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藤子不二雄A(安孫子素雄)コミュの★ラブ旅:vol.4/魚津〜高岡〜氷見/Aを巡る旅★

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去る7月15(土)〜17日(月/祝)の三連休を利用して北陸路“糸魚川”“魚津”、そして藤子不二雄A&F氏ユカリの地、富山の“高岡”と、A氏の故郷である“氷見(ひみ)”を訪ねた。

“高岡”は北陸を代表する中都市であり、“氷見”は“高岡”から氷見線というローカルラインで結ばれた、能登半島の首根っこ右肩辺りに位置する小さな港町。A氏生誕の地ということで、氏の代表作「忍者ハットリくん」が市のシンボルになっていたり、A氏自身が観光用のキャラクターデザイン等を手掛けている。氏の持つ“富山県イメージディレクター”てな肩書きの関係か。

同行は僕の彼女であるM嬢(以降“ハニー”で統一)。だって男一人で行く旅にしてはあまりにマニアック過ぎるしねー。華なさすぎだろ。とは言え、いくら自分の彼女でも一般的な(?)女子に「今度一緒に藤子不二雄の故郷を廻ってくれないかなあ?」などと頼むのには相当気が引けるが、ハニーは幼い頃、父親と一緒に深夜、部屋の明かりを暗くして“ぎみあぶれいく”の「笑ゥせぇるすまん」を観るのが大好きだったという変わりダネである。

その頃から彼女は、喪黒の哄笑と共にA氏のダークなテイストをソウルの奥深くに刷り込まれてしまい、長じてからも「笑ゥ〜」はもちろん「ブラックユーモア短編集」などを自分で購入したり、僕がブックオフで買って来たコンビニ版「帰ッてきたせぇるすまん」全2巻を「タマキ(僕)はもう単行本持ってるんやし、ちょ〜だい!」とゴネたり(結局あげた)、果ては、僕がミクシーにAコミュを立てたと言うと「そんなんしたら、タマキのがAを好きみたいやしヤメテ〜!あたしのがAのこともっと好きやもん!」てな具合である。

あまり語られないことではあるが(?)、A氏のある種の作品群には、かの私的旅行漫画家、つげ義春に通じるような独特の放浪の感覚がある。それは、同じく旅好き、それも一直線に目的地を目指す旅ではなく、どちらかと言えばその道中の行程や、思いもよらぬハプニングを愉しむような、あてどのない“さすらい”を標榜する僕が、A氏にシンパシーを感じる最大の拠り所でもあるが、類は友を呼ぶのか、ハニーも女子にしては珍しく目的地やスケジュールが定められた旅には面白みも感じないという“さすらい”派であり、その日泊まる場所も未定で、思いつきで行動するような旅が理想らしい。

本来なら海外のリゾートツアー及び免税店ショッピング等に憧れるべきウラ若き女子としては相当“変”であるが、僕の超テキトウな旅のパートナーとしては申し分ない。だから、今回の旅は4日間を通じて大雨に祟られたことを除けば、実にスムーズで愉しいものとなった。

さて、“さすらい”と言えば夜汽車がつきもの。A氏も漫画家として大成してからは金持ちとなり、夜汽車といってもブルートレインなどの豪華な夜行列車の寝台席でゆかたに着替え、窓外を流れ行く夜景を肴にビールでいっぱいやるのが最高、てなネタを随所で使っているが、その根底にあるのは、F氏と共に出掛けた宝塚巡礼の際に胸膨らませて乗った夜行列車や、同じくF氏と共に本格的にまんが道を歩もうと、東京へと出奔した際の夜汽車への、ノスタルジックなイメージであろうと思われる。

そんな訳で、昼過ぎに特急で京都を出発すれば夕方には充分“高岡”に着けるものを、僕らはワザワザ14日(金)の会社帰りにそのまま夜11時半大阪発の夜汽車(夜行列車)「急行/きたぐに」に飛び乗り、夜半に“高岡”や“氷見”を横目に新潟方面へと北上。翌15日の朝5時半に新潟手前の“糸井川”で下車したのである。「きたぐに」には寝台車も付いているが、乗っている時間が短い割に料金が倍ほどにもなるのでもったいなく、自由席のシートで丸まって寝た。しかし、これはこれでA氏に倣って夜汽車の旅を愉しみたいという、一種の贅沢なのだ。

