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X JAPAN画像&動画 HMコミュのYOSHIKI伝説

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A bsolute pitch<絶対音感>

もちろんある。ピアノをやっていて、元々ある程度あったのに加え、受験前に、1年半ほど、先生について聴音ばかりやっていたため、完璧にできあがってる。高校2年か3年の時、ある大学の音楽科の講習で、聴音のテストでAクラスに入った。〜昔の音楽雑誌より〜(蒼緋)

A lcohol<酒>

昔はビールだったお酒が今はシャンパンに。特にドンぺりがお気に入り。一気に3ケースも買うらしい。他にクルックド、マグナムを飲む。(薇涙夢)

A methyst<アメジスト>

YOSHIKIが初めてクラシックとして作曲した曲。YOSHIKIいわく、‘透き通るような曲を創りたいと思ったんです。すごく透き通っている中に、醜さや憎しみも何もかも・・・、メロデイ−だけにすごい人間的なものが流れている、でもそれ以外のものはすべて宝石のように透き通っているイメ−ジの曲・・・。’(RYUKI)

A nimal<動物>

昔、トラを飼いたいって言っていた。(蒼緋)

行ってみたい国は、どこ?の答えにアフリカと答えたYOSHIKI。その後、象さんの前で、曲を演奏したいと言っていた。〜1986年の元気が出るテレビ〜(YOSHIKA)

A rt of life<アートオブライフ>

今更曲の説明をしても仕方ないが、YOSHIKIの半生をそそぎ込んだ曲である。また、HEATHが初参加した曲である。楽曲としても完成度が高く、ピアノソロのアドリブ部分は1テイク目をそのまま採用したらしい。またレコーディング、TD(トラックダウン)には、一般的なものと比べると気の遠くなるような時間が費やされたという。(SS)

この曲が出来たとき、TOSHIとYOSHIKIはロスのスタジオで抱き合って2人で大泣きをして、スタジオをつぶしそうになった。〜TOSHIビヨンドザタイムより〜<YOSHIKA>

A TLANTIC LABEL<アトランティックレーベル>

海外進出して、契約したレーベル。勿論、X JAPANのスタートにもなった。(オメガ)


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B irthday& B loodtype<誕生日と血液型>

1965年11月20日生まれ B型。(ERIKO)

以前は生年月日や血液型で、こんな人だと思われたくないっていうことで公表してなかった。解散にともない公表された。(蒼緋)

B rass band<ブラスバンド>

中学校時代は、ブラスバンド部でトランペットを演奏していたらしい。(蒼緋)
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C HOCOLATE<チョコレート>

小学校の時おばあちゃんが買ってきたマカデミアンナッツ入りのチョコレートを片っ端から食べて気を失い病院に運ばれたらしい。それ以来チョコレートを食べさせてもらえなかったらしい。〜日本TV おしゃれ関係より〜(YOSHIKO)

C loud Nine<クラウドナイン>

Xの元べーシスト、TAIJIが作ったバンド。99年から00年にかけて結成、01年1.2日CD「1st demonstration」を5000枚限定で発売したが、01年上半期にTAIJI脱退。(凛)

C omputer<コンピューター>

YOSHIKIが近づいただけで、ぶっこわれた、データーが消えたなど数々の伝説が・・・・・・。(蒼緋)

C urry<カレー>

カレーが辛くてリハーサルもしないで帰ってしまった・・・・・(蒼緋)
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D ir en grey

この度、YOSHIKIさんがプロデュ−スするBAND。インディ−ズシングルは、あのVANISHING VISIONをこえたとか、、、。(白鳥 薔薇姫)

L.Aでのレコーディングのとき Dir en greyのメンバーが厚底の靴をはいてて背が高かったため、 Yoshikiは「みんなおっきいねー」といい、その後打ち合わせかなんかでテーブルについたとき Yoshikiはテーブルの下をのぞき込んで「あー。そんなのはいてるからみんなおっきいんだ。それ何処で売ってるの?」とかきいていたらしい。(じん)

D og<犬>

ダックスフンドをお母さんに買ってあげたいと言っていた。昔、買っていたらしい。(露薇)

D oll<人形>

りかちゃん人形シリーズに、実在の人物としては初めて、りかちゃんあこがれのロックスターとして登場。

D RUMS<ドラム>

YOSHIKIは、ドラムを叩く時、死にそうになるまで、叩いていて、何故かというと、歩いて帰れる自分が嫌だかららしい。これは、ROSE&BLOODTOURで、言っていた。DAHLIAの時の、インタビューでは、「ドラムと、SEXしているみたい」と、いっている。<田島啓資>


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E nglish<英語>

海外デビューに向けての猛特訓により、今はネイティブなレベルに達する。海外で使っている機材を日本に持ってきてのレコーディングの際、持ってきて機材の使い方を、日本人スタッフに日本語では説明できなくて、向こうでやった方が早いと言うぐらい、英語は普通に話せる。(蒼緋)

E ternal Melody<エターナルメロディ>

言わずと知れたYOSHIKIクラシック名曲集。ジョ−ジ氏が参加。この時期YOSHIKIは ‘今は何でも吸収したい、そういう時期なんだなあ・・・。’ と言っていた。(RYUKI)

E XTASY RECORDS<エクスタシーレコード>
YOSHIKIがXのタメに立ち上げたインディーズレーベル。ルナシーなどもここから巣立っていった。以前行われていた、エクスタシーのアーティストを集めたエクスタシーサミットも有名。<蒼緋>


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F ood<食べ物>

メロンとプリンが好き。(蒼緋)

ラーメンが大好き。チャルメラが好きらしい。(薇涙夢)
ラーメンの中でもしょうゆラーメンには目がない。(佳嘩)

YOSHIKI:プリンは、カスタードがイイ。Tourのフルーツ代は、600万にもなるらしい。メロンが、高いんだよね〜。きっと。(YOSHIKA)


好きなモノはマクドナルドのモーニングのホットケーキ。ひでちゃんとの食べ物バトルの経験あり。雰囲気に飲まれるhideいわく、「おれが一番」らしい。(偲)

和食好き。L.A.の邸宅には、日本人のコックまで、雇っていたらしい。特に、お寿司が好きで、数ある寿司ネタの中でも、ウニと、ネギトロが、大好きなようです。(希海)

アップルジュースとバニラ入りコーヒーがお気に入りらしい。L.Aのスタジオには常に用意されているそうだ。(K.K)

F ormula nippon<フォーミュラ日本>

日本国内最高峰のフォーミュラカーレース。96年にチームル・マンをX−JAPANとしてスポンサード。当時のドライバーの一人は、げんざいF−1で活躍しているラルフ・シューマッハ。あの、ミハエル・シューマッハの弟である。何度かメンバーもサーキットを訪れている。98年は、同年亡くなったHIDEも、LEMONeDブランドで同レースのスポンサー活動を行っていた。(SS)

F riend<友達>

何年か前のお正月YOSHIKIは和田アキ子邸でごちそうになったそうです。ユーミンと仲良しなのは、YOSHIKIもユーミンも実家が同じ仕事で意気投合したとか・・・。 YOSHIKIは、大物と仲良し(?)。(死夜亜)


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G lay<グレイ>

YOSHIKIがその才能を見いだし世に送り出したバンド。デビューシングル「RAIN」では、YOSHIKIが作詞もしている。(でるた)

G uitar<ギター>

YOSHIKIモデルのギター発売中。(蒼緋)
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H and<手>

小さいころのピアノレッスンで、左手でも箸を使えるらしい。〜おしゃれ関係〜(ku-)

H eath<ヒース>

X JAPANのベーシストであり、尊敬するミュージシャンの1人。(蒼緋)

H ide<ヒデ>

X JAPANのギターリストであり、尊敬するミュージシャンの1人。(蒼緋)

H ome<家>

ロスにある豪邸は、門から玄関まで車で行く距離だとか・・・。(夢紡)


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I nterest<興味>

スカイダイビングに興味を持ってるらしい。(薇涙夢)
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K iss<kiss>

初めて買ったCDはKISS。初めてのライブもKISSで、小学校5年生の時にお母さんと行ったらしい。

K eyboard<キーボード>

解散直後の雑誌のインタビュ−で、 ‘今は何しててもXの事を考えてしまうから、Xを連想させないキ−ボ−ドを海外から買い漁ってる。いつかレコ−デングで使うつもり。’って言ってた。(RYUKI)


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L arme<ラルム>

YOSHIKIデザインの香水、女性用下着のブランド名。「涙」という意味。Lのあとにアポストロフィーをつけると「武器」の意味だそうです(ZAP)

香水と同じ名前で、 ♪TEARS♪以前に存在していた曲。あまりにも素敵すぎてYOSHIKIが発表しなかった幻の1曲。(RYUKI)

L .A.<ロサンゼルス>

「L.A.なんか大っきらい!」はJealousyリリース時のYOSHIKIの談。しかし現在の住居・・・。(ZAP)

L .O.X

オリジナルメンバ−はリップクリ−ムのNAOKI(G)、ORENGEのACT(B)、白鳥麗(Dr.)。白鳥麗はもちろんYOSHIKI。TOSHIもゲスト参加の幻のレコ−ドといわれるのは「Shake Hand」。(RYUKI)


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M arrige<結婚>

結婚は興味はあるけどしないらしい。音楽を優先して相手を傷つけるから、らしい。でも、‘いつか音楽以上に人を愛したい。’ともいっていた。(RYUKI)


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N oa<ノア>

ドラマ「徹底的に愛は・・・」の主題歌♪今を抱きしめて♪を歌っていた吉田栄作と仙道敦子のユニット。プロデュ−サ−はYOSHIKI。YOSHIKIいわく、♪今を抱きしめて♪は親孝行シングルだとか。(RYUKI)


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P ata<パタ>

X JAPANのギターリスト。尊敬するミュージシャンの1人(蒼緋)

P erformance<パフォーマンス>

ホコ天でJealousyのジャケットそのものの再現をするパフォーマンスをやる予定だったが、5000人と言う予想外の展開で中止になってしまった!(Δ(でるた))

P ersonality<性格>

一回暴走すると止まらない性格(笑)。常にSPがついている。V2の打ち上げの時ホテルで例のごとく暴走して、ホテルの廊下にシャンパンをばらまいちゃった。壁紙の修理に600万かかったみたい。YOSHIKIはそういう時のために年1000万とってあるらしい。(薇涙夢)

P iano<ピアノ>

5歳の頃から親に勧められて習いはじめる。どんなに荒れていた(?)時期もやめなかった。(蒼緋)

P ool<プール>

 Jealousyレコーディングで活動していた頃、ロサンゼルスで酔っていたメンバーをプールに叩きこんだとか・・・。〜ミュージックエンタ〜(東池 克哉)

P ractice<練習>

アマチュア時代のYOSHIKI率いるXは9時からALL NIGHT ぶっとうしで練習していたらしい。(白鳥理恵子)


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Q uestion<疑問>

「疑問に感じているのは、自分の存在」と某雑誌で言ってました。(夢紡)


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R ace<レース>

以前、古館さんから、チケットをもらい、F1をアルフィーの高見沢さんと共に見に行った。2人とも、お揃いのような、黒いコートだったため、周りから浮いてたそうです。(蒼緋)

R adio<ラジオ>

昔TOSHIがやっていたオ〜ルナイトニッポンに酔っ払いながら乱入!その後ギタリストのHIDEも加わった。(愛誉)



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S hy<シャイ>

XJAPANの時、A〜Zを頭文字にしたキーワードに答えるインタビューで、 Kの文字の時kissについて聞かれた。その時、Yoshikiは、「kissですか?!」と言ってめちゃくちゃ照れて服は脱ぐ、袖はまくる、汗はふきはじめる・・・そしてきわめつけは「すいません部屋の温度下げて下さい・・・」それを延々10分間・・・実は意外とシャイなYoshikiでした。〜ロックンロール日記より〜<涙沙>

S lipped disk<椎間板ヘルニア>

「JEALOUSY」レコーディング当時から、YOSHIKIを苦しめた病気。このおかげで、ライブ数本が延期になっている!(Ω(オメガ))

S ports<運動>

マラソンが得意。何キロでも走れると行っていたが、まだフルマラソンは一回も走ったことがないらしい。(薇涙夢)
水泳も得意。これも何キロでも泳げるらしい。(薇涙夢)

スケボーが上手とか。Visual Shock Vol.2.5のCelebrationの撮影の合間に遊んでいたらしい。(ZAP)

昔、柔道をやってたらしい。(薔薇の花束)

S tudio<スタジオ>

L.AにONE ON ONEスタジオを所有。(蒼緋)

S youko Kitano<北野 井子>

YOSHIKIプロデュースによる「Begin」でデビュー。北野武さんの娘さん。(蒼緋)

S tab me in the back<stab me in the back>

2nd album,「JELOUSY」に収録されている曲。Xの曲の中で3本の指に入るくらいのスピード感がある。 この曲のドラム・レコーディング後、2日間、YOSHIKIの体調は、過去にない症状を示したらしい。 〜album「Jealousy」より〜(凛)


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T aiji

元Xのベーシスト。その後はラウドネスに参加。しかし、そこを脱会し、自身のバンド、D.T.Rを結成。そこで、X時代のTAIJIの曲「Voiceless Screaming」(ジェラシーに収録)をリアレンジし、Voicelessという曲も作っている。Xとは違ったTAIJIを感じてほしい。あえてXとは違う道を選んだ彼だが、彼なしにXは語れない。(SS)

T axi<タクシー>

ある日タクシーに乗って運転手さんに「うちまで」と言った。(薇涙夢)

運転手に30万渡して、金沢から東京まで帰ってきた。(ZAM)

T okyo POP<東京POP>

YOSHIKIをはじめXのメンバ−が全員一瞬出演。コワモテのハ−ドコア・バンドの役。(RYUKI)

T oshi<トシ>

X JAPANのボーカリスト。幼なじみでもあり、ずっと一緒にバンド活動をやっていた。(蒼緋)

T ravel<旅行>

死ぬまでに1回、月に行きたいらしい。というか地球を外から見たいらしい。(RYUKI)


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V iolet U.K<バイオレットU.K>

YOSHIKIのソロプロジェクト。まだ表立った活動はないが、これからに期待したい。(蒼緋)


V 2<V2>

小室哲也とのユニット。シングル一枚を出し、一度ライブもおこなった。
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W ear<服>

ファッション誌を見るのが大好きで「ヴォ−グ」はアメリカのもイタリアのもとってるらしい。(RYUKI)


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X <エックス>

アニメ映画「X」。この映画の音楽をYOSHIKIが監修。さらに、テーマソングに「ForeverLove」が使われた。(Ω)

X  JAPAN<X JAPAN>

YOSHIKIがリーダーのバンド。結成当時は仮のつもりでつけたのがXというバンド名の始まり。その後、Xに未知数や、無限の可能性という意味があることを知り正式な名前とする。そして、海外進出の際アメリカにXというバンドがあるためX JAPANと改名。しかし、残念ながら、1997.9.22 解散を発表。(蒼緋)
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Y OSHIKI SELECTION1&2<YOSHIKIセレクション1&2>

YOSHIKIが選んだ、クラシックの珠玉の名作の数々をCD化したもの。 YOSHIKI自身がこよなく愛する作品や、ライブで使われた曲、実際に、YOSHIKIの曲のモチーフともなっている曲が入っている。(TOKIHIKO)


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Z IPANG<ジパング>

Xの曲が初めてテ−マソングに使われた映画。この時使われたのはENDLESS RAIN。(RYUKI)



コメント(48)

純粋YOSHIKI
CREATIVE YOSHIKI

・・・・・・イマジネーションが全てなんですよ
それは僕にとって、
現実より大きいものなんです
by純粋YOSHIKI


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Y「純粋も分かれるんですよ。混乱とネガティブとポジティブ、その3つ
に分かれる。純粋が。」
----いつからそんな自体になってたっけ?
Y「どんどんまた分裂してるんですよ、日に日に。」
----迷惑な話だよなぁ(笑)。じゃあ純粋YOSHIKIが3つに分裂してる、
その事情説明から訊きましょうかね。
Y「純粋ポジティブYOSHIKI、純粋ネガティブYOSHIKI、純粋わけわから
ないYOSHIKIね。」
----わけわからないYOSHIKIって純粋の一派なんですか?
Y「ここだよ、あいつは一応純粋の組に入ってる(笑)。」




