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現場の外国為替!コミュの被災国の円が何故買われるのか?

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被災地の日本の円がなぜ買われるのか?なぜ円高になるのか?
この問いは最もである。
しかし、実はこういうこともいえる。日本は世界中の国の中で最も金利が低く、過去20年も低成長を続け、国のストックの借金は先進国中最悪、政治リーダー不在でころころと首相が変わっている。成熟国でダイナミズムに乏しく、少子高齢化で社会構造も活力を失い方向に変化している。そんな日本の通貨が現実的には、じりじりと円高が進み、昨年の9月には政府が過去最大の介入を実施したにもかかわらず戦後の円最高値である79円75銭に迫る円高基調で推移してきた。これが現実である。
通貨の動きとは何なのか?
為替レートはどのような要因で動くのか?
今回の震災後の相場の動向は、もう一度その根本を考えさせられるものとなった。
まず今回の震災後の為替相場の動きへの説明として、JPMorganのあるエコノミストの解説が分かりやすい。彼は一貫してそのように主張しているが(別に彼独自の新しい意見でもない)、私はその考えに大賛成であり、今回はその説に少し付け足して解説したいと思う。

何故、今回のような震災をはじめ、世界で突発的な事件が発生して、市場がパニックになると円高になるのか?(ロシア危機、LTCM破綻、リーマンショック、ドバイショック、カトリーナ襲来後も一時的に円高急進)

その理由として3つ挙げられている。
1. 日本が世界最大の純債権国であること。
2. 日本が世界第2位の経常黒字国であること
3. 世界から日本に投資資金がほとんど流入していないこと

まず日本が純債権国であるとはどういうことか?これは長年の経常黒字の蓄積により、日本政府があるいは日本企業、個人が海外の資産をたくさん持っているということである。つまり、何か災害が発生したり、予想外の出来事が発生し、手許の資金の確保に本当に困れば、そういう資産を取り崩し、日本へ戻すことが予想されるということである。海外の資産を売却して円に交換すれば、当然円高となる。今回は震災により、倒壊した家屋の保証やら何やらで保険会社が莫大な保険金支払に追われ、海外資産を取り崩しているという噂が円高の要因になったと言われている。しかし、これはあくまでも噂である。
実際には保険会社が海外に保有する海外証券は全体の15%程度しかないと言われているほか、海外証券の投資は従来はほとんどヘッジ付外債で為替相場への影響を及ぼさない。1ドル=100円を割れてから、いわゆる為替ヘッジなしのオープン外債も見られるようになったが、それほど大規模ではない。実際、阪神大震災後の保険会社の動きも、全く海外証券の売却がなかったわけではないが、特に目立つような規模ではなかった。つまりは単なる思惑である。
また政府については外貨準備という形で莫大な規模の海外証券を保有している。過去の為替介入で購入したドルを短期国債等で保有しているわけだが、こちらはその債券を入れ替えることはあっても円に戻すことは基本的にない。政府が外貨準備を円に戻しているなどと分かれば、とんでもない円高になってしまうからだ。政府が外貨準備を円に戻すときは1ドル=150円等の行過ぎた円安を防止するときのみだろう。従ってこれも影響はない。
次に企業はどうだろうか?企業は直接投資という形で海外に工場を中心とする資産を保有している。もちろん倒産するほどのダメージならば、そういう工場を売り払うだろうが、そもそも海外に進出している企業は大企業がほとんとであり、今回の震災でそこまでのダメージは受けていない。海外への進出というのは短期的な施策ではなく、長期的な戦略であり、企業が海外の工場を売却して円に戻すというのは考えにくいし、そもそもすぐに売却できるものでもない。
ただ一つだけ注意するとすれば、海外で挙げた利益をどうするか?という問題である。企業によっては、海外で得た利益分について例年は海外へ再投資するために保留させているものを、今年は円へ戻すという選択肢を取るかもしれない。これは一定の円高要因になりうる。
最後に個人はどうだろうか?手許のお金に困ったとき、個人はすぐに外貨定期預金等を解約して生活費に充当するだろう。個人が一番その可能性が高い。この震災が東京で起こったらそうした解約資金の影響はかなりあったかもしれない。日本の個人の海外資産は約40兆円あると言われている。1日の売買高が25兆円と推定される為替市場にとって無視できぬ規模である。しかし、統計によれば東北地方では資産運用に国内の金融商品への選好が強く、あまり海外資産での運用は多くないと言われている。真偽は不明だが、為替相場を動かすほどのものではないことは明白だろう。
重要なことはこのように実際は日本が世界最大の純債権国であることが、円高に直結するわけではないが、それでも円高の思惑にはなるということである。純債務国でないということが大きな意味を持つのである。
次に日本が世界第2位の経常黒字国であることだが、こちらは為替相場に大いに影響がある。これまで日本が景気が悪くとも、または景気が悪いからこそ円高になるのはこの要因が強い。

