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コメント(8)

世界一鈍感な男

 仕事も終わり、僕は会社を出る。
家までの道のりはいつものコースを辿る。
大通り沿いのお店で買い物を済ませ、人通りのない道へと曲がる。お気に入りの音楽を聴きながら軽快に歩く。
 しばらく歩くと、ふと前を行く女性に気づく。辺りは暗く、沈んだ空気が漂っている。まるで世界の終わりを目の当たりにしたような、ただひたすら重たい空気。
 肩ぐらいまである髪の毛を、右に左に揺らしながら黙々と歩いている。僕は彼女を抜かそうと、早歩きで歩を進めるが、なかなか差が詰まらない。
 暗い夜道で不安な気持ちに襲われ急いでいるのか?後ろを振り返ることもなく急にスピードをあげる。こちらを意識しているのは誰がみてもわかる。いやいや、何もしないさ。むしろこっちが気にしてさっさと抜かしてあげようってのに・・・。
 何てことだ!自意識過剰な女め。意地でも抜かしてやる。無駄に健康を意識し、夜毎ジョギングをしている中年のスピードより早く進む。
 女に並びかけたところで顔を覗き込んでみる。女は急に反転し、「早く逃げて!」と叫んだ。「早く逃げるのよ!」女は楽しげにうっすら笑みをうかべながら叫ぶ。ふり返ると、女たちが全速力で駆け出している。

“女たち”!?

女の体は何人にも分散して、あっという間に逃げていった。
 まもなく女たちの姿は見えなくなる。あとに残ったものは、大音量で流れるお気に入りの音楽と、心を奪われ、ただの入れ物になった僕の体だけだ。
アクアラング

 僕は必ず父さんとお風呂に入る。帰りが遅いときも、ずっと待っている。そんな僕を、母さんは寂しそうに見ている。

 僕は父さんとじゃなきゃダメなんだ。

 父さんは、湯船に潜って違う世界に行くことができる。いつものゴーグルを装備して、一気に潜る。「なんでゴーグルするの?」「だって、お湯で目を開けると痛いじゃない!」僕は真似をして一気に潜る。
 父さんの足が見える。お風呂の底が見える。父さんの教えてくれた景色は、何一つとして見えない。そう、僕はまだ、違う世界に行けていないんだ。
 しばらくして、父さんが顔を上げる。「今日も来れなかったね」父さんの顔からは、残念そうな表情と、勝ち誇ったかのような表情が見て取れる。「ホントに行けたの? 僕に嘘ついてないよね?」「ホントだよ。今日もたくさんの町や人を見てきたんだ」「お前も早く行けるといいね」
 今日こそは、違う世界に行くんだ。何てったって、新しいゴーグルを手に入れたからね。ゴムの部分に白いラインがはいってるのさ。
 「母さん、父さん遅いね!」いつもの時間よりだいぶ経っている。この日はついに、父さんは帰って来なかった。
 僕は一人でお風呂に入る。新しいゴーグルで一気に潜る。父さんの足は見えない。お風呂の底も見えない。父さんが教えてくれた景色が見える。「やったよ!父さん、僕、行けたよ」
 次の日、僕は昨日のことを早く父さんに教えてあげたかった。「今日も父さん、遅いね」「あ、あのね。父さんはもう帰って来ないの」母さんが今にも途切れそうな細い声でつぶやいた。「え!? どういうこと?なんで?」母さんはうつむいたまま、ついに何も話してはくれなかった。
 僕は一人でお風呂に入る。父さんのゴーグルで一気に潜る。父さんの足は見えない。お風呂の底も見えない。父さんが教えてくれた景色も見えない。何も見えない。見えるのは真っ暗な黒い色だけ。
恋煩い

 顔も性格も悪くない。社交的でとても優しい。はっきり言って、モテる男だ。これまでの人生を振り返ってみると、女に苦労したことはない。今日も、先週知り合ったばかりの女とデートの約束がある。
 男はいつも、プレゼントを用意する。花やアクセサリーや、この世のもの全てを。女は喜び、男はまた、寿命を縮める。
 男はある日、自分の影が人よりも濃くなっていることに気づく。「おい、おまえばかり楽しみやがって」
ん? 誰かに話しかけられ振り向くが、誰もいない。「俺だって、楽しみたいんだ」
ん? か、影が話しかけてきている!「な、なんだ!?」男はびっくりして足元を確認する。「おまえが女と楽しめば楽しむほど、おれの命は、より確実なものになるぞ!」
「なにを言ってるんだ! おまえなんか消えちまえ!」
 男は、女遊びを繰り返していた。影はあの日いらい、すっかりおとなしい。
 ある朝、男が目を覚ますと、身体が勝手に動き出した。自分の思いどうりに動かない。ん? 男は自分の身体の異変に気づく。自分が影になっていたのだ。見上げると、今まで影だったあいつが、ニヤニヤした顔でこちらを見ていた。「おまえは一生影のままだ! だから言ったろう?」
 新しい影は、新しい男の女遊びを見続けなければならない。
「母の日」