----そもそも、『JEALOUSY』リリース時の混乱によって、より純粋
YOSHIKIの存在の必然性が明らかになってさぁ。
Y「そうでしたよね。」
----YOSHIKIの首が「人生最大の痛み」に襲われたことによる、レコー
ディングの大幅な遅延。レコード会社の事情による、発売日の最終決
定。それに間に合わせるために、当初2枚組だったはずのものを1枚に縮
小。それでも時間的に苦しくて更に1曲削除――。
Y「今思い出してもゾッとしますねぇ。」
----そして最後の”Say Anything”のボーカル録りに納得できぬま
ま帰国。今更アルバム収録を見合わせることも許されず、結局、不満足
な出来のテイクに泣く泣くOKを出さざるを得なかったという、悲惨な経
緯があって――。
Y「(笑)もうっ、あの屈辱感を思い出しちゃったじゃない!」
----あの時点で、YOSHIKIの中に完全に「戦略YOSHIKI」と「純粋
YOSHIKI」という両極端の人格が存在しないと、筋が通らなくなったわけ
じゃない?発売日を厳守してもらう代償としてレコード会社が約束した
「売るために最大限の努力を払う」という条件を、戦略的に飲んだ
YOSHIKIと「冗談じゃない!俺は作品に命かけてるんだから妥協できね
ぇ!」と、あくまでもあーティスティックなYOSHIKIが同時にいるんだか
ら。矛盾だよね。これはかなり。
Y「俺という存在自体が矛盾だらけ、なんです。」
----あの時、純粋YOSHIKIは何故妥協しちゃったんですか?結果的に。
Y「戦略YOSHIKIに説得されたんです。・・・・・・もう精神的に疲れたという
か、疲れたって思いたくなかったから、負けたんだと思って・・・・・・発売
前に自分に負けたんだと自分を説得できないと、もう工場へ行ってブッ
壊してでも生産を止めてたから。だから自分に負けたと思わせるしかな
い。純粋YOSHIKIは、システムも企業の論理も関係ないってぐらいまでや
らなきゃいけないんだけど・・・だからすごく悔しかった・・・自分の・・・・・・
納得いかないものが出るってことがどれだけ悔しいかっていう。」
----その話を発売直後インタビューしたとき、YOSHIKI本当に泣いてた
もんなぁ。
Y「そうでしたね。純粋YOSHIKIとしてインタビュー受けたのって、あの
ときだけだったし。いつもその核心に触れないようにしてたから。いつ
も戦略YOSHIKIとかいろいろ絡めながら喋ってたから・・・・・・やっぱり純
粋YOSHIKIが喋るのは危険なんですよねぇ。純粋YOSHIKIって感情で動い
ているような人間でしょ?抑えられないし。」
----過去の作品を省みて、自分で「これは失敗だった」的に反省してる
楽曲ってありますか?
Y「無いですよ。」
----全く?
Y「無いし――全部失敗といえば全部失敗。」
----全部失敗というと?
Y「・・・失敗じゃない、嘘。これじゃインタビューにならないよね(笑)」
----・・・・・・普通「今までの作品の中で嫌いな作品ありますか?」と訊か
れたら、「いや、そんなこと無いです。全部自分の作った作品ですか
ら。でも、反省点はあります」みたいな回答がくるわけじゃん?
Y「全部好きだし全部大っ嫌い。」
----そこで好き嫌いが両方出ちゃうっていうのは、それはまたどういう
意味なんですかね。
Y「んー、まぁ『自分が作った』っていう自分の甘えの部分で好きなんで
しょうね。自分への甘えですよ。あと実際に自分でも評価してるとこは
少しある、というところで好きっていう。あとは、すごい自分の自惚れ
というか、自分を買いかぶってんのかもしれないけど、『俺はまだこん
なもんじゃない』とか、そういうところで嫌いだというのが出てくるん
でしょうね。『この作品で満足してる自分じゃダメだ』みたいな。」
----例えば作品で出来た時点では100%の満足度なわけじゃないの?
Y「100%ありますよ、それは譜面になった時点ですね。で、レコーディン
グしてレコーディング終わって音になる時点では、50%ぐらいのとこにさ
がっちゃってますよ。」
----作業の間に50%消えてるみたいな。
Y「消えてる。」
----それは例えばどういう風に消えてっちゃうんだろうね。
Y「『俺はこんな音が欲しかったんじゃない』みたいな、『俺はもっとこ
うなんだ』みたいな風に思ってるんだけど、表現できない部分がたまに
あって、それでどんどん消えていくんですよね。」
----それは技量的なものもあるし状況的なものもあるし、みたいな。
Y「そう、最後は『しょうがねぇ、これは今の俺の記録だ』と『生き恥さ
らそう』みたいな。」




Y「んー、でも嫌いな曲は作んないですからね。全部意味がありますよ。
でも自分の中に『曲に意味を求めてどうするんだ?』っていう自分もす
ぐ出てきちゃうんです、言ってる最中から(笑)。だから俺は1曲1曲意
味があると思うんだけど、んー、それはでも”逃げ”なんですよ。だか
ら、前も言ったかもしれないけど、過程はどうでもいいと。『苦しんで
出来たからこの曲はいい』だとか、『いろんな想い出があってこの曲は
こうだ』とかっていう過程はどうでもいいと。その楽曲が素晴らしいか
素晴らしくないかだっていう判断でいきたいんですよね。だから、作品
に対して思い入れがあるっていうのは嫌なんですよ。でも違った自分が
また『でもこの曲にはこういう思い入れがあるし』と、相反して思った
りもすると。」

----どういう手順で曲を作ってるんですか?
Y「教えない。」
----(笑)馬鹿野郎。
Y「(笑)えー?ノリですよ。」
----思いついたらすぐ!って感じですかね。
Y「1年中作ってます、曲は。いつも譜面に書いてるし。」
----譜面に書き起こさなきゃ始まらないってことですか?
Y「バカだから忘れちゃうんですよ。」
----(笑)そうじゃなくて。ほら各自いろんな方法があるわけじゃん?
そのままテープに鼻歌録っちゃう奴からいろいろ。そこで譜面にしなき
ゃならない必然性を訊いてるんだっていう。
Y「テープだとなくしちゃったりするんですよ。」
----譜面だと大丈夫なんですか。
Y「なくしちゃいますよ、たまに(笑)。」
----ははははは。
Y「なくなっちゃいます。その時点でその曲は消滅しますよ。」
----一回書いちゃったら最後、忘れちゃうわけですか。
Y「もう、いろんなこと考えてますからね、忘れちゃいますよ。だからそ
うした過程で無くなった曲も何曲かあると思います、きっと。『誰か楽
譜持ってねぇか?』みたいなことよくありますよ。『譜面が無ぇよ、楽
曲が無いんだ』みたいな。『JEALOUSY』のレコーディング中もあったん
だけど『”サイレントジェラシー”のアレンジしてきました!』って誇
らしげに言っときながら、『譜面は?』『置いて来ちゃった、誰か取っ
てきて!』それで『どこ探しても無かったです』ってなると、『あっ、
終わった』『えっ?何が終わったんですか?』『もうそのアレンジは無
いんだよ』とかっつって。で、もう同じもの出来なかったりするんで。
結局後から出てきて『おぉ、”サイレントジェラシー”復活!!』みたい
な。だから譜面がなくなっちゃうと、楽曲がなくなっちゃうんですよ、
俺の場合。だからちょっと怖いっていう。」
----譜面に書き始めたのっていつ頃からなんですか?
Y「最初から。高校生のときから。そういうものだと思ってたんですよ、
僕は。知らなかったから何も、世の中を。そのときはクラシック知らな
かったから。まぁ、子供のときに冗談でクラシックの作曲とかやってた
んですよね。――そんなすごいもんじゃないけど。小学校6年のときの課
題とかで作曲をよくやってたんですよ、譜面にちょこちょこ書いてたん
ですよね。だからそれが普通だと思ってたんですよね。」


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----頭の中だけで作るのと実際に弾きながら作るのは相当違うわけだ。
Y「弾いてる時点でねぇ、もう限られちゃうっていうか。自分の弾いてき
た音を譜面に書くのよりも、最初から頭の中でイメージして書くほうが
何にも捕われないで作れるから好き。音を聴かずに音を書くっていうん
ですか?耳を通った時点で少し何かの制約を受けちゃうっていうか、イ
メージが狭まっちゃう。自分で聴いちゃう前に音符にしちゃったほうが
いいっていう。」
----そういう方法論をとってるからこそ、譜面が出来たときは100でも作
ってみると50になってるんじゃないの?
Y「そう、その通りですよね。イメージとして漠然とあるだけですから。
だから実際そのイメージっていうのはこの世に無い音なのかもしれない
の、未だに。よく悩みますよね。『これギターじゃないのかもしれな
い』って。実際、“サイレントジェラシー”でも『ごめん、これギター
弾かなくていいわ。ストリングスに演らせる』とかって。」
----純粋YOSHIKIにとって、イメージっていうのがとにかく大きい役割
を持っている、と。
Y「イマジネーションが全てなんですよ。それは僕にとって、現実よりも
大きいものであると。」
----簡単にイマジネーションと言っても、多種多様なイマジネーション
があるじゃない?その種類も形態も質も・・・。
Y「全てがそうですよ。現実で見てるものよりも――それも悩むんだけど
――イメージとして浮かんでるものの方が素晴らしい、って思ってしま
う。そっちの方がリアリティーあると思ってしまう。」



Y「俺の言う“ネガティブ”は、肯定してる方を指してるんですけどね。
物事を肯定してる方がネガティブYOSHIKI。ポジティブYOSHIKIっていう
のは、混乱してるほうに近いですよね。」
Y「自分の中で一つだけ決めたのは、――昔決めたっていうか――ねぇ?
表に表に出て行く、人の前に出て行く人間だって自分を決めているか
ら、常に進んでる、止まりはしないっていう決意はある。」




----レコード業界で考えると、一つの判断基準として、レコードセール
スとか観客動員数とかさ、そういう数字があって。で、これまでXは見事
に数字を出してきてるわけだけども、それは決して自信には繋がらない
わけですかね?
Y「日本でねぇ、そんな小さい枠での中でさ、『これだけ売った』なんて
自慢するのってさ、その辺の学校でバーンと暴れてる奴と変わらないで
すよ。」
----いわゆるYOSHIKIの嫌いな、中途半端な不良みたいなもんか?
Y「うんうん、そうですよねぇ。本当にねぇ?まぁでも数字なんて単なる
基準でしかないし、本当に自分で納得のいく音楽作ったり、千人が駄作
だといっても『これは素晴らしい!』って自分で言い切れる曲作った時
の方が、逆に自信を持てるっていうかね。」




Y「・・・(略)・・・どいつもこいつも同じような長さの曲ばっか作るな!み
たいな(笑)“アート・オブ・ライフ”の宣伝じゃないけどさ、何でみ
んな4分、5分なの?みたいな。全員そうじゃない?自由に作ればいいん
じゃないですか。俺が深く考えすぎなのかもしれないしね、勝手に。も
っとラフにやってる人もいるだろうしね。それがいいのかもしれない
し。だから自分が正しいわけじゃないですよ。ただ俺は、どんどん壁が
ひっ剥がさてってるという。」




----何に対しても「わかんない」という言葉しか発しないってことが
さ、YOSHIKIが混沌と共存するための一つの安全装置になってるような気
がしてならないんですけれども、私は。
Y「でもね、俺結構ね、これ前から言ってるんですよ。友達とかに大丈
夫?って言われたことあるし。呑みにいってて、急に『何で生きてんの
かねぇ?』って突然漏らしたり(笑)。みんな一瞬のうちに動きが止ま
っちゃうんだけど、『俺わかんねぇ』って続けてるような。」
----それがYOSHIKIの本当に究極の命題としてあるんだよなぁ。
Y「うん。」
----混沌でも“瞬間の美学”でもとりあえず全部集約してみると「何で
生きてるんだろう?」って、最終的に絶対そこに行き着いちゃうじゃ
ん?そこで「何故?」って思うこと自体の意味を考えると、やっぱり回
答がほしいからだと思うんだよね。そう思うことによって、我が身を無
理矢理前進させてると思うんだよね。
Y「ああ・・・・でもわかってる人なんていないじゃないですか?だって
わかっちゃったらわかっちゃったで怖いでしょ、『自分はこのために生
きてるんだ』って・・・わかんないな。でもそうやってわかってしまった上
で、『じゃあその中で最高に楽しめる人生にしよう』と思ってる人もい
るかもしれないですね。」
Y「悩んでる自分もいるけど・・・だから『これをやってみよう』と思った
ら、やっちゃうんですよね。まず悩む前にやっちゃって、ダメだったら
後悔すればいいっていう。」
----つまり後悔することを別に恐れてはいないわけですね。
Y「恐れてないです。後悔こそが最大の勉強でしょう。と、思いますよ。
失敗があるからこそ・・・よくわかんないけどさぁ、そうおもいますよ。身
を持って失敗したことが一番わかりますからねぇ。誰の説明を聞くより
も本を読むよりも。」
----結構失敗を繰り返してますかね。
Y「繰り返してます、失敗の嵐です。今やってることにもきっと何か、失
敗なことがいっぱい出てきてるんじゃないですか?とりあえずやってみ
なきゃわかんない、と。最初に『失敗するから』って周囲に言われて
も、やっちゃいますね。『いや、失敗しないかも知れない』って。」
----(笑)Xらしいというか、YOSHIKIらしいというか――人に「失敗す
るぞ」と忠告されても「もし本当に失敗するんだとしたら、一体どう失
敗するんだ」的な探究心も働いちゃうんじゃないの?
Y「そうそう。でもね、100%何のメリットも無い失敗って、この世に存在
しないんじゃないかな。絶対どっかで『こういう利点がこの失敗にはあ
る』とか思ってるもん、俺って。」




Y「よく考えたけど耳聞こえなくても曲っていうのは作れますよね。」
----物理的にはね。
Y「ただ自分で聴けないっていう。でもねぇ、音楽って耳からだけで聴い
てないんじゃないですか?身体が聴いてる――そんなのわかんないけ
ど、そういう可能性もあるなっていうか――皮膚で感じてるっていうの
は絶対あると思う、体感としてどっかで。だから、耳の聞こえない人で
も音楽が聞こえるんじゃないかっていうのもあるし。」




----“破滅への美学”とか“瞬間の美学”とか
あるけれども、考え方としてすごく完結してて説得力もあるけれど、で
もやっぱり死ぬのは嫌だし、終わるのも嫌じゃん、人間だったら。
Y「嫌ですよ、怖いですよ。でも怖いから向かうんでしょうっていうか、
だから怖いものを怖いって思ってないんですよね。単純に怖いから立ち
向かわなきゃって思うんですよね。」
----人間だからくじけそうなときもあるだろうに。
Y「それが不思議なんですよ。あと、負けられないっていうか、すごい負
けず嫌い。いつも思うのは、絶対自分に負けない――自分でも口癖のよ
うに言ってたんだけど――自分の中に敵がいるかもしれないし、いろん
な邪念があるかもしれないしね、『もっと楽な道あるぞ』みたいな。す
ると『負けねぇ!』と思って。いずれにしても『絶対負けねぇ!』って
いつも言ってる。」
Y「俺は親分でお姫様で女優なんですよ。よくわかんねぇなぁ、ははは。
知らないよぉ。ちょっと解明してよ。俺にはもうついていけねぇ(笑)。」
----俺に出来るかそんなもの(笑)。
Y「(笑)えー?何でだろう?・・・・・・だた、そう、あれはあるな、だから
さぁ・・・・・・固定観念の破壊?破壊っていうのは“男”として好きでし
ょ?だからさぁ、男らしいとか、突っ走るっていうのは音楽に対して別
のもんなんだよね、ちょっと違うとこなんだよね。だから、音楽の中に
“男”求めてもしょうがないと思うのね。もっとデカイ枠の中だからさ。
デカイっていうか、ちょっと違う線のものだと思うのね、方向が。特に
やっぱり『ロックはこれだぜ』みたいな奴がいて――それは偏ってる奴
ね。まぁ、格好いい人もいるんだけど、『男らしいのがいい、メイクな
んかしてんじゃねぇ!』っていう奴がいたりすると、そういうことした
くなっちゃうんですよ。『お姫様だぜ』みたいな(笑)。』
----(笑)お姫様でもロックするんだぜ!みたいな?
Y「あのねぇ、結構論議を呼ぶことも『認められたくない』と心底思っち
ゃうことも、全て固定観念への挑戦ですよね。で、今度お姫様のロック
みたいなのがはびこっちゃうとさ、『テメェら気合入れろ!』になっち
ゃうでしょ?実際に俺は今、その2つを同次元でやってるんですけど。だ
からさぁ、音楽は単純にルックスとか、中途半端な生き方を音に求める
なっていうかさ。まぁでも『ロックは生き方だ』みたいなのはすごい共
感しますよ。ただ『○○だからロックだ』っていうのは違うと思う。
『これが音楽だ』っていうのも、『男らしいのが音楽だ』『素敵なのが
音楽だ』っていうのも違うと思うし。こだわっちゃうのが俺は嫌い。だ
からわざとどんどんいろんな自分を演じて、粉々にしてんのかもしれな
い。」
----それはある意味じゃドラムとピアノ?――両方打楽器という見方も
出来るけど――「剛」と「柔」の極端な楽器を同時に使うというスタイ
ルにも関係あるのかもしれないけどね。
Y「うん、そう・・・ただ何かね、いろんなとこで腑に落ちないことはある
よね、やっぱり。音とスタイル、っていうのに対して。何でみんな一緒
じゃなきゃいけないのかなっていう。髭生やして渋い音楽演ってれば格
好いいとか――それを追求すること自体は格好いいことだと思うよ――
だけど、その人自身のスタイルが関係なくなっちゃうじゃない?俺はル
ックスから入ってないからね。まぁ、キッスは小学生のとき、確かにあ
のルックスに惹かれて好きになったんだけども・・・じゃああのメイクギン
ギン、ド派手な衣装じゃなくて、いわゆる“渋い”格好であのキッスの
音してたとして、それ聴いた奴が『キッスは渋い』って言うかと考えた
ら、絶対言わないに決まってるでしょ?」
----そりゃ誰も言わないだろうね。
Y「きっと認めない人も出てきちゃう、その時点で。だからやっぱり音と
して捉えてないっていうかさ。だから俺は自分で、そういう変な偏見や
固定観念を破れるのかっていうことを試してるのかもしれない・・・そうい
う部分はあると思う。」




