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今、鳥人戦隊ジェットマンが熱いコミュの鳥人戦隊ジェットマン? 夢幻の島 第三章 1

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「よし、とりあえずはここで生き延びなくちゃな。全員サバイバル生活に入る。いいな?」
次の日、目が覚めた全員に、竜が指示すした。かなりの早朝、
それこそ朝日が昇った直後くらいの時間だが、なにしろ陽射しが強いし、
慣れぬ環境、しかもバイラムが近くにいるかもしれないという状況で、
そうおちおち寝てはいられなかったのだ。
それだけにあまり長い時間は眠れなかったが、
そこは全員バードニックウエーブを浴びた身である。体や頭に多少の重さはあれど、
それもほとんど気にならない程度に調子はよかった。

そして竜の言うことは当然であり切実だった。
なにしろ十人ともいきなりこの島にさらわれてきただけに何の準備もしておらず、
今朝食べる食料すらないのである。
こういう場所では一番元気であるはずの大地が、
今は最もへこんでいる。空腹は彼にとって、バイラム以上に憎むべき敵だった。
その大地を含む新ジェットマン五人の方へ竜は視線を向ける。
「君らにも手伝ってもらうからな。キャンプの経験はないかもしれないが、遊んで待っててもらう余裕はないからね。それにおれたちとなるべく一緒にいてもらわないと危険だし」
多少の実力はあれど、鷹男たちを民間人だと思っている竜の言うことはもっともである。
そして自分たちの正体を明かせない新ジェットマンにとって、竜たちの誤解はありがたいことだった。
「わかりました。ぼくらも多少キャンプの経験はありますから、お役に立つことはできると思います。どんどん使ってやってください」
竜に、禅が代表して答えた。鳥人戦隊である竜たちがこの手の訓練をこなしているのと同様に、禅たちも当然似たような訓練を施されている。それを隠し、完全な素人を装っていても、なにかの拍子に知識や経験がこぼれてしまうかもしれない。そうなれば旧ジェットマンたちは禅たちに不信を覚え、なにかと不都合が起こる可能性もある。ある程度は真実を明かしておく方が得策であった。
そしてそれを聞いた竜は、法外な申し出にいささかの安堵を覚えたようにうなずいた。
多少なりとも負担が減るのは、彼らを守るためにもありがたい。

「そうなのか、それは助かる。よし、それじゃとりあえずいくつかの組に分けて、やるべきことをやろう。おれは海の方へ魚を獲りにいく。雷太、お前は森の方に行ってなにか食べられそうな物を探してきてくれ」
「わかった」
竜は今日すべきことをすでに考え、まとめていたらしい。
雷太に明確に指示をすると、彼もうなずいて快諾する。
「アコは川の方を頼む。昨日見かけたところで、魚やなにかが獲れれば獲ってきてほしいが、それよりも近くに寝泊まりできそうな場所がないかを探してきてくれ。水が近くにある方がいろいろとありがたいからな」
「うん、わかった」
「凱、お前は…」
アコがうなずくのにうなずき返すと、竜は凱にも指示を出そうとするが、当の男はそれをさえぎる。
「悪いがおれはそういうちまちましたのは苦手でな。ちょっと散歩してくるぜ」
と一言告げると、そのまま九人に背中を見せ、砂浜を歩いてゆく。
そんな凱に声をかけて止めようとした竜だが、苦笑して言葉を飲み込んだ。
「いいの、竜?」
香が竜と、遠く離れてゆく凱を等分に見ながら尋ねるが、リーダーは苦笑を崩さずに答える。
「いいさ。あいつがああなったら誰にも止められん。それにあいつ、どうやら島の全体像を探索に行ったみたいだ。おれも元々それを頼もうと思っていたし、構わないだろう」
凱の姿はすでに見えなくなっていたが、確かに砂浜に沿って歩いていた。
おそらくは島の外周を調べに行ったのだろう。
バイラムが潜んでいるであろうこの島で、単独行動は危険ではあるが、
それでも凱ならなんとかしてしまえる。その信頼が旧ジェットマンの四人にはあった。


