【著者】ヒネル・サレーム(Hiner SALEEM)
クルド人映画監督、作家。
1964年、イラク領クルディスタンで生まれる。サダム・フセインの圧政から逃れるため17歳で亡命し、フイレンツェで学業を修めるかたわら観光客相手に絵を描いていた。その後パリに移住。1990年、イラクがクウェートに侵攻すると、秘密裏に郷土にもどり映画を撮影するが、トルコ軍やイラク軍の爆撃により未完におわる。1997年、最初の長編映画Vive la mariée...et la libération du Kurdistan(花嫁ばんざい、クルディスタンの解放……ばんざい)を撮る。2003年のVodka lemon(ウォッカ・レモン)でヴェネツィア国際映画祭のコントロ・コレンテ部門でサン・マルコ賞受賞。2005年Kilomètre zéro(キロメートル・ゼロ)は、カンヌ国際映画祭のコンペティション部門の正式出品作品として上映された。映画のシナリオは、すべて自ら手掛けている。フセイン政権崩壊の翌年に発表された本書は、世界で20以上の言語に訳されている。