Y「確かに瞬間志向なんだけれども――この瞬間を生きてるんだ!ってい
う。でも『最高だ!』と思える瞬間がまだ来てないのも事実で。もう本
当、これで死んでもいいっていう。だからさっきも言ったけど,永遠に
その瞬間はこないのかもしれないし、でも来るかもしれないから、この
まま猛スピードで爆走しようと。」
戦略YOSHIKI
TACTICAL YOSHIKI

『JEALOUSY』が100万枚いかなきゃ、
俺は人間のクズだと思ってた
by戦略YOSHIKI


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----(『JEALOUSY』の)レコーディングすら物理的に削らなければ間
に合わなかったリリース日なんだから、当然事前のプロモーションなん
か一切できるはずもない。そこで戦略YOSHIKIはどのようなことを企画実
行したのか、と。
Y「まぁ実際、"本物のYOSHIKI"が何故、レコード会社からの無理な発売
日に曲を落としてまで妥協したかというと、やっぱり凄い不安を感じて
たんではないか、と。日本のシーンの速いサイクルの中でこれだけ無謀
なレコーディング期間(※LA滞在だけで6ヶ月強、表舞台から姿を消した
期間は1年1ヶ月にも及ぶ)は命取りにならないか――それは常に焦って
たと。まぁ本人不在のフィルムギグをやったり、その好反響で少し安心
できたんだけど、結局俺が倒れたことで更にレコーディングが延びる羽
目になって、また帰国までかなり空いちゃう。で、帰国1ヶ月前に現地記
者会見を俺が企画したんですよ。媒体関係にはずーっと情報を与えてなか
ったでしょ。本当言うとやっぱり、純粋YOSHIKIはレコーディングを集中
してやりたい。けれどもヤバイと。だから彼を説得して『一日でもいい
から記者会見の場を設けよう』と。あとまぁ某雑誌に10ページ広告を出
してくれとか戦略YOSHIKIが考えた。とりあえずファンに姿を見せる前に
――ああいうことやると業界が騒ぐでしょ?そういうのをまず、『Xが帰
ってくるんだぞ』的な前兆としてやりたかったの。」
----しかし帰国後のメディア展開はすさまじかったですな。
Y「発売前の露出は結局TVスポットと市川さんとこ含めて音楽雑誌2誌し
かなくて。だから紙媒体は全部発売後になっちゃうんだけど、やれるだ
けやろうと。選んではいるけど、基本的に何でも対応しちゃうつもりだ
ったんで。」
----それは今から思えばさっきの危機感の裏返しなわけだ。
Y「本当に危機感あったから。あったからレコード会社にも最大級のプロ
モーション展開を約束させてたし・・・それが無理なスケジュールを飲む条
件だったから・・・でも帰国してみたら、実際その体制が確立してなかった
んで、もうほとんど自主的に組みましたよ。自分で選んで、どういう雑
誌が取材したいと来てるんだ?誰に話が訊きたいと来てるのか?例えば
俺に来てても日数足りないから誰かに回してくれ、とか。とりあえず5人
が集まるのは能率の悪さがあるんで、各々個人で取材を受けようかと。
もう時間がなかったから。」
----それに関して言えば、5人のバンドであるにも関わらず、全員の集合
写真がプロモーション用のアーティスト写真すら無くて。雑誌はおろか
レコードジャケットにも無くて。私は意図的に撮影しなかったように思
えたんだけれども。
Y「そう。結構意図的なものもあって。戦略YOSHIKIで喋ると戦略が全部
見えちゃうなぁ。」
----そういう本なんだよ、これは。(笑)
Y「完全な俺じゃないからいいか(笑)。集合写真って面白くないと思
う。偶然はまれば凄いけど、なかなかはまらない。個人の古生が様々な
んだから。じゃあ分ければいいんじゃないかと。」
Y「まぁアーティストも自分で危機感を感じたら考えるべきなんだろうけ
ど、俺たちは逆に『俺たちを潰すぐらいのプロモーションをしてほし
い』って会社に言ってるのね。そこで潰れるか潰れないかはアーティス
ト自身の問題であって、俺たちはずっと『これ以上してほしいのに』と
望んでたんだけど、いつもそこには到達しなかったことが多かったって
いうか。過剰プロモーション受け付けます、アーティストを潰す気でプ
ロモーションしてくれ、それで潰れるか潰れないかは俺たち自身の力だ
から――実際それは証明できたんじゃないかなぁ。」
----おお、不遜な発言をしております。しかしよーく考えてみると
『JEALOUSY』は大変な騒動で純粋YOSHIKIはその屈辱を思い出して涙ま
で流してたんだけれども、戦略YOSHIKIは結果的にこの騒動を上手くプラ
スに転化させたというか、プロモーションに見事に利用したというか。
Y「しなきゃいけなかったですからねぇ。プラスに変えなかったら、純粋
YOSHIKIが黙ってなかったですよ。売れて結果を出すことが、彼を説得す
る唯一の材料だったんですから。」
----話題は提供したわ、被害者イメージまで定着したわ、イメージ戦略
的にも非常に有効に機能したもんね。よく考えると狡猾な男だけどな
ぁ、戦略YOSHIKIって。
Y「何か上手くいったんですよね。でも実際、被害者という感覚はありま
したよ。なきゃおかしいよね?実際に被害者なんだから。」
----そうした自分の戦略性に自覚的になったのって、そもそもいつ頃か
らなんですか?
Y「んー・・・最近やっとわかったっていうか――前々からわかってたのか
もしれないけど――ビジネス的なことを何のためにここまでやらなきゃ
いけないか?考えなきゃいけないのか?っていうのをずっと考えてて、
最近わかったことはね、『いかに自分が自由に音楽に専念したいか』っ
ていう、例えば、最初の頃は『メジャーだろうがインディーズだろう
が、俺たちは俺たちの音楽を演ってりゃいいんだ!他のことは何も関係
ないんだ!』っていう人たちたくさんいるでしょ?でも実際に2〜3年経
って売れてくると、『どうしてこんなにお金が入ってこないんだ?』っ
て急に言い始めるでしょ?そこで今度はみんな、頭がどんどんどんどん
固くなっていくわけ。そういうパターンも多いと思うのね、大体。だっ
たら最初から仕組みを知ってた方がいいんじゃないかっていうか、もう
そういうことを知ってる上で音楽を自由にやりたいっていう。必ずトラ
ブるでしょ?事務所にしてもレコード会社にしても。それはなぜかとい
うと、自分達が知らなさ過ぎるっていう、ミュージシャンの責任もある
と思うの。レコード会社やプロダクションの責任もあるだろうから、ど
っちが悪いとは言えないと思うんだけど、だから(仕組みを)知った上
で、自由にやっていきたいなっていう気持ちが凄く強い。」

----「最近自分の戦略性に意識し始めた」ということだったけれども、
デビュー当時からXって非常に戦略性に富んでたというか、システマチッ
クだったと思うんだけれども。
Y「んー、まずレコード会社(エクスタシーレコード)を自分達で始めた
から。自分達のレコードを作りたいって気持ちになったときに、まず
『どうやったらレコードって出来上がるんだろう?』っていう発想から
始まって。レコードっていうのは自分でも作れるのかなと思って、俺は
工場に駆け込んだ。レコードを作ってるという工場を探して、1人でね。
そしたら、『いくら出せばレコードを作れるんだ』っていう話になっ
て、いろいろ教えてくれたの。千枚プレスすると何円云々、って書いて
ある表をくれたのね。で、レコード自体はこの程度の金で作れるんだっ
てことがまずわかったの。でも『レコードだけじゃだめだ、ジャケット
はどうすれば出来るんだ?』ってなって――今度は印刷所に駆け込ん
で、『いくら出せばジャケットが出来るんだ?』って話になって、やっ
ぱり表みたいなのをくれたのね。それでもまた疑問に思ったのは『何で
綺麗な活字で、クレジットにしてもタイトルにしてもバンド名にしても
載っているんだろう?』っていう。どうすればああいう風になるんだと
思って、写植屋というものが存在することに気付いたのね。で、写植屋
に駆け込んだの。というような経緯で勉強して、とりあえず自分達でレ
コードも作れるっていうことを知って、まぁその前にレコーディングし
ないといけないけど・・・レコーディングして写植屋や印刷所やプレス工場
に持っていけば形になる、と。で、今度は『何処に持っていけばいいん
だ?』っていうので、雑誌とかでインディーズ取り扱いのレコード店を
いっぱい調べたの。それでおいてくれるっていうところへ持っていって
、そこから始まった。本当に、とりあえず始めたっていう感じですね。」
----レーベル設立というよりは、非常に原始人に近い、純粋なノリだよ
な(笑)。"レコードができるまで"という小学校の社会見学のような・・・
Y「だって謎じゃん(笑)。何もわかんなかったから」
----そもそもどうして自力で作ろうと思ったわけですか?業者とかに頼
めば、そんなに手間はかからなかっただろうに。
Y「確かにインディーズレーベルはそのときにはあったけど、『制作費は
15万円』とかって言われてもよくわかんなかったの。で、レコーディン
グ自体にはもっと時間をかけたい、金もかけたいっていうか――レコー
ディング経験はデモテープ作ったりしてあったから、『5万円だと8チャ
ンネルだ』とかそういう知識はあったから――もっとやりたいって。で
も『レコーディングで100万円欲しい』といっても、そんなインディーズ
レーベルじゃ出ないでしょ?だけど、お金のために妥協するようなレコ
ーディングはしたくなかった。それでとりあえず自分でなんとかやって
みようという発想になったのね。それで全部始めたの。そしたら上手く
いきだしちゃったの。それなりに売れたの。」


----そこで会社に発展した時点で、X以外の若手
バンドも抱え始めるわけだよねぇ。
Y「とにかく『VANISHING VISION』を出したいからっていうことが会社
化の目的だったから、最初はそういうつもりは無かったのね。俺はアー
ティストだからっていう。だけどレディースルームの方から『出してく
れ』って言うから『ああ出せるよ』ってシングルか何かを出したの。で
『今度アルバム出したい』って言うから出したの、友達だったから。そ
したらそれなりに売れて、その時点から少し騒がれ始めて、『出した
い』っていう人たちがいろいろやってきて――自分でも彼らに何か協力
できるんじゃないかなと思い始めて。それが始まりかな。」
----ビジネスを拡大することによって利益が上がるとか、そういう下世
話なことは全く考えてなかった、と。
Y「考えなかった。実際に裁判とかやってた時期もあって。その時期にま
た、『ああ、大会社っていうのはこういうシステムなんだ」って何か目
覚めたというか。結局、アーティストっていうのはレコードを出しても
らってる立場なんだっていう。大きい企業があって、その枠組みの中の
下の下のほうで俺たちはゴチャゴチャやってるんだと思ったら悔しくな
っちゃって。ちょうどそのとき、自分の作った音源が某会社に不正にプ
レスされたわけでしょ?『俺たちは本当に純粋な気持ちで曲を作ってるの
に、それをこんなに乱しやがって!』って超怒って。最初は本当に暴力
的に走ろうかともしたんだけど、それじゃ何も太刀打ちできないってい
う判断もあったから、じゃあ本当にアーティストの純粋な気持ちを持っ
た上でしっかりしたシステムをやっていきたい、とそこで思って。だっ
たらがんばろうっていう気になった。」

Y「メジャーに行って訪れたのが,『何故、俺たちはテレビに出ないんだ
ろう?』っていう。ツアーもガーッとやって、取材も今まで以上に受け
てて。その時にレコード会社の上のほうの人と喋ったのね。『ロックバ
ンドは最初からテレビに出しちゃダメなんだ。そういうレッテルが貼ら
れちゃうからマイナスイメージだ』って話だったのね。その時に『い
や、全然マイナスじゃないと思う。最初は色モノと捉えられるかもしれ
ないけど、結局は俺たちの音楽を聴いてもらう機会が増えるんだから。
そんなことで潰されるような気持ちだったら、メジャーに入ってない』
って言ったのね。その時点での話し合いでも『いや、出ないほうがい
い』っていうことになって。で、俺たちがいろんなロックイベントなん
かに出てるのを偶然観て、ミュージックステーションのプロデューサー
のほうから『番組に出したい』ってオファーが来たのね。で、『出た
い』って言って出たの。そうしたら反響が凄くて。ロックを知らない人
の反響も凄くて。あと『何でテメェらが出るんだ!?』っていう反響も、
同じ位に凄かったのね。それでそのとき、『テレビに出る意味っていう
のを考えて欲しい。他の音楽と同じ土俵に立たなければ先には進めない
んだ。別に媚を売って出たわけじゃないんだ。出たいと思って出たんだ』
ってことを言ったりしたんだけど。でも実際、テレビ展開してなかった
ら今のセールスも無かったかもしれないし――ていうか、テレビに限ら
ずメディアは利用すればいいと思ったから。使われるんだったら全然意
味無いけど、利用するべきだと思ったっていうか、使えるメディアは使
いまくって。それに飲まれちゃうようなバンドは、飲まれちゃうような
バンドでしかないと思った。その辺は割り切ってあるから。」
----じゃあメディアの有効な機能自体は、メジャーデビューして改めて
思い知ったっていう部分でもあるわけだ。
Y「うん。だけど、特に俺たちなんかみたいなバンドは、半分以上は間違
って捉えられてしまう――自分達の意志と反するところで盛り上がって
しまうっていう危険性からは逃れられないけれど、最初からそれは承知
の上で。今でもそれは否定できないと思うのね。Xっていうと『ああ、あ
れね?』みたいな。本当に好きな人たちは増えてきたかもしれないけ
ど、やっぱりそういう誤解をしてる人は絶対いるし。でも最終的に・・・5
年後か10年後かもしれないけど・・・わかってくれるときが来ると信じてる
し、それも契機だなと思ったから。」
----リスク承知ってやつだ。
Y「うん、そう。だからそういう、もし千人のロックファンが観てたとし
て、その半分の人が『何だ、色モノバンドがテレビに出てやがる』と思
ったとしても、そのロックファン以外の――もう何人でもいいから、
『テレビ観ていいバンド見つけた、嬉しい』っていう人がいれば、その
ぐらいのリスクなんてどうでもいいから。そういう気持ちで出てたから。」




Y「あの『JEALOUSY』のパフォーマンスはあれはまたちょっと意味合いが
違うんだけど。最初からロサンゼルスにいる時から、『レコード発売時
期にジャケットを打ち出したいな』と思ったっていうか。まぁ、CDが売
れるってことはまずジャケットを人々の脳裏に叩きつけることも一つの
アイデアだと思ったのね。実際自分がレコード買いに行ったときに、以
前1回どこかで見覚えがあるってだけで『ああ、あれだ』て買うことがあ
るから、それでジャケットを焼きつけたいと思ったことから始まったの
ね。」
----それを世間では「戦略」と呼ぶのだよ。
Y「(笑)そうそうそう。でもでも、その時期に――俺って結構正当に終
わるのが嫌な人間で、音楽と関係ないことで何かしたかったっていう
か。音楽に対しての気持ちは本当に正当派なのね。だけど、そういうの
を逆に、それでわかったような振りしてるジャーナリストに対して『や
っぱりあの人は何考えているのかわからない』って俺をまた馬鹿にする
機会を与えたかったというか(笑)。そういうのをしたかったのね。馬
鹿みたいなことをしたかったっていう。」
----(笑)そうした自分の存在の利用の仕方が上手いんだよなぁ。自虐
的とも言うけれども。
Y「てゆうか、ノリだからねぇ。例えばいろんな人から『どうしてあんな
馬鹿なことしたの?』って言われれば、そう思ってくれれば成功ですよ
っていう。実際怪我人出そうで寸前に中止になっちゃって、ファンに対
しては本当に本当に申し訳ないし、俺も本当に悔しかったけど。でもあ
れは芸術の一部として演りたかったっていうのもある。必ずしも戦略の
ためだけじゃない。」
----LAから帰って以降の戦略YOSHIKIって、もう徹底的に燃えまくって
たからなぁ(笑)。
Y「凄かった。自分でも『俺は一体何をやってるんだ?』ってわかんなく
なったときがよくあったけど。」
----例えばどういうときに思った?
「まず、シングル“スタンディングセックス”のジャケット撮影で、背
中に入れ墨描いてずーっと裸になってるとき。『俺は一体何をやってる
んだ?何なんだ俺は』と思って(笑)。だけど『ここで考えちゃダメだ』
と思ってね(笑)。あと、シングル“セイエニシング”のこれもジャケ
ット撮影のとき。熱があるのに裸で水に打たれながら、『俺は一体何を
やってるんだ?』って(笑)。それで次の日の横浜アリーナのライブ
(91.10.24〜25)の途中でぶっ倒れちゃったし。ライブ中止になっちゃ
ったもんねぇ。そういう場面っていっぱいあった。『何故、俺はここで
こういうことやってるんだろう?・・・』って(笑)。とりあえずやってか
ら後悔しろっていう(笑)。」