“糸井川”は小振りであるが感じのいい海辺の街。この辺りは質の良い翡翠(ヒスイ)の産地らしく、街角のあちこちに翡翠で出来た勾玉(まがたま)のオブジェが点在し、駅前には「ヒスイ王国会館」などという、何かの宗教と間違えそうな、しかもショボイ建物まである。駅前の商店街を海岸まで突き抜けた所に手入れの行き届いた(新しいだけかも)小さな公園があり、海の見えるガゼボが配してある。また、海岸に面してアーチ状の展望台があり、左右180°に広がる日本海と遠くに浮かぶ佐渡の茫漠とした島影がグルリと臨める。

連休の天気は全般に良くないとの予報通り、街をぶらついているとまもなく雨が降り始め、駅前のサ店でモーニングを食べている内に風景が煙る程の豪雨となる。

おまけに2人とも夜行であまり寝ていなく、猛烈に眠い(ハニーは列車のシートでワイルドに爆睡していたが)。駅前の旅館にでもシケ込んで休もうかと思ったが、何せまだ朝の9時過ぎだ。チェックインはたいてい夕方の3時、4時くらいで、それまで相当の時間がある。もちろん辺りに仮眠の採れるようなマン喫やカラオケボックスはない。あれこれ考え、ここから小一時間ほど南西へ戻った“魚津”なら程々に大きい街(電車からはそう見えた)だし、仮眠場所があるかも、という訳で短い“糸魚川”滞在を終え、普通電車に乗って北陸路を引き返すことに。

糸魚川から数駅戻ると、1年半ほど前に僕が両親と共に遊び、大いに気に入った“青海”である。晴れていれば、ここの一面奇妙なカタチの流木の破片や貝殻、小石に覆われた広い海岸(“シュールレアリズムの海岸”と命名)に立ち寄る予定だったが、大雨のため断念。A氏に倣ってここに落ちている流木の破片をネタに「流木奇談」なる異色短編漫画の構想でも練るつもりだったのだが。…海岸で男が女性の身体のカタチをした曲線的な流木を拾い、旅館の部屋それを一心に磨いていると、アラジンのランプのように煙が立ち上り美しくもエロいミューズが現れ…てな感じか(僕には漫画を描いて発表する、という願望がまだあるのだ)。

この行き当たりバッタリ、しかも大雨という惨憺たる状況に、ハニーは自身の言葉通り「さすらいくんみたい〜」とはしゃいでいる。こんな女子見たことない。サスガだ。

北陸の沿岸風景を眺めている内に、程なく“魚津”着。ふと気づくと雨は上がり、一瞬雲間からギラギラと陽射しが照り付ける。確かに“糸魚川”よりは大きいが、仮眠の出来るマン喫もカラオケボックスもない“魚津”の街を眠気と戦いつつ徘徊。地方色豊かな大型商業施設の本屋にて早めにチェックイン出来る宿泊施設を探すが見つからず。ふと思い立って駅に戻り、待合室にあった宿泊案内のリーフレットを手に取り片っ端から電話。夕方4時までお湯は使えないが、12時から入室OK、早入りの追加料金不要という駅前の格安ビジホにチェックイン。ベッドに倒れ込んで2人共爆睡。

夕方、気分よく起きて先程の大型商業施設へ出掛け、そこの大衆食堂にてメシを食う。ここがなかなか安かろう、旨かろう、メニューも多かろう、でイイ感じなのだ。その後、コンビニでビールと夜食を買って帰り、ホテルの部屋でゆるゆる過ごす。北陸の街へ旅に来ている気は全然しないが、2人とも上機嫌で酔っぱらいひとハシャギ、ふたハシャギ。

深夜、ビールの買い足しに外へ出るといつのまにかその界隈には人が集まり、賑わっている。どうやらこの一帯は“魚津”の繁華街らしい。昼間はひなびた街並を晒しているが、夜にはあちこちにネオンが灯り、それなりに活気づいていた。

