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京都府 向日市コミュの向日市広報でまちづくり条例についての意見募集が今月末まであります

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地震断層の上の住宅開発、地区計画の問題、高齢化対策、コミュニティーバスの運行、商店街の閉鎖など様々な問題があると思います。向日市広報でまちづくり条例についての意見募集が今月末まで行なわれています。皆さんも思っていることを率直に書いて意見を向日市に直接上げてみたら?

未完成ですが、向日市まちづくり条例制定にあたっての意見
・「向日市の自治を確立するまちづくり基本条例」としての性格
 条例は、向日市の「自治」の「基本」となる意味で「向日市の自治を確立するまちづくり基本条例」の概念を持つものである。「向日市の自治を確立するまちづくり基本条例」は、憲法その他国法に準ずべきものがなく、地方分権を進める中での新たな概念である。住民の権利保護やそのための制度保障など、自治実現のための基本となる条例として、また、自治の本旨(住民自治及び団体自治)を法的側面から支える条例として期待される。今後この概念を自治のさまざまな実践の中で定着させていくことが、最も重要である。
・「基条例ありき」ではない向日市を
自治基条例制定の動きは、ともすれば条例制定そのものが最終目的にすりかわる危険性を持っている。向日市では、これまでのさまざまな取組みを法令で裏打ちするために条例も制定されており、条例制定は自治の実践が基盤にあってこそ可能である。
従って、条例に盛り込まれた制度すべてを新たに運用するものではない。既に運用されている制度も多い。
・市民憲章との違い
条例が基本理念だけを規定したものであれば、市民憲章と変わらない。また、制度だけを規定したものであれば、「基本」とすべき意味がない。条例は、理念、制度共に盛り込まれた総合的な条例であり、特に市民の権利を明示し保護する点、従来の市民憲章とは性質を異にするものである。
そもそも、条例が理念条例か制度条例かという分類にはなじまない。
・「育てる条例」としての位置づけ
条例は、時代や社会経済の状況に応じ、市民で「育てていく条例」である。他の条例が条例を尊重する規定(向日市における条例の中の最高法規的性格)を技術的に担保しているが、条例そのものの改廃については他の条例と同じ手続きを踏むものであり、「育てる」ことを妨げてはいない。
・条例に罰則はつきものか
条例に罰則はない。社会一般に「条例」というと、「住民を縛りつけ、違反者は罰せられ る」という捉え方をされがちである。条例は自治の基本となるものであるため、条例の実効性は、市民自らが実践することにより保つものであり、そこにおいては罰則を必要としないが、市長・議会に対しては不誠実対応について条例で罰則を認めることが条例をより強固なものにするため検討に値する。
・条例の運用により何が変わるのか
目に見えて変わることは少ない。いままでの向日市の取組みや実践を法令で裏打ちするためのものであり、市民の権利が侵害されたときに大きな力を発揮するこことなる。
まちづくりのためのしくみを具体的な権利や制度として定めたものであり、市民自らの運用次第で、向日市のまちづくりそのものも大きく変わる。
・「向日市の自治を確立するまちづくり基本条例」が「条例」としてこだわる理由
 条例の性格から、「規則や要綱という形をとってもよいではないか」という議論がある。議会、そして市全体で議論して初めて市の憲法的性格を持つ存在となるため、市長の執行権内に留まる「規則」では、こうした存在となり得ない。
そもそも、条例の制定意図は、まちづくりのための基本的な考え方やしくみを定めるものであり、自治の理念を市の姿勢として明確に持つためのものである。そのためには、自治体独自の最高法令である「条例」として制定することが必要である。
・条例の下に規則や要綱を整備しない理由
 自治体の「憲法」として条例を考えると、理念と制度が混在する条例に付随する規則や要綱は、かえって法令の体系を複雑化するだけであり、市民にとっても分かりにくいものとなるため必要としない。一方で、分野別の向日市の自治を確立するまちづくり基本条例整備は、条例全体の体系化を進めるために必要となる。
・自治体「憲法」としての性格
条例のような「向日市の自治を確立するまちづくり基本条例」が、自治体のいわば「憲法」としての性格を持つという考え方の背景には、以下の2つの考え方がある。条例は以下2つの考え方の両面を持ち、どちらにあてはまるかの判断は行っていない。
A 最高法規説〜自治基条例は個別条例や基本構想の上位に位置し名実共に自治体の最高条例とする考え方。(条例ピラミッドの頂点に自治基条例が位置するという考え方。)
B 「串刺し」説〜自治基条例は個別条例や基本構想と並列であるが、それぞれのよって立つべき基本理念や原則を総合的に規定し、いわば串刺し的にそれぞれを貫くという考え方。
・「行政基条例」としての性格
自治体職員がまちづくりの「専門スタッフ」として市の仕事を進めるとき、条例は、そのよって立つべき基本法令としての性格を併せ持っている。

まちづくりは、市民一人ひとりが自ら考え、行動することによる「自治」が基本です。市民は「情報共有」の実践により、この自治が実現できることが出来ます。
市民は、ここに向日市のまちづくりの理念を明らかにし、日々の暮らしの中でよろこびを実感できるまちをつくるため、条例を制定します。
・「まちづくり」とは
 「まちづくり」は、道路や上下水道の整備、公共施設の整備、市街景観形成などのハード面、情報共有や住民参加などの仕組みづくりのソフト面、それぞれだけを指すものではない。日々人々が生業を営み、健康で文化的・よりよい暮らしを個人個人がつくっていく「暮らしづくり」そのものが「まちづくり」である。
・市民が主体のまちづくりについて
過去の日本では行政「サービス」の名の下に、「公共サービス=すべて行政がやること」と勘違いされてきている歴史がある。さまざまな公共課題の解決は、本来市民自身が主体的に考え、解決しなければならない。「市民一人ひとりが自ら考え、行動することによる『自治』」とは、こうした市民主体のまちづくりを意味している。
・公共的な仕事(まちづくり)は、本来、住民が日常生活の中で自らが主体的に行なってきた仕事であり、相互扶助の中で培われてきたものである。しかし、行政が公共サービスの名の下に、本来住民が担ってきた仕事を住民のニーズ等の名の下に引き受けてきた歴史がある。このことによって行政は肥大化し、公共課題の解決はそもそも行政が行なうものとの錯誤が生まれてきた。
  条例は「まちづくりの主体は市民である」との住民自治の原点を立法事実とし、行政(市役所)の役割を明確にし、住民自治を将来にわたって実行するために制定されるべきである。

   第1章 目的
 (目的)
第1条 この条例は、向日市のまちづくりに関する基本的な事項を定めるとともに、まちづくりにおける市民の権利と責任を明らかにし、自治の実現を図ることを目的とする。
・ここでいう「自治」とは、自治の本旨(憲法第92条)である住民自治と団体自治の両側面を包含する。
・「まちづくりに関する基本的な事項」とは、情報共有、住民参加を中心とするさまざまな理念、市民の権利や責務、制度などをいう。