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----アルバムリリース後のシングルカット3連発(SILENT JEALOUSY、
STANDING SEX、SAY ANYTHING)はプロモーション効果ありましたか。し
かも3枚ともアルバム未収録曲やライブバージョンを必ず配するという入
念な企画で
Y「んー、だけど“SILENT JEALOUSY”はあんまり意味が無かったよな」
----第1段シングルはやはり、アルバムリリース前に予告編として出さな
きゃ意味無いと思うなぁ。結局のところ、後追いになっちゃったんだよ
ね?
Y「そうそう。本当はアルバムを出すより前に発表しようとおもってたん
だけど。」
----それじゃ確かに苦しい。
Y「うん。だけどまぁ、シングル曲あると無いとではプロモーションとし
ての意味では天と地の差ぐらい違うじゃない。で、まぁ・・・・・・まぁ、っ
て感じで(笑)。あと、タイアップ取れてたから。取れてたんだけど中
止になってるんだよ(笑)。」
----やっぱりタイアップが今のレコード業界における戦法として、一番
有効であると判断したわけだ?実際のところ、タイアップものが強いの
は事実だもんねぇ。
Y「うん。でもねぇ、ちゃんとアーティストとしてのプライドもあった
よ。“SAY ANYTHING”とかは作品に自信があったから――結局なっちゃ
ったんだけど――その主題歌の話が最初来たときに、あっさり断っちゃ
ったの。『刑事ものの主題歌で決まりました』って聞いたときに『い
や、いいです』って。そしたらスタッフが『えっ?』となって。みんな
愕然としちゃったみたいで、何回も何回も来て『こんないい話普通決ま
らないんですよ』って言うから、『うん、知ってる知ってる』とか言っ
て。『向こう側が90%以上使いたいって言ってるんですよ』『でもいい
よ、また他に使い道があるよ』って言ってたんだけど。結局俺の方がそ
の熱意に折れて、『じゃあ使ってもいいよ』っていったって言う。今ど
き珍しいでしょ?」
----確かに。
「まぁでも人に聴かれることはいいことだっていう気持ちがあるから、
使ってもらったんだけどね。」
----以前“ENDLESS RAIN”がシングルヒットしてさ、Xの勢いに拍車が
かかったじゃない?あの曲が売れた理由としてさ、映画の主題歌に採用
されたという事実と、映画のテレビスポットで曲が流れた点だと思うん
だよね。そのありがたみはあの時思い知っただろう。
Y「あるよぉ。映画のプロモーションスポットの流れる量って作品によっ
ては半端じゃないからね。」
----あれが無かったらXここまでメジャーになってなかったかも・・・
「・・・。だから、結構タイアップが何になっても自信はあるっていうか、
曲に対してのプライドがあるから、主題歌のために作るなんてこと絶対
ありえないから。そうした基本線を守りつつ、これだけ露出できてるん
だから、これは大変なことなんですよ、実は。結構『何でも来い!』っ
ていう態勢取ってるけど、その中で厳格なとこってあるじゃない?どう
してもここまでは退けないっていう。」




Y「純粋YOSHIKIがたまにでしゃばってくるからいけないの。俺が本当に
戦略YOSHIKIだけの人間だったら絶対可能なの。ただ純粋YOSHIKIが『い
や、俺はこんなことするために生まれたんじゃない』とか、急にふと我
に帰って暴走しはじめるわけよ、呑みに行っちゃったりして。あと、戦
略YOSHIKIは純粋YOSHIKIに対して“殺されても働く人間”だと思ってる
んですよ。でもそれは間違いであって、純粋YOSHIKIっていうのはルーズ
な面も持ってるじゃない?『おお、そこまで俺まだわかってなかった
ぞ』みたいな(笑)。」
Y「レコード会社のシステム自体ももっとアーティストをアーティスト視
してほしい、という。確かに売るという営業的な面から見れば、商品視
してもいいと思うんだけど、『アーティストとしても見て欲しい』と思
うんですよね。だから、僕たちをレコード会社が何故恐れてるかという
と、抱えてるアーティストの中の1コが乱れると全てが崩れてしまうと。
実際に僕がぶっ壊してきたことって沢山あるんですよ。例えばクラシッ
クを選曲したアルバム出したでしょ?最初は、選曲料としてギャラでく
れるって話だったんですよ。僕もやりたかったから、たまたま波長があ
って『じゃあやりましょう』と。ギャラを決めたんですよ。でも、『自
分が製作をプロデュースするのに、取って付けたようなギャラは嫌だ。
印税方式で欲しい』と言ったんですよ。でも『セレクト・プロデュース
だけで印税を出したこと、うちの会社は無いんです』と。『じゃあ断
る、ただお金もらってやってるみたいで嫌だ、今までのアルバムのよう
に想いを込めて作りたい』っていう。結局1ヶ月くらいずーっと――レコ
ード会社の法務と僕の話し合いになっちゃったんですけど――悩んで。
最終的に法務の人が『じゃあ1枚につきX円の印税を出しましょう』って
ことになったのね。5万枚売れても最初のギャラの1/4程度にしかならな
いけど、ギャラをもらうより全然気分的にいいと思ったんですよ。」
----(笑)YOSHIKIの言い分は確かに正しいけれども、総会屋じゃない
んだから何度も何度もゴネてどうするんだよ?
Y「(笑)いやいや、やっぱりはっきりさせなきゃダメですよ。で、実際
そのときクラシックの人が言ってたのは、『クラシックのアルバムは5千
枚売れればヒット、2万枚といったらもう大ヒットなんです、ましてやセ
レクトしただけなんだから』ってことで。そしたらイニシャルがボーン
っと3万ついたの。まぁ他にもいろいろあって、契約書来たけど俺ハンコ
押さなかったの。で、いろいろ話し合いがあって、『会社の事情がある
から』ってことで報酬として相応の金額を印税とは別に出す、という話
はついてるんだけど。実際それゴールドディスク大賞とっちゃったか
ら、今は8万も突破しててクラシックで1番になっちゃったんだけど。だ
からそれでもやっぱり会社が恐れてるのは、秩序を乱されたくないとい
うことで。」
----YOSHIKIの方はYOSHIKIの方で、金の問題ではない、と。要はアーテ
ィストとしてのプライドの問題である、と。
Y「その通り。アーティストのプライドで物事を進めてきて。俺はこれだ
けの仕事をしたのに、っていう。だからレコード会社の上の方の人とも
この前呑みに行ったんだけど、『YOSHIKI君は散々物事をぶっ壊してきた
じゃないか。まだ何かしたいのか?』って言うから『ぶっ壊したいから
壊してるわけじゃなくて、根本的にアーティストは自由なんだ。アーテ
ィストをもっとアーティストとして見てほしい、っていとこから発想が
始まってるんで、今後は何もぶっ壊さないという決まりはないし、納得
いく契約をしたい』って言ったの。」




----純粋YOSHIKIも表現には誠実だけどさ、アーティストとしての自分
に誠実であるっていう意味合いでいくと、実は戦略YOSHIKIが一番誠実な
のかもしれないな。
Y「うん。だから今の戦略YOSHIKIっていうのは、誠実な戦略YOSHIKI
ね。そういうデカイのがあって、さっきのパフォーマンスだとか細かい
ことやったり、約束破ったりする滅茶苦茶な戦略YOSHIKIもいる、と。戦
略YOSHIKIの二重構造がわかったでしょ?(笑)」
詩人YOSHIKI
POETIC YOSHIKI

「何のために生きているの?」
「何故生きているの」が口癖だった
by詩人YOSHIKI


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----とりあえず確認しときたいんですが、Xの作詞者は3名存在するわけ
だよねぇ。
Y「YOSHIKIでしょ、白鳥瞳、五十嵐美由姫。」
----白鳥麗という人間も存在してたと思うんだけど。
Y「あの人は、パンク系のバンドでドラムを叩く人ですね。」
----彼の姉にあたるのが白鳥瞳?
Y「一応お兄さんなんだけど。まぁでもこの辺の人たちは性別関係ないか
ら、とにかく上の人が白鳥瞳っていう人。」
----自分でキャラクター作りすぎて、YOSHIKI自身もはや明確な差別化
が出来ていないような気がするんですけれども。もはや。
Y「(笑)そんなことないです。全員、実在の人物なんですよ。」
----自分で詩を書いて作詞クレジットを書く際に、ペンネームを使い分
けてるだけじゃないんですか?
Y「いやいやいや。例えば“STANDING SEX”が出来上がるまでは、作詞
者ってYOSHIKIと白鳥瞳しかいなかったわけでしょ?ちょっとその2人の
イメージに当てはまらない詩が――いや、そういう当てはまらない詩を
持ってきた人がいたんですよ、五十嵐美由姫っていう。白鳥瞳もYOSHIKI
も書かないような詩だったんで、採用したという。」
----ちなみに三者三様の詩の作風を解説してほしいんだけど、まず白鳥
さんの書く詩ってのはどんなイメージなんですか?
Y「あの人、どの曲書いてるんだっけ?」
----俺に訊くな。
Y「(笑)“X”や“オルガスム”ってあの人が書いてるんだよね?基本
的に凄いポジティブなんですよ。最後絶対プラスの方向に向かって終わ
ってるという。」
----まぁ「感じてみろ/叫んでみろ/心燃やせ」のサビが印象的な「X」と
か、「Get toオルガスム/身体とかせ」となる「オルガスム」とか、自分
以外の人間を煽動してる観はあるけれども。
Y「そうなんですよ。俺じゃ“X”の詩は書けない(笑)。」
----じゃあ白鳥瞳がポジティブならば、YOSHIKI自身の作風はどう定義
づけられますか?
Y「基本的に――ネガティブというわけじゃないですけど――“混乱”で
すね、大混乱みたいな。」
----「閉ざされた愛に向かい」叫びつづけたり、「何処に行けば苦しみ
を愛せる」と嘆いたり、「鏡を見つめながらふるえる体に/流れ始めた透
き通る血を青白いおまえの心に/絡ませ厳格に消えていく最後の涙を/拾
い集めて血にまどろむ」とカオスしちゃう、所謂18番ね。
Y「そうなんですねぇ。」
----すると五十嵐美由姫嬢の世界はポジティブでもネガティブでもなく。
Y「基本的に“破壊”なんですけど、混乱にもポジティブにも当てはまら
ないと。もっと意味のない部分の世界で。」
----というと、要は“単なる破壊衝動”というか、“その場限りの爆
発”的なものなわけね、アナーキーっぽい。
Y「そう。彼はねぇ、刺激だけを求めてるっていう。だから詩の言葉の意
味はあまり関係ないです。多少は持たせてるかもしれないけど、あまり
感じ取れませんね。“STANDING SEX”はもう、単なる衝動の暴発状態で
すから。」
----確かに三者三様ではあるけれど、そもそも最初に詩を書いたのはい
つ頃になるんですか?
Y「えー、俺ですかぁ?・・・・・・高校生かな。」
----その最初に書いた詩を覚えてますか。
Y「(笑)覚えてます。」
----どういう詩ですか。
Y「“I'LL KILL YOU”です(笑)。」
----(笑)インディーズ盤の『VANISHING VISION』に入ってる、あの
「I'LL KILL YOU」?
Y「・・・・・・そうです(笑)。」
----高校生の分際で「ぶっ殺してやる!」なんて歌詞を書いてたのか?
どんな高校生だよ、一体。
Y「『“ぶっ殺すぜ”って英語で何て書けばいいんだ?』みたいな。」
----(笑)よくわかんないけれども、当時の自分の状況をそのまま表現
してるわけだ。
Y「でも実はラブソングなんですよ。」
----でもそもそも、詩を書くのって最初は結構難しい作業じゃん。形式
とか様式とか体裁とか。
Y「何も気にしなかったですね。何にも気にしないし――ソニーとの契約
してデビューする頃に、会社から少し言われたんですよ、『詩とはどう
のこうのどうのこうの』って、『韻を踏んでどうの』とかね・・・関係ない
ッスね、全然。ずぅっとやってきて今も思うけど――僕、人の詩を読む
のが好きで、CD買うと日本の作品であろうと外国の作品であろうと大
体、一通り読むんだけど――あんまりねぇ、関係ない。そんな小さい業
現方法とか気にするのって、歌謡曲ぐらいなんじゃないの?韻を踏んで
どうのこうのとか、流れがどうのこうのとか。だから全然気にしない。
逆に気にするのなんて馬鹿みたい。」
----しかしそうやって他人の作品を細かくチェックしてるということは
詩のスタイルを一応気にしてる証明みたいなもんじゃない?
Y「うん。」
----そうやって比較検討してみた結果、YOSHIKIの中で書いた詩とかは
こんな作風なんだ」的なものは見えましたか?
Y「んー、最近の『JEALOUSY』の中で書いた詩とかは、凄い好きです。最
初に言っておくけど。まずねぇ、直接的に言いたいものは直接的な言葉
でいってしまうんだけど、例えば『愛』って言葉があるでしょ。みんな
それを言おうとするでしょ?でも絶対、僕の『愛』は普通に言われる
『愛』じゃないんですよね。例えば『好きだ』って言おうとするでしょ?
『アイラブユー』と言うとしたならば、俺の場合それは『キルミー、ラ
ブ、僕を殺してくれ』ってなっちゃうんですよね。『好きだ』と言うか
わりに『立ち去る前に殺してくれ』とかって表現になるんですよね。」
----そうした表現スタイルというか表現アプローチの違いに、凄くネガ
ティブな印象をうけるんだけれども。姿勢自体が。
Y「うん。ネガティブな表現の方が僕は怖いし、ぐっとくるし、そのほう
が強い愛って思えちゃう。」
----がけっぷちじゃないけれど、自分がギリギリの状況まで追い込まれ
ないと、自分の価値観は伝えられない的な発想なんですかねぇ。
Y「んー、そうですねぇ。でもまぁ、『愛』っていうもの自体が俺には分
からないしね。どこまでが愛と呼ばれるかもわからないし――結婚にし
てもそうだけどね、何故結婚するんだろうっていう。だってさぁ――ま
ぁ僕はあまりそういう経験ないですけど――今、一般的にね、まず男女
が交際しはじめると月何回か映画に行ったりとか食事に行ったりとかし
てデートを重ねると、結果的にそういうことを繰り返して別れたりと
か、『結婚しよう』って籍入れたりとかするわけですよ。それが愛なん
ですかねぇ?俺には分からない。何か一般的に言われるシナリオがある
でしょう、もう社会の中で。」
----じゃあYOSHIKIの考える愛ってどういうものになるんですかねぇ。
Y「ちょっとわかんないんだけど、皆でも結局、その2人の愛というより
も――周りがあっての、周りの中での2人の愛っていうですか?第3者達
の存在があって、彼らに認めさせた上での2人の愛っていうか。だから結
婚してもその手続きに過ぎないというかね。」
----ここ3年間、ドラマは恋愛とか純愛のキーワードになってて。例えば
漫画だと『同級生』や『東京ラブストーリー』の紫門ふみであり、音楽
で言うとユーミン。松任谷由実の純愛3部作ですっかりすれきった若者の
間で「純愛」に対する憧れが膨れ上がって。でも「純愛とは何かって皆
わからないわけよ。わかんないから、とりあえず純愛のスタイルだけを
真似る、みたいなさ――さっきの手続きに似てるんだけれども――そう
した実の伴わないスタイルを重宝するのが、今の主流なんだよね。そこ
で「立ち去る前に殺してくれ」なんぞと、真っ向から全く違う破天荒な
ものを出してるのが不気味な個性ですな。
Y「僕の詩の世界みたいな愛が流行ってしまったら、それこそ世の中怖い
ですけどね。」
----世の中死人だらけ、ですな。
Y「(笑)そっちで自殺したぞ!こっちじゃ刺された!みたいな。」
----自分の詩にそうした恋愛観はかなり出てると思いますか。
Y「結局僕は、そこに生き方を求めてしまうんですよね。だから愛ってい
うのは、結構僕の中ではあまり見えないで。ただ、“愛”って言葉に人
は引っかかるから――自分でも引っかかるんで使ってるけど――愛の中
にやっぱり、恋愛だけじゃなくて自分の生き方とか友情とかも全部含ま
れてるからなぁ。」