その前段階として、何故ドルは下落するのか?それは世界最大の経常赤字国であるからだ。経常赤字国であるということは、自分の国の人間からの借金だけでは国の運営ができずに、常に海外の投資家、海外の人々から足りない分を借金しなければならないということだ。
赤字額はいくら大きくとも、海外からばんばんお金が入ってくれば何の問題もない。これがルービン財務長官が「強いドル」を常に表明して、金融のパワーによって米国を富ませた戦略だ。普通の国ではこんな戦略は取れない。海外の投資家はそんなことしてくれない。ところが米国だけは違う。今はかなり色あせたが、世界で唯一の超大国で、その軍事力、政治力、経済力は突出し、世界中の投資家が米国の債券は世界で最も信用ができるとして、自ら進んで投資を望んできた。それが米国を支えてきた。ところが米国はその力を失いつつあるほか、米国はリーマンショックの後遺症により、莫大な金融緩和政策を継続している。低金利で住宅市場や企業を支えているのだが、その裏返しとして金融商品の利回りも極めて低く、海外投資家にとってリターンの点で全く魅力的ではなくなっている。また世界の新興国が安定したことで、昔は米国にしか投資できなかったが、現在は新興国への投資もかなり安全になっている。米国にとっては、資金を引付けにくくなっているのである。その調整は通貨に反映する。ドルが十分に安くなれば、投資しようという投資家は出てくる。ドルが何年も下落しているのは、ドルが下落している中でも、FRBがどんどん金融緩和を進める。それによって金利は更に低下し、ドルはいよいよ魅力を失い、まだまま割高だと考えられているからである。
この正反対が日本である。日本では経常収支の黒字が年々小さくなっているとはいえ、相応の額の黒字を継続している。人口動態の変化により、2020年には経常収支は恒常的に赤字になるという試算等もあるが、とりあえず現状は黒字である。これは日本の円というのは、ドルとは逆に通常時から円高圧力を受けることを意味する。そうならないためには、日本から海外へお金が出て行く必要がある。個人投資家等が海外投資を増やしたり、企業が海外への直接投資を積極的に行えば、そうした円安の圧力が円高圧力を相殺できる。これを「資本還流が進む」と言うのだが、世界に不安な事象が発生したり、今回の震災のように国内が大変な時に、海外への投資を増やすだろうか?それは常識ではない。すなわち資本還流が進みにくくなるということを意味し、それは円高圧力を相殺できないとうことである。この現象は先にも述べたが、リーマンショックやドバイショック後の円高の大きな要因である。

最後に世界から日本にほとんど投機資金が入っていないことはどうだろうか?日本の国債は95%以上が国内の投資家(主に銀行)によって保有されていることはよく知られている。だから日本の累積赤字はとんでもない規模でありながら、アイルランドやギリシャのような債務危機に陥らないのである。例えば震災後の日本の国債相場は上昇している。これは震災のダメージで日本の景気が悪化するため、株のようなリスク資産から安全な債券へ資金がシフトしていることで説明がつく。しかし、よく考えれば復興にはお金がかかる。そしてそんな金は日本にはない。従って補正予算が組まれ、更なる借金増加になることは明白である。(もちろん、国債発行ではなく、増税という手段もある)とりあえずは財政悪化の観点から、ギリシャのような国では震災後に国債は買われるのではなく、売られるはずだ。しかし、日本では震災後に国債が買われている。このこと自体がいかに海外からの資金が日本から逃げていないか、逃げていたとしてもその規模が小さいかが窺えるのである。そもそも日本は先進国で最も金利が低く、経済活動も低迷している国である。そういう国に海外からの資金が入ってこないのは当然であり、そのことは皮肉なことに災害時の日本の金融システムの安定性に繋がっている。海外の短期資金の一斉引き上げにより、金利が急騰するような事象が起こらないのである。しかし、これは言い換えれば、この事態で円を売却する投資家が少ないことも意味する。逃避行為による円安パワーは起こらないのである。

これが災害時にも円高が進む理由である。
次回は災害後の政府の対応と懸念事項を説明したい。

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