   第2章 まちづくりの基本原則
 (情報共有の原則)
第2条 まちづくりは、自らが考え行動するという自治の理念を実現するため、市民がまちづくりに関する情報を共有することを基本に進めなければならない。
・本条は「情報共有原則」の柱となる条項。市民自らが考え行動する自治のために必要不可欠なものである。
・用語の定義
情報共有〜市と市民とが市政に関する情報を保有し、及び活用することをいう。
・情報共有の理念
 まちづくりの基本は、その主体である私たち市民が自ら考え、行動することにある。そして、市民が自ら考え、行動するためには、まちに関するさまざまな情報やまちづくりに対する考え方などが、市民に十分に提供され、説明されていなければならない。市民は、まちづくりの諸活動が、すべての人に開かれ、公正でわかりやすいものとなるよう、情報の公開と共有化を進め、住むことに誇りを感じ、喜びをわかちあえる向日市づくりのために、条例を制定することが重要である。
・情報共有の概念
情報共有は、行政からの一方的な情報提供だけではなく、市民相互の情報発信があってこそ成り立つものである。
・基本原則の柱
  情報共有があって初めて住民参加が意味をなす。
(条例における基本原則の構成)
?情報共有の原則
第2条 情報共有を基本としたまちづくり
第3条 情報へのアクセス権
第4条 行政の説明責任
?住民参加の原則
第5条 行政のあらゆる過程における参加の機会確保

 (情報への権利)
第3条 市民は、市の仕事について必要な情報の提供を受け、自ら取得する権利を有する。
・いわゆる情報への「アクセス権」を市民の権利として明示した。
・用語の定義
アクセス権〜情報共有の核となる権利。市民が、行政が保有する情報の提供を受動的に受け取ることのみならず、主体的にその情報の提供を行政へ要求し取得する権利をいう。(「要求し取得する」とは、例えばインターネット上で市のホームページからまちづくりにかかわる情報を取得するといった行動も含んでいる。)従って、この権利は、わたしたちが市民として主体的にまちづくりにかかわるための基礎的な参加権として位置付けられる。
市 〜市の公的機関(議会、市長の執行機関、委員会、委員及び附属機関)をいう。
・情報取得の機会均等により、誰もが対等な立場でまちづくりのための議論ができることを目的としている。
・「市の仕事」という用語について
 市民から見て、「政策」「施策」「事業」といった言葉の使い分けに意味があるのかという疑問がある。例えば、「政策」は国(政府)レベルの仕事を指す用語と過去には言われたこともあったが、自治体でも広くこの言葉を用い、名実ともに実行しているところが多い。「施策」も同様である。いずれの言葉もすべて「仕事」という言葉で括ることにより、市民にとっての分かりやすさを優先した。

 (説明責任)
第4条 市は、市の仕事の企画立案、実施及び評価のそれぞれの過程において、その経過、内容、効果及び手続を市民に明らかにし、分かりやすく説明する責務を有する。
・前条における市民の権利と共に、市の説明責任を規定した。市は、市民からの信託を受けて仕事をしているのであり、いわば依頼主である市民に仕事の内容を具体的に説明する義務がある。
・用語の定義
説明責任〜市の諸活動を市民に説明する責任をいう。
・本条が及ぶ範囲は広く、市の仕事の計画段階 (例えば、農業振興計画等の各種計画や公共施設の建設計画など)から財政上の情報 (財政状況調査(借金、貯金等)、監査委員の意見、決算結果など)などまちづくりの諸活動の成果までを想定している。

 (参加原則)
第5条 市は、市の仕事の企画立案、実施及び評価のそれぞれの過程において、市民の参加を保障する。
・本条は、条例の基本原則の2点目である「住民参加原則」を規定した。
・市が市民の権利を擁護することをここで宣言している。
・「市民の参加」とは何か
  「参加」の概念は本来非常に広範であり、常にその対象や範囲を考える必要がある。
  条例で想定する「参加」とは、以下にいう「?市の仕事への参加」である。
「参加」は依然として行政側の視点に立った用語であり、住民自身が主体的なまちづくりを行う場合の用語ではない。他に適当な言葉がないため「参加」ということばを用いている。
第3章 情報共有の推進
 (意思決定の明確化)
第6条 市は、市政に関する意思決定の過程を明らかにすることにより、市の仕事の内容が市民に理解されるよう努めなければならない。
・本章(第6条から第9条まで)は、第2条から第4条における情報共有原則を具体的に規定したものであり、「行政の透明性の確保」を恒常的な姿とするものである。
・意思決定の過程とは、地方自治法第147条「長の統括代表権」及び同法第148条「事務の管理及び執行権」に基づき、市長が政策意思を決定するに至る過程、即ち「政策意思の形成過程」全般をいう。
・市長が市の代表者として「どのような情報や案に基づき」「どのような議論を踏まえ」「どのように考え、いつ、どの時点で判断したか」等の政策決定の過程を明らかにすることは当然の責務であり、住民自治を進める最低限の義務である。
・主語を「市は」とし、各執行機関も上記に準じた事務をとり進めなければならないことを規定している。
・政策意思の決定に当たっては、これらの経過を市民に説明する責務=説明責任があり、市は積極的にお知らせ、公表、説明等を努めるよう規定したものである。

 (情報共有のための制度)
第7条 市は、情報共有を進めるため、次に掲げる制度を基幹に、これらの制度が総合的な体系をなすように努めるものとする。      
 (1) 市の仕事に関する市の情報を分かりやすく提供する制度   
 (2) 市の仕事に関する市の会議を公開する制度
 (3) 市が保有する文書その他の記録を請求に基づき公開する制度
 (4) 市民の意見、提言等がまちづくりに反映される制度
・各号は、情報公開条例をその根拠として、具体的に以下の諸制度として運用する。
 (1)→ 『もっと知りたいことしの仕事』(予算説明書)、広報誌、など
(2)→ プライバシーにかかわる情報を扱う会議を除き、原則公開の諸会議
(3)→ 向日市情報公開条例
(4)→ まちづくり市民講座、まちづくりトーク、まちづくり懇談会、こんにちは市長室、市民検討会議、まちづくり広聴箱、まちづくり委員会 など
・諸制度の内容は、現在実施しているものに限らず、その効果や効率性を考え広く実施の可能性を検討しなければならない。

 (情報の収集及び管理)
第8条 市は、まちづくりに関する情報を正確かつ適正に収集し、速やかにこれを提供できるよう統一された基準により整理し、保存しなければならない。
・「まちづくりに関する情報を正確かつ適正に収集」とは
その時々に応じた的確な情報収集はもちろんのこと、市の将来を考え、市内での話題のみならず市外(キリンビール工場跡地開発など)の話題なども、その時々の社会情勢に応じ広く積極的に収集することをいう。従って、常に社会経済情勢を広くとらえる視点が必要となる。
・「統一された基準」とは
文書管理規程による行政文書の保存年限管理と「ファイリング・システム」の厳格な運用を指す。
・「ファイリング・システム」
文書の私物化排除、即時検索性や他者検索性の向上を柱に、行政が保有する文書情報を一定のルールのもとに管理する手法。条例の基本原則である情報共有を実現するための有力なツールとして位置付けられる。