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----じゃあ詩を書く際に、「俺はこれを一番書き込みたい」っていう素
材になるのはなんですか?
Y「まず自分の混乱ですね。市川さん『アートオブライフ』の詩はよく知
ってるでしょ?結局あれで言いたいのは、いろんなことを振り返ったり
自分をいろんな風に叩き潰してみたり、また逃げ出したりとか。そんな
感じで自分を追及してるんだけど、結局わかんないで終わっちゃうんで
すよね。『ふん、結局また何もわかんないままで終わったか、この馬鹿
は』って思ったでしょ?詩を読んで(笑)。結局いろんな風に考えてみ
る。壁を作ってみたり壊してみたり逃げたり立ち向かったり。」
----要は、自分を痛めつけてる歴史みたいなもんじゃん、「アートオブ
ライフ」に限らずYOSHIKIの詩というのは。
Y「そうですねぇ。『アートオブライフ』の中には『全てが夢なら俺を起
こして/全てが現実なら俺を殺して』という被害妄想の自分がいて、それ
を客観的に眺めてる自分もいて、また被害妄想に向かってる彼に破壊を
薦める自分もいて、更に狂気状態と化した被害妄想の自分をビビりなが
ら見つめてる自分もいるわけですよ。」
----分裂を通り越して、異常繁殖してますなぁ。赤潮みたく(笑)。
Y「(笑)でもねぇ、それだけ混乱と破壊と狂気が同居していながら、そ
れでも『俺はずっと生き続けたい』と客観的な自分は根本的に願ってる
わけです。」
----つまり死に急ぐ自分と生き続けたい自分が同居してるわけじゃな
い?その対比が一番分かりやすいと思うんだけどね。
Y「そうですね。でもそんな程度じゃ割り切れない混沌状態ですから。と
りあえずの『アートオブライフ』の定義としては、『永遠に血を流しつ
づける心の旅』みたいな。それは決して終わらないけど、っていうそん
な感じなんですよ。」
----今の「アートオブライフ」の超概略を聞いて思うのは、YOSHIKIな
り五十嵐美由姫なり白鳥瞳なりの三者が、各々1人1人の自分として登場
してる観があるんですが。
Y「そうですね、ありえるかもしれないですね。」
----その場限りのぶち壊し破壊衝動の自分が五十嵐美由姫であり、「も
っと壊しちゃえばいいんだ」と煽動する自分が白鳥瞳であったりする?
Y「そうですねぇ。でもこの詩って、1人を主人公に置いて読むときっと
理解できないと思います。“おまえ”とか“彼”とか人称代名詞がいっ
ぱい出てくるし。でも実は、“彼”も”おまえ”も”俺”も全部自分な
んですよね。だけど自分の中では、“あなた”とか”彼”になっていっ
ちゃうんですよね。」
----しかしそうしたキャラクターが、今までは作品別にバラバラに出て
たわけで。それが実は根元は1本だったことを今回の「アートオブライ
フ」が実証した観もあるなぁ。
Y「あり得ますね。でも、分離するでしょ?その分離した同士でここまで
言い合うか、みたいなのありますけどね。喧嘩が始まっちゃいますよ
ね、本当に。昔は核なる自分がいて、その中にいろいろな自分が同居し
てた感じだったんだけど、各々が存在感を持ち始めたし、各々が大きく
なって対等になってきたっていう。」
----以前はそこまで完全に分かれてなかった?
Y「分かれてなかった。『こういう面も持ってるんだな』程度はあったけ
ど、確実に何人か別人がいるっていうか――絶対違うもん、自分でも不
思議だと思う。」
----別人格を意識し始めたのはいつ頃からになるの?
Y「んー、デビューしてからですね。デビュー前も混乱はずっとしてた
し、昔から『何の為に生きるの?何故生きてるの?』が口癖だったんだ
けど。友達に訊いても『YOSHIKIちょっとヤバいんじゃないの?』って言
われて、『いや、ちょっと疑問に思ってさ』と喋ってたんだけど。」
----でもね、基本的にYOSHIKIの分裂現象の核となってるのは「何の為
に生きるのか」だと思うね。やっぱりそれが未だに最大の命題でさぁ。
Y「そうですね。わかんないです未だに。お金が欲しいのか?そうでも
ない。名声が欲しいのか?そうでもない。何が欲しいんだ?みたいな。」
----その答えが欲しい、が表現衝動の核じゃない?
Y「凄い欲望が強い人間なのかもしれないです。だから、普通のものを与
えられて、『ああ、幸せだ』って思わないですよね。もし思ったとした
ら、人間なんだから当然その幸せをキープしようとするんだろうけど、
未だに『これが幸せなんだ、生きてるんだ』ってことを本当に感じたこ
とは無い。一瞬感じても、すぐ過去のものになってしまって。」




----詩の韻を踏むのが嫌なのも、全て同次元で語れますなぁ。
Y「うん。だってさぁ――だから俺はね、やっぱり作曲者でもあるからメ
ロディーを重視するでしょ?でまぁ、言葉の響きは凄い気にするわけ。1
コーラス目と2コーラス目で例えば韻を踏んだとしても、それによって同
じように聴こえるのが絶対嫌なのね。どっかちょっと違わないと嫌なの
ね。で、これは譜面上の話だけど、7〜8分以上の長い曲はダルセーニョ
なりコーダなりを使わないと、譜面って凄く長くなっちゃうんですよ
ね。だけど俺の場合、必ずそんな単なる繰り返しで終わらせないで、ド
ラムソロでも何でも全部書くんですよ。」
----同じパートでもあえてもう一回書くみたいな?
Y「そう、書くんですよ。それはドラムのフレーズにも現れてるんだけど
――基本的には似てるんだけど――同じサビが出てきても僕の場合全部
違うんですよ。同じオカズは叩かないんですよ。何故なのか理由はわか
らないんだけど、絶対繰り返さない。」
----だから詩の韻にしてもさ、韻を踏むと違う言葉でも同じに聴こえち
ゃうから、その言葉を使う意味がない。パッと聴いて印象が違えば療法
の言葉とも聴いてもらえるから的な欲の発露なんじゃないですかねぇ。
Y「あるなぁ。あとねぇ、例えば『立ち去る前に殺して』みたいな危険な
詩、心にザクっと来るような詩を明るいメロディーに乗せるのが好きな
んですよ。明るい詩は狂気を見せるメロディーに乗せてみたりとか。」
----あえて逆を行くみたいな。
Y「が好き。それはまあ、美しいメロディーを破壊的なドラムで演ってる
のと共通する部分があるかもしれないけど。」
----逆に悲惨な詩に悲惨なメロディーをくっつける臭さが照れくさくも
あったりするんじゃないの?
Y「そうそう。俺はその臭さが嫌なんですよ。でもねぇ、白鳥瞳は『臭く
て何が悪い』みたいな、『青春だ!』みたいなことも言える奴なんです
よね。凄いストレートで俺に無い面を持ってる。俺はあんな臭いのは嫌
なの。」
Y「誰が読んでもわかるような詩は書きたくない。」
----自分の詩はわかりにくい的な自覚はありますか。
Y「うん、詩によるんだけど。分かりやすい表面は持ってると思うんです
よね。でも、肌はわかるけど心臓はわからないだろうっていう。『何処
に行けば苦しみを愛せる』という詩に、インタビュアーの人が『つまり
苦しみが好きなんですか?』って訊くけど、そうじゃないじゃない?最
近はその表面すら混乱してるけど、昔はもっとわかりやすい表面で、内
側でニヤニヤしてたみたいな(笑)。」
----確かに「紅」「エンドレスレイン」「ウィークエンド」と最初3枚の
シングルとかは分かりやすかったよねえ。完結したドラマしてて。
Y「分かりやすいですね。でも『ざわめきを殺し続けて』とか急に出て来
ると、結局もがいてる状態を意味してるんだけどなかなかわからないみ
たいで。」
----そうしたYOSHIKI特有の屈折表現に代表される詩人YOSHIKIを自分で
客観的に見るとどうですか。能力的にとか。
Y「んー、自己評価ってできない人ですから。結局自分で自分を評価する
ときには、いつもけなしてしまうからわかんないですね。結構煮詰める
方で、日本語の可能性も調べたし、僕はそういう辞典を自分で作って持
ってるんですよ。自分のための辞典なんだけど。外来語を全て書き出し
たバインダー、フランス語で響きのいい言葉を書き出したバインダー、
英語のスラングのバインダー、日本語の古い言い回しのバインダー、本
読んで心に残ったフレーズのバインダー――――いろんな詩を読むだけ
あって、実は凄い研究家で。」
----そのバインダー群を詩を書くときに参照にしてるわけですか。
Y「まああくまでも参考であって、ぜったい同じ表現は使いたくない。自
分なりに絶対アレンジする。今やりたいのは、英語の詩を書くときに、
ただ単純に日本語から英語に転換するんじゃなくて、英語でもっといろ
んな意味を出したいっていう。」
----英語で先に書く、みたいな?
「“スタンディングセックス”はそうです。あれは英語だけでイメージ
して書いちゃったから、日本語の訳はつけようないと思うし、誰かが下
手は訳をつけたら怒るぞ、みたいな(笑)。」
----あれを訳すと滅茶苦茶な内容だぜ(笑)。
「(笑)そうでしょ?単なるドラッグの詩になっちゃうでしょ?セック
ス・ドラッグ・ロックンロールみたいな感じだけど・・・・・・それでいいん
ですよね、五十嵐美由姫の詩は。でも本当は少しは意味が引っかかる言
葉があるの、“ライフ”なんですけど。するとやっぱり歌入れのときに
TOSHIも分かりにくいわけですよ、何歌ってるのか。で、『実はこのライ
フって言葉に一つ意味があるんだ・・・でも気にしなくていい、これは五十
嵐美由姫の詩なんだから』といったりするんですよ。」
----その持って回ったアドバイスが余計、TOSHIを混乱させてないか?
「(笑)たまに可哀相だけど――でも“サイレントジェラシー”のとき
もねぇ、詩を読んで彼は『狂気っぽく歌えばいいんだ』と思って、凄く
狂気っぽく歌うわけですよ。そのとき俺が言うのは、『違うんだ、30%だ
け狂気を入れてくれ』と。だから、狂気的な詩なりメロディーを狂気っ
ぽく歌ったら本当の怖さは出ないんですよ。例えば、『人に殺してくれ
ぇ!』と言っても怖くないでしょ?普通に『殺して』と何気なくポッと
言われたらビクッとするでしょ?そういうニュアンスなんですよね。」

Y「いつもねぇ・・・・・・TOSHIはTOSHIなりの素晴らしい魅力があるから、
結構妥協があったんだけど――50%の妥協と50%のOKできたんだけど、
『JEALOUSY』のときは70、80までこだわってみようと思ったんですよ。
でも難しいですねぇ。やっぱり喉って生きてるものだし、そのために殺
しちゃうわけにはいかないし。だから歌録りのときとか僕のほうがエキ
サイトしちゃいますよね。コンソール・ルームで凄いエキサイトしちゃ
ってる、『違うんだぁー!』とかって(笑)。」
----しかしそれだけ言葉にこだわっていながら、曲の全編英詩という日
本人にとっては不利な表現手段が目立つんですけれども。
Y「たまたま『JEALOUSY』のレコーディングでLAにいて気付いたことな
んだけど、日本語の素晴らしさを――“サイレントジェラシー”なんて
最初Aメロ全部英語だったんですよ。実際全部英語でイメージして作った
わけですよ、最初に。で、英詩でやってみたんだけど、日本詩の素晴ら
しさに気付いてしまったんですよね。日本語じゃなきゃ言えない言葉っ
ていうのが――まだ英語勉強中だからそんな偉そうに言えないけど――
日本語って細かいんですよ。細分化というか、一つのことに対していろ
んな表現の方法があるし。まぁ、26ぐらいの音節と50音じゃ全然違いま
すからね。」
----それもあるし、真の意味での表音文字だしね。だから日本語って世
界で一番、感情から何から全てを表現できる言葉だもんね。
Y「うん、素晴らしい。だからそれで途中からどんどん日本語を取り入れ
ていったんですよ。本当に素晴らしいですよね、英語勉強してて気付き
ました。」
----例えば「紅」はインディーズ盤収録バージョンだと英詩だったの
に、『BLUE BLOOD』では日本詩に改作されてたけれども、あれも似たよ
うな動機だったのかしら。
Y「やっぱりねぇ、『紅に染まったこの俺を』って部分は日本語で言いた
いと思ってしまったんですよね。」
----これは確認なんだけれど、高校時代に詩を書き始めたときから元々
英語で書いてたんですか。
Y「その時期はまだ英語は片言しかわかんなかったですけどね。」
----でも『VANISHING VISION』は、英詩の曲が滅茶苦茶多いじゃない?
Y「まあだから、友達に手伝ってもらって訳したり、ある程度の知識で訳
したりみたいなところで。だから詩自体は日本語で考えてたんですね。
で、そのときは響きばかり気にしてたんですよね。でも僕は、英詩でも
結構わかりにくいものは使ってないというか、なんとなく日本人でも響
いてきちゃうような――日本人って半分英語教育受けてるしね。ドリー
ムって言えば夢だってわかるし、ライフって言えば生活だってわかる
し。だからそういう言葉たちをメインに使ってるけど。」

----何故そこまで日本語の重要性がわかってるのに、自らの半生を表現
した大切な「アートオブライフ」が全編英詩になっちゃったんですかね。
Y「だってインタビューですら話せないんだよ?日本語にしちゃうと直接
的過ぎて逆に自分が耐えられないんですよ、絶対。」
----自己防御本能による英詩ですか、要は。
Y「その通りですね。」
----でも日本のロックって部分使用にせよ全編完全使用にせよ、昔から
安直な英語の導入というのが取り沙汰されてて。そうした誤解を気にし
たことはない?
「でも“スタンディングセックス”とかは、さっきも言ったけど日本語
では逆に表現できないですよね。英語でスラング盛り込んで、あれはあ
れで面白いと思うんですよ。だから日本語で言うと、『馬鹿野郎!ふざ
けるんじゃねぇ!』みたいなことを、英語で表現してるみたいな。でも
英語だとそれなりに聴けるってことですよね。」
----確かに日本語にしちゃったら、レコ倫や会社の教育的指導で10ヶ所
は訂正させられる気がするなぁ。
Y「ああ。もうそうですね。」
----しかしこうして改めて詩人YOSHIKIの話を聞いてみると、世間では
誤解されてるけれども、YOSHIKIにとって詩とは非常に重要な表現手段だ
ってことを再確認したねぇ。
Y「結構皆が僕を捉えてくれるのって、メロディーとか作曲のことばかり
で、あまり作詞のこと訊いてくれないんですよ。質問されないから喋ら
ないだけで、実はデカイんですよね(笑)。デカイし、作曲と同じ、も
しくはそれ以上の時間を僕は割いてるっていうか。ポリシー持ってます
からね。」
----自分の人生を具体的に語ることを完全拒否してる以上は、詩で出す
しかないって気もするんだけど(笑)。
Y「はははは。そうですよね。詩はデカイな。詩から作品が出来ちゃう場
合もあるしなぁ。“ウィークエンド”の詩なんて好きだなぁ。」
----突然自分に酔っております。
Y「(笑)やめてよー。でも詩を書いて、それにメロディーつけちゃった
こともあるんですよ。その“ウィークエンド”で。」
----あれは詩が先なんだ?
「サビのね、『手首を流れる血をおまえの体に/絡みつけると一瞬のうち
に更みがえる記憶に視界を/閉ざされ笑いながら逃げていくおまえの姿
を/見つめる傷ついた俺が立っている』って部分。」
----詩が先にあってつけるメロディーと、メロディーが先で詩がくる場
合とでメロディーに差とか出る?
Y「うん、出るんですよ。だから“セイエニシング”もそうだけど、もっ
と単純なメロディーだったのに詩でちょっとメロディーが動いたりする
こととかあるから。」
----メロディーに詩を無理矢理当てはめてりしない、と。
Y「そう。『傷つけ合う言葉でも〜』のとことかそうですね。」
----それだけ詩を重視して、大切にしてるわけだ。
Y「そうです。さっきの『手首を流れる血を〜』なんて、あんなの一瞬詩
だけ見たら暗いメロディーが浮かんでくるでしょ?でも実は結構明るめ
なノリなんですよね。」
----前向きなメロディーだから変なんだよなぁ。
Y「そうですよね。それがでも刺さってくるんだなぁと思うけどね、僕
は。しかも自分に。」
アート・オブ・ライフ
ART OF LIFE

