ゴスペルハウスコミュの「不正な管理人のたとえ」2023.01.22

ゴスペルハウスメッセージ 2023.01.22
「不正な管理人のたとえ」ルカ16:1-13

1 イエスは弟子たちに対しても、次のように語られた。「ある金持ちに一人の管理人がいた。この管理人が主人の財産を無駄遣いしている、という訴えが主人にあった。
2 主人は彼を呼んで言った。『おまえについて聞いたこの話は何なのか。会計の報告を出しなさい。もうおまえに、管理を任せておくわけにはいかない。』
3 管理人は心の中で考えた。『どうしよう。主人は私から管理の仕事を取り上げようとしている。土を掘る力はないし、物乞いをするのは恥ずかしい。
4 分かった、こうしよう。管理の仕事をやめさせられても、人々が私を家に迎えてくれるようにすればよいのだ。』
5 そこで彼は、主人の債務者たちを一人ひとり呼んで、最初の人に、『私の主人に、いくら借りがありますか』と言った。
6 その人は『油百バテ』と答えた。すると彼は、『あなたの証文を受け取り、座ってすぐに五十と書きなさい』と言った。
7 それから別の人に、『あなたは、いくら借りがありますか』と言うと、その人は『小麦百コル』と答えた。彼は、『あなたの証文を受け取り、八十と書きなさい』と言った。
8 主人は、不正な管理人が賢く行動したのをほめた。この世の子らは、自分と同じ時代の人々の扱いについては、光の子らよりも賢いのである。
9 わたしはあなたがたに言います。不正の富で、自分のために友をつくりなさい。そうすれば、富がなくなったとき、彼らがあなたがたを永遠の住まいに迎えてくれます。
10 最も小さなことに忠実な人は、大きなことにも忠実であり、最も小さなことに不忠実な人は、大きなことにも不忠実です。
11 ですから、あなたがたが不正の富に忠実でなければ、だれがあなたがたに、まことの富を任せるでしょうか。
12 また、他人のものに忠実でなければ、だれがあなたがたに、あなたがた自身のものを持たせるでしょうか。
13 どんなしもべも二人の主人に仕えることはできません。一方を憎んで他方を愛することになるか、一方を重んじて他方を軽んじることになります。あなたがたは、神と富とに仕えることはできません。」

この聖書箇所は、「最も難解なイエスさまのたとえばなし」とも言われている箇所です。
今日はここから、神様のメッセージを開いていきましょう。

聖書には、ユダヤ人同士では、利息を取ってはならないと規定されています。
たとえば、申命記２３章１９節には、こうあります。
「金銭の利息であれ食物の利息であれ、すべて利息をつけて貸すことのできるものの利息を、あなたの同胞から取ってはならない。」
他にも、出エジプト記２２:２５、レビ記２５:３６、詩篇１５:５、エゼキエル１８:１３など、何度も記されています。
ここには、借りなくてはならなくなった人たちへの、神様の愛があるのです。

しかし、実際は、ユダヤ人同士でも利息を取っていました。
だから、金持ちはさらに金持ちになり、貧しい人はなかなか豊かになれないのです。
ある聖書学者によれば、油を貸す場合には利息が１００％、小麦を貸す場合には利息が２５％という場合もあったようです。
現代に比べても、かなり高利な貸付けですね。

しかし、聖書に書いてあるのは、「利息は取らない」ということです。
建前としては、正義としては、利息が取れないので、証文で調整することにしました。
たとえば、油５０バテを借りた人は、利息の１００％も含めて、１００バテの貸付け証文を作成するのです。
また、小麦８０コルを借りた人は、利息の２５％も含めて、１００コルの貸付け証文を作成するのです。
実際に借りたのが５０バテ・８０コルなのに、証文が１００バテ・１００コルなので、返済するのは証文の通りになり、５０バテ・２０コルの利息を受け取れるということなのです。
ちなみに、５０バテも８０コルも、一般家庭で消費する量ではなく、業務としての利用が見込まれる量です。

こういう貸付け・利息の授受をしているのなら、間に入った管理人が、不正をするのは簡単です。
だって、実際の貸付けと証文の額が違っているのですから。

と、ここまでの状況・条件をわかっている人たちが、そこにいて、イエスさまのこのたとえを聞いていたのです。

管理人をクビになりそうな彼は、借りている人たちの証文を書き換えさせました。
それは、実に賢い、手抜かりのない、だれも文句の言えない、だれからも責められない方法でした。
つまり、抜け目ない方法でした。
彼は、正しい証文を作成し直したのです。
先程も言ったように、油１００バテの証文の人は、５０バテしか借りていません。
だから５０バテの証文を作成します。
小麦１００コルの証文の人は、８０コルしか借りていません。
だから８０コルの証文を作成します。