 (個人情報の保護)
第9条 市は、個人の権利及び利益が侵害されることのないよう個人情報の収集、利用、提供、管理等について必要な措置を講じなければならない。
・「向日市個人情報保護条例」を基本とする。
・個人情報保護の理念
「市の保有する個人情報の開示、訂正及び削除を請求する個人の権利を保障するとともに、個人情報の適正な取扱いに関して必要な事項を定めることにより、基本的人権の擁護を図り、もって公正で民主的な市政の推進する」
   第4章 まちづくりへの参加の推進
 (まちづくりに参加する権利)
第10条 市民は、まちづくりの主体であり、まちづくりに参加する権利を有する。
・本条は、市民のまちづくりへの主体的な参加権を明らかにしている。
・「参加」は住民の権利か責務か
「参加」は市民の当然の権利であり、責務ではない。
  強制されることのない機会均等の参加を保障されることが重要であり、結果的平等に到達するための権利保障を意味するものではない。

2 市民は、それぞれの市民が、国籍、民族、年齢、性別、心身の状況、社会的又は経済的環境等の違いによりまちづくりに固有の関心、期待等を有していることに配慮し、まちづくりへの参加についてお互いが平等であることを認識しなければならない。
・まちづくりへの参加においては、市民が互いに対等の立場であることを明記した。例えば、身体の障害等により意思表示ができない人なども、他の人と常に対等な立場で参加できることが保障される。外国籍の市民も、もちろん前項に規定するまちづくりへの参加権を有している。

3 市民によるまちづくりの活動は、自主性及び自立性が尊重され、市の不当な関与を受けない。
・市民の基本的な権利として規定。
・住民自治は、自主性及び自立性が第一に尊重され、日本国憲法第13条に規定する個人の尊厳、幸福追求権に包含されるものとして尊重されるものである。
・「市の不当な関与」とは、市が組織的に又は第三者を介して、市民個人の暮らしや日常活動に制限を加える等、公共の福祉に基づかず威圧的に関与することである。
・個人の尊厳と幸福追求権は、公共の福祉に反しない範囲で尊重されるものであり、情報の共有化と話し合いにより、協調、協働により進められるべきものである。
・市の不当な関与に対する罰則を盛り込むべきである。

4 市民は、まちづくりの活動への参加又は不参加を理由として差別的な扱いを受けない。
・前項と同様、市民の基本的な権利として規定した。
・「参加または不参加」のさまざまな場面
  参加しようとしたこと、参加しようとしなかったこと、実際に参加したこと、実際に参加しなかったことなど、参加についてはさまざまな場面が想定される。これらを理由として、その後の参加そのものを拒まれ、差別されることがあってはならない。

 (満20歳未満の市民のまちづくりに参加する権利)
第11条  満20歳未満の青少年及び子どもは、それぞれの年齢にふさわしいまちづくりに参加する権利を有する。 
・満20歳未満の青少年及び子どもにも、その年齢に応じた参加の形態が必要であり、その意見は市の重要な財産となる。こうした子どもたちの参加の権利が保障されるべきであると考えた。
・大人たちによるまちづくりの成果は、子どもたちも直ちに享受するものである。一方で、子どもたちへの刑事罰適用年齢を下げながらも、その政治的な参加を求めていない。罰することを優先させるのではなく、子どもたちの声を大人たちが真剣に聞き、まちづくりに反映させる仕組みが今後の日本に必要である。
・子どもたちの参加は、形式(表面)的または一時的な参加ではなく、日常生活や教育現場の中から恒常的に繰り返されることが重要であり、そのための仕組みづくりを進めなければならない。場合によっては、市民投票の有資格者になることも考えられる。
・「20歳未満の市民」とは
  青少年及び子どもをいう。未成年で結婚し仕事にも就いているが参政権がないという青年層から、小学生・幼児まで幅広く捉える。
・民法上の未成年者の権利能力との整合性
本条の権利は、あくまで「まちづくり」への「参加権」である。従って、民法上の効力とは別の概念であり、競合しない。
本条は、1994年に日本政府が批准している「子どもの権利条約」第12条(意見表明権) 「締約国は、自己の見解をまとめる力のある子どもに対して、その子どもに影響を与えるすべての事柄について自由に自己の見解を表明する権利を保障する。その際、子どもの見解が、その年齢および成熟に従い、正当に重視される。この目的のため、子どもは、とくに、国内法の手続規則と一致する方法で、自己に影響を与えるあらゆる司法的および行政的手続においても、直接にまたは代理人もしくは適当な団体を通じて聴聞される機会を与えられる。」を理念の基礎とし、その権利の具体化を図る。

 (まちづくりにおける市民の責務)
第12条 市民は、まちづくりの主体であることを認識し、総合的視点に立ち、まちづくりの活動において自らの発言と行動に責任を持たなければならない。
・「総合的視点」とは
まちづくりの議論を進める際、市民は私的な利害関係にとらわれることなく公共性を尊重し判断することが必要となる。「総合的視点」とは、こうしたまちづくり全体を見渡した視野を意味し、市民自身がまちづくりの担い手であるという自覚を持った言動をとらなければならない。次条と並んで市民の責務をうたっている。

 (まちづくりに参加する権利の拡充) 
第13条 市民は、まちづくりへの参加が自治を守り、進めるものであることを認識し、その拡充に努めるものとする。
・まちづくりへの参加は市民の直接の責務ではないが、さまざまな形でまちづくりに主体的にかかわること(参加しようとすること)が、市民自らの自治や権利の拡充につながることを規定している。「選挙で投票したから、あとは選ばれた者に任せてある」という白紙委任では、住民自治は発展しない。

   第5章 コミュニティ
 (コミュニティ)
第14条 市民にとって、コミュニティとは、市民一人ひとりが自ら豊かな暮らしをつくることを前提としたさまざまな生活形態を基礎に形成する多様なつながり、組織及び集団をいう。
・「コミュニティ」を定義したことについて
  向日市のまちづくりを具体的にイメージし、広い定義をするが、反社会的な「コミュニティ」まで含まないよう、まちづくりに貢献するコミュニティを前提とする。
・「コミュニティ」
  本条で規定する「コミュニティ」は、旧来の自治会(町内会)組織などの地縁団体のみを指すものではない。ボランティア組織などの目的団体から企業などの営利団体まで広く含めている。 更に、市民相互の日常のコミュニケーションもひとつの「コミュニティ」として広く捉え、「つながり」という言葉で多様なコミュニティ(コミュニケーション)の重要性や可能性を表現する。

 (コミュニティにおける市民の役割)
第15条 市民は、まちづくりの重要な担い手となりうるコミュニティの役割を認識し、そのコミュニティを守り、育てるよう努める。
・コミュニティについての市民の努力義務はとは何か、コミュニティとはどうあるべきかということを規定。
・「担い手となりうる」という表現は、担い手とならないコミュニティ(反社会的、暴力的集団など)も想定されるため。
・「守り、育てる」という表現は、市民が互いに尊重し合い、少しでも人と人とのかかわりを持てるようなまちづくりを進めるという意味を持つ。