“永遠に血を流しつづける心の旅”・・・・・・・・・
それは決して終わらないだろう
――――アート・オブ・ライフ


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----未だ感性されない幻の曲になりつつありますね・・・。
Y「いや、今年中(92年)には絶対レコーディングしますよ。ただ今は契
約交渉とか新しいベーシスト募集とか、アメリカ進出の準備とかいろい
ろあってゴチャゴチャになってるけど、絶対完成させます。」
----そもそも“アートオブライフ”が生まれたのはいつ頃になるんです
かね。
Y「えーっと、最初に渋公でぶっ倒れた後(※89年11月22日/ライブ終了
後過労性神経循環無力症で倒れ、以降、年内のツアーがキャンセルされ
た)ですね。その時にサビの部分を作った。で、『あ、なんていいバラ
ードだろう』って自分で思ってた。」
----最初はバラードだったわけですか。
Y「そう。だと思ってた。で、ディレクターとかに聴かせても『うん、バ
ラードだね』って言ってたんだけど、『何か違うぞ』って思って。で、
いじくってるうちに、『これはきっと組曲だ』と思ったの。でまぁどん
どん作り始めたら組曲にしては長いぞってことになって――自分の中で
はアタマの前半部分しか作ってないのに、既に10分を遥かに超えてたと
いう。『これはちょっとおかしいぞ』って話になってきて、その時期に
少し詩も書き始めたの。そしたら何か、『大きいぞ、深いぞ』ってなっ
てきて。そのときいろいろ途方にくれたりして、今までの人生を振り返
ったり自分の実家に行ったりしてるうちに、『これはアートオブライフ
だ』と思ったわけですね・・・・・・以上(笑)。」
----(笑)照れてどうするんだよ。最初にあのサビのメロディーありき
なわけだ。
Y「そう」
----そのメロディーを作った時は、別に「自分の人生を音楽的に表現し
よう」なんて意図は無くて?
Y「うん。多分その大サビが、その全てを呼び起こしてしまったっていう
か。それで、バンド活動始めた頃の気持ちをまず思い浮かべて、その気
持ち気持ちをメロディーにしてみて――最初のインスト、ドラムが入る
前は『書こうかな?どうしようかな?』みたいな感じで(笑)。ドラム
が入るとこから始まった、みたいな感じですね。で、何故あんな長い楽
曲なのにリズムが速いかというと、自分の人生が速かったから。しかも
ドラマティックな展開だから、最初はミディアムとかスローで始めてい
こうと思ったんだけど、ディレクターも『アートオブライフだもん、違
うよ』と言うし。で、ミディアムがどんどんどんどんなくなってって。
やっぱり突っ走り続ければいいんじゃない?よし、とりあえず突っ走
れ!みたいな(笑)。」
----(笑)そんなハイスパートな人生のリズムに3回訪れる大サビが、ふ
と立ち止まって考え込むYOSHIKIの姿を表現してるわけだ?
Y「そうですね。あと倒れて動けなくなった自分の姿とか。個人的に一番
怖い部分は、ピアノパート後半で――どんどんピアノの旋律が滅茶苦茶
になってって。で一度正常に戻るんだけども、今度は凄い狂気となって
くるんですよ。つまり、ぐちゃぐちゃになって1回ハッと我に帰るんだけ
ど、そこで正常になったわけじゃなくて、実は気狂いになってるという
か、少し狂ってるんですよ。“究極の不協和音”で、和音を全部1度ぶつ
けちゃってて。そこに入ってくるヴァイオリン等のストリングスが、周
りの愛みたくその狂気を包み込み、フルオーケストラの弦がバーっと入
ってくる。もう葛藤で、周りから自分に向けられた愛と自分の中のカオ
スが完璧に衝突して、それが切れた瞬間にまた正常に戻ってくような―
―また走り出すわけです(笑)。」
----壮絶な紆余曲折を経て、また走り出すと。
Y「ええ。ピアノは最初は哀しみなんだけど、その哀しみをぶち壊そうと
してるうちに狂気の淵に――で最初はそこでこの曲を終えようと思った
んだけど、でもここで終わってしまったら・・・・・・怖い、やっぱり戻ろう
となって、『正気に戻ろう』って気持ちからもう一度入ってくる。」
----『JEALOUSY』の楽曲よりも、“アートオブライフ”の方が先に誕生
してるんだよねぇ?
Y「そう、“アートオブライフ”の方が先に出来た。」
----“アートオブライフ”を聴いてて私が思うのは、『JEALOUSY』の楽
曲に凄く影響を色濃く与えてるってことで。驚くほどに。
Y「うん、うん。作曲の後半、少し同時進行だったときもあるかもしれな
いけど――うん、受けてる受けてる。」

Y「このサビこのメロディーこの楽曲には、こういう意味合いの詩が欲し
いと。結構今までは幻想的なのとか非現実的なのが多かったんだけど、
それではこの楽曲を表現することは不可能だろう、と。あのねぇ、今ま
では醜いものを避けて、何でもかんでも美化しようとしてた、と。自分
が倒れたことに関しても何にしても『それが美だ』と言ってたけど、と
にかくこの曲に関しては美じゃないものを、憎しみを憎しみとして捉え
てみようってところにあると思う。だから今まで以上に一つ深く刺さっ
たところだっていうか。」
----前の単行本で半生インタビューをしたんだけれども、「自分にとっ
て衝撃的過ぎるから載せるのを中止して欲しい」というYOSHIKIからの提
案を受けて差し替えたじゃない?それだけ自分のこと語れないYOSHIKIだ
けに、この楽曲に逆にそれが影響してる部分もあるのではないかと。
Y「俺は評論家じゃないから、楽曲をバックボーンとかで捉えないのね。
その楽曲が出来るのにその過程はどうでもいいことであって、今存在す
る音事態を捉えたいのね。だから凄いカリスマ的なミュージシャンが作
った音であっても、その音が自分にとって何でもなければ、何の思い入
れもなしに聴いて全然良くないと思って、CD捨てちゃうと思うのね。例
えばどんな苦心して作ろうがその楽曲が全て、アーティストっていうの
は今現在が全てだっていう――これは自分の哲学なんだけど――今輝い
てなければ、過去に何があろうとアーティストじゃないっていう。だか
ら、バックボーンが邪魔だっていうか、『あの人はああいうことがあっ
て、こういうことがあって、この楽曲があるんだ』って思われるのがシ
ャクだっていう。もっと楽曲を純粋に聴いて欲しいと思う。」




Y「だから詩に対して自分が逃げてないっていうか・・・今までだったら、
『何故自由になれないんだ?』とか人に対しての問いかけがあったんだ
けど、今回は自分に対して、『自分で自分を殺してしまえ』とかさ、自
分を責めてる面が多かったり、結構自虐的だったり。あとふと思った感
情というか、いつもだったら使わない――その中には例えば、戦争に対
する『何故?』っていうのがあったりするし。政治的な方向にはいつも
走らないんだけど、でも本当に思ったことなんだからってことで入れた
し。『どうして殺しちゃうんだ?』っていうのも入ってるし、今まで以
上に広く深く捉えてるっていうか。」
Y「最初、彼は被害妄想にどんどんどんどん入っていくわけですよね、ど
んどん壁を作っていくわけですよね。で・・・・・・ずいぶん昔の話だから忘
れちゃったなぁ(笑)。まず苦しんでる自分と、客観的にそれを眺めて
る自分が出逢うところから始まるんですよ。そして、どうして自分は自
分自身を探さなきゃいけないのか、どうして探しながら傷ついていかな
きゃいけないんだろう、と。だけど、もうそうなってしまったんだから
戻れない、こんな人生はもう嫌だ――『すべてが夢なら俺を起こして/全
てが現実なら俺を殺して』・・・・・・いいなぁ。」
----自分に酔ってますか?(笑)
Y「(笑)それが最初の前書きですね。その被害妄想の自分が、どんどん
壁を作ってくんですね。その彼は、自分の行ってきたこと全てをマイナ
スに考えてるわけですよ、徹底的に加速度的にネガティブな方向に向か
ってくんですよね。時の流れとともに、本当の感情も削り取られていく
わけですよ。」
----何が本物なのか、ってことだよね。
Y「そうなんですよね。まさしくこの本の人格別インタビューにうってつ
けですよね(笑)。で、被害妄想に向かっていく彼の中から、更に極悪
な彼が現れるわけですね――被害妄想に向かう彼に破壊を勧める彼で
す。そんなにネガティブになりたいのなら全てネガティブに持ってい
け、みたいな。」
----所謂“黒いYOSHIKI”みたいなもんですか。
Y「そうそうそう。中途半端なことはしないで全部ぶっ壊しちゃえばいい
んだ、何もかも破壊してしまえ、と。被害妄想の自分から狂気の自分が
誕生したわけですよね。」
----狂気の自分が、被害妄想の自分をそそのかすわけですね。
Y「そうそう、そうなんです。で、その辺りから――あまりに危険な状態
になったときに――冷静な自分が現れるわけですよ。被害妄想に向かう
自分と、その自分を更に狂気に向かわせる自分を見つめ始める自分が出
てくるわけですね。そいつは完全にビビってるわけですよ。でね、ちょ
っと話はそれますけど――この詩を書いてる頃にちょうど戦争があっ
て、偶然ヒトラーの本とかも読んでたんですけど――例えば同じ人間に
生まれたのに、インド人は貧富の差が激しいと。食えない人は――俗に
言う乞食ですよね――乞食はお金をもらうために努力する。で、五体満
足の身体だとお金がもらえないっていうね、親が生まれた赤ん坊の手を
わざと切ってしまったりする。ポイントはですね、同じ人間に生まれた
のに最初から俺たちは何もそういう苦労はない、と。そういうとこに僕
は凄い『なんでなんだろう?』と感じて。当然、『何で殺しあうんだろ
う?』というのも凄く頭にあったんですよね。いつもは完全に自分だけ
が――悲劇のストーリーじゃないけど――入ってるんだけど、この詩の
中にはそういうのも実はいろいろ含まれてるんですよね。」
----人間全般に関する“アートオブライフ”であると。
Y「はい。僕はあまり反核とか好きじゃないんだけど、もっと深いところ
で、『憎悪に満ちた人形を殺し/彼らの血で体を流せ』なんてフレーズは
もう、イメージ的には昔のドイツの独裁者の感じですよ。そういう専制
主義者に対する、みたいなところでの反抗的な部分ですよね。」
----でもこの詩の中には、ファシストである自分も登場してるじゃん。
Y「いるんですけど、でもどっかで抵抗してるんですよね。『時流の河に
血まみれで飛び込み/子宮に向かって狂気を振り回せ』の“子宮”っての
は、“地球”なんですよね。地球よりも子宮のほうが僕は深いような気
がしたんですね。ケイト・ブッシュの発想じゃないですけども。彼女も
子宮にこだわりますよね。」
----人間の根源だからね。
Y「うん。で、このフレーズが好きなんですよ。『混乱を求めて悲鳴をあ
げろ/快楽を求めて血を流せ/そして愛を求めて・・・・・・』と自分で言った
瞬間に、『愛を求めて何なんだろう』って思ってるわけで。で、
『・・・・・・何をすればいい?』ってなっちゃうんですよね。」
----ずっと循環してるというか、袋小路なわけだ?
Y「そうそう。俺一回自分で図を描いたんだよなぁ。詩を書いてるうちに
混乱してきちゃったんですよ、あまりにも多量なんで。『この構造は一
体どうなってるんだろう?』って(笑)。」
----(笑)まさに“アートオブライフ”ですなぁ。
Y「そう。でまか、狂気の自分が出てきて破壊を勧めるんだけど、その狂
気の自分が今度は憎悪に対する破壊も始めてしまうという。憎悪ってい
うか、世間の汚さに対する破壊というか。そこで客観的な自分がどんど
ん出てくるんですよね。で、サビは基本的に客観的な自分が語ってるん
ですけど、でもその客観的な自分はあくまでも『俺はずっと生き続けた
い』って言ってるんですよ。でも、どんどんどんどん分裂してくるんで
すよね。でもねぇ、もう1人出てくるんですよ。」
----私が読んでて思ったのは、死に急ぐ自分と生き続けたい自分の対比
が一番わかりやすかったんですけれども。
Y「そうそう。1人はネガティブ、1人は生きていきたい欲望の中で混乱し
ていくわけですよ、『何なんだろう?』って。そうした状況でももう1人
の自分が出てきて。その自分は混乱してる自分に対して『おまえはこう
だろ、おまえはこうだろ』って言う。この時点で3人の自分がいたとした
ら、その3人の自分を一つの観点から見てるわけですよ、『結局おまえは
1人なんだ』って。第3者の自分」
----要は3者をコントロールする奴と捉えればいいですかね。
Y「多分ね。で、その自分はただ純粋に『臆病だ』って一言言ってるんで
すよ、『何が狂気だ、何がヴァイオレンスだ、何が混乱だ』って。それ
は『おまえは昨日の絵が描けずに/白紙の心を血で染めている』っていう
か、『何も否定できないまま/首にロープを巻かれ/時の歯車を回してい
る』っていう、結局おまえは流されているんだっていう。『モラルの煉
瓦を積み重ね/その隙間で息をしている/想像上の敵に追い詰められ/自殺
しようとしている』、そういうことなんですよね。『序章で満たされ/第
一章を黒く塗りつぶしている』――この文だけは違うな、自分が軽蔑し
てる人に対して言ってる部分だし・・・・・・。」
----自分で混乱してますなぁ。
Y「混乱してます。『おまえは人生の切れ端をつなぎ合わせて/安楽の場
を作っている』――これも違う、これは自分に言ってない。『舞台のそ
ででゆがんだ鐘を/鳴らしている』――これも自分に言ってない。で最後
の『おまえは俺を殺そうとしている』っていうのは、その時点で出てき
た自分ですから、一番客観的な自分が今度はYOSHIKIになったわけです
よ。結局は自殺しようとしてるんですけどどんどんどんどん分裂してま
すから、彼らに俺は殺される、結局おまえは俺を殺そうとしてるんだろ
うっていう、そういうことになってきちゃうんですよね。」
----つまり分裂すればするほど、本当の自分がどんどん追い詰められて
いくだけ的な状況ですか。
Y「もっと深いんです。おまえは殺そうとしてるだろうの“おまえ”とは
客観的に見てる自分から見た違う自分ですよね。今度はそこで闘いが始
まってしまうわけですよ。でもその時点で、彼も被害妄想を持ってきち
ゃうわけなんですよね。」
----その客観的な自分が?
Y「そう。最初に客観的なのが1人いたでしょ?自分でも混乱してくるん
だけど、それよりもっと大きな自分が見始めたわけですよ。それが更に
今度、その自分に対して敵意を抱いてしまうっていう。で、結局こいつ
もわかんなくなってしまうんですね。だけど、こいつが混乱し始めたと
きに、薔薇と出逢うんです。何もよくわからないけれど、とりあえず鼓
動は聞こえるし、花なり自然が息してる呼吸が聞こえてくるんだってい
う、そこに生きる価値を見出すわけですよね。自然に触れるわけです
よ、素朴で全然汚れてないところに。」
----混乱とは全く無縁なものに?
Y「そう。それがだから自分の心の鼓動だったり呼吸だったり。だからま
だ生きられるんじゃないかっていう。『まだ自分で自分を殺せない/まだ
薔薇の呼吸を/感じることができるから』っていう。でも“アートオブラ
イフ”のとりあえずの定義として、“永遠に血を流しつづける心の旅”
みたいな。それは決して終わらないだろうけど、っていう。
----混乱はしてるけど破壊はしてない、て感じかなぁ。
Y「そうですねぇ。僕は詩を書くのに時間かかりますけど、これは本当に
2〜3ヶ月かかったんですよね。全然妥協してないですよ。」
----そうした脈絡からいっても“アートオブライフ”っていうのはちょ
うどいい契機になると思うし、作品の内容自体も象徴しまくってると思
うよ。
Y「でも過去のものになっちゃうからねぇ、俺いつもねぇ。」
----(笑)ていうか、この楽曲の打ち込みデモテープを俺が聴いたのが
確か一昨年(90年)の夏だもんなぁ。ドラムだけ本チャンのテープ聴い
たのも、去年の夏頃だったと思うし――これだけ間隔が空いちゃうと
「曲を少し作り直したい」とか「今から思うとちょっと違うかなぁ」と
かって気持ちになったりしてるんじゃないの?もしかしたら。
Y「いや、今んとこないっていうか。あまり聴かないようにしてるんだけ
ど。聴くとアレンジしたくなるっていうのは、もう絶対だから。でもた
まにちょこっと聴いて『うん、いいなぁ』って思うというか。でも確か
に現在の時点で“アートオブライフ”作ったら、内容的にもちょっと違
うと思うんだけど、あれはあれであの時点の俺が本当に上手く表されて
るっていう。本当に長くて無駄のない(笑)。」
----いやぁ、楽曲自体の完成度は高いよ。30分ぐらいある大作っていう
のは、大体誰がやってもつまんないもので――妙に実験的な方向に走っ
たり、凝り過ぎてやたら複雑な構成に陥ったり。YOSHIKIの場合は必殺技
のメロディーがあるからね。これだけ下世話なメロディーを堂々と全編
に配した長編曲なんて、聴いたことないからさぁ(笑)。
Y「(笑)」
----「何故、自分は生きているのか?」っていう命題があって。結果的
にその回答は得られてないんだけれども、その過程が表現として成立し
得る楽曲――“アートオブライフ”を最も端的に表現すればこういうこ
とだよね?
Y「うん、そうそう。」
----さっき“アートオブライフ”の分派が『JEALOUSY』の楽曲にあるっ
て話をしたけれど、この超混沌とした詩も流れがあるよね。“サイレン
トジェラシー”の中間部と“セイエニシング”の終わりに各々フューチ
ャーされてた、YOSHIKIのナレーションなんかその顕著なとこじゃないで
すか?そう考えて間違いはないよねぇ。
Y「多分この詩を読んでもらえれば、何故“セイエニシング”の最後にあ
あいうことを言ったのかとか、“サイレントジェラシー”の意図はこう
だったとか、今までのアルバムをひっくるめて、俺の詩に対する疑問点
が多少なりとも分かるだろうっていう感じですね。」
----まず心の琴線が切れる瞬間のような“Es Durのピアノ線”を受けて
『JEALOUSY』の幕開けを飾る“サイレントジェラシー”のナレーション
だけれども。
Y「あのナレーションは、目の前にいる本人に語りかけてる、みたいな。
手紙的でもあるのかな――『ただ一緒に居たかっただけ、ただ貴女の空
気を感じていたかっただけ』と。『だけどどうしていいのかわからなか
った、何も言えなかった』と。そして今も勿論。で、その怒涛から目醒
めたときに・・・そう、『全ては“時の流れ”に流されてしまった』と。だ
けど『深く残った心の傷は決して色褪せない』。だから・・・『記憶を消し
て愛を止めてくれ』って感じですね。つまり、『想い出を殺してくれ』
みたいな。」
----一見、ラブソングのようなシチュエーションだけど、結局「時の流
れ」によって変質してしまう自分の虚無がテーマだよねぇ。“アートオ
ブライフ”に登場する「自分」の1人に、間違いなくダブるんだよねぇ。
Y「そうですね・・・・・・なんていうのかな、凄い綺麗な世界なんだけれど、
途中で突然カオスの世界に入って――本当はもっと混沌とさせたかった
んだけど、自粛して抑えました。音はね――そのカオスの中からピアノ
のフレーズが入ってくるでしょ?あれが好きなんですよね。その通り
“アートオブライフ”を彷彿とさせる展開なんだけれども。でもピアノ
があれだけツーバスの中に溶け込むのって不思議でしょ?」
----確かに。あれだよね“アートオブライフ”の「美しバージョン」と
いうノリだよね。
Y「そうだと思います。」
----“セイエニシング”のナレーションの方も――。
Y「“セイエニシング”は・・・・・・。“時の流れ”は全てを変えてしまうん
ですよ。『時が経てば全ては美しい想い出になる、それを俺は信じてい
る』と。『全てのものが新しく進み始め、メロディーは美しく奏でられ
始める』と。『そしてジェラシーは物語の1ページを飾ってしまう、そ
こに閉じ込められてしまう』と。で、『だけど心はまだカオスの中にい
る、未だに。そして・・・・・・』で終わっちゃうんだけど。」
----まさにアートオブライフへの誘い、序章だよね。結局『JEALOUSY』
は“セイエニシング”で幕を閉じてはいるけれども、混沌としたままな
んだよねぇ。カオスのまんまなんだよねぇ。そうした意味でいうと“ア
ートオブライフ”が完成しない限り『JEALOUSY』も完結しないと思うん
だ。
Y「そうなんですよね。こうやって考えちゃうとやっぱり“アートオブラ
イフ”は『JEALOUSY』に入れたかったな、と改めて思っちゃう。だから
『JEALOUSY』を聞いた後に必ず聴いて欲しい。『JEALOUSY』の感動をそ
のまま持ちつづけていたら、聴いたときに初めてそこで・・・・・・泣いても
らえるんじゃないかと。怖がってもらえるんじゃないかと。“アートオ
ブライフ”だけでも世界に入っていけるけど、多分ショッキングだと思
うから、アレをいきなり聴くのは。準備して聴かないととっても怖いと
思う。『JEALOUSY』が人の心に触れるとしたら、“アートオブライフ”
は捕まえるからね。人が心を掴み困れる曲だからね。」




