマイク・ブルームフィールドが凄くても、やはりこのアルバムはポール・バターフィールドのブルース・バンドとしての音、という感じがします。テクニックはあくまで手段、メインはやはりブルースのフィーリングにしっかりと置かれている、そのあたりの骨太さが、このアルバムの本質だと思われます。
  
マイクとエルビンのギターの絡み合いにブルースハープがさらに絡み、力強いボーカルが乗っていく。
全ての音が絶妙のタイミングでバトンを受け渡し、土埃を巻き上げながら塊になって怒濤のように転がってゆく。バンドとしてのまとまり、バランス、信頼感が作り上げるブルースロック、やはりギターヒーロー中心の英国ブルースロックとは何か違っています。
  
Jazzやインド音楽など新しいものを取り入れながらも、黒人のものだったブルースを、白人のものだったロックと融合させ、ブルースの本質のようなものにこだわり、シカゴのブルースから世界的なロックの世界へ、ブルースの本質的なものを広めるきっかけとなった傑作アルバム、です。
  
ポール・バターフィールドという人は、これだけの功績を残し、ある意味米国にあけるジョン・メイオールのような人であるはずなのに、70年代以降不遇をかこったあげく、44歳で薬物の過剰摂取で、アパートで一人死んでいるところを発見されました。ブルースにこだわり、まるで戦前の黒人ブルースマンのように死んでいったのでしょうか。
  
彼が魂を込めたブルースロックの傑作、その男の魂に、大きく、優しく、強く、ゆさぶられます。

コメント(2)

私も好きなアルバムです
しかし
気持ち入ってますなア
読んでて 嬉しくなりますよ

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