 (市とコミュニティのかかわり)
第16条 市は、コミュニティの自主性及び自立性を尊重し、その非営利的かつ非宗教的な活動を必要に応じて支援することができる。
・コミュニティの活動等は、あくまでも自主性、自立性が尊重されるべきである。(これは第10条第3項に規定している「市民によるまちづくりの活動」と同様の考え方である。)「まちづくりの重要な担い手となりうる」コミュニティには、市による一方的な関与はあり得ないこと、そのコミュニティの活動は市からの支援が前提としてあるわけではなく、市民自身による活動が中心となるべきことを規定。
・ここでいう「支援する」とは、広い意味を持っている。補助金、助成金及び物品の提供といった財政的な支援だけではなく、むしろ、まちづくりの専門スタッフ(第19条第2項に規定)である市職員の持ち得る能力(労力、専門的知識や情報等)を積極的に提供することや、コミュニティ間の連携を助けることなどが支援として重要なことと捉える。


第6章 議会の役割と責務
 (議会の役割)
第17条 議会は、市民の代表から構成される市の意思決定機関である。
・市議会は、執行機関と同様に民意の代表機関として独立性を有しており、重要な事項についてその意思を決定する作用を担っている。地方分権の進展に伴い、自治体の責任の範囲、条例制定権の範囲や自主課税権の行使の余地が拡大することを考慮すると、意思決定機関としての地方議会と首長の責任は格段に重くなる。これらを総合的に考慮し、市議会を意思決定機関として位置づけた。ただし、ここでいう意思決定とは、最終的かつ無限定な意思決定を意味しているわけではない。

2 議会は、議決機関として、市の政策の意思決定及び行政活動の監視並びに条例を制定する権限を有する。
・議会の役割は地方自治法96条により条例を制定する権限、市の方向性を意思決定する権限、行政活動をチェックする権限があるとする考えに基づき規定した。地方議会の持つ権能を最大限に評価し、議会の権限として明示したものである。

 (議会の責務)
第18条 議会は、議決機関としての責任を常に自覚し、将来に向けたまちづくりの展望をもって活動しなければならない。
・議会は将来のまちづくりのあり方を示し、住民の代表機関として責任をもって活動を努めなければならない。また、市の発展と住民生活の安心・安全を図り、安定した住民自治のまちづくりを進めなければならない。つまり、議会における重要な責務として、将来展望を持った総合的な視野を持った判断、活動が求められる。

2 議会は、広く市民から意見を求めるよう努めなければならない。
・議会は、市民から広く意見を求め、情報共有化へ向けた取り組みを進め、住民参加による議会活動の基本として市民に開かれた議会としなければならない旨を規定した。

3 議会は、主権者たる市民に議会における意思決定の内容及びその経過を説明する責務を有する。
・議会活動において、意思決定における議論の過程を明らかにするとともに、その経過をまとめ、市民にわかり易く説明・公表する責務があることを規定した。

 (議会の組織等)
第19条 議会の組織及び議員の定数は、まちづくりにおける議会の役割を十分考慮して定められなければならない。
・議会の組織及び定数については、地方自治法第91条で市町村議会の議員の定数が規定されている。しかし、まちづくりの視点から議会の役割を考慮すると、議会の組織及び定数は自主的な判断に基づいて決定していくことが望ましいという視点からあえて規定した。
 
 (議会の会議)
第20条 議会の本会議は、討議を基本とする。

・議会は住民の代表機関であると同時に、議論し、意思決定をしていく機関でもある。議会でのオープンな議論の積み重ねが、意思決定過程を透明化し、住民の意思を反映した決定とすることが可能であるという考えを基に「議論の重要性」について規定した。

2 議長は、説明のため本会議に出席させた者に議員への質問及び意見を述べさせることができる。
・一般に、議会の会議(特に本会議)では、議員による質問、意見の表明があるものの、さらにまちづくりをより良い形で進めるためには、多様な意見と議論が必要であり、説明員との実質的な議論ができない状況を改善する必要がある。説明のため本議会に議長が出席させた者(執行機関からの説明員等)が議員からの質問に答える「1問1答」方式ではなく、双方向の議論ができるしくみとしての運用を想定した。
・実際の運用は、議長が会議の状況を見て判断することとなるが、議論できる仕組みは政策意思決定において、重要な過程であると考える。

 (会議の公開)
第21条 議会の会議は公開とする。ただし、非公開とすることが適当と認められる場合は、この限りではない。
・議会を市民に開かれた機関とするため、議会での審議過程を明らかにするとともに、市民が自由かつ積極的に傍聴できるような仕組みにする「会議の公開原則」を規定した。
・地方自治法第115条で議会の会議は原則、公開としているが、個人情報など日本国憲法第11条における基本的人権を侵すような場合や向日市個人情報保護条例の理念に基づき、公開することが適当でない場合には秘密会として例外を認め、非公開とすることができる旨、規定。


2 前項ただし書きにより非公開とした場合は、その理由を公表しなければならない。
・秘密会を開会する場合には、会議趣旨の透明性を確保することを目的としている。
・議会の会議が非公開とする場合は、個別具体的に説明できるような理由を公表しなければならない。説明理由が具体性に欠ける場合には、非公開とすることができない。
 
 (議会の会期外活動)
第22条 議会は、閉会中においても、市政への市民の意思の反映を図るため、まちづくりに関する調査及び検討等に努める。
・議会は会期中のみの活動に留まらず、会期外活動も積極的に行うことが必要である。
・議員は、市民の代表者として選ばれたことを自覚し、会期以外(閉会中)においてもまちづくりのために活動しなければならないことを規定。

2 前項の活動は、議会の自主性及び自立性に基づいて行われなければならない。

・議員は市民の代表者としての信託を受けたことを自覚し、市政への民意の意思反映を図るため、自主的な活動を進めることを規定。

(政策会議の設置)
第23条 議会は、本会議のほか、まちづくりに関する政策を議論するため、政策会議を設置する。
・地方自治法第110条に基づく特別委員会のひとつとして、政策会議を位置付けた。政策会議の内容、議題は議会の裁量に委ねられるが、まちづくりに関する政策を総合的かつ集中的に自由な議論が可能となる。

2 前項の会議は議長が招集し、議事運営にあたるものとする。

・政策会議の運営は議長に委ねられる。

 (議員の役割及び責務)
第24条 議員は、市民から選ばれた公職者として自ら研鑽に努めるとともに、公益のために行動しなければならない。
・議員の資質向上と、公益のための活動原則を規定。
・議員は自らの見識を深め、議会における政策活動を活性化させるために、審議能力、政策調査能力、政策提言能力の向上に努めなければならない。

2 議員は、基本的人権の擁護と公共の福祉の実現のため、政策提言及び立法活動に努めなければならない。
・議員の政策提言能力向上、政策法務活動の活性化への努力義務を規定した。