Y「瞬間の美学は衰えてないですよ。今の状況を全て破壊するぐらいのメ
ロディーなり楽曲がもし登場したとしたら、スッパーンと行くかもしれ
ないし。だから、衰えてないっていうか。」




----実際問題として、この“アートオブライフ”って内容から言って
も、Xじゃなくてソロ名義でも全然不思議じゃない類の作品で。その辺は
どうなんですか。
Y「ずーっと悩んでました。結局アレンジも98%くらいまで自分ひとりで
やっちゃったんで、Xでやらなくてもいいのかな?って思ってたんだけ
ど。思ってたというか、そういう時期もあったし。今でもちょっと混乱
してるときもあるけど、『Xで出すべきものあのか?』っていう。でも、
作曲のtおきに、やっぱりXでやるっていう前提で作ったから。」
----Xの構造を踏まえて作られた曲だよね、今聴くと。
Y「ある程度ね。凄く奇抜な面もあるけど、Xに当てはめてXの枠の中で作
ったところあるから、やぱりそれがいいんじゃないかなっていう。」
----逆に、YOSHIKIのソロ名義の“アートオブライフ”を聴いてみたい
って興味もあるんですけども。それはそれでかなり面白いんじゃない
か、と勝手に面白がってる私だけど。
Y「でもさっきも言ったけど、作品が出来上がって1年以上経ってるん
で。今の俺はまた少し違ったところに来てるから。」
----毎年毎年変化した“アートオブライフ”が登場するのも面白いけど
ね。
Y「うん。だからそうなんです。“アートオブライフ”第一章なんですよ
ね。エンディング聴いてもらえればわかるけど、最後♪ジャーン!で終
わらないでフッと終わっちゃうでしょ?まるで突然消えるかのように。」
----そうそう。未だ“アートオブライフ”完結せず、トゥービーコンテ
ィニュードみたいな。
「そう、その通りなんですよね。第一章に過ぎないし。でまぁ、一つの
区切りだったりするわけですよね。自分の中で」
NUDE 初回特典CDS
MESSAGE from YOSHIKI


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YOSHIKIです、久しぶりです。
今、俺もこの本を読みました。
本当にいろんなことがありました。
すべてのことが夢だったような、
すべてのことが真実を越えた夢だったような、
そんな気がします。
時が経てばすべてが美しい思い出に。
そんな自分の書いた詞が
今、自分自身を包みこもうとしています。
今でも自分が何なのか、
自分が何をしてきたのか、
そして、どこに行こうとしているのか、
まだその答えは見つかりません。
ただひとつ分かっているのは、
今、俺は生きているっていうことです。
いろんな壁にぶち当たり、
そして、それを乗り越えようとしてきました。
モラルの壁、時の壁、ジャンルの壁、
自分自身の壁。そしてX。
でも、俺は今を生きています。
そして、Xも今を生きています。
必ず復活します。
どんなに厚い壁も、
どんなに高い壁も、
必ず乗り越えます。
今言えるのはそれだけです。
今まで応援してくれたみんなへ・・・
本当にありがとう。
また新たに出会える日を楽しみにしています。
YOSHIKI インタビュー in LA(1995)
〜DAHLIA TOURに向けて〜

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YOSHIKI「そろそろインタビューを受け始めようかと思っているんです
よ。“その時期が来た”と思うから…。」
――ということは、いよいよ?
YOSHIKI「(微笑みながらうなずく)でもね、その最初のインタビュー
は、日本で僕達をずっと支えてくれて、待ち続けてくれているファンの
みんなに向けて、つまりX-PRESSで語るのが筋だろうと思ったんです。メ
ンバーの中でも、僕だけがソロワークを出していないでしょ。それでイ
ンタビューとか、ソロツアーとかでみんなに会うことができなかったか
ら、その時期が来たと感じる今は、時間が許す限りX-PRESSのインタビュ
ーには最優先で応えたいと思ってます。だから、もしも来月またロスに
来てくれるなら、もっと具体的なことをお話しますよ(笑)。」
――ありがとうございます。もちろん、来ます。それでは、いきなり具
体的な質問なんですが、アルバムの方はどのくらい進んでいるんです?
YOSHIKI「実際の進行で言えば70%くらいでしょうね。ただ、自分の中で
は曲からイメージから歌詞まで、かなりはっきりしたものがすでにあり
ますから、僕の中ではもう80%くらいのところまで来てますね。Xのアル
バムと、それからソロの両方ともにね。」
――え、ソロも?
YOSHIKI「ええ、ソロというか…プロジェクトというか、別にプロジェク
ト名もあるんだけど…、その辺はまだ秘密(笑)。」
――ソロプロジェクトのほうはどういうコンセプトなんですか?
YOSHIKI「と言うかね、自分の気持ちの中では、ソロとかXとか、敢えて
分けないようにしようと思っているんです。結局、全部自分から出てく
るものですからね。ただ、やっぱり嘘は書けないし、つくり飾ったもの
はほんとに作り飾られたものでしかない。そういうものは人に伝わらな
いでしょ。だからやはり、自分の心から出てくるものを曲にしますよ
ね。そのには制限なんて全然ない。でも逆に、それをXの曲にする場合に
は制限がいっぱい出てくるんです。まぞTOSHIの声があるでしょ。そこで
音域が決まってくるし、バンド形態という上での制限もある。だからXは
「どこまではみ出られるんだろう」という挑戦でもあるんですけど…。
強いて言えば、ソロのほうは、もっと自由なんです。でも曲を作ってる
ときにはどこで使うかなんて全く考えてないから、出来上がったものを
後からセレクトしていくというパターンが多いですね。だから、Xがあっ
て、ソロがあって、あとそれらとはまた別のクラシカルなもの、その3つ
があれば僕はどこにでも行けちゃうんですよ、自分の行きたいところに
(笑)。やっぱり、一度聞いてもらったほうが解りやすいですよ
ね…。」
――つまり、自分を探し続けた?
YOSHIKI「そうですね。でも、こうして言葉にすると、すんなり来たよう
に感じるけど、だけど実際は、そこに行くまでには何度も混乱があっ
て、そういう自分への説得というか、一回自分を捨ててからの、再確認
ですよね。でも、やっとそれが解かったという意味でも、この3年間の完
全に情報を切り離したロスでの生活は、本当に辛かったけど正解だった
と思うし、まだ試行錯誤を繰り返してはいるけど、すごい自信になって
ます。」
――いろんなこと総てがこの3年間に還ってくる感じですね。
YOSHIKI「いろいろ言われましたからね。「何やってるんだ?」とか、
「一言くらいファンになんかいえないのか」とか、僕もね、そういう声
が聞こえてないわけじゃないんです。でも僕はXのリーダーとして、こち
らのミュージシャンとの交流とか法律のことからマネージメントのこと
まで、表にでないそういうことを自分で率先してやってきました。この3
年間、実践しなきゃいけないことが山ほどあって、ほんとに自分のでき
る限りのことをしましたからね…。まぁ確かに長い3年間だったけど、で
も、その中でも自分では『もっと時間がほしい、もっとほしい』って、
いつも思ってた3年間でしたよ。その上で音楽に集中していましたから。
もしそれで、みんなに忘れられちゃったなら、それはそれでもいいって
いう覚悟で、そこでも自分を捨てたんです。だって、インタビューを受
けて、「今やってます」って言う次官があるんだったら、実際にスタジ
オで作業をやっていたほうが正直だと思うし、次に胸を張って出ていく
ときのために、いろんな勉強もしたかったから、英語を習って、バイオ
リンを習って、ジャズピアノを習って、オーケストレイションの勉強も
しました。やっぱり次のステップに行こうとしたときに何かを引きずっ
てちゃいけないんですよ、ほんとに。守るものがあったら次に行けない
ですよ。本当に何かをしようと思ったら、全て捨てていかないと…。」
――そういう精神的な強さっていうのは、この3年間どうやって維持して
いたんですか?
YOSHIKI「やっぱりね、常に混乱はありますよ。あるんだけど、その中で
も、いつも自分に問い質してましたね。自分は間違ってないかどうかを
自分に問い質して、それで間違ってないと思えば、周りがどう見ようと、
たとえそれで一度自分を捨てることになろうと、そのときの自分に正直
になればいいんじゃないかなって思ってた。本当に自分に自信のあるも
のを作っていれば、それを発表するときに出す自分のパワーは半端じゃ
ないと思うし、その自信があったから、人から何を言われても黙ってや
ってこれたんだと思う。「いつ帰ってくるの?そろそろヤバイよ」と
か、正直に言うと、そういうプレッシャーが一番辛かった。でも、自分
が間違ってないと思っていれば、“ヤバくても全然いいよ、どうせなら
俺のこと忘れちゃってくれない”ってそういう気持ちにもなれるんで
す。でもその代わり、“今度出ていくときには否が応でも思い出させる
から”ってずっと思ってたけどね(笑)。まぁXに関して言えば、ここで
僕が喋らなくても、8月からたたみかけるように作品が出ますからね、そ
れで解かってもらえると思いますよ。」
――え?今のところ聞いているのは、「Longing〜跡切れたメロディー
〜」が8月1日で「切望の夜」が9月1日発売というこの2作なんですけど。
YOSHIKI「(いたずらっぽい微笑みを浮かべて)多分ねぇ、8月から来年
にかけて、かなり新譜が出るんじゃないですかね。」
――本当ですか!
YOSHIKI「はい。もうレコーディングが終わっているものもありますか
ら。」
――じゃあアルバムの収録予定曲はすべて出揃っているんですね?
YOSHIKI「あと1曲だけ、どうしようか迷っている曲があるんですけど、
もうほぼ揃っています。だって考えてみてくださいよ。X最優先でやって
きた僕の別プロジェクトがあそこまでになっているということを。Xのア
ルバム構成が見えて、完璧な自信がもてなかったら、ソロに進めないじ
ゃない。だからXの方はね、もう来年を含めて、いろんなこと全部が頭の
中にできあがってます。あとはそれを実行に移すだけ。Xは、いろんなこ
と考えてますから楽しいですよ。多分、このX-PRESSで全国ツアーのスケ
ジュールが発表されるんじゃないかな。
――うわぁ!全国ツアー!?
YOSHIKI「アリーナツアーですけど、北海道から九州まで入ってますよ。
――じゃあソロプロジェクトのほうは?
YOSHIKI「そうだなぁ…それも年内には始まります。ただし、音源を聴く
機会はあるけど、リリースものはないと思います。
――なんか謎めいてますね(笑)。
YOSHIKI「なにかね、そういう構想を、自分の中で膨らませてる段階が一
番楽しいですからね。頭の中でいっぱい考えていたことが、ひとつづつ
実現していくんだと思うだけで気持ちがゾクゾクしてくるんです。
――つまり、“詳しくは次号で”ということですか(笑)。
YOSHIKI「そうですね。次ではもっと踏み込んだ話ができると思いますけ
ど、最後にもう一言付け加えるなら、今は何も怖いものがないっていう
ことですね。また日本に戻れば、多分いろんなメディアに晒されると思
うんですよ。でも、自分を信じていれさえすれば、ひとりの人間として
の自分を曝け出すことなんて怖くもなんともないんです。そういう意味
では、日本にいた頃よりずっと野生化した気がする。この3年間、自分に
対しても誰に対しても後ろめたい発言なり行動なりはしてこなかったし、
片手間でやったことなんて何ひとつないですからね。音楽を作る上で自
分なりに自分に対して筋を通してきた結果を、もうすぐ出します。だか
ら、これからの何ヶ月かの間に、俺が命張ってきたXの凄さ、そして、ソ
ロの意味とはどういうものかその両方の答えを見せようと思います。」
YOSHIKI インタビュー in LA(1995)
〜DAHLIA TOURに向けて〜