翌16日も朝から雨。チェックアウトの時間に急かされホテルを出る。フロントで空色の傘をパチるが、これがこの旅の後々まで役立ってくれることに。またしても旅情皆無の大型商業施設のカフェコーナーでモーニングコーヒーを啜り、あまりに適当な旅に同好させたことへの多少の罪悪感から、ハニーが昨日、この大型商業施設内の古着屋で見つけて妙に欲しがった黄色いパンティー(これは古着じゃないよ!)を買ってあげる。あと、今回の旅はマジで着のみ着のまま、会社用のバッグで来たので荷物が入らなくなり、同じ古着屋で布製バッグ2つも購入。

いよいよF&A氏ユカリの街“高岡”へ…とも思ったが、まだ時間も早く、せっかく“魚津”を訪れたので、海岸沿いにある「魚津水族館」に寄ってみることに。ところが歩いて行こうとしたが雨がひどくて挫折、さらにバスを間違って途中下車、お腹が減ったので目の前にあった、これまた旅情もクソもないラーメン・チェーン店で昼飯を食うなど、一筋縄で行かない“さすらいブリ”を発揮。

しかしながら、這々のテイで辿り着いた水族館が予想外に愉しかった。アロワナや電気ウナギ、歩くサカナ、巨大ウミガメなどを見て僕もハニーも大満足。派手でもなく、管理が行き届いていない部分もあるが、小さな水槽ひとつ一つの内容が充実しているのである。魚津に行く人にはオススメ。

この水族館の隣には小さな海浜遊園地があり、雨も上がったことだし、海辺に聳え立つ観覧車から日本海を一望しようと水族館を後にするが、ギリギリ閉園の5時に間に合わず。こんなのばっか。しかし、そのおかげで2人で海岸まで歩き、テトラポットに座って、曇天の下に広がる茶色い水平線を眺めることに。茶色い水平線?…そうである。昨日から降り続く雨で土砂の混ざり込んだ無数の川、濁流が一斉に流れ込んだのだろう、海はずっと沖の方まで茶色く濁っているのだ。こんなの初めて見た。すげー。

帰路、徒歩にてJR「魚津」駅へ戻ろうとしてまたまた迷子に。その割には途中古本ショップに寄るなど、イマイチ2人共危機感が薄い。しかも荷物になることを重々承知で「ボンヌフの恋人」「バスキア」などの百均・中古ビデオを衝動買い。A関連では、思いもよらず「ほぁ〜小池さん!」の2巻を発見!¥50にてゲット。歩きに歩き、コンビニで駅への道順を聞いてようやく駅舎が見えた頃には陽はすでにトップリ。どうやらJRの線路を通り越して街の裏側まで行ってしまったらしい。2人で“魚津”の街を歩き尽くしたかも。

夜7時過ぎ、ようやく“高岡”行きの列車に乗り込み、一時間程でA&F氏ユカリの地へ。“高岡”がかなり大きな街であることは、駅全体の佇まいや、駅前の雰囲気等で分かる。お腹が減ったのでハニーと駅ソバをすすり、今夜の宿を探そうと辺りをウロついていると、さほど遠くない所で光っている“スーパーホテル”の看板が目に入り、1泊2人で¥6,500という安さに惹かれて行ってみることに。ちなみに“スーパーホテル”は近年台頭してきた最新型ビジネスホテルのひとつ。徹底した少人数制と機械管理の導入でリーズナブルな料金を実現しているようだ。

また雨が降り出したので、昨日泊まったビジホからパチってきた空色の傘を差し、“スーパーホテル”へ。新築マンションのような外観に、安っぽくはあるがやたらと小ギレイな館内。フロントは受付の女性1人だけで、少々待たされた後、無事チェックイン。キーはなく、先払いした料金のレシートに記載された暗証番号を、部屋前に設置されている小さなキーボードに入力すると鍵が開くというシステム。料金は本当に2人(ダブル)で¥6,500ポッキリ、しかもバイキングスタイル(といってもショボイが)の朝食付。

部屋は広くはないが天井が高く開放的。ひとつ一つの素材はチープなのだが、全体として清潔感がある。9階なので見晴らしもいい。ダブルベッドの上の空間には、おそらく3人宿泊をも視野に入れてのことだろう、シングルベッドが一段高く備えてある。バスとトイレはセパレートで、部屋のバスの他に1階には広めの共同温泉が装備されており、時間別で男女どちらもが入浴出来る。こういう安価なホテルが出てくれば、従来のビジホは辛いだろーな。