   第7章 市の役割と責務 
 (市長の責務)
第25条 市長は、市民の信託に応え、市政の代表者としてこの条例の理念を実現するため、公正かつ誠実に市政の執行に当たり、まちづくりの推進に努めなければならない。
・地方自治法第138条の2の規定「執行機関の責務」を条例の理念に則り、市長の責務という視点から具体化。
・地方自治法第147条は「長の統轄代表権」を、同法第148条は長の「事務の管理執行権」を規定している。自治体の代表者として選挙で選ばれた市長は、憲法第92条の自治の本旨(住民自治、団体自治)を具現化し、実行する責任者として条例に沿って公正に職務を遂行するよう規定。

 (就任時の宣誓)
第26条 市長は、就任に当たっては、その地位が市民の信託によるものであることを深く認識し、日本国憲法により保障された地方自治権の一層の拡充とこの条例の理念の実現のため、公正かつ誠実に職務を執行することを宣誓しなければならない。
・具体的に宣誓することにより、市長は市民の信託を受けた自らの地位の重さを認識すること、市民にとっても市長が何を基本(理念)として自らの仕事を進めるのかを再認識することを目的としている。

2 前項の規定は、助役、収入役及び教育長の就任について準用する。
・市長だけではなく、助役・教育長・収入役にも前項を適用する。
・前項の規定と共に、市民は条例の趣旨に基づいた行動を特別職がとっているか監視できる。

 (執行機関の責務)
第27条 町の執行機関は、その権限と責任において、公正かつ誠実に職務の執行に当たらなければならない。
・地方自治法第138条の2の規定「執行機関の義務」を条例の理念に則り、執行機関全体の責務という視点から具体化した。
・市の執行機関(市長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員会、公平委員会、農業委員会、固定資産評価審査委員会など)は、公正かつ誠実に職務の執行にあたる義務がある。
2 市職員は、まちづくりの専門スタッフとして、誠実かつ効率的に職務を執行するとともに、まちづくりにおける市民相互の連携が常に図られるよう努めなければならない。
・市長の補助機関としての市職員の責務 
市の職員(助役、収入役、事務吏員、技術吏員など)は、法律上(地方自治法第154条「職員の指揮監督」及び第161条から第175条「補助機関」)は長の補助機関と位置づけられており、「長の手足となって働くもの」(ぎょうせい『自治用語辞典』より)であるとの考え方がある。しかし、実際の市の仕事を考えた場合、職員の果たす役割は非常に大きく、単なる「長の手足」との解釈では通用しない。また、「補助機関」の名のもとに、職員一人ひとりの責任があいまいにされてきた歴史もあることから、期待される具体的職員像を明確化した。
・「まちづくりの専門スタッフ」とは
特定の分野(土木、建築、保健、教育など)に特化したスタッフという意味ではなく、市民からみて、まちづくりそのものを恒常的な仕事としている「まちづくりのプロ」という意味で規定した。まちづくりの「専門家」はむしろ市民の中におり、市の職員はそうした力を借りる努力も怠ってはならない。
・市職員は同時に市民でもあり、市民相互の連携を図り、市民主体のまちづくりを進めることが使命である。ただ一方で、常にソフトなイメージの「スタッフ」ではなく、正当な権力を行使して望まなければならない場合もある。
・効率的に仕事を進めるのは市職員として当然であるが、それができていないこと、常に意識することが必要であることにより、条文を「誠実かつ効率的に職務を遂行」とした。
・職員の意向を調査する制度
市長が職員の異動希望や職務の感想・目標を聞くため実施してきた「職員意向調査制度」を発展的に整理し、人事調査・職務目標管理を適確かつ効果的に行うための仕組み作りを進めることが今後必要である。「まちづくりの専門スタッフ」となるべき将来像を職員一人ひとりが明確に設定・申告し、実践する仕組みが求められている。


(政策法務の推進)
第28条 市は、市民主体のまちづくりを実現するため、自治立法権と法令解釈に関する自治権を活用した積極的な法務活動を行わなければならない。
・地方自治の本旨(憲法第94条)である条例制定権を有効に活用し、自治体自らで法律を解釈し、運用させ、条例を制定改廃する活動を自治体の明確な権利と捉え、より積極的に運用していくことを規定した。これにより、社会経済情勢に応じ、自治体固有、独自の政策を進めることを政策法務の推進としてとらえている。

 (危機管理体制の確立)
第29条 市は、市民の身体、生命及び暮らしの安全を確保するとともに、緊急時に、総合的かつ機能的な活動が図れるよう危機管理の体制の確立に努めなければならない。
・防災・防震体制の確立をまちづくりの基本として規定。
・防災・防震体制の他に、事件、事故などの不測の緊急事態に対する組織的な対応体制の確立も目指す。条文中、「総合的」とは市の組織全体として対応を意味する。また、「機能的」とは迅速かつ効率的な活動を意味する。

2 市は、市民、事業者、関係機関との協力及び連携を図り、災害等に備えなければならない。
・防災・防震体制の確立における連携強化について規定した。
・緊急時において相互に助け合って、危機を克服しなければならない。緊急時に備えるため、普段から相互連携を深めるために規定した。

(組織)
第30条 市の組織は、市民に分かりやすく機能的なものであると同時に、社会や経済の情勢に応じ、かつ、相互の連携が保たれるよう柔軟に編成されなければならない。

・自治体の組織は、地方自治法第138条の3の規定「執行機関の組織の原則」において、「系統的に構成しなければならない」「執行機関相互の連絡を図り、すべて、一体として、行政機能を発揮するようにしなければならない」と規定されている。本条は、この規定をより深め身近なものとなるよう、向日市としての組織のあるべき姿を表現したものである。特に「柔軟に編成」という視点が重要である。
・「市民に分かりやすく機能的なもの」ということの意味は、地方自治法第1条の規定「この法律の目的」にいう「民主的にして能率的な行政の確保」という自治体の本旨に基づくものである。単純に組織の名称を分かり易いものに変えればよいというものではなく、どのような組織体制が市民にとって有益で、機能的に素早い対応が取れるかということを執行機関は常に念頭に置き、組織の編成を考えていかなければならないことを表現した。
・組織を「柔軟に編成」することや「社会や経済の情勢」に素早く対応していくために、首長がもっと自由に組織を編成できるような法律の整備が必要である。しかし、地方自治法第158条第7項では「市町村長は、(中略)条例で必要な部課を設けることができる。」と規定している。この解釈は、「住民生活への影響を考え、執行機関が勝手に内部組織を決めることがないように「部」「課」を条例事項としたもの」(執行機関条例主義)(ぎょうせい『自治体法務入門』木佐茂男編著より引用)である。この地方自治法を受けて課設置条例が存在しているが、前述したとおり、首長がもっと自由に組織を編成できるシステムを論議していく必要がある。

(審議会等への参加)
第31条 市は、審査会、審議会、調査会その他の附属機関及びこれに類するものの委員には、公募の委員を加えるよう努めなければならない。
・市民公募の行政運営を責務として具体的に規定した。
・公募委員が全委員に占める割合などは予め規定しない。公募にはさまざまな方法があり、一律に決めるべきことではない。公募を常とする運営そのものが重要である。

