トラトラと野球を語ろう♪コミュの燃えろタイガース

誰もが、そこまでの獅子奮迅の働きを思い描いていた。１点を追った、九回二死一、二塁。アニキなら、必ず打ってくれる-。膨らんだ期待の分だけ、ため息が響いた。２-０から、小野寺の投じた真ん中高めのフォークに、手が出なかった。見逃し三振。阪神ファンの無念も分かる。ただ、一番悔しいのは他の誰でもない。金本だ。
　「（最後は）フォーク」と話すと、続けて、真ん中に来すぎて驚いたのかという問いには「分からん」とだけ口を開き、バスに乗り込んだ。追いつめながら出なかった、もう一振り。ただ、劣勢をはねのけ、そこまで望みをつないだのも、金本のバットだった。
　初回だ。若虎の意気に主砲が応えた。先頭の庄田の二塁打などで巡ってきた、二死三塁の好機。初対戦となるジョンソンの初球のツーシームを、鮮やかに左前に運んだ。沸き上がった三塁ベンチ。実に１６試合ぶりとなる先制点だった。
　「まだ１点だけなんで、これからだよ」。試合中に振り返ったように、これだけで終わらなかった。２点を追った八回。一死一塁から、三井のスライダーをはじき返すと、鋭いライナーで右中間を破る。赤星を迎え入れ、自らも足をフル回転させて、三塁に激走だ。この気迫が、今岡の同点犠飛につながった。
　借金が増える中で示した金本の意地。この日で連続試合出場が１２４７試合となり、歴代単独３位の記録に。広沢打撃コーチは「４番の三塁打を見たか。あれで（選手が）何かを感じてくれればいい」と力を込める。アニキの闘志は伝わるのか。猛虎は目を覚ますのか。敗戦の中で放った２安打は、ムダにできない。