竜は続ける。
「香はここに残ってとりあえず住めるようにしてくれ。アコたちがいいところを見つけてくれればそっちに移るけど、もしそんな場所がなければここがとりあえず一番いい場所だからな」
「わかったわ、なにもないけど、なんとかしてみる」
竜の指示に香はうなずき、うなずき返した竜は、今度は五人の少年少女に目を向けた。
「さて、それじゃ君たちにも手伝ってもらうぞ。おれたち一人ずつに、それぞれ一人か二人がくっついて、一緒に行動してもらう。そうじゃないとバイラムが現れた時に君らを守れないからな。それで誰が誰についていくかだが…」
と、竜が説明しているところで、禅が軽く手を挙げてさえぎった。
「あの、天堂さん。おれは結城さんと一緒がいいです。これからすぐに後を追いたいと思います」
それを聞いて驚いたのは鷹男たち新ジェットマンの方だった。
禅が父親――凱に、隔意とまでは言わずとも、
どう接していいかわからない心情を持っていることを知っていたからである。どういう心境の変化なのか。
だがそんな鷹男たちには気づかず、竜はやや渋面を作る。
「いや、もうずいぶん先に行ってしまっているし、それに君は知らないだろうけど、あいつは誰かと一緒に行動するのが嫌いというか苦手なやつなんだ。だから…」
「いえ、大丈夫です。それじゃいってきます」
が、禅はそんな竜に軽く一礼すると、有無をいわさず走り出した。
そのスピードは、本気を出しているわけではないが充分に速く、みるみる遠ざかってゆく。
「あ……まあいいか。いくら凱でも近くにいれば放ってはおかないだろうし。彼にイヤな思いはさせるだろうけどな」
止める間もなかった竜だが、小さく息をついて禅の行動を受け入れた。ああ見えても凱は自分より弱い者を守るのに誰よりも力を尽くす。ただし口が悪いので一緒にいる相手に不快さを与えることのみが問題であったが、これは禅に我慢してもらうしかないだろう。

気を取り直して、竜は四人に向きなおった。
「さて、それじゃ君たちも一人一人わかれてもらおう。まずおれと一緒は…」
「あの! おれ、いいですか?」
その竜に、やや勢い込んで同行を申し出たのは鷹男である。
鷹男は禅と違って父との思い出はある。それだけでなく亡父を愛し、尊敬してもいた。
もう会えなかったはずのその父に再会できたのである。
自分の知る父より若く、また本物か偽物かもわからない相手だが、
それでも少しでも一緒にいたいと思うのは自然なことだった。
そんな「息子」の思いを知ることもなく、竜は笑顔を見せた。

「そうか、わかった。それじゃ君はおれについてきてくれ。次は雷太だが…」
「あー、えーと、じゃあおれが…」
「えっと… よければわたしも…」
と、ややぎこちなく手を挙げたのは大石兄妹である。
そのぎこちなさは照れ隠しでもある。彼らの父親は存命だが、
それでも若い頃の父に興味があるのは、これも自然なことであった。
この雷太が本物であるかどうかは、彼らにとって今のところたいした問題ではない。
「二人かい? ぼくは構わないけど…」
と、雷太は気にした風もなく言いつつも、香とアコの方を見る。
自分が二人を受け持てば、彼女たちのうち一人は単独行動になってしまう。
労働力的にも安全的にも、あまりいいことではないかもしれない。
「わたしは一人でいいわ。そんなに広い範囲を動き回るわけでもないし、なにかあれば連絡はこれですぐ取れるしね」
雷太の懸念を察した香は、笑顔でクロスチェンジャーをかざす。
彼女はどちらかといえば留守番に近い立場なので、確かにそれほど人手はいらないかもしれない。

だがその提案に、異論を投げかけた少女がいた。
「えー、だったらあたし、おふ……アコ…さんとお!?」
と、沙羅は思い切りイヤそうな声を挙げる。思わず「おふくろ」と口走りそうになり、
あわてて名前で言い直し、しかしやはりイヤそうに敬称をつけながら渋面を作る。
禅と違った意味で親に対して複雑な心情があるのだが、
反抗期の少女という印象が、さほどの深刻さを感じさせない。
が、「母親」としての自覚がまったくないアコからすれば、沙羅の言いようは憤慨ものである。
「なによ、あたしだって別にあんたに一緒に来てほしくなんてないわよ。イヤなら香と一緒に残れば!?」
ケンカ腰で言い返すアコの姿は自分と同年代で、沙羅が知っている母親とずいぶん違うが、
それでも本質は同じである。
母親に対するものと同じ反感が、反射的に沙羅の心に跳ねるように湧く。
「言われなくてそうするわよ! あんたと一緒に行動なんてお断りだってゆうの!」
「年上に向かってあんたってなによ、あんたって! ちゃんと早坂さんって言えないの!?」
「あんたに言われたくないわねーだ! さっきから見てたら、一緒にいる年上の人たちに敬語もなにも使ってないじゃない!」
「あたしはいいのよ、竜たちは仲間なんだから! あんたは違うでしょ、あたしたちに守ってもらう立場でしょ。そのあたりも含めて敬意を払えって言ってんの!」
「なに言ってんのよ、ジェットマンが民間人を守るのは当たり前でしょ! そうやって上から目線で守ってやるなんて、ジェットマンとしてどうなのよ、失格なんじゃないの!?」
「他の人なら進んで守るわよ。でもあんたみたいなのはお断り! 使命だから守ってやらないこともないけど、まともに礼儀も払えないようなやつが偉そうに理屈を並べんじゃないわよ!」
「アコ、アコ、わかった、わかったから」
「沙羅、ほら、お前もいいかげんにしろ」
と、苦笑気味に竜と雷太がアコを、鷹男と大地が沙羅をなだめる。
苦笑気味であるのは、憤懣やるかたないといった風情のアコと沙羅に、
言い合いながらもどこか共通するものを感じ、同時に互いに芯の部分では相手を嫌ってはいないとも感じるからである。
その理由を鷹男たちは知っている。


