書き綴るは想いコミュの瑪瑙色のペンション（フリー）

紅葉、味覚の秋、行楽シーズンと言えば？旅行よね。
しかもね。今年の９月は特別で５連休があるの。その名もシルバーウィークってニュースで言っていたよ。と岩の如く耳を貸さない彼方にわざと大声で言ってみた。

が、ソファーに深く根を張った彼方は無心で雑誌に食い入っている。
だがこんな態度ではめげてられない。
大型連休など神様が日頃の労働者に与えてくれた至福の時間。
不幸にも、その５連休に『家でごろごろ』もしくは『ショッピングのみ』などといつもと変わらない休日が行われてならない。

薄っすらと邪な笑顔を浮かべる彼方を横に、闘志を燃やすべく、戦略なくして勝利は無いと彼方が食いつきそうなキーワードを探す。

彼方の好きな物は、忍者にゲームにバイク。
好きな食べ物は、『ビールに枝豆があったら俺天国にいける』
私は頭を左右に振り、変な記憶が甦ってきたのを振り払う。
たしか、鯖や鰤、魚介類が好きなのよね。お寿司も良く食べに行くし、肉より魚派だから健康的にも良いのかな。

―秋の味覚、ぶどう、りんご、梨、柿、サツマイモ、きのこ、松茸、栗の狩り放題ツアー―
想像しただけでも、甘酸っぱいぶどうに、薫りの王様松茸焼きに土瓶蒸し。
よ、よだれよだれ。
彼方は果物も松茸も興味ないみたいだし。

ん？次のページの右下に魚のマークが。
「秋刀魚！」
「サンマ！」
え？私と彼方の声が部屋に同時に響く。

コメント(1)

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[1] mixiユーザー 10月09日 11:27

「さ、秋刀魚がどうかしたの？」こう言う時は先に言った者勝ち。
「さゆり秋刀魚って言わなかったか？まあいいけど。雑誌応募で秋刀魚食べ放題ツアーに応募したらさ…。当選したみたいで」
「うそ！」

普段まったく運の１つも見せない彼方だけど懸賞応募には神様が味方しているのか応募した物を外すことがめったにない。
その分、頼んでも応募してくれないし、めったに応募なんてしない。

「でも、さゆりは秋刀魚と興味ないだろ？日もシ…なんだっけ？」
「シルバーウィークなの？い、行く行く！行くに決まってる」

彼方だけではなく、私にも神が降りて来た。場所も千葉県銚子港発。発？でも千葉の魚は美味しい。新鮮な海のバーベキューは、高級店の料理をも凌駕すると思うくらい。
焼き魚に、お刺身、貝に海老。網の上で磯の薫りを漂わせながら、ぐつぐつ鳴る貝や海老なんて見ていたら。あ。幸せを感じる。

「さおり。さおり？すでに秋刀魚でも食べているのか？」
「え。ううん」

これだけ歓喜に包まれると妄想まで私を虜にする。
雑誌に記載されている内容では、海で遊ぶ秋刀魚食べ放題ツアー１泊２日。９月２０日（日）午前１１時、千葉県銚子駅集合。
用意していただくもの水着（もしくは濡れても良い服）釣り用具（お持ちでない場合は貸し出し致します）
９月の後半と言えとも８月の残暑の名残かクーラーをつけないと日中は汗ばむ陽気。
水着と釣りと言うことは、釣り以外の人は海岸で海水浴も計画されているのだろうか。
どちらにしても、夏の名残まで満喫できる満悦なツアー。
２週間後が待ち遠しい。
ただ、恐怖と言う言葉の意味を初めて知ることになるツアーとは誰も予想つかなかったに違いない。

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