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――LongingのCM撮影もデヴィッドリンチ監督ですよね?
YOSHIKI「そうです。あれは第4弾まであるんです。それは全てストーリ
ー的につながっていて、つまり全部で4ストーリーあるんですよ。ただ
ね、別にセンセーショナルを狙ったものではないんです。自分ではやっ
ぱり、もっとアーティスティックな面と、今の自分の心を表現して、こ
れから動き出すという意味をこめたものなんです。確かにあれは「Longing
〜跡切れたメロディー〜」のコマーシャルでありCMなんだけど、僕の考
え方としては、それがバックグラウンド・ミュージックに使われている
だけで要するにこれからの動きに対する映像的なスタートなんです。」
――デヴィッドリンチ監督を起用した敬意と言うか、そのキッカケみた
いなことを教えていただけますか?
YOSHIKI「どこから話せばいいんだろう…。もともとは「Longing〜切望
の夜〜」から始まったんですよ。あの作品を作ったときに『ビデオを撮
ろうか』という話になって、でもそのときに、「もし俺のイメージで撮
るんだったら、それを映像で表現できるのはデヴィッドリンチくらいし
かいないんじゃないの」っていう話をしてたんです。僕、彼の作品の「ブ
ルーベルベット」がすごく好きだったんで。そうしたら、たまたまコネ
クションがあって、そこを通じて音と資料を送ったところ、彼が気に入
ってくれてたということかな。そのときに彼は「切望の夜」から受けた
イメージを彼なりに拡げた絵コンテまで作って、ウチのスタジオに来て
くれたんです。」
――リンチ監督の第一印象は?
YOSHIKI「とっても紳士的。でもね、自分の作品をエディティングしてい
るときは、レコーディングスタジオにいる僕と同じような雰囲気ですよ
(笑)。」
――それにしても、決定から実行まで、驚くほど早い展開ですよね。
YOSHIKI「そうですね。ただ最近思うのはね、今回の撮影にしてもそうだ
けど、物事はどんどん進めていって、それを進めつつ、その場その場の
ヒラメキで瞬間的に計画を変えていくっていうのかな…。もちろん、ス
タッフは大変なんですけど、僕はそれで行くことにしたんです。正直言
って、今は自分の中でもいろいろ混乱してます。レコーディングもまだ
終わっていないですしね。なのに僕は、“もう動き出すべき時期だ!”
と思ってたんですよ。だから、こうやって動いているんです。“もう動
いていけばいい”って。それで、その都度その都度、毎回毎回ヒラメキ
で、それに集中してます。僕はそれらを一週間なり10日以内に必ず実現
させていっています。だから、これから先の具体的なことに関しては、
本当にもう“どうにでもなれ”なんですよ(笑)。」
――今回の撮影は「Longing〜切望の夜〜」のためのものだということで
すが、CD発売が延びましたよね。『ポジティブな混乱があった』と電話
では話してくれましたけど、それもヒラメキ?
YOSHIKI「その理由は、いろいろあるんですけど…、一時はもう、曲自体
を捨てちゃおうかと思った。待ってくれていたファンの人たちには本当
に申し訳ないけど…、もう永遠に出さなくてもいいと思った。だからま
ぁ、多分世の中から見ると「YOSHIKIがまた、すごいワガママ言ってる」
と思われるんだろうけど(笑)、ちゃんとした正当なところでは、僕の
ほうが正しいんだと思う。でもそれは、契約の問題とかも絡んできて、
一言では説明できないんです。だからとりあえず、僕のワガママってい
うことでいいんです。その他にも、僕には責任がいっぱいありますか
ら。メンバーのひとりが起こしてしまったことも全部僕の責任ですか
ら、Xのリーダーとして、僕はそういうつもりでいますから。何があろう
と僕は逃げないですから。」
――でもそういう責任というのは一人で背負うには重過ぎませんか?
YOSHIKI「でも、僕から責任感を取ったら何が残りますか?ただのワガマ
マになっちゃうじゃないですか(笑)。そういうことなんですよ。」
――でも、どんな問題が起こっても、それを言わずに、表からは見えな
いところでそれに立ち向かっているわけでしょ。でも、ハタからは、た
いがいのことが“YOSHIKIのワガママで遅れてる”と言われてるじゃない
ですか。
YOSHIKI「いいじゃないですか、別になんと言われようと、僕なんかワガ
ママでいし、ワガママっていうイメージも別に嫌いじゃないですから
(笑)。もともとね、そんなに真面目なアーティストじゃないですから
(笑)。」
――でも、今のXにはいろんな人が関わっていて、その人たちも責任をと
りたくないとき、みんながエクスキューズに使うのは『いや、実は
YOSHIKIが…』って。
YOSHIKI「そうでしょうね。でも、いいんじゃないですか。もう全部僕が
引き受けましょう(笑)。ただね、ひとつだけ言いたいのは、今回のCM
なり、「跡切れたメロディー」、「切望の夜」、全部が今、これから
のスタートポイントなんです。僕たちはこれから本当に動き出します。
自分の中には、次の次の次くらいまでの計画があって、今後のXのリリー
ススケジュールも含めて、いろんなことがほぼ決まってるんですけど
も…(しばらく沈黙)、レコード会社含め、それを決定する局面では
“YOSHIKIの勘を信じる”ってことで、最終的に意見がまとまったんで
す、だからもう解かったんです、自分の中で。これは悪い意味じゃなく、
“どうにでもなれ”です(笑)。これはメンバー会議を開いて決めたん
ですけど……もう解かったんです、“アルバムを出さなくても、ツアー
やればいいじゃない”って。」
――えっ、ちょっと待ってください。
YOSHIKI「俺がそう言ったら、みんなも同じように『ちょっと待ってく
れ』って、やっぱり言いましたよ(笑)。『YOSHIKI、ちょっとわかんな
い』って。でも、「そうでしょ、わかんないでしょ。そうやって“わか
んない”って言われることが、俺は素晴らしいと思う。みんなが解かる
ようなことはやりたくない」って言ったんです。俺がそう言ったときに
全員が疑問を思ったからこそ、そのとき、“じゃあこれでいいんだ。思
ったとおりにやろう”と思ったんです。」
――先頃大々的に発表されたツアータイトルは「DAHLIAツアー 1995−
1996」で、アルバムタイトルも『DAHLIA』という仮題になってますよ
ね。
YOSHIKI「仮題じゃないですよ、もう。」
――決定?
YOSHIKI「決定したのはもうだいぶ前、まぁ、去年の終わりくらいには、
決定してました。」
――ということは、ツアーの前にそのアルバムは…。
YOSHIKI「出さないです。“それ、ちょっとおかしいんじゃない?”って
言われた瞬間に「でしょ」って(笑)、それで決定ですよ。もちろん僕
だって、この世界に何年かいるわけだから常識はわかってます(笑)。
普通は、もう完璧な図があるわけですよ。アルバムの前にまずシングル
が1枚か2枚出て、アルバムが出て、それでツアーがスタートすると。
でも“だから何なの?”って思うんです。“それで一体何が面白いの?”
って。別に、面白いつまらないの問題じゃないけど、何かね、ただの決
まりと言うか、人のよくやることの焼き直しをやるんじゃなく、そうい
うのを一切取っ払っちゃえばいいんですよ。なんか…そういう…型には
まったことばかり考えてるのが馬鹿らしくなってきたんです。何もかも
が逆でもいい。ツアーがあって、それからアルバムが出てもいいじゃな
いですか。まぁマネージメント的な立場で言えば、経済的には辛いです
けど…。っでも、僕は今ファンのみんなに会いたい。だから動きだすん
です。今僕が関わっていることなり、今の僕の勘というものに対して、
その全てをひっくるめて、僕には絶対の自信があります。Xを始めたと
き、『Jealousy』を出したとき、それから、いろんなときに自信があっ
たように、自信があります。もちろん、一日も早くアルバムを終わらせ
ようと思って、レコーディングには全力を尽くしています。それは、本
当に真剣に取り組んでいます。」
――なるほど、逆に、ツアーを回って、ファンの人たちからいろんな感
情を受け取って、それが作品に反映されることもいっぱいあるでしょう
からね。
YOSHIKI「うん、いっぱいあるでしょうし、もうほんとに“どうにでもな
れ”ですよ(笑)。」
――でも、その“どうにでもなれ”って、すごくポジティブな“どうに
でもなれ”なんですよね(笑)?
YOSHIKI「自信がありますから。今の自分のコンセプトは“メチャクチ
ャ”です(笑)。“メチャクチャ”というコンセプトです。もちろんメ
チャクチャの中に、自分の中ですごく計算されたことも入るとは思いま
すけど、基本的には誰も読めないでしょうね、僕がこれからやること
は。だって自分でもよく解かってないですから(笑)。ただ僕自身はも
う絶好調です。」
――見るからにハイテンションですもんね(笑)。
YOSHIKI「そうですね…、しかも、説明不可能なハイテンション(笑)、
根拠のないハイテンション(笑)。」
――じゃあつまり、この先、本当に何が起きるかわからないという、い
つものXの、スリリングな展開が…。
YOSHIKI「そうですね。でもこれだけは言えます。今まで日本で僕達を支
えてくれたファンの人たちのことを、僕は決して裏切れません。だか
ら、そのための“どうにでもなれ”なんです。もう動き出します。しば
らくはいろんなところに出まくりますよ。」
――日本に帰ったらテレビやラジオをはじめ、いろんなところに出まく
る?
YOSHIKI「はい、まぁ“出まくる”までは行かないけど、まぁ“出ま
く…”ぐらいですね(笑)。そういうこともかなり決まってくると思い
ます。でも要するにね、“X復活”っていって、ツアーのために日本に4
ヶ月も5ヶ月もいました、それえまたいなくなっちゃいましたっていっ
たら、“一体何なんですか?”ってことになるでしょ。僕は3年間、基
本的には沈黙してましたよね。その間本当に辛かったし、孤独でした。
その中で僕が3年間考えていたこと、自分の中で葛藤してたことを、僕
が表に出ようと思ってきた時期に、“苦しんでる姿も何もかも正直にブ
チまけちゃえばいいじゃないか”と、そう思ったんです。“裸のまま、
ありのままを見せればそれでいいじゃない”って。良いも悪いもみんな
含めてYOSHIKIですから(笑)。」
YOSHIKI「何曲かは英語でも書いてるわけですけど、やっぱりそのレコー
ディングでは、すごい苦戦をするわけですよ。音的なことや楽曲に関係
ないところでの苦戦ですからね。まぁ、そこがちょっと、自分の中でも
悩んでいるところですが。
――英語に比重を置くべきかどうかという点で、自分の中に葛藤がある
と?
YOSHIKI「世界発売を考えるんであれば、それを含めたところで考えてい
きますし、最近、自分の中では葛藤のほうが早いんです。早いという
か、そのほうが、自分の中ではニュアンス的にもうまく行くんですよ。
でも歌いこなせない。そういう壁にぶちあたってますね。今やってる作
業も、ヴォーカルの手直しなんです。TOSHIが何回か歌ったテイクを、そ
れを僕が一週間くらいかけて、単語の発音や微妙なニュアンスを機械で
直してるんです。ひとつの単語の発音を直すのに3時間くらいあかると
きもあれば、丸一日以上かかるときもあるんです。」
――TOSHIさん自身はそこには?
YOSHIKI「いないです。TOSHIは数テイク歌って上がってもらって、その
あとは、僕とエンジニアの作業ですから。その間、ツアーのリハーサル
的なことは、今はHIDEが率先して進めてくれてます。だから僕はHIDEと
話し合っていて、彼がライブの一応の指揮を取って、で俺のほうはレコ
ーディングの状況をギリギリまで進めてるっていうところですね。」
――では、YOSHIKI自身のステージイメージとか、そういうのはまだ…。
YOSHIKI「日本に帰ってから考えますけど、多分、すごく直前…、ツアー
が近くなってからじゃないと帰れないと思うんで。まぁツアー中に考え
ていくっていうことになるかも知れないですね(笑)。だから、変わっ
ていくでしょうね。いろんなものが、でも今は自分自身に自信がありま
すんで、別に何も怖くないんです。」
――でも、いつもながら、すごい進行になってますよね。
YOSHIKI「そうですね。僕はツアーをやりながらでも、あくまでもレコー
ディングの状況を止めたくないんで。」
――そうすると、長いツアーの途中でロスに帰ったりすることも?
YOSHIKI「帰るつもりです。一週間以上あいてたら必ずレコーディングの
ためにロスに帰るつもりです。」
――久々のツアーですから、意気込みとかも、どんどん高まってくるん
じゃないですか?
YOSHIKI「まぁ、久々というか…なんていうのかな、いつでも一本一本が
大変ですからね(笑)。今まず思うのは怪我したくないなと(笑)。怪
我したくない、倒れたくない、それだけ、それをまず無事に乗り切って
くれれば。」
――ソロのほうもXと平行して進んでる?
YOSHIKI「今のところは、すごくXになっちゃってます。でも、それでソ
ロが遅れてるからって行っても、アセリはないし…、さっきも言ったよ
うな、うまく根拠が説明できない自信が、ほんとに地面からずっとわい
てきてる感じなんです。だから、気持ちはとっても破壊的かもしれない
(笑)。うん、そんなかんじかな。この3年間、僕は黙ってましたから
ね。そこでいろんなことがあったけど、黙ってましたから…。でも、出
て行くときのエネルギーも、僕の中では全く下降していってなかったん
です。ものすごく混乱していて、自分でも“ギリギリのところだなぁ”
と思ったこともあったけど、もう…そういう全部のプレッシャーを、ひ
とつのところに入れて、グチャグチャにしたところで、すごい自信とエ
ネルギーが沸いてきているのが、今の時期なんですよ。だから、見てい
てください。ファンのみんなとももうすぐツアーで会えると思うけど、
ポジティブで、前向きで、その前向きさが、さらに前に出てきちゃって
ますから。」
――じゃあ、帰国したら、そのハイテンションをいよいよ外に向けるわ
けですね?
YOSHIKI「そうですね。今回自分の中では、何をどうプランしていこうと
いうよりも、僕の気分次第というか(笑)、その場に俺がいるってい
う、存在っていうのか、なんて言うんだろう…。なんにも考えてないあ
りのままの裸の自分なんですよ。それは自分の夢に向かってる自分なん
ですよ。つまりね、自分の中には自分の夢があるわけですよね。それはX
を含めてなのかもしれないし、含めないものなのかもしれないけど、自
分の中に夢があるわけです。その夢が100マイル先にあるとしましょう。
だったら、今の自分の生き方っていうのは、一日100メートルでもいい
し、10メートルでもいいし、1センチでもいいし、最低1ミリでもいいか
ら、その夢に近づいていくっていう日々を送ってるわけです。だから1ミ
リでもいいんです、そこに近づくことが出来れば。はい、それが1キロ進
んだなんていったら、もううれしくてしょうがないわけですよ。」
――その夢のためには全部の責任を背負って、自分が犠牲になるところ
は犠牲になってという…。
YOSHIKI「だって、僕はその夢に近づくことが全てですから。何があって
も、1ミリでも自分が進ませてもらうんであれば、何にでも耐えます。自
分が歩いてきた道は、絶対に戻らないですから。たとえ1ミリでも戻りた
くないですから。」
v――そういう状況にはすごい精神力が必要ですよね。普通はみんな、結
果を早く求めたがるじゃないですか。
YOSHIKI「まぁ早く求められたら、僕もうれしいですけどね(笑)。」
――逆にほんとは100マイル先の目標に向かってるんだけど、結果が早く
ほしいものだから、目標を1マイル先にすり替えてしまったりとか、精
神力が弱いと、自分をごまかしてしまいがちなんですけどね。
YOSHIKI「それは絶対にないです。俺の目標は100マイル先なんです。そ
んな甘いものを僕は考えてないですから。でも、誰でもみんなそうなん
じゃないですか。ただそれが、受験勉強であったり、スポーツであった
りするだけでみんな、なにか目標があって、それに向かって進んでいっ
てるんじゃないでしょうか。ただその目標がどこにあるのか、それをど
れだけ先におくのか、どれだけ近くに置くかということなんでしょうね。
あまり遠くに置きすぎちゃうと、多分、その目標が遠すぎて見えなくな
ってしまうから、違う道に行ってしまうこともあるんだろうけど、僕は
いつもいつもそれを近いところに置きつつ、一個一個確実にやってきた
と思うんです。100マイルの目標があったら、それを1マイルずつに区切
って、その100段階ごとに、ゴールを見つめてきたんですけど、僕は今そ
れを100マイル先に置いたんです

――その目標に行き着くまでは結果を求めないと?
YOSHIKI「はい。」
――ツアーを前に、それを楽しみにしていたファンの方々に一言。
YOSHIKI「待たせて悪かったという気持ちもありますし、だからといっ
て、何が出来上がっているわけでもないけど…。もちろん、待ってくれ
ている人にはとても感謝してますし、今度こうしてコンサートで会える
ことを楽しみにしています。だけど、変な意味で媚を売りたくないとい
うか、あくまでも自分の思ったとおりに、自分のやりたいようにやって
いきます。なんていうのかな…、やっぱり、ファンの人たちとも対等な
立場でいたいですからね。」
――うん、そのほうがいいと思います。
YOSHIKI「まぁ、ステージを歩くときは、今度から下を見て、気をつけて
歩きますけど、もう落ちないように(笑)。」
――帰ったら、また、いろんなことが起こるんでしょうね。
YOSHIKI「そうですね。だから、100%計算されたものと、全く計算され
てないものとの融合のステージになるといいですね。ま、それ自体が矛
盾してるんだけど、それはもうしょうがないですからね(笑)。ただ僕
が今約束できるのは、自分に自信があること、そして、それに対して精
一杯生きていくことですから、この人生を見たい人は見てくれればいい
という気持ちですね。」
セブンイレブンCFについて


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僕が米国に住むようになって既に8年が経ちます。ロサンジェルスとニュ
ーヨークに拠点を置いて活動していますが、音楽の世界においても、こ
の数年のインターネットをはじめとするIT産業の急激な発展や、また、
それらが及ぼすさまざまな変化を、肌身で感じています。かつて鈴木会
長がおっしゃった「量は質を凌駕できない、質を追及した時、はじめて
量が生まれる」の言葉どおり、これからの企業はその運営内容やシステ
ムを今まで以上に厳しく問われることになるでしょう。

時代のめまぐるしい変化、そして情報産業の急激な発展により、音楽業
界、流通業界に限らず、あらゆる産業が変化していくでしょう。鈴木会
長のおっしゃる「質」という言葉は、今後どの分野においてもさらに重
要な意味合いを帯びていくのではないでしょうか。

今回のCMはその質にこだわりつつ、新たな未来に向かうイメージで作
ってみました。変化の激しい時代だからこそ、一歩先を行く内容のCM
にしたいと思っていたので、ご覧になった方から「驚いた」という言葉
を頂いたときは、思わず笑みがこぼれてしまいました。それでは第二作
もご期待を・・・・・。

YOSHIKI
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ーヨークに拠点を置いて活動していますが、音楽の世界においても、こ
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それらが及ぼすさまざまな変化を、肌身で感じています。かつて鈴木会
長がおっしゃった「量は質を凌駕できない、質を追及した時、はじめて
量が生まれる」の言葉どおり、これからの企業はその運営内容やシステ
ムを今まで以上に厳しく問われることになるでしょう。

時代のめまぐるしい変化、そして情報産業の急激な発展により、音楽業
界、流通業界に限らず、あらゆる産業が変化していくでしょう。鈴木会
長のおっしゃる「質」という言葉は、今後どの分野においてもさらに重
要な意味合いを帯びていくのではないでしょうか。

今回のCMはその質にこだわりつつ、新たな未来に向かうイメージで作
ってみました。変化の激しい時代だからこそ、一歩先を行く内容のCM
にしたいと思っていたので、ご覧になった方から「驚いた」という言葉
を頂いたときは、思わず笑みがこぼれてしまいました。それでは第二作
もご期待を・・・・・。

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