 僕は母さんに迷惑を掛ける。母さんの期待を簡単に裏切る。警察の厄介になったことも多々ある。その度に母さんは、文句の1つも言って迎えに来る。
 この日も僕は、飲食店で食事をしているときにケンカをしてしまい、もはや通いなれた警察署に連れて行かれた。顔なじみの警察官は、「またか?」と聞き、僕は「うん」と答える。簡単な調書がとられ、簡単な反省が望まれる。
 「いい加減にしないと、今度こそ本当にブタ箱行きだぞ」と、呆れ顔の警察官。「僕はブタ箱から生まれてきたんだよ」「故郷に帰るだけさ」 形だけの反省はすぐにメッキが剥がれる。
 しばらくすると、母さんが迎えに来る。「すみません」「すみません」繰り返し頭を下げる母さん。僕も形だけの「すみませんでした」をお見舞いする。
 警察署からの帰り道は、暗い森の中を通らなければならない。「あんたは本当に迷惑ばかりかけて・・・」「ろくでなしの息子だね!」僕は、また始まったとばかりにあからさまに嫌な顔をする。「あんたは、親なんてどうでもいいと思っているだろうけど、大事なことに気づいてないよ」「顔もハンサムだし、とても優しい。才能もある。うまくやりさえすれば、バラ色の人生が待ってるだろうに・・・」「でも、1つ問題なのは、その事実に気づいているのは母さんだけってことだね・・・」
 しばらく歩いていると、いつもとは違う道に入っていく。「母さん、どこ行くの?」「いいからついといで」 森の中を進むと、丸く開けた場所に出た。小さな池が静かに水面を揺らしている。母さんは、何かの儀式を始めるかのように、裸足になり歌いだす。池の中に立ち、全身に月明かりを浴びて、小さく、時には激しく優しい歌を歌っている。父さんの名前を呼び、姉さんの名前を呼び、僕の名前を呼ぶ。まるで子守唄のように、安心が辺りを包んでいく。母さんの歌と、水面の揺れが、幻想的な銀色の光を紡ぎ出していく。それに応えるように、月も黄金色のベールを降り注ぐ。眩いばかりの光に、目を開けているのがやっとだ。この光は、とても懐かしく思える。と同時に、絶対的な安心感を感じる。
 僕は、目の前に広がる光景に圧倒され、ただ力なく地面に座り込んでしまう。左の頬を涙が滑り落ちる。母さんの歌に耳を傾ける。世界の始まりが見える。母の偉大さを知る。
 
 あぁ、こんな素敵な夜を、世間では「母の日」と呼んでいるんだ。 
『神の毛』


。。麻雀卓に降降り落ちるあの毛。。。
絶対に2本は落ちているあの毛。。。


僕は考える。。。麻雀卓より上にそびえ立つあの人を。。
僕は思う。。。。神の毛と。。。

雨は神様の涙でもあり。。額の汗であり。。排泄物であり。。。
神の恵みである。。。

それはそれは。。大地も海も生ける全てに恵みと栄養を与える。。。

僕は思う。。。全ての物には意味があり 
良いも悪いも 綺麗も汚いも無い。。。

豚を汚いと言い。。。政治家を汚いと言い。。。

何が違うのか。。。喰らい排泄。。喰らい排泄



空の上で ションベン垂れ流している 奴と何が違う。。


金が有り。。欲を埋める。。。

僕は思う。。人は喰らい。。人は排泄する。。。そしてまた喰らう。。。神の排泄物を。。。
「過程」


あなたは見ているのだろうか
満天に輝く空を

ぼくは見ているよ
真っ黒な空を


あなたの見ている空は

ぼくの見ている空とは

決してつながってはいないね



ぼくは想う
あなたの見ている空を

でも あまり好きじゃない
暗い気持ち 満天に輝く空

SLが走っています 大きな川が流れています
飛び込む少年 嫌な流れに



ぼくは想う
ぼくの見ている空を

でも あまり好きじゃない
暗い気持ち 真っ黒な空

地下鉄が走っています 小さな川も途絶えています
飛び込む青年 川の流れに

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