「パンク歌謡曲。鈴木翁二渾身ライブ」text by 鈴木翁二 *音楽的ある事件 『ガロ』70年代フォーク特集やその他の場所において、実に多勢のミュージシャンたちが、鈴木翁二マンガ世界からの影響や共感を告白しているのだが、ここに一つの“事件”があった。『マッチ一本の話』は鈴木翁二の70年代の代表作なのだが、この30数ページの一篇のマンガが感化して、「星のふる郷」あがた森魚、「一本道」友部正人、「ロックグラス」シバ、「時代」中島みゆき、「地上の星座」谷山浩子、「煙草のけむり」五輪真弓といった各氏に歌を書かせたという事実は音楽史的にも、そしてマンガ史的にも希有で異様な“事件”ではないだろうか。