ユリウス・ヴィルヘルム・リヒャルト・デーデキント(デデキント、Julius Wilhelm Richard Dedekind、1831年10月6日 - 1916年2月12日)は、ドイツのブラウンシュヴァイク出身の数学者。代数学・数論が専門分野。1858年からチューリッヒ工科大学教授、1894年からブラウンシュヴァイク工科大学教授を歴任した。彼の名前にちなんだ数学用語としては、デデキント環、デデキント切断などがある。
2.初期の集合論の三論文「三角級数論の一定理の拡張」(1872;以下「拡張」と略)は,三角級数展開の一意性に関する解析学の論文で,ツェルメロ編『カントル論文集』(GesammelteAbhandlungen G. Cantors,以下『論文集』)でも「解析学」の部に分類されている。n次導集合(abgeleitete Punktmenge)と(有理数の基本列に基づく)無理数論とがその道具立てとして現れる。n次導集合は後の点集合論の発端であるとともに超限順序数の原型である。「代数的実数全体の一性質」(1874;「性質」と略)は,超越数の存在に関する本来は数論の論文だが,『論文集』では「集合論」の部の初めに分類されている。それは,代数的実数の「全体」と実数の集合との濃度を比べて超越数の存在を導くという集合論的論法が,ここで初めて登場するためである。ただし対角線論法は1890年頃が初出で,ここで用いられるのは上記の無理数の性質(区間縮小法的な議論)である。