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GAY LIFE & SEX/RESEARCHコミュのマーケティングの視点から見る選挙

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統一地方選挙も終わった。都知事選では反石原という軸でさまざまな立場の少数者を束ねようとした浅野陣営が敗北し、後半戦の区議選で立った当事者候補の上川氏が世田谷区二位の得票を得たいっぽう、中野区では石坂氏が当選ラインの3分の2程度の得票しか得られなかった。上川氏に対しては2期目であるということで新宿2丁目に象徴されるゲイコミュニティの関心は石坂氏により強い関心が集まった。このような結果から、性的少数者の政治状況をそろそろ冷静に振り返ってみる必要があるんじゃないだろうか?

そこで、いささかチャレンジングな表現になるが、「果たして、ゲイの政治家というのが、社会に求められているのだろうか?」ということが気になる。つまり、性的少数者の政治家という商品のニーズがが社会という市場に存在するのか、と言うことだ。

5年前、博報堂のソーシャルマーケティング研究会というのに参加した折(博報堂マーケ部、企業広報部、NGO/NPOの活動家という興味深いメンバー構成で、残念なことに私が初めて参加したセミナーが最終回になってしまった)、参加者から「ゲイ・ムーブメントやエイズ・アクティビズムを押し進めるには、ゲイコミュニティ自身がコミュニティの問題(Community issue)と社会問題のなかでゲイが関わるべき問題(Social issue)を明確に分けて、Social issueを前面に打ち出すべき」という意見が出された。今、この指摘は極めて重要だと思われる。

都知事選から始まったゲイと政治の問題を考える時、ゲイフレンドリーな政治家やゲイ当事者の政治家のニーズがどこにあるかと言う視点が必要だ。その際、これらの政治家の支持層(需要層および潜在的需要層)を二つに分けて考える必要がある。ひとつはLGBTと言う言葉で表現される性的少数者の自認を持つ層およびその周辺(カミングアウトされた家族や友人、自認はないが共通した性行動のフィールドを有するmsm:Men who have sex with men、ゲイやゲイカルチャーに関心を持つゲイフレンドリーな人々)。そして、もうひとつは一般社会。

前者の中の一部は自動的にそのニーズを感じ取り、積極的に支援活動に参加した。この多くはゲイコミュニティへの帰属意識を明確に持ち、何らかの形で生き方としてのセクシュアリティを獲得した人たちだったと思う。しかし、これらのエリートゲイとも言える自覚的な層は未だそう多くはいない。その規模を正確に把握は出来ないが、私の皮膚感覚では1割から多くて2割程度、だろうか? いっぽう、ゲイパレードやエイズ問題などでゲイの可視性が高まることに自らのセクシュアリティが暴露される恐怖を覚えるような拒否的なゲイやmsmも同数程度、あるいはそれ以上いると思われる。その残りがいわば“性的少数者の中の無党派層”で、まずはここをどう取り込むかが分かれ目だ。これらの層には同性婚や差別問題などのCommunity Issueだけでは訴求効果が上がらない。どんな関心事でこれらの層を繋ぎこちら側に取り込んでいくかという戦略が今後の展開を考える上で最も重要だ。これはパレードの問題とほぼ同じ枠組みで考えることができる。つまり、コミュニティの形成を進める上での戦略と同じ位相を有しており、ここへのアプローチが日本のゲイコミュニティあるいは性的少数者コミュニティの成否を決する。祝祭によるコミュニティ形成の限界の問題がそこには浮かび上がる。

話はッ脱線するが、今回、一部で言われた政治の政(まつりごと)とお祭りを結びつける言質は古代社会の統治において祭祀などの宗教儀式が利用された背景はあるものの、現代社会における政治意識を語るにはほとんど語呂合わせに過ぎず、あまりにも稚拙なレトリックで何の説得力も持たない。政治参加に対する拒否感情を和らげるために自己肯定的な祝祭感の演出は一部有効ではあるが、それは表現戦略上のレトリックで、そんな戦略的な言葉に仕掛ける側が陥ってどうする(苦笑)。