(意見・要望・苦情等への応答義務等)    
第32条 市は、市民から意見、要望、苦情等があったときは、速やかに事実関係を調査し、応答しなければならない。
・市が応答するものは、「苦情」だけではない。意見、要望などと共に、市民相互の声に総合的に応答する姿勢や仕組みが重要である。
・「苦情」の用語について
 「苦情」は歴史的に行政側が主に用いてきた言葉であり、市民主体の用語ではない。従ってこの言葉を使い続けることは本来望ましくないが、「法律上の不利益処分にまでは至らないが、本人が不利益を受けたと認識し、こうしたことを申し出る」ということを表す適切な用語がないため、「苦情」として整理し残すこととした。
・不利益処分〜行政手続法第2条第4号における行政の処分をいう。

2 市は、前項の応答に際してその意見、要望、苦情等にかかわる権利を守るための仕組み等について説明するよう努めるものとする。
・本条の規定は、不利益処分を受けた者が当然の権利として権利保全を申し出ができることを保証することが主眼となっている。「苦情」が法制面でも正面から問題とされてこなかった経緯をふまえ、具体的に明文化したものである。
・不利益処分に対する権利救済手続を明示することが大切だが、日常の窓口応対や電話応対の中で適切に対応することを規定している。

3 市は、前2項の規定による応答を迅速かつ適切に行うため、対応記録を作成する。
・対応記録について
  市が迅速かつ市民の権利保護を前提とした処理を進めるための記録として、市の責任を規定した。対応記録簿の作成等、その対応内容が具体的に分かるものを残す。そうした取組みの中で、市職員が常に紛争解決手段を念頭に置いた対応をできるようになることが重要である。具体的な様式の定めはないが、前2項の対応過程が明確に残る内容とする。

 (意見・要望・苦情等への対応のための機関)
第33条 市は、市民の権利の保護を図り、市の行政執行により市民が受ける不利益な扱いを簡易かつ迅速に解消させるため、不利益救済のための機関を置くことができる。
・いわゆるオンブズマンだけを意図しているものではない。市民が行政から不利益処分を受けたことに対する権利保全のためのさまざまな機関の可能性を考える。
・本条では不利益救済機関の権限を明示していない。これは、不利益救済機関そのものがどのような組織となるか容易に想定できないためであり、具体的な設置と同時に機関が持つ権限を明示しなければならない。
・行政の行為により不利益を受けた住民の救済手段については、現行の法制度上においても用意されているものの、必ずしも住民が気軽に利用できる制度とはなっていない。そこで、既存制度の隙間をカバーし、簡易迅速かつ適切に対処し、住民サービスの質の向上につなげていく不利益救済機関の必要性について本条でうたっている。これは、いわゆるオンブズマンだけを意図したものではなく、様々な権利保全の機能を有する機関を想定するが、具体的に有すべき権限、機能、役割については、今後さらに議論が必要なところである。この機関が、住民の権利保護に対し、効果的かつ効率的に対応するには、向日市単独ではなく、広域で(たとえば乙訓2市1町や京都市との間で)置くことが望ましいが、これについても今後の議論が必要である。同時に、司法制度からの視点も検討しなければならない。

 (行政手続の法制化)   
第34条 条例又は規則に基づき市の機関がする処分及び行政指導並びに市に対する届出に関する手続について必要な事項は、条例で定める。


 (法令の遵守)
第35条 市は、まちづくりの公正性及び透明性を確保するため法令を誠実に遵守し、違法行為に対しては直ちに必要な措置を講ずるものとする。
・法令遵守について規定した。違法行為への市の誠意かつ迅速な対応を想定した(コンプライアンス)。地方公務員法第32条において、自治体職員の法令遵守の規定があるが、職員だけではなく、市全体においても法令遵守するよう規定した。

   第8章 まちづくりの協働過程
 (計画過程等への参加)
第36条 市は、市の仕事の計画、実施、評価等の各段階に市民が参加できるよう配慮する。
・この条項は、市のすべての仕事における市民参加を市の努力規定とし、市は常に参加を意識しながら仕事を進めなければならないことを規定した。

2 市は、まちづくりに対する市民の参加において、前項の各段階に応じ、次に掲げる事項の情報提供に努めるものとする。
 (1) 仕事の提案や要望等、仕事の発生源の情報
 (2) 代替案の内容
 (3) 他の自治体等との比較情報
 (4) 市民参加の状況
 (5) 仕事の根拠となる計画、法令
 (6) その他必要な情報
・本項では、前項の市民参加における情報共有の方法を具体的に例示している。
・「発生源の情報」とは、発生の元となった地域や団体、個人等を特定する情報を指すのではなく、仕事の必要性や原因、要因、理由などの情報を指している。

 (計画の策定等における原則)
第37条  総合的かつ計画的に市の仕事を行うための基本構想及びこれを具体化するための計画(以下これらを「総合計画」と総称する。)は、この条例の目的及び趣旨にのっとり、策定、実施されるとともに、新たな行政需要にも対応できるよう不断の検討が加えられなければならない。
・特に総合計画は市の仕事の最上位の計画であり、総合計画もまた条例の趣旨に沿って運営されなければならない。

2 市は、次に掲げる計画を策定するときは、総合計画との整合性に配慮し、計画相互間の体系化に努めなければならない。
 (1) 法令又は条例に規定する計画
 (2) 国又は他の自治体の仕事と関連する計画
・市のいかなる計画も、総合計画との位置付け(関連付け)を明確にしなければならない。

3 市は、前2項の計画に次に掲げる事項を明示するとともに、その計画の実施に当たっては、これらの事項に配慮した進行管理に努めなければならない。
 (1) 計画の目標及びこれを達成するための市の仕事の内容
 (2) 前号の仕事に要すると見込まれる費用及び期間
・総合計画や重要な計画を具体的に進めるための手法を規定した。

 (計画策定の手続)
第38条 市は、総合計画で定める重要な計画の策定に着手しようとするときは、あらかじめ次の事項を公表し、意見を求めるものとする。
 (1) 計画の概要
 (2) 計画策定の日程
 (3) 予定する市民参加の手法
(4) その他必要とされる事項
・本条は、計画づくりの着手前からの市民参加を規定した。
「総合計画で定める」とは
  総合計画で指定する重要な計画づくりには、こうした計画策定時の手続きを必ず踏むということ。ただ、当初から総合計画に記載のない場合でも発展的に個別の仕事についてこうした計画段階からのしっかりした参加が必要となるケースもある。

2 市は、前項の計画を決定しようとするときは、あらかじめ計画案を公表し、意見を求めるものとする。
・いわゆるパブリック・コメントの手法運営を規定している。
・パブリック・コメント〜案や関係資料を公表し住民の意見を聞く手続き。
・このパブリック・コメントは範囲が広く、総合計画で定める重要な計画すべてが対象となる。特定の事案(仕事)のみを想定しパブリック・コメントの方法をとることを規定しているのではない。
・意見を求める手法については、会議形式、計画の縦覧方式等、案件により柔軟かつ効果的に対応することが重要である。

