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Front Mission Other storiesコミュの巨人達の街 第3部

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「まわせーーー!!」

整備員達が騒いでいる。

WAP輸送機がハンガー前につけられている。

どうやら出撃らしい。

既に愛機のタイプ97 SCに搭乗していたスェイン・クロウはモニターを見ながら覚悟を決めた。

もう何度目の出撃だろう?

何度か所属部隊を転々としてきて、この部隊に来た。

この部隊での出撃はこれで7度目か。

不安はない。

こいつ等なら。



チリ国境線のゲリラ殲滅戦、この隊で初の出撃。
激戦を極めたこの戦闘で、置いていかれた隊員を救出に向かったこの連中ならば、背中を預けてもいいと思った。

あの戦闘で、驚いたのはアサルト達の技量、メカニックの状況判断だ。

直線の道で、その先がT字路になっていた場所。

そのT字路を右に曲がった箇所で隊員は動けなくなっていた。

一本道の直線、敵はヴァンツァー3機とスナイパーが1機いる。

スナイパーの隠れている場所をあらかた予想していた私は、教会の上の小高い丘の上で待機することにした。

一本道が全て見えるのと同時に、ちょっとした罠的な意味でここに配置した。

仮に敵スナイパーに私が発見されても、こちらからの反撃がしやすい位置がちょうどここだった。

しかも太陽は私の後ろにある。オプティカルステルスを最大限に利用できるのもここだと私は踏んだ。

友軍救出中最上級仕官のアルバート・シュバイツァー 一尉も同意見だったらしい。

A 「さすがですね、見事な配置決めです」

S 「スナイパーはお任せ下さい、一撃で沈めます」

Y 「お?言ってくれるねぇ、アル!俺等も負けてられねぇな」

R 「ヨシオ、はしゃぐのもいいが、この間みたいにコケたりするなよ」

Y 「あ??あれは流れ弾が当たっただけだ!今日は俺が撃墜数もらうぜ」



まとまりがあるのかないのか…不思議な部隊だ。

例の一本道の敵が、道の中心近くまで進んだ。

オプティカルステルスを使用し、SRFを構える…

A 「まるで素人だな」

進軍するゲリラを見て、アルバートが話した。

一本道をバラバラの陣形で進んでいるゲリラWAPがそういう風に見えたのだろう。

A 「あいつ等は問題ないな…スナイパーがやけにうまい奴らしいな。ヘクターの機体を行動不能にするくらいだからな」

敵WAP3機が行動不能の友軍機まで距離1100を切ったところだ。

ECMが展開されているのがレーダーから確認できた。

Y 「へへ、さすがヘクター、ただじゃあ転ばねぇな」

R 「生存は確認できましたね。臨時隊長?どうします?」

A 「…あと距離200いかせよう」

Y 「??今いかねぇのか?」

A 「ああ、今出るとこちら射程距離に入るくらいの所で、敵スナイパーに狙撃される可能性がある」

R 「…なるほどね」

Y 「おいおい、だったら尚更…ああ、すまん今回はこっちにもいたんだっけな」

どうやら私の事を考慮した作戦らしい。

A 「では、頼みます」

敵とヘクターとの距離が1000を切ったところで、アルのブリザリアACが先頭を切って動き出した。

スナイパーは多分…10時方向にいるだろうが…予想される箇所が3ヶ所ある。

まずは1個目に予想されるポイントを拡大してみる。



この間に、ゲリラとヘクターとの距離は900を切った。

A 「行くぞ!」

Y 「っしゃぁ!!」

R 「了解」

3機が一本道に入り、一直線に走り出した。

まだ敵3機は気付いていない…

ここで動きがあった。

彼等は「わざと」遅れて出た。

ヘクター機がT字路を右に曲がって倒れたということは、T字路が見渡せて、尚且つ曲がる手前の距離7〜900が狙撃可能な地点を割り出すのが目的だ。

そのために…

わざと1回撃たれることが前提となる。

こちらが射程距離に入って攻撃中の場合、防御がおろそかになる。ならば移動中に防御に徹していれば、狙撃されてもダメージが少なくなる。

敵がオプティカルステルスで姿が見えないのなら、ステルス機能が消える瞬間を狙うしかない。

A 「敵との距離…残り距離1700」

S 「了解、まだ動きなし」

一本道をまっすぐに進んで走行していく3機。

そして…

ゲリラ3機がヘクターとの残り距離550付近で、こちらの3機に気付いた。

Y 「通信してやがる…来るぞ」

友軍機3機がヘクターとの距離1000を切った!

