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現場の外国為替!コミュの為替介入をしてはいけない

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最近の新聞や、エコノミスト、識者の為替相場に対するコメントを見聞きしていると、怖ろしくなる。



「政府はこの15年ぶりの円高に対して介入をすべきだ」

「一体日銀は何をやっているのだ」

「政府、日銀が無策だから、どんどん円高になるんだ」



非難の嵐である。しかし、これは全く為替市場を理解していない素人の感情的な議論である。私は常々以下の事を主張している。

・政府が下手に中途半端な介入をすれば、より激しい円高を招いてしまう。

・そして今の環境では中途半端な介入しかできない。

・日銀はそもそも何もできない。

・円高を止める方法はないわけではない。



順に説明しよう。

介入の歴史とは、失敗の歴史である。まずこのことを認識する必要がある。介入の効果は数日間限定なのである。例えば政府が83円で介入をしたとする。これによりその瞬間は86円まで円安になる。しかし、海外時間にはすぐに円高基調になり、政府が介入をした83円近辺まで円高になる。市場は政府の本気具合を試しにいくわけだ。そこでまた介入が入る。一度目は3円ほど円安になったとしたら、2度目は2円程度の円安で85円になる。一度目より効果が落ちる。そして85円になったのは数時間程度で、すぐにまた83円近辺まで戻ってくる。円高になる時間も短縮される。そんなことを何度も繰り返すうちに、政府は巨額の資金を介入で使用してしまう。政府は介入で購入したドルを市場で売却することはないので、どんどん累積の介入資金が積み上がっていく。政府は理論的には無限に介入が可能だが、実際には介入資金を調達する外為特別会計には年度の予算があるし、他国との関係上、あまりに巨額の介入は不可能だ。

そして介入の恐ろしさについて、私はよく「無限地獄」という表現を使う。つまり政府が一度83円で介入をすると、多くの市場参加者は、また政府は83円で介入をやってくれると信じるようになる。政府としても昨日83円で介入したのに、本日また83円を割れそうになったときに介入をしないと、「昨日の介入は何だったのだ?失敗じゃないか?」と非難されるため、介入をやらざるを得なくなってくる。効果のない介入を無限にやり続けないと、市場の信頼を裏切ることになるのだ。そして、為替市場の歴史は、この失敗の歴史であり、裏切りの歴史であるのだ。急に政府が83円で介入をしなくなる。政府を信じてドルを購入していた人たちが一斉にドルを投売りし、その結果激しい円高を巻き起こす。また市場では「政府はもう介入をできない」と安心感が広がり、どんどん円高になるのだ。



実際に2003年から2004年3月にかけて政府は、狂ったように介入した。2003年1月にドル円は118円から117円に円高となった。当時の政府は「1ドル=115円を割り込むと、日本はとんでもない不況になる」と信じており、是が非でもこれを死守しようとしていた。介入は約14ヶ月間、ほぼ毎月実施され、その規模は35兆円と異常な金額を使用した。この巨額の介入に世界中から、世界第2位の経済大国が、異常な規模の介入をしていると大きく非難され、なんとG7でも叱られた。それで円高を防げたならまだ良いが、結局は介入をスタートした118円台から、105円まで円高が進んだのだ。この2003年は9月までは政府が介入で頑張っていたが、9月のG7で日本の介入姿勢が非難されるや、1ドル115円を割り込み、それまで115円を介入で死守してきた政府は急に介入を中断し、つまりは市場を裏切ったのである。そして数日間で110円を割り込み、どんどん105円まで円高となったのである。



2003年はまさに介入が実験された天下分け目の大決戦で、そこで世界の協力を得られない単独の介入では為替市場に無力であることが証明されたのである。授業料は大きかった。この約1年で35兆円の介入で外為特別会計は100兆円を超えている。政府は介入によるドル資産を時価評価していないが、115円で大量に購入したドルは現在84円台で評価されるので、推定で日本政府は約30兆円の含み損を抱えていると言われている。とんでもないことだ。



天才棋士の羽生義治さんが、「一つの局面で手を指す事は、自分にとっつてマイナスになる可能性が高い」とコメントしていたが、政府にとっても介入という手を指す事は、不利になるのである。

自民党はこのことを大きな授業料を払って学んだ。怖ろしいのは現政権は民主党であることだ。世論や識者の論調に流されて、介入を実施すれば、逆に1ドル=75円が見えてくる。



もちろん介入の全てが効果がないわけじゃない。単独介入に効果がないのだ。世界同時の協調介入はもちろん絶大な効果がある。しかし、日本が単独で介入することは日本の判断だが、米国、欧州が協調する事はない。あるはずがない。リーマンショック後に一番痛んだのは、米国、欧州であり、彼らはむしろ日本は痛みを負うべきだと考えている。これまでの協調介入の歴史を見れば一目瞭然だが、もしも円高で協調介入があるとすれば、それはあまりに急激な円高が世界にパニックを引き起こし、リーマンショックの時のように世界の株価が急落するときだ。ところが米国の株価は軟調だが、これは米国経済の弱さからくる軟調であり、円高によるパニックがもたらした株安ではない。日本は円高で株安になっているが、彼らには全く関係ないのだ。

しかも最近の円高は緩やかである。1日に3円も、4円も円高になっているわけではない。また15年ぶりの水準に驚くが、95年4月に1ドル=79円75銭を記録した時の水準は、物価変動を加味した現在の為替レートでいえば1ドル=55円程度と試算されている。現在の84円台の水準が55円まで円高になると、95年に体験した79円台と同じ程度のインパクトがあるということである。まだまだ遠い水準だ。



時間がなくなってしまった。次は日銀に話を移そう。

こちらも危険な匂いがぷんぷんする。



私は円高に進めば良いと思っているのではない。円高は今の日本にはダメージが大き過ぎる。だからこそ、大規模な円高を引き起こす中途半端な介入はしてはいけないと警鐘しているのだ。



続く・・・・

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