3 市は、前2項の規定により提出された意見について、採否の結果及びその理由を付して公表しなければならない。
・計画毎の効率的な運用が必要であり、その計画の特色を生かし、柔軟且つ効率よく取り進めなければならない。
・意見とは、市民から出された意見(市外からも意見を求めた場合は、その対象者の意見)であり、無記名等その意見の主体が明らかでない者の意見は取り扱わないものとする。
・意見の公表にあたっては、プライバシーに配慮するとともに、わかりやすく要約・整理し、採用の是非を明らかにして公表するものとする。
・意見提出者には、必ず取りまとめの結果を通知する。ただし、公表及び広報誌に掲載する等の方法によることも可とする。

 (計画進行状況の公表)
第39条 市は、総合計画の進行状況について、年に一度公表しなければならない。
・総合計画は市の仕事の最上位の計画であり、まちづくりが計画どおり進められているかどうかを市民に定期的に公表し、政策の評価へ結びつけるようにしなければならない。

   第9章 財政
 (総則)
第40条 市長は、予算の編成及び執行に当たっては、総合計画を踏まえて行わなければならない。
・予算は、計画性と即応性といった相反する二面性を持ち合わせており、これを考慮しながら常に総合計画に即し考えていくことが必要である。
・従来の行政運営は、総合計画と予算を連動させることに積極的ではなかった。これは、総合計画の長期性と単年度予算とのミスマッチが原因だが、予算編成においてこれをできるだけマッチングさせていくことをうたっている。

(予算編成)
第41条 市長は、予算の編成に当たっては、予算に関する説明書の内容の充実を図るとともに、市民が予算を具体的に把握できるよう十分な情報の提供に努めなければならない。
・ここでは、予算策定過程及び策定結果の透明性を確保し、地方自治法第211条第2項に定める「予算に関する説明書」のほか、より具体的な予算説明資料や『もっと知りたいことしの仕事』(市民誰もが見てわかる予算説明書)などの情報提供を規定した。

2 前項の規定による情報の提供は、市の財政事情、予算の編成過程が明らかになるよう分かりやすい方法によるものとする。
・「分かりやすい方法」の具体例として、予算編成会議(夏季開催)、予算編成方針、まちづくり懇談会(広報広聴集会)、各課予算見積書(1月作成)、財政見通し、『もっと知りたいことしの仕事』などがある。これらの取組みは、この規定をよりどころとして発展的に展開される。

 (予算執行)
第42条 市長は、町の仕事の予定及び進行状況が明らかになるよう、予算の執行計画を定めるものとする。
・地方自治法第220条第1項「予算の執行及び事故繰越し」、地方自治法施行令第150条「予算の執行及び事故繰越し」及び財政状況の公表に関する条例に基づき、予算執行の仕事を進めることを原則事項として規定している。

(決算)
第43条 市長は、決算にかかわる町の主要な仕事の成果を説明する書類その他決算に関する書類を作成しようとするときは、これらの書類が仕事の評価に役立つものとなるよう配慮しなければならない。
・「主要な成果を説明する書類」について
 市が作成する書類の具体的な様式を作成する必要がある。「課題」、「問題点」、「苦労した点」等の評価視点を加えたものなどを作成しなければならない。これを市民に公開していく必要がある。

(財産管理)
第44条 市長は、市の財産の保有状況を明らかにし、財産の適正な管理及び効率的な運用を図るため、財産の管理計画を定めるものとする。
・財産の台帳を適切に管理すると同時に、明確な管理計画に基づいた財産管理を進めることを規定している。
・「財産」の定義について
向日市ではバランスシート(貸借対照表)を作成しているが、会計用語上の「財産」=「資産」との整合性を図ることが課題である。(土地、建物、備品、道路、有価証券、基金、職員...)
・企業会計におけるバランスシート上の「貸倒引当金」「出資損失引当金」などの財産管理貸借についても、想定する必要がある。

前項の管理計画は、財産の資産としての価値、取得の経過、処分又は取得の予定、用途、管理の状況その他前項の目的を達成するため必要な事項が明らかとなるように定めなければならない。
・本項に規定する管理計画は、具体的な財産運用や保全の状況が明らかになるものである。

2 財産の取得、管理及び処分は、法令の定めによるほか、第1項の管理計画に従って進めなければならない。
・地方自治法第237条から241条「財産、債権、基金」、地方財政法第8条「財産の管理及び運用」、等に基づき、管理計画を前提とした効率的かつ効果的な財産運用及び保全が必要となる。

 (財政状況の公表)
第45条 市長は、予算の執行状況並びに財産、地方債及び一時借入金の現在高その他財政に関する状況(以下「財政状況」という。)の公表に当たっては、別に条例で定める事項の概要を示すとともに、財政状況に対する見解を示さなければならない。
・財政状況の公表については、地方自治法第243条の3第1項「財政状況の公表等」及び財政状況の公表に関する条例において基本的事項が規定されている。これに加えて「財政状況に対する見解」を付し、数値の羅列ではなく市民にとって意味のある決算ディスクロージャー(決算情報の公開)を目指すものである。また、従来の公会計から一歩進み、バランスシート(貸借対照表)などの有用なツールを使うこと、長期的な財政計画を策定することなどを進め、外部監査(第三者による監査)などについても今後検討しなければならない。

 第10章 評価
(評価の実施)    
第46条 市は、まちづくりの仕事の再編、活性化を図るため、まちづくりの評価を実施する。
・「まちづくりの評価」とは
まちづくり全体について、特に総合計画を柱とする各種計画の運営全般を評価すること。具体的には以下の「評価」が挙げられる。
  ?市の仕事の評価
  ?市職員の職務評価
  ?外部による評価
・評価の手法そのものが定着していない現状では、評価の実施をまず責務とした。


2 市が評価を行うときは、市民参加の方法を用いるように努めなければならない。
・市民参加による評価手法を基本とすることを規定した。
・評価方法は社会情勢や市民意識に即応していくが、常に市民参加の手法を取り入れることが重要である。

(評価方法の検討)
第47条 前条の評価は、まちづくりの状況の変化に照らし、常に最もふさわしい方法で行うよう検討し、継続してこれを改善しなければならない。 
・具体的な評価の手法は、社会情勢や市民意識に即応していくため常に改善していくことを基本としている。

 第11章 市民投票制度
(市民投票の実施)
第48条 市は、向日市にかかわる重要事項について、直接、市民の意思を確認するため、市民投票の制度を設けることができる。
・条例における市民投票制度の位置付け
向日市にとって市民投票は住民意思確認のための最終手段として位置付ける。まちづくりは、情報共有と住民参加の実践が大切であり、住民投票に至らなくても解決できるケースが多い。従って、本条文も「設ける」ではなく「設けることができる」としており、住民投票制度を恒常的に設けるものではない。
・住民投票制度においては、直接請求に膨大な住民エネルギーを消耗することを避けるため、制度として確立し市民の権利として明確に位置付けることが重要である。
・市民投票制度を設けることができるのは「市」=「議会」も含まれる。
住民投票制度は、現行の地方自治制度を補完するものとして位置付けるものである。自治の本旨においては、直接民主主義、間接民主主義、どちらが正しい選択というべきものではない。双方が互いに制度の不備を補完しながら、その時々の社会情勢に則し住民意志をより的確に反映することが重要なのであり、制度の柔軟な運用が必要である。

