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今、鳥人戦隊ジェットマンが熱いコミュの鳥人戦隊ジェットマン? 夢幻の島 第一章 2

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「バーチャルトレーニングシステムってそのまんまでありきたりな名前だなあ。もうちょっとセンスってもんを働かせりゃいいのに」
「だったら大地、お前が考えてみろよ。出来がよかったら採用してやるぞ」
今日初めておこなう訓練の場所へやってきた大石大地が偉そうに言うことに、
羽生禅がニヤリとしながらうながす。
部屋の広さはちょっとしたスタジオくらいの大きさがあり、
人が入れる大きさのカプセルが五台並んでいる。
近くの操作盤にはスタッフが幾人もいて、なにやら準備を進めていた。
当然この場には禅と大地だけでなく、天堂鷹男と早坂沙羅、大石こずえもいる。
「え? あ、うーん、そうだなあ。えーっと……仮想訓練装置とか」
「お前こそ、そのまんま訳しただけじゃないか」
「いやいや、横文字全盛の世の中で、あえて日本語を選ぶところにセンスがあるんだよ。そのあたりの妙味がわからんかね、鷹男くん」
「漢字はもともと中国の文字だよ。その名の通りね」
あきれ顔の鷹男にそれらしいことを言ってうそぶく大地へ、
禅がたいていの日本人が普段忘れがちなことにツッコミを入れていると、
あきれ顔をしたもう一人の女性がやってきた。


「あなたたち、相変わらずねえ」
それは当然というべきかスカイフォース日本支部司令官兼鳥人戦隊指揮官の小田切綾で、
他のスタッフとともにシステムの準備をしていたのだ。
と、ここまでの会話にあえて加わらないでいた沙羅は、
両手を頭の後ろで組んで、わざとらしく天井を見上げながら綾の言うことを混ぜっ返す。
「三バカと一緒にしないでほしいなあ」
「なんだと」
「そうだ、大地と一緒にするな」
「まったくだ。今世紀最大の恥辱だな」
「おいこら」
大地はジロリと沙羅を見やるが、
援護に入るはずの二人に背後から撃たれ、今度はそっちを向いてにらむ。
その四人をこずえは笑いをこらえながら見ているが、
彼女を含めた五人の様子こそが綾の言う「あなたたち」であり「相変わらず」なのだ。
こういう関係になった五人に、
「伯母」としての綾はほほ笑ましさとうれしさしか覚えないが、
今は彼らの指揮官としての立場である。表情をあらためた。


「さて、それじゃさっそく始めましょうか。どんな訓練か、だいたいは禅から聞いてるわね」
「はい、大丈夫です」
それを受けた五人も同じく表情を引き締め、訓練へ向かう心を作り、
鷹男が代表して綾の確認に答えた。
バーチャルトレーニングシステム。
簡単に言えば精神を仮想現実の世界へ送り込み、
そこで様々な訓練をほどこす装置である。
現実ではなかなか実践するのが難しい状況や、
怪我をしていて体を使う訓練が難しい時になど、
様々な用途で使用することができる。
実際に体を使わないで肉体的な訓練になるのかとも言われるが、
精神や脳においてやり方を覚えておけば、
体へ効率よく命令を発することができるため、相当に有用なのである。
ジェットマンの五人の内、禅以外の四人は、今日初めてこのシステムを使用する。
禅に言わせればこれまでは基礎的な訓練が主だったし、
またバイラムとの実戦も同時にこなしていたため、
あまり多様な訓練をほどこす余裕がなかったのである。
だが最近は彼らもレベルアップしてきており、
様々な状況を想定しても構わない段階にまでなってきた。
それもあって初のバーチャルトレーニングシステムなのだ。


「そう、ならいいわ。それじゃ早速始めましょう。全員カプセルに入って」
鷹男の返答と他の三人の表情を見て綾もうなずくと、
彼らにカプセルに入るようにうながす。
「なんかこういうカプセル、あんまいいイメージないな」
「そうね」
仮想現実の世界など、娯楽で言えばちょっとどころか最高級のアトラクションであり、
訓練は訓練として実は鷹男たちはかなりワクワクしていたのだ。
しかしそのカプセルを見、中に入りながら、大地は少し嫌な顔をしつつぼやく。
そんな大地の言葉をからかうこともなく、
カプセルの中に横たわりながら沙羅が真顔で応じたのは、
彼と同じく、バードニックウェーブBを浴びた時のことを思い出したからである。
今自分たちが体を横たえているのは、発注先が同じなのか、
その時に入ったカプセルとほとんど同じデザインだったのだ。
あれがあってこそ、
彼らは新生ジェットマンとなってバイラムと互角以上に戦うことができているのだが、
それでもあの苦痛を思い出すと、
嫌な気持ちが湧いてくるのを抑えることはできなかった。
それは鷹男やこずえも同じで、二人の会話を聞きながら少し顔をしかめている。
表情に出さないのは禅くらいだった。


「今回はそういう苦痛はないわ。心配しないで。訓練の内容については禅から聞いていると思うけど、どんな仮想世界に行くのか、どんな状況なのか、なにを目的とするのか、事前にはまったくなにも教えません。仮想世界に行ったところで、自分たちで判断して行動すること。いいわね」
「了解です。そうじゃないと現実でもとっさの判断なんかができませんものね」
カプセルの扉も閉まり、彼らの頭にヘルメットが自動でかぶせられる。
鼻まで隠れてもう表情も見えないが、それでも鷹男が綾の確認に応じた。
禅以外の四人に尋ねているのでリーダーである長男はなにも答えないが、
そういう時はサブリーダーの鷹男が応じる。
全員で特にきちんと決めたわけではないし、常にそういう形を取るとも限らないが、
鷹男のサブリーダー就任も含め、
いつの間にか自然にこの形に落ち着いてしまっているようだ。
そんな鷹男たちに、これも表情は見えないが、禅は口元だけでニヤリと笑った。
「うん、趣旨はきちんとわかっているようね。それじゃみんな、がんばりなさい」
「はい!」
鷹男の答えにうなずいた綾は、今度は全員を激励し、五人も唱和して応える。
その彼らにもう一度うなずくと、綾はスタッフに視線を移す。
「システム、起動させなさい」
「は。システム、起動させます」
綾の指示を受けたスタッフは、復唱するとコンソールのスイッチを押す。
五人を仮想世界へいざなう機械は起動し、彼らの意識を急速に薄れさせていった。


  
                                     つづく


作品一覧
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=65631933&comm_id=2123162

コメント(4)

>サユリンさん
感想ありがとうございます!
動き始めさせていただきました(照)。

そうですねえ。でもたぶん全てがそうなることはないと思っています。
バーチャルは結局人間の知っている範囲を出ませんが、
現実は人間の知らないこともたくさんありますから。
宇宙全体についての本物そっくりのバーチャルなんて、
作りようがないですからね。本物を知らないんだから(笑)。

禅のニヤリは若松さんのニヤリをイメージしてたりします(笑)。

続きもぜひ読んでやってくださいね。
>純さん
感想ありがとうございます。
大地は結構ムードメーカーとして使いやすくなってきました(笑)。
トラブルメーカーの沙羅と並んでありがたい(笑)。

続きも楽しんでいただけるようにがんばります。
トランザや武林ももちろんいろいろと(笑)。

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