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オモロイ坊主を囲む会.コミュの『北朝鮮托鉢行』(18)

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第三章 『北朝鮮 やじ馬見聞記』(その六)

板門店 2(国境)
 
 国境ってなんだろう? 誰が作ったのだろう?四方を海に囲まれた島国日本で生まれ育った俺は、話には聞いていたがまだ見たこともなかったその国境と言うものに、初めて己の両足で立ち眺めたのはタイ・ラオス国境のメコン河だった。

 あれは俺がまだ本出家前の一時出家の時だった。
バンコクの郊外に俺の作った、ブランコやシーソ・ジャングルジムなどの子供用遊具設置した、半円形の公園のような広場を取り囲むように建てた、食堂と美容室・ミニスーパを経営する会社の責任者として、経営を任せていたオヌマーさんが『私の父はタイ軍人で、ラオスの革命の時にアメリカ軍と一緒にラオスへ行き、ラオス革命軍と戦っていたのだがラオス革命軍に破れ、アメリカ軍とタイ軍の兵士がタイ側へ退却する時にしんがりを命じられ、メコン河のラオス側岸での最期の攻防戦の時に、弾の飛び交う音を背に“これで我軍の弾薬は最後です”と無線でバンコクの本隊に連絡がはいったのを最期に、連絡が途絶えそのまま消息が判らなくなり、それから3年後に戦死と認定され、国王が国のために戦い亡くなった名誉ある兵士として、遺体のない葬式をしてくださり、私たち姉妹は国のお金で大学まで出させて頂いたのですが、父の遺体は未だに発見されず実際に死んだのか、ヒョットしたらラオスのどこかで今も生きているのかも分からないのです。私は前から一度、父からの最期の無線連絡が本隊に送られて来たと言う、メコン河のラオス側岸辺に立って父に呼びかけたいのです。そしてその岸辺の小石でも拾って帰り、私達姉妹と母とだけでもう一度あらためて葬式をして、父への思いを断ち切りたいと願っているのです、が、ご存知のように現在ラオスは半分鎖国のような状態なので簡単に入れないのです。でもラオスもタイと同じ佛教国なので、ヒョットすると、頭を丸めその黄衣を身に付けた比丘の姿なら入れるかもしれません。申し訳ないですができたら一時出家されている間にラオスへ渡り、小石でも拾って持って帰って来てくださいませんか』と頼まれ、バンコクに在るラオス大使館へ入国ビザの申請に行ったのだが、『ラオス人の身元引受人がなければビザ発給は出来ない』と断わられ、とりあえずその国境のメコン河とやらへ行って見ようと、夜汽車でタイ側国境の街ノンカイまで行き、まだ朝霧が立ちこめ向こう岸もよく見えないメコンの河岸に立って眺めたのが、始めてみる国境だった。
 その夜泊めて頂きお世話になった、メコンのタイ側岸辺に面したお寺(WAT MEECHAITA)の和尚 PRAMART PANYAVARO師が『もともとこのメコンをタイ・ラオス国境と定める話し合いには、タイ国もラオス国も参加させてもらっていないのだ。当時の列国フランス・イギリス・それに日本の代表が会議を開き、当事国のタイやラオスの考え・歴史的背景には関係なく、このメコンの中心を国境と定めたのだ。その当時ラオスはその国民の1/3をタイ側に残して国境を引かれ、当時は国境警備兵の目を盗んで、ラオスへ落ちのびて行く人が後を断たなかったが、タイ経済が繁栄しラオスと比べものにならないくらいタイ国が豊かになった現在では、当時とは正反対でラオスからこのタイへ一家そろって逃げてくる人は後を絶たないが、本来の自分の国であるラオスへタイから帰ろうと言う人は誰もいませんよ』と、寂しそうな顔をして力なく笑いながら話してくださった。この和尚も今では国籍はタイ人だが、人種的にはラオス人だということだった。