(市民投票の条例化)
第49条 市民投票に参加できる者の資格その他市民投票の実施に必要な事項は、それぞれの事案に応じ、別に条例で定める。
・市民投票は、事案によりその内容が多種多様であることが想定される。その中で投票結果をより有効に機能させるため、個別事案が発生した時点で投票条例を制定する。
・投票資格者は、常に法律で認められる参政権者のみとは限らない。条例第11条に規定する子どもの参加を求める中で、子どもが投票資格者になることも想定される。

2 前項に定める条例に基づき市民投票を行うとき、市長は市民投票結果の取扱いをあらかじめ明らかにしなければならない。
・市民の間で事前の論議が十分に尽くされることが大切であり、結果をどう扱うかについては、都度、条例で具体的に定めることとする。ここで初めて、投票結果に市長が従うのかどうかを明確に規定する。これにより市民投票の結果をより有効なものとすることができると同時に、市民は投票結果の扱われ方を事前に承知したうえで投票に臨むことができる。
・住民投票の結果を単に「尊重する」として一律に規定することはできない。個別の命題が発生した時点で結果の扱いを決めることにより、市民総意の結果をあいまいに扱わないこととする。
・投票結果の取扱いを事前に明らかにするのは市長である。そのため、地方自治法第147条「長の統轄代表権」及び同法第148条「事務の管理及び執行権」を侵すことにはならない。

   第12章 連携             
 (市外の人々との連携)
第50条 市民は、社会、経済、文化、学術、芸術、スポーツ、環境等に関する取組みを通じて、市外の人々の知恵や意見をまちづくりに活用するよう努める。
・さまざまな分野から向日市に関心のある市外の人々を「向日市ファン」ととらえた。「向日市ファン」は市民が気づかない(見落としている)視点を持っており、そうした知恵や意見を有意義に活用する旨をうたっている。

 (近隣自治体との連携)
第51条 市は、近隣自治体との情報共有と相互理解のもと、連携してまちづくりを推進するものとする。
【解説】
・近隣自治体間での情報共有を図り、さまざまな分野(医療、福祉、介護、教育、衛生、消防、農業、環境、観光など)で総合的視点に立った連携を図る。

 (広域連携)
第52条 市は、他の自治体、国及びその他の機関との広域的な連携を積極的に進めるものとする。
・近隣自治体間での連携のみならず、さまざまな分野で状況に応じた広域連携を進める。

 (国際交流及び連携)
第53条 市は、自治の確立と発展が国際的にも重要なものであることを認識し、まちづくりその他の各種分野における国際交流及び連携に努めるものとする。
・住民自治の考え方は、世界各国の自治体においてもまちづくりのための重要な柱として位置付けられている。その認識のもとに国際交流や連携を広めていくことをうたっている。

   第13章 条例制定等の手続     
(条例制定等の手続)
第54条 市は、まちづくりに関する重要な条例を制定し、又は改廃しようとするときは、次のいずれかに該当する場合を除き、市民の参加を図り、又は市民に意見を求めなければならない。
(1) 関係法令及び条例等の制定改廃に基づくものでその条例の制定改廃に政策的な判断を必要としない場合
(2) 用語の変更等簡易な改正でその条例に規定する事項の内容に実質的な変更を伴わない場合
(3) 前2号の規定に準じて条例の制定改廃の議案を提出する者(以下「提案者」という。)が不要と認めた場合
・まちづくりに関する条例の制定や改廃について参加や意見を求める。この制度は、いわゆる「パブリック・コメント」手続きより一歩進めた仕組みである。日本で一般的なパブリック・コメントの手続きは、大きな計画とのセットで進められる場合が多い。向日市では条例制定の際に恒常的に実施するので、対象範囲が非常に広い。例外規定の運用が課題となる。
・「まちづくりに関する重要な」とはどんな場合をいうのか
本条第1号から第3号を除き、広く市民生活全般にかかわる場合をいう。単に大きな計画づくりにかかわる条例だけを指すものではなく、広範である。
・第1号から第3号は、必要最小限の例外規定として設けている。

2 提案者は、前項に規定する市民の参加等の有無(無のときはその理由を含む。)及び状況に関する事項を付して、議案を提出しなければならない。
・議案提出の際に住民参加の状況を明示することにより、市民及び議会双方への説明責任を果たす。
・参加が無のときも理由を明示することにより、透明性を確保(恣意性を排除)することを目的とする。

第14章 まちづくり基条例の位置付け等
(この条例の位置付け)
第55条 他の条例、規則その他の規程によりまちづくりの制度を設け、又は実施しようとする場合においては、この条例に定める事項を最大限に尊重しなければならない。
・条例が「向日市の自治を確立するまちづくり基本条例」として、すべての条例の基盤となることをうたっている。この条例が向日市における条例ピラミッドの頂点に立つという考え方、他の条例と併存するが基本的なことを串刺しにしたという考え方である。
・条例に上下を設けることの是非については、「教育基本法の教育原理が他の教育法令の運用・解釈を拘束するもの」とした最高裁の判例(昭和51年5月21日刑集30巻5号615頁)で公認されたといえる。
・条例は、憲法で規定している主権在民、基本的人権と公共の福祉並びに幸福追求権等の各原則を受け、その政策目標実現のためにある機構としての自治体の「自治の理念と政策の基本原則及びその手続き」を規定するものである。
よって、条例は自治権の主体としての自治体の基本法であり、憲法第92条に規定する「自治の本旨」を直接受けているものといえる。本基条例と他の条例との法的な性格は、憲法と法律との関係の理論を適用することができ、他の条例より上位にあり、他の条例が本基条例に従わなければならないという拘束力を有するものと解釈することも可能である。

(条例等の体系化)
第56条 市は、この条例に定める内容に即して、教育、環境、福祉、産業等分野別の基条例の制定に努めるとともに、他の条例、規則その他の規程の体系化を図るものとする。
・各種基条例制定の範囲は、向日市が重要と判断する分野すべてが対象となる。具体的な対象範囲は予め整理していない。
・各種基条例を中心として町のきまりを体系化することにより、まちづくりの仕組みの全体像がわたしたちにとって分かり易いものとなるようにする。

 第15章 この条例の検討及び見直し
(この条例の検討及び見直し)
第57条 市は、この条例の施行後4年を超えない期間ごとに、この条例が向日市にふさわしいものであり続けているかどうか等を検討するものとする。
・条例は「育てる条例」として位置付ける。育てること(定期的な条例の見直し)は、時代経過による条例の形骸化を防止し、市民が条例に関心を持ち続ける動機付けとなることである。更に、条例本来の機能(市民の権利保護)が期待されたとおり作用しているかどうか検証することができることなど、さまざまな機能を併せ持っている。

2 市は、前項の規定による検討の結果を踏まえ、この条例及びまちづくりの諸制度について見直す等必要な措置を講ずるものとする。
・条例の見直しと同時に、諸制度の見直しも実施し、条例の実効性を常に保証していくことが重要である。


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