部屋に荷物を置き、激しさを増して来た雨の中を近くのコンビニへ買い出し。ホテルに帰って僕は1階の共同温泉でひとっプロ浴び、ハニーは部屋のバスを使って湯上がりにビールで乾杯。ここがA&F氏ユカリの地であることも忘れ、まったり、後、折り重なって爆睡。

なんだよっ、「Aを巡る旅」とか言いつつ、単なるラブ旅のオノロケ報告じゃんかよ、と憤っているあなた…その通りかも。でも、この4日目は朝からA&F(特にA)にどっぷり浸るから期待してちょ。

17日朝。9階の窓から雨に濡れる高岡の街を一望。頑として起きないハニーに辟易し、僕のみ朝食バイキングへ。部屋に戻り、ようやくデカい目を開けた彼女を急かしつつチェックアウト。デカシャツ風のパジャマをパチる。

ホテルの敷地を出たところの植込みの前で、小さなアマガエルを発見。超カエルフリークのハニー、そいつを手にのっけてテンション上がりまくり。ニカーッと笑って白目なくなる。その後、朝メシを食いそこねた彼女に、途中にあった別のホテルのラウンジでモーニングを振る舞い、駅へ。何せ連休最終日、下り電車が混雑するのは目に見えているので、“さすらいくん”ぶってる訳にも行かず、計画的に帰りの特急チケットを購入。6時半過ぎ高岡発。あと7時間程で、A氏の故郷である氷見を訪れて要所を巡り、再度高岡に戻ってF&Aが煮詰まった時などに訪れた聖地、城跡公園と大仏を見て歩かねばならない。明かに時間が足りないが、まあ、なるようになるであろー。

高岡駅のコインロッカーに荷物を預けて身軽になり、イザ“氷見”へ。JR高岡駅の端っこに寄り添うようにくっ付いている侘び寂びた風情の7・8番線が氷見線のホーム。

…と、停まってる!停まってる!ハットリくんがペイントされた氷見線だ。正面は勿論、車体側面、車両内の天井などに、ハットリくん、シンゾウ、夢子ちゃん、ケムマキ、影千代、獅子丸など、ハットリファミリーが描き散らかされている。バックは島影の浮かぶ日本海と、その向こうに聳える立山連峰。殆どの図柄は、各キャラが風呂敷の四隅を両手両脚に挟んで(獅子丸は自らの身体を広げ)パラシュートにした空中飛行の術(?)で、富山の空に浮かんでいるところ。車体側面には氷見の名産、寒ブリにまたがって飛び跳ねるハットリくん、シンゾウ、獅子丸の図が大きくプリントされている。車両はローカル色豊かな2両編成で、その内の一両のみがハットリ号、という訳だ。僕とハニー、笑みを浮かべてそれぞれ車両前で記念撮影。

実は僕は、一年ちょい前に両親と宇奈月温泉を訪れた際にオヤジの関係で北陸・万葉路(万葉集に謳われた地を巡る路)を辿り、雨晴(あまはらし)海岸界隈を訪れてその帰りに一度、この氷見線には乗っているのだが、当時は「ふ〜ん、ハットリくんか」程度の感想であった。その後、ミクシーでAコミュの管理人となり、トピを立てたりしている内にA作品に対する愛着が短期間で再燃焼。今回の「Aを巡る旅」では何を見ても新感動、デアル。

調子に乗って氷見線の内外をパチパチ撮りまくっている打ちにデジカメのメモリがいっぱいになってしまってアセり、一旦改札を出て、コインロッカーに入れたバソコンにデータを移す一幕も。しかし、戻るとまださっきと同じ車両が停車したまま。なんてのんびりしてんだろ。再度僕等が乗り込んで間もなくゴトリ、と列車は動き出した。

ハットリくん列車に揺られ、始発・片岡から終着“氷見”までは約16.5Km、時間にして約30分程のわずかな旅であるが、その短さの割には、氷見線の窓から眺める景色はバラエティ豊かで愉しい。