次に一般社会(有権者)に対してはどうだろう? あらゆる少数者の利益といった“被差別者同盟”では、都議選において「反石原同盟」という形での戦略があまり有効に働かなかった事を考えると、さらに大きな枠組みで共有できるIssueを提示しないと投票行動への刺激剤にはならないと思われる。また今回積極的に当事者候補の支援にあたったゲイコミュニティ内部においてさえこの問題は全く共有されていなかった。“性的少数者の中の無党派層”の獲得には至らず、さらに性的少数者に対して一定程度の理解を示す人たちでさえ積極的に当事者候補を推す理由は探しにくかったのではないだろうか? ましてや、一般層に対して性的少数者の立場から具体的施策提言が出来ていなかった状況では福祉や格差是正を主張する他の候補者との差別化が出来ない。もっと具体的な性的少数者の立場からの施策をわかりやすく具体的に示す必要がある。ゲイコミュニティ内部においてさえSocial Issueを共有できていない現状では、まず、共有できるビジョンのアウトラインを描き出すところから始める必要が有る。ここでは性的少数者という繋がりがイデオロギーとは直接関係ないこと(アメリカの政治状況などからゲイは当然のようにリベラルであると言う勝手な思い込みは危険だ。現実に今回石原支持に回ったゲイも私の周囲には多くいた)から、安全保障の問題など議論しにくいかも知れないが、まず、私たち自身の最大の関心事である「教育」「福祉」といった領域から考えていくのが妥当だと思われる。

7月には参議院選があり、そこには尾辻かなこさんが立候補する予定だ。選挙は通常の政治活動とはまた違った一面がある。戦略次第で局面は2,3週間の内に一変してしまう(今回の石原選対本部長を務めた佐々敦之氏の戦略は、石原に“反省”を口にさせ、微笑ませ続けるなど、浅野陣営の唯一とも言える「反石原同盟」突き崩しのイメージ戦略は見事だったと言わざるを得ない)。政治の世界で性的少数派の票をどう評価させるかがここにかかっていたりもする。自民党にさえ性的少数者の票のインパクトを認識させるようにできるか、それとも民主党にさえ見捨てられるのか、将来の性的少数者の政治進出左右する天下分け目の選挙だ。

コメント(4)

あとは、少子化問題も含めた「家族政策」ですね。
誤解のないように「性的少数者の政治家のニーズ」に関する私のスタンスは、当事者として大いに存在し、潜在的には一般社会においても極めて大きいという立場。特に、選挙や政治がワイドショーレベルの印象に左右されてしまう現状で、性的少数者だからこそ認識、指摘できる政治上の重要な論点も多々ある。

しかし、ニーズが成熟していない現状では、ニーズに対する自覚や、欲求(ウォンツ)の喚起を行う必要がある。

マーケティングって、何も現状把握だけではなくて、市場に刺激を与えて、ニーズや欲求を産み出す作業(Market Creation)でもあるよね。
「日本という国家」が国民を管理する方策の根本は、壬申戸籍以来の「戸籍制度」だと認識しています。
また、個人情報保護法が成立し、プラシバシー保護が叫ばれる一方、実質的に国民総背番号制が機能しており、すぐにでも個人の情報は国家が一元管理できるような状況になっています。
他方、TVのニュースを見ても分かるように視聴者にもたらされる政治情報は、年々減ってきています。

これらのことが、最近、多くの人が感じていると言われる閉塞感に繋がっているような気がします。
性的少数者は、社会の枠組みから外れていることも多く、これらのことが、より見やすい立場にいるのではないかと感じます。

夏の参議院選挙に間に合うようなことではないのかもしれませんが、これらのことを皮膚感覚として伝えて行く中で、Social Issueを作り出していくことが可能になるのではと、感じました。

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