ゴスペルハウスコミュの「木が投げ込まれたから」2022.09.03

ゴスペルハウスメッセージ 2022.09.03
「木が投げ込まれたから」列王記下 6:1-7

1 預言者の仲間たちがエリシャに、「ご覧のとおり、私たちがあなたと一緒に住んでいるこの場所は狭くなりましたので、
2 ヨルダン川に行きましょう。そこから各自一本ずつ梁にする木を切り出して、そこに私たちの住む場所を作りましょう」と言うと、エリシャは「行きなさい」と言った。
3 すると一人が、「どうか、ぜひ、しもべたちと一緒に来てください」と言ったので、エリシャは「では、私も行こう」と言って、
4 彼らと一緒に出かけた。彼らはヨルダン川に着くと、木を切り倒した。
5 一人が梁にする木を切り倒しているとき、斧の頭が水の中に落ちてしまった。彼は叫んだ。「ああ、主よ、あれは借り物です。」
6 神の人は言った。「どこに落ちたのか。」彼がその場所を示すと、エリシャは一本の枝を切ってそこに投げ込み、斧の頭を浮かばせた。
7 彼が「それを拾い上げなさい」と言ったので、その人は手を伸ばして、それを取り上げた。

エリシャは、「神は救いである」という意味の名前で、預言者エリヤによって選ばれた預言者です。
「預言者の仲間たち」（１節）とありますが、当時、預言者たちはグループをつくって生活し、そのリーダーがエリシャでした。
エリシャとともにいる預言者の後輩たちは、少しそそっかしくて、同じ神様の言葉を伝えるために召された私としては、かなり励まされます。
今週の聖書箇所もそうですが、列王記下第４章では、毒の煮物を作ってしまって、危うく預言者集団を殺してしまうところでした（参照：列王記下４:３８-４１）。

斧が水の中に落ちてしまうということで、イソップ物語の「金の斧」を思い出す方もいるでしょう。
エリシャが紀元前９世紀頃の人で、イソップは紀元前６世紀頃なので、もしかするとエリシャのできごとがイソップの創作に影響を与えたかもしれません。

さて、日本では泳げない人のことを「カナヅチ」と言いますね。
鉄の頭をつけた金槌は、水に落ちたら浮かんできません。
それは、よくできたたとえで、物理の法則にも従っています。
しかも今回は、木製の柄の部分もなく、斧の頭だけですから、決定的に、絶対的に、浮かんでくるはずがないのです。

しかし、エリシャが木の枝を投げ込んだら、浮かぶはずのない、その斧の頭が浮かんできたのです。
投げ込まれた木の枝が、斧の頭を、または、水を、もしくは、斧の頭と水の関係を、完全に変質させたのです。

出エジプト記第１５章には、同じように枝を水に投げ込んだできごとが記されています。
マラの水は苦くて、イスラエルの民が飲むことができませんでした。
神様がモーセに一本の枝を示し、それを水に投げ込むと、苦い水が甘い水に変わったのです（参照：出エジプト記１５:２２-２５）。

木が投げ込まれることによって、それは存在の変質でもあり、関係の変質でもある、完全な変質が起こったのです。

「ああ、主よ、あれは借り物です。」（５節）と後輩預言者は叫んでいます。
場面を想像すると、思わずクスッと笑いたくなるような叫び声です。
しかし、借りたものは返さなければなりません。
返さなければならないのに、返すことができなくなってしまったもの、それが、ここでの斧の頭です。

聖書は、「本当の持ち主へ戻しなさい、本来の居場所へ戻りなさい」と、語りかけます。
マタイ福音書第２２章で、イエスさまは、「それなら、カエサルのものはカエサルに、神のものは神に返しなさい。」と言いました（参照：マタイ２２:１５-２２）。
それは、本来の居場所へ、本当の持ち主へ、ということです。
カエサルの肖像と銘の入った銀貨は、カエサルに戻しなさい。
神様の肖像と銘の入ったものは、神様に戻しなさい。
そして、この神様の肖像と銘が入ったものこそ、人間です。
いえ、もっと正確に言えば、あなたなのです。

しかし、罪にがんじがらめにされて、罪に埋もれてしまって、神様のもとへ返すことが、神様のもとへ帰ることが、できなくなってしまったのです。
そう、水に落ちてしまった斧の頭のように。
そこに、木が、枝が、投げ込まれるのです。