高岡を出て、学園都市である越中中川を過ぎたあたりから、ノンビリとした田舎町の風景が一変し、奇妙な形の金属的な施設や建物、鉄塔やパイプが視界を覆い始める。後で調べてみると伏木港界隈の沿岸工業地帯らしい。潮風に晒され、赤錆びたノスタルジックな工場施設の風景は、A氏の初期SF作品などにインスピレーションを与えていたような気がする。

そしてまた風景は一変。沖合いに小さな岩島が浮かぶ、絵に描いたように美しい海岸線を列車は走って行く。この「雨晴(あまはらし)」辺りは、先にも述べた通り万葉集にも謳われる程の景勝地で、海を挟んで右には立山の駿峰群、左には能登半島の緩やかな丘陵地が延々と連なって見える。ついさっきまで工業地帯を走っていたとは思えない眺望だ。

ひなびた佇まいの「島尾」の海水浴場やキャンプ場を過ぎると程なく終着の“氷見”である。ハットリくん列車の終着・始発駅にはもちろん、ハットリくんファミリーがお出迎え。駅待合室のガラスケースの中にズラリと居並んだ、ファミリー人形に2人でハシャグ。

ふと思ったのであるが、A氏作品のモチーフとして頻出する“行き止まりの駅/終着駅”とは実は氏の故郷であるこの“氷見”駅ではないか。描かれる駅前の佇まいや街の規模もよく似ている。氏は高岡に出てF氏や手塚マンガに出会い、マンガ家となって東京へと居を移してからも、常に氷見への望郷の気持ちがあり、それが“行き止まりの駅/終着駅=故郷氷見”というシュチュエーションとなって現れた、そんな気がする。

余談であるが、A氏の好む放浪への憧れは、氏の故郷が始発駅であったことと無関係ではないように思える。つまり、そこは出発点以外の何ものにも成り得ないのである。

駅の案内所でもらったイラストマップを頼りに、閑散とした駅周辺の街並みを抜け、A氏がデザインした“ひみぼうず”の像があるらしい氷見港へと向かう。マップには、他にも観光キャラクターである“サカナ紳士録”の面々が居並ぶ商店街「潮風通り」や、“ハットリくんカラクリ時計”などのイラストが見てとれる。おそらく普通の人が見たなら相当にショボイであろう、それらA氏にまつわるモニュメントにこんなにも胸躍り、雨がパラついているにもかかわらず足取りが軽いのは、僕がら並み外れたAマニアであることの証なのだ。

グレーの海へと注ぐ川を越え、小型漁船が居並び、早朝には競りの声が鳴り響いて、さぞや活気に溢れているであろう魚市場の、もぬけのような昼下がりの風景を過ぎるとまもなく、埠頭に建てられた氷見フィッシャーマンズワーフ「海鮮館」が見えてくる。さすがにここは氷見観光の目玉らしく、人が多い。入口付近では採れたての焼きサザエなど各種海鮮焼きが売られ、それを肴に紙コップのビールでいっぱいやっているオヤジ共が目につく。

その「海鮮館」前の、氷見港を見晴らす場所に“ひみぼうず”の像。思っていたより小さめ。解説によると氷見の海からやってきた海坊主の子供で、あたまをなでると幸せになれるらしい。雨がパラついているせいか、“ひみぼうず”の周囲には僕らのみ。てか、人気ない?

とりあえず“ひみぼうず”と記念撮影し、「海鮮館」内部へ。まあ、よくある土産物屋とレストランが渾然一体となった大型観光商業施設。お腹が減っていることに気づいた僕らはレストランに入って冷たいビールを。んで、ちょい贅沢にピチピチ、プリプリの採れたて、豪華・海鮮定食をオーダー。

「海鮮館」を後に、道路を渡ったところで「氷見ブリンス館」という建物を見つけて入ってみる。しかしこの施設、能越自動車道PR館などと銘打たれているが、中はガランとしており、単なる休憩所という風情。ちなみに“ブリンス”つーのは“サカナ紳士録”の中のひとつで、A氏が氷見名物のブリをモチーフにデザインしたフイッシュキャラ。ブリ+プリンス。A氏お得意の駄洒落ネーミングセンス炸裂…である。