聖書の規定がある以上、主人（貸主）は、利息がほしいと言えません。
しかも、元本割れもしていませんから、損害を請求することもできません。
借りている人たちは、かなり高利な利息が免除されたので、大喜びです。
もしかしたら、クビになった後も、彼らが何か援助をくれることでしょう。
主人の権利を侵害しない形で、自分に与えられている最大限のゆるしを行った、この管理人の抜け目のなさを、イエスさまはほめたのです。

「不正の富で、自分のために友をつくりなさい。」（９節）
これが、このたとえばなしを難解にしてしまうキーワードかもしれません。

当時は、お金のこと・この世の財産のことを「不正の富」という場合もあったようです。
しかし、ここでは、言葉通りに「不正の富」というものを考えましょう。
「不正の富」があるのなら、「正当な富」もあるはずです。
正当な富、それは、自分で働いたり、何かを作ったりして得た、まっとうな富です。
とするならば、不正の富、それは、自分で働いたりせず、何かを作ったりもせず、何もしていないのに与えられた富です。
たとえば、乞食さんの受け取る喜捨（お金など）のようなものです。

不正の富を、こうしたものだと定義すると、最も大きな不正の富は何でしょう。
史上最大の、空前絶後の、不正の富です。
そう、それが、イエスさまの十字架の赦しです、永遠のいのちです。
あなたが何もしていないのに、無条件で与えられたのが、この不正の富なのです。

不正な管理人は、自分に与えられている最大のゆるしを宣言し、与えました。
それが、イエスさまにほめられたのです。

聖書は、神様は、こう言うのです。
あなたに与えられている、不正の富、十字架のゆるしを宣言せよ。
あなたに与えられている、不正の富、永遠のいのちを与えよ。
そして、そのことを通して、友を作りなさい。
抜け目なく、しっかりと、信仰の友を作りなさい。
その友は、あなたの信仰がぐらついてしまったときに、あなたを永遠のいのちに戻すから。

あなたに与えられた不正の富、十字架の赦しと永遠のいのちを、イエスさまは命がけで成就・完成しました。
あなたの熱心ではなく、イエスさまの愛が、これを支えているのです。
だから、あなたは、宣言していいのです、与えていいのです。
そのことを通して、本当の永遠の友を作りましょう。

この聖書の言葉は、このたとえばなしは、あなたのためのものです。
さあ、十字架の赦しを、宣べ伝えましょう。
永遠のいのちを、与え続けましょう。
イエスさまの命がけの愛を、無条件の愛を、最大の不正の富を、抜け目なく管理できるあなたになるのです。

あなたのために、お祈りします。


【参考聖書箇所】

出エジプト記
22:25 もし、あなたとともにいる、わたしの民の貧しい人に金を貸すなら、彼に対して金貸しのようであってはならない。利息を取ってはならない。

レビ記
25:36 彼から利息も利益も得てはならない。あなたの神を恐れよ。同胞があなたのもとで生活できるようにしなさい。
25:37 彼に金を貸して利息を取ってはならない。また食物を与えて利益を得てはならない。

申命記
23:19 金銭の利息であれ食物の利息であれ、すべて利息をつけて貸すことのできるものの利息を、あなたの同胞から取ってはならない。
23:20 異国人からは利息を取ってもよいが、あなたの同胞からは利息を取ってはならない。それは、あなたが入って行って所有しようとしている地で、あなたの神、主があなたのすべての手のわざを祝福されるためである。

詩篇
15:5 利息をつけて金を貸すことはせず　潔白な人を不利にする賄賂を受け取らない。このように行う人は　決して揺るがされない。

エゼキエル
18:13 利息をつけて貸し、高利を取ったなら、こういう者ははたして生きるだろうか。彼は生きられない。これらすべての忌み嫌うべきことをしたのだから、必ず死ぬ。その血の責任は彼自身にある。
18:17 貧しい者を苦しめることから手を引き、利息や高利を取らず、わたしの定めを行い、わたしの掟に従って歩むなら、そのような人は自分の父の咎のゆえに死ぬことはなく、必ず生きる。