「そんなに嫌ならわたしと一緒に残る?」
香は、なだめられてとりあえず収まった二人のうち、年少の方にやさしく問いかける。
彼女としてはそれでも構わないのだが、問われた沙羅が、なぜかぐっとつまった。
べつに香と一緒が嫌なわけではない。
それどころか若い頃の「香おばさん」と過ごせるのは、彼女としても望むところだった。だが……
「……なによ」
沙羅はほんの一瞬、チラリとアコの方を見、それを受けたアコも軽く詰まってから訊き返す。
「…べつに」
「じゃあこっち見ないで別の方を……!」
と、またしても二人のケンカが再燃しかけた瞬間、竜がパンと手を叩いた。
「よし、まあ確かに香と一緒に残ってもらっても構わないんだが、できればアコと一緒に行ってもらった方がありがたい。そっちの方が人手がいる仕事だからね。君もまた砂浜で寝たくはないだろう?」
と、諭すように話す若い「竜おじさん」に、さすがに沙羅も「うっ」と詰まった。
苦手というわけではないのだが、リーダー気質の竜には、
沙羅も頭が上がらない思いを持っていたのだ。
たとえ本物かどうかわからないとはいえ、彼にそう諭されると、沙羅もまともに反論できない。
またゆうべは野宿に近く、あまり快適でなかったのも確かで、竜の言うことには理もあった。
沙羅の表情から自分の言ってることが伝わっていると感じた竜は、今度はアコの方に目を向ける。
「アコ、お前もわかるだろ。ここは敵の勢力圏かもしれない。仲違いしてできることをおろそかにする余裕はないんだ」
同じように理をもって竜に諭されれば、アコとしても正面きって反論はできない。
彼女もまた歴戦の戦士であり、戦いに私情を挟むのはよくないと経験で知っている。
それは竜たち三人という「実例」もあったことで、
「お前がゆーな」という気分も以前のアコなら持ったかもしれないが、今はそうでもない。
それだけに、アコも沙羅も、渋々ながらうなずくしかなかった。
「……わかった」
「……竜おじ…竜さんがそう言うなら」
そんな二人に竜は笑みを見せる。
「わかってくれたか。ありがとう。よし、それじゃ全員行動開始だ。なにかあればブレスで連絡を取ること。いいな」
「「「「「「「「了解!」」」」」」」
「え?」
「あ、いや、その……はは」
ジェットマンのリーダーとしての指示に、雷太と香とアコがジェットマンとして返答するのは当然だが、
つい同じように反応して声をあわせてしまった鷹男たち四人に、
旧ジェットマンは軽く驚いた目を向け、新ジェットマンたちはおたおたしながら笑ってごまかすしかなかった。


作品一覧
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=65631933&comm_id=2123162

えらい間が開きました、すいません(汗)。
もう覚えてる方もいらっしゃらないかもですが、ひっそりと再開です(照)。

コメント(4)

>>[1]
どうもありがとうございます。
これだけ間を空けておきながら、読んでもらえるだけでもありがたいのに、
そう言ってもらえるとうれしいやら申し訳ないやらですが、
でもやっぱりうれしいです(照)。

まだまだしばらく続きますんで、どうぞよろしくお願いします。
再開、待ち遠しかったです。個々別れて行動するみたいですが

若かりし親ジェットマンと子ジェットマンの邂逅とか期待しちゃいます。
特に凱・禅親子とか(笑)
>>[3]
どうもありがとうございます。
せっかく会ったんでとりあえずそれぞれで単独行動はさせないとなと(笑)。
そしてあの親子が一番気にはなるんですが、一番難しいのもまた確かでございます(苦笑い)。

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