900

800

750

そして。

ヴァァーーーン…








ゴガン!!

Y 「ちぃ!俺かい!」

しかし、肩盾に当たったため被害はなかった。

S 「…見えた」

私は10時方向、ビルの上で硝煙を上げるSRFを構えているスナイパーを捕らえた。

再びオプティカルステルスを使用するには60秒以上のチャージが必要になる。

1回の狙撃の後、場所移動するのはスナイパーとしては基本である。

もちろん敵も動き始めた。



S 「移動なぞさせん!」

私のスコープは敵の胴体をしっかりと捕らえていた。

そして。


ヴァァーーン!



数秒の後。

敵スナイパーの機体はゆっくりと静かに動かなくなっていった。

A 「このまま突っ込むぞ!」

Y 「クソ野郎が!ぶっといの食わせてやる!!」

R 「援護する、食らわせてやれ」

3機が加速し、一気に距離をつめていく。

アルバートとライがMGを撃ち始め、その間を縫うようにヨシオの機体が120kmの速度で敵に接近していく。

その間にスェインもSRFを再装填し、3機の方向に向けた。

アルとライのMGが一番手前、バズーカを持った重アサルトヴァンツァーの両腕を破壊し、アルのSG(注1)がその機体の足を破壊した。

A 「1機もらった、次!」

もう1機はミサイラータイプで、既に3機をロックオンしていた。

Y 「ちぃ!」

3機でMGを打ちながら進撃するが、硬さが売りのミサイラー系を破壊するのには辛い物があった。

R 「ヨシオ、少し左に!!」

Y 「!」

ヨシオの機体が少しだけ左に動くと、私のスコープに大きな四角いミサイラーのボディがはっきりと見えた。

ヴァァーーン!

「敵機沈黙」

着弾より前に私は答えていた。

これだけスナイパーに「やりやすい」環境で攻撃できるのだ。
それに応える必要があった。

A 「ラスト!」

Y 「こいつはもらったぁぁぁぁ!!」

敵機がMGを打ちながら後退する…

Y 「甘ぇ!そんな弾じゃなーー!!」

ヨシオの機体が少し前屈みになった刹那。右横からの攻撃で敵頭部がなくなった。

Y 「うらあ!!」

ヨシオの機体が最後の加速で、敵の胴体にPBを突き刺した。

Y 「あんな攻撃じゃ、俺は止められねぇぜ?」

右を向くとヘクターの機体が見えた。

足を見事に破壊され、内部構造のダメージも大きいようだ。

Y 「な〜〜にやってんだ?」

するとヘクター機の右腕が動いている。

Y 「ん?」

敵機!

Y 「ちぃ!」

ヴァァァーーン!