3時過ぎ。時間が迫っている。イラストマップを見ながら、“サカナ紳士録”のモニュメントが設置されているという商店街、潮風通りへ。

ところでこのモニュメントには、それぞれにセンサーが付いており、近づくとかなりの音量で自己紹介を始めるからタチが悪い。“やあ、僕、カニ丸〜!!〜ハットリくんの子分になりたいんだけど〜!!〜”ウンヌン。人通りもほとんどなくシーンと静まり返った商店街では、この自己紹介だけでちょっとした騒ぎである。僕らは全8種のモニュメントすべてと共に記念撮影をしたので、その度にそれぞれのキャラが割れ鐘のような声で喋り始め、たまにすれ違う地元の人が、何が楽しいんだかモニュメントの前でポーズを付けている僕らを見て目を丸くしたりしている。そうだよなー、こんなヤツラあんまいないよな。

で、最後のA氏スポット“ハットリくん時計”だけがなかなか見つからず、イラストマップを何度見直しても、それがあるはずの川の上には人が渡れない銀色の橋が架かっているだけ。と、時計が4時になった瞬間、その銀色の橋からシューッと煙が立ち上り、橋の上部がパカッと開いて、そこからハットリファミリーがご登場。それぞれのキャラが出たり引っ込んだり、くるくる廻ったり、手から水を噴射したり、さながら水芸のような趣き。なかなか精巧に出来ている。なる程、カラクリ時計つーことか。それにしてもちょうど4時に来てなきゃぜってー気づかなかっただろーな。結局僕ら、運がいい。

いつの間にか周囲には、親子連れ等が集まっている。おそらく地元の人は、時間に合わせて子供を連れ、散歩がてらこのカラクリ時計ショーを見に来たりするのだろう。

さて、生粋の港町氷見で生まれ育ったにしては、A氏作品には「港町」的なネタがあまり見られないように感じる。氏の旅行シーンにしても、列車から海が見えたりはするが、舞台はどちらかと言えば山間の温泉地であるような場合が多い。不思議だ。

氷見の町での予定を無事消化し、再度氷見線にて高岡へトンボ返り。時間があれば雨晴に寄って海岸を散歩したいと思っていたが叶わぬ夢か。またそのうちね。何せまだ、これから6時半過ぎの復路の列車が出るまでに、A&F氏ユカリの「高岡古城公園」を訪れ、日本三大仏のひとつ、高岡大仏を拝観しなければならない。

「高岡古城公園」へは高岡駅から歩いて10分程。入口のご案内マップにて大仏の所在を探すが、いくら探しても公園内に大仏はない。おかしーなー、「まんが道」ではぜったい公園内にあった気がするんだが。ふとみると道路の上に“高岡大仏→”の標識が。なんと、大仏は公園外にあるらしい。予想外だ。帰ったら「まんが道」を読み返してみよう、などと思いつつ、古城公園からほど近い商店街横に大仏は聳えていた。おお、こいつぁデカイぜ。感無量で記念写真。大仏のレンゲ座の下はアール型の廊下に、古い絵や大仏建立についての資料、木彫りの仏像などが陳列されており、進んで行くと、おそらくは大仏の真下であろうと思われる空間へとリンク。そこに突然、黒塗りで巨大な仏像のご尊顔が祭られていて、一種異様な荘厳さを漂わせていたのだった。

そんな訳で、時間に追われながらも取り敢えずは氷見・高岡と“A氏を巡る旅”を終えた僕らは、京都へと帰る列車のシートに身を沈めてビールとカフェオレで乾杯。心地よい旅の疲れを窓外を流れる夕景に溶かしながら、往く旅を惜しんだのである。

PS/
しかしながら「海鮮館」では、ブリンス等のキャラ商品(かつては携帯ストラップが限定で発売されたようだ)の有無を確認するのを忘れたり、A&F氏の実家の場所なども、ひょっとして交番で聞けば分かったかも知れない等、心残りも多かった。

(ウッディー:06-07/22)
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※注)★ラブ旅:vol.4/魚津〜高岡〜氷見/Aを巡る旅★…vol.4つーのはハニーと付き合って4回目の旅行って意味。

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ラブ旅:vol.4/魚津〜高岡〜氷見/Aを巡る旅
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※氷見市街イラストマップ

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