 俺は各国を旅し国境を歩いて超えるたびに考えさせられる。飛行機の上から見たら何の線が引いてあるわけではないのに、誰かが勝手に『この線からこっちからはA国、この線からあっちはB国』と人間が己の損得だけ考え勝手に線を引き『A側の法律ではやったら罰せられる事も、B側では許されるどころか誉められる。A側でしていいことをB側でしたら捕まり罰せられる』と権力者が勝手に決める法の矛盾…。あのオヌマーの父親だって、この200Mか300M足らずの幅の河を小船ででも、あるいは泳いででも、せめて中央の国境線を越えていたら殺される事も無かったろうに、いや中央の国境線を越えてタイ側にたどり着いていたら、敵地からの生還者となり国から表彰され英雄扱いだったろうに。

 このタイには実際問題として、ラオス・カンボジヤ・ミャンマーなどから歩いて国境を超えて密入国してくる人が多く、彼らはタイの中小企業の経営者から、タイ入国のビザや身分証明書のない密入国者と言うことで足元をみられ、恵まれた人で70%・少ない人は30%・平均するとタイ人の平均労働者の50〜60%の賃金で働き、実家へ仕送りをして家族を養っている人が大勢居られる。法的に言えば彼らは不法入国者であり不法労働者で、彼等を雇っているタイ人経営者も、雇われている彼らも、法を犯しているわけだから発覚すれば罰せられ、彼らを雇っている経営者は罰金を払わなければならないし、雇われている彼らは国外退去を命じられ強制帰国させられる。そんな危険を冒しても彼らにして見れば、国に居ても何の仕事もなく、例えタイ人の半額の賃金でも自分の国に持って帰れば5人や6人の家族が食っていける額だし(ミャンマー人の例で言えば、一日当たりタイ人労働者の法で決められた最低賃金の半額の80バーツで働いたとしても、一日1ドル(現行ルートで約38バーツ)あれば5人家族が充分食っていけ、タイでの自分の生活費1ドルを引いても1ドルの送金は充分可能だし、雇う側のタイ人経営者にすれば、安くて良質の労働力(彼らはあくまで出稼ぎに来ているという心構えだから、残業でも休日労働でも喜んで働いてくれる)が手軽に無尽蔵に近く手に入ると言うメリットがあるのだ。(実際タイでは不法入国者を無くそうと、国境を固め厳しく取り締まり、不法入国者を逮捕し次第強制送還しているのだが、四方を他国と接するタイ国、いくら国境の警備を厳しくしても密入国者が絶えないのだ。)

 俺はこのときメコンの流れを眺めながら『人間の決める“法”ってのは所詮はこの程度だ。その時その時の支配者(国)の思惑と利害で変化していく、人間の決める法なんって信じられない、当てにならない。ならこの世では一体何を信じて、何を頼って生きていけば良いのだ。』と考え込み『そうだブッタの説かれた“法・仏法”がある。ブッタは“この世のすべてのものは、この大宇宙の大きなハタラキ(このハタラキが真実で佛教で法と言う)の中で、生かされている”ことを説かれている。そうだ我々人間は自然のハタラキの中で生きさせて頂いているのだ。“生・老・病・死”もこの宇宙(自然)のハタラキの表れなのだ』と気づき、ブッタへ・佛教へと心が引かれるのを覚えたのだった。  

 38度線の傍に立って俺は、『人間はようこんなこと飽きもせずに何時までもやっているな。ブッタは“勝利からは怨みが起こる。敗れた人は苦しんで臥す。勝敗を捨てて、安らぎに帰した人は、安らかに臥す。殺す人は殺され.怨む人は怨みを買う。また罵りわめく人は他の人から罵られ、怒りたける人は他の人から怒りを受ける”と説いておられるのに』
例え戦いに勝利をしても、勝った人は何時も仕返しを恐れビクビクとして暮らし、夜も安らかに眠れないものなのだ。
ヒョットしたら金さんも、多くの人に怨まれているのを自覚していて『敵国の侵略に備え核兵器を開発し保有している』だの『ミサイルは何時でも発射できる状態にしてあり、照準を某国にあわせてある』とか、こけおどし的発言を続けていないと、夜も安心しておちおち寝て居られないのでは?そう思うと金さんも、かわいそうな人だなー。