S 「…武装を排除…完了」

敵が撃つ前に、私は敵の腕部を狙撃した。

敵が移動していなかったことが幸いし、腕部破壊はたやすかった。

その後はヨシオ機が敵の足を破壊し、降伏させていた。

R 「大丈夫か?」

どうやら通信できないようだ。

A 「仲間を置いていくわけにはいかない」

アルバートの声だ。

最後の敵機を沈黙させたヨシオも会話に加わる。

Y 「ったく!手間かけさせやがって」

完全な信頼が生む連携攻撃。それに加えて初めての相手でも合わせるようにする考え方。

私は、この部隊でなら何があっても生き残れる。

そう実感した瞬間だった。


2095年10月3日 10:41

ハンガー前に来た輸送機内にヴァンツァーを格納する。

モニター下に走る三人が見えた。

ライ・H・ゾディアック、ヘクター・J・クロス、ヨシオ・サダミネの三人だ。

S 「ふふ…またポーカーでもしてたのかな?彼等は?」

A 「よく飽きないなぁ毎日毎日」

B 「勝負はいつだっておもしろいもんでしょ」

既に格納準備の完了したBeer Boyも会話に参加してきている。

B 「で?フリーダムが制圧されてるって?」

S 「らしいね、敵の数とかまだわからないのか?」

A 「隊長に聞けよ。俺ぁいつも「臨時」隊長だからな」

S B 「はぁ〜…アイツにか…」

そうこうしているともう1機の輸送機にも3機が入り込んだ。

A 「遅いぞ」

Y 「すまん、遅れた」

R 「状況は?」

H 「準備完了」

A 「ヘクター?」

H 「はい?」

A、S、B 「いくら負けた?」

H 「…20…うっせぇな!次取り返せばいいんだよ」

声がそろったのと、また負けたことが面白くて、3人とも笑っていた。

H 「で!?隊長は?」

A 「あ〜〜、またいつものだろうよ?」

全員 「はぁ〜…」

輸送機のパイロットが声をかけてきた。

SR 「こちらスカイリーダー、ウィザード隊?隊長はどうした?」

A 「聞くな…いつものだよ」

SR 「ったく…じゃあ9機でいいのか?」

A 「ああ」

この間に輸送機2機が滑走路へ移動を開始した。

SR 「HQ、こちらスカイリーダー、1号機、2号機滑走路へ移動準備中。3号機は3分遅れで出る」

HQ 「ケインズHQよりSRへ、了解した。…搭載部隊は?」

SR 「ナイト・ウィザードご一行様9名」

HQ 「…了解、隊長は?、またいつものか?」

SR 「らしい」

HQ 「はぁ〜…了解、あ〜〜ウィザード2、こちらケインズHQ、聞こえるか?」

A 「こちらウィザード2」

HQ 「あ〜〜…現場指揮官が負傷中のため、臨時に指揮を取れ」

A 「…了解しました…」

HQ 「…」

A 「…」

SR 「こちらSR、HQ、発進準備完了」

HQ 「HQよりSR。離陸許可」

SR 「了解…発進する」

もうこうやって出撃するので7回目か…

状況の説明がこの時まだなかったので、OCUのクーデター部隊の錯乱と思っていた。

部隊員全員がそう思っていたに違いない。

Y 「まぁいても一中隊程度だろ?後続連中が来る前に終わらせようや」

R 「そうだな…だが…合点がいかないな。このタイミングでの制圧と宣戦布告…意味がない」

A 「ああ、俺もそう思う。…一体何故?」

歴史に残る大戦となった「第3次ハフマン戦争」はこうして開始された。

両軍の兵士とも疑問を抱きながら…


注1 SG(ショットガン)

対WAP、戦車用に特化された散弾銃。

細かい散弾により、相手に衝撃属性の攻撃を与えることが可能。

射程が短い上、最大射程で攻撃しても、バラけてしまい威力が分散してしまう。

しかし、近距離での威力は驚異的で、近距離で一部を狙ったりすればその部位に大ダメージを与えられる。

また脚部に撃てば相手を転ばすことも可能。

基本的な装備でいえば、MGとSGの双方を持つのがアサルトの基本装備である。

2属性攻撃で、相手の防御属性を見極めて攻撃する。

補足

1枚目

フロスト(アサルト)ブリザリアの原型機 USNのフラッグマシン系アサルト機体。 

2枚目

タイプ97(アサルト)USNの代表的なアサルト機体。耐久力、加速は平均的で、どのパイロットが乗っても使いこなせる。

3枚目

タイプ97(アサルトスナイパー) タイプ97にARF(アサルトライフル)を装備させたタイプ。スナイパー機体では加速力、耐久力が劣るので、アサルト機体にARFを持たせることで攻撃能力、アウトレンジからの狙撃能力を向上させた機体。
但し、ARFの重量問題解決のために、ターボBPをパワー型にしてしまうため、タイプ97本来の加速能力がやや低下するデメリットがある。



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