 過っての日本帝国はこの朝鮮半島を植民地支配下におき、軍靴で好き放題に踏みにじり、民族の象徴でもある言語ばかりか、姓名さえも取り上げるというよな暴挙をやった。確かに日本がしたことは悪いことだろう。

 今の世界を見ているとアメリカも間違ったことをしているのかも知れない。
だが『お前が悪かったから仕返しをする』をいくら繰り返していても、いつまで経っても戦いは終わらないのではないだろうか。今のイラク戦争も然り、双方が一歩も二歩も引いて、自分の主張を抑えなければ問題は解決しない。ひとつの地球、同じ星に生まれたもの同士として妥協の道を見つけていかなければ…。
 
 ブッダは『実にこの世においては、怨みに報いるに怨み似てしたならば、ついに怨みの息むことがない。怨みをすててこそ息む。これは永遠の真理である。』と説いておられる。
現在の科学の力で我々が知るかぎりでは、我々人類はこの大宇宙の中で一番美しく、素晴らしい恵まれた環境のこの地球という星に生まれた。我々地球人は何時までも『俺は〇〇国人だ・俺は××民族だ・俺は☆☆教だ・俺は黒人だ・俺は白人だ』と主張して、我が利益のために戦ったりせず、いい加減に同じ地球に住む地球人として、この素晴らしい地球を次代の人類に残し伝えていくために手を握り合って行こうでは。

 佛教では『諸のつくられた事物は実に無常である。生じ滅びる性質のものである。』と“諸行無常”を説いている。この地球だって例外ではない、何千万年か何億万年後かは俺は知らないが、放っておいても必ず地球も星としての命の尽きるときがやって来ることは、21世紀を生きている現代人なら誰でも知っていることだし、理解できることだ。

 俺は過ってTV映画で見た『猿の惑星』のような地球の姿は見たくない。人間だったら誰もが自分たちの子孫の発展と幸せを望まない人は、絶対いないと俺は信じる。だがこんな争いを何時までも続けていたら、あの『猿の惑星』で見せられた地球と同じようには絶対ならないと、誰が断言できるだろうか?人類はもういい加減に目を覚まし、国境だの領海だのとつまらない事で、つまらない争いを止めようでは。この地球は誰のものでもない地球に住む地球人全員のものなのだから。

 板門店の軍事境界線の見学を終え、車まで送ってきてくれたガイド役の将校に『一日も早く南北が統一され、皆さんが自由に往来できる日が来るのを祈っています。』と言うとその将校は直立不動の姿勢をとり、我々に向かって敬礼し“ニッコ”と何とも言えぬ優しい笑顔で、我々の車を見送ってくれた。


『戦場において百万人に勝つよりも、唯だ一つの自己に克つものこそ、じつに最上の勝利者である。』                    ダンマパダ 第八章 103 

『“かれは、われを罵った。かれは われを害した。かれは、われにうち勝った。かれは、われから強奪した。”という思いをいだく人には、怨みはついに息むことがない。
“かれは、われを罵った。かれは われを害した。かれは、われにうち勝った。かれは、われから強奪した。”という思いをいだかない人には、ついに怨みが息む。
実にこの世においては、恨みに報いるに怨みを似てしたならば、ついに怨みの息むことがない。怨みをすててこそ息む。これは永遠の真理である』
            ダンマパダ 第一章 3・4・5

コメント(1)

最近読んだ本の観音菩薩さまの祈願の話を思い出しました。
生きとし生けるものすべてを救済しようと地獄まで行き、多くの死者を助けたのに、天界まで登っていった時、再び地獄を見渡すと、それを上回る数の死者が地獄に流れ込んでいたそうです。
何千年という時を超え、今現在もまったくその通りですね。
それでも祈願はいまだ続いていることを思うと、私たちの微細な心にも宿るおなじ意識を、実現する方向に向けて歩み始めなければならないでしょうね。
そう思い始めました。たかこ

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