投げ込まれた枝は、存在を、完全に変質します。
関係を、完全に変質します。
本当の持ち主のところで、本来の居場所を与えます。
ただ、枝が、木が投げ込まれただけで、水が木を受け入れただけで、水や斧の努力なしで。
神様の示した木、神様の与えた枝が、あなたの人生を、あなたの本質を、あなたの関係を、あなたの存在を、完全に癒し、完全に変質させるのです。
そして、あなたを、神様の宝物として取り戻すのです。

投げ込まれたこの木は、この枝は、イエスさまの十字架です。
エリシャのこのできごとは、イエスさまの十字架の雛形なのです。
そして、イエスさまは、十字架上でいのちがけで、これを成就したのです。

木の枝は、もう、はっきりと示されています。
あなたの問題に、あなたの困難に、イエスさまの十字架を受け入れましょう。
なんの努力も条件も必要ありません。
水が枝を受け入れたように、あなたも十字架を受け入れたらいいのです。
そして、完全な癒やしの中で生きましょう。

あなたのために、お祈りします。




【参照聖書箇所】

列王記下 4:38-41
38 エリシャがギルガルに帰って来たとき、この地に飢饉が起こった。預言者の仲間たちが彼の前に座っていたので、彼は若者に命じた。「大きな釜を火にかけ、預言者の仲間たちのために煮物を作りなさい。」
39 彼らの一人が食用の草を摘みに野に出て行くと、野生のつる草を見つけたので、そのつるから野生の瓜を前掛けにいっぱい取って帰って来た。そして、彼はそれを煮物の釜の中に刻んで入れた。彼らはそれが何であるかを知らなかった。
40 彼らは皆に食べさせようとして、これをよそった。皆はその煮物を口にするやいなや、こう叫んだ。「神の人よ、釜の中に毒が入っています。」彼らは食べることができなかった。
41 エリシャは言った。「では、麦粉を持って来なさい。」彼はそれを釜に投げ入れて言った。「これをよそって、この人たちに食べさせなさい。」そのときにはもう、釜の中には悪い物はなくなっていた。


出エジプト 15:22-25
22 モーセはイスラエルを葦の海から旅立たせた。彼らはシュルの荒野へ出て行き、三日間、荒野を歩いた。しかし、彼らには水が見つからなかった。
23 彼らはマラに来たが、マラの水は苦くて飲めなかった。それで、そこはマラという名で呼ばれた。
24 民はモーセに向かって「われわれは何を飲んだらよいのか」と不平を言った。
25 モーセが主に叫ぶと、主は彼に一本の木を示された。彼がそれを水の中に投げ込むと、水は甘くなった。


マタイ 22:15-22
15 そのころ、パリサイ人たちは出て来て、どのようにしてイエスをことばの罠にかけようかと相談した。
16 彼らは自分の弟子たちを、ヘロデ党の者たちと一緒にイエスのもとに遣わして、こう言った。「先生。私たちは、あなたが真実な方で、真理に基づいて神の道を教え、だれにも遠慮しない方だと知っております。あなたは人の顔色を見ないからです。
17 ですから、どう思われるか、お聞かせください。カエサルに税金を納めることは律法にかなっているでしょうか、いないでしょうか。」
18 イエスは彼らの悪意を見抜いて言われた。「なぜわたしを試すのですか、偽善者たち。
19 税として納めるお金を見せなさい。」そこで彼らはデナリ銀貨をイエスのもとに持って来た。
20 イエスは彼らに言われた。「これはだれの肖像と銘ですか。」
21 彼らは「カエサルのです」と言った。そのときイエスは言われた。「それなら、カエサルのものはカエサルに、神のものは神に返しなさい。」
22 彼らはこれを聞いて驚嘆し、イエスを残して立ち去った。

マルコ 12:13-17
13 さて、彼らはイエスのことばじりをとらえようとして、パリサイ人とヘロデ党の者を数人、イエスのところに遣わした。
14 その人たちはやって来てイエスに言った。「先生。私たちは、あなたが真実な方で、だれにも遠慮しない方だと知っております。人の顔色を見ず、真理に基づいて神の道を教えておられるからです。ところで、カエサルに税金を納めることは、律法にかなっているでしょうか、いないでしょうか。納めるべきでしょうか、納めるべきでないでしょうか。」
15 イエスは彼らの欺瞞を見抜いて言われた。「なぜわたしを試すのですか。デナリ銀貨を持って来て見せなさい。」
16 彼らが持って来ると、イエスは言われた。「これは、だれの肖像と銘ですか。」彼らは、「カエサルのです」と言った。
17 するとイエスは言われた。「カエサルのものはカエサルに、神のものは神に返しなさい。」彼らはイエスのことばに驚嘆した。

ルカ 20:20-26
20 さて、機会を狙っていた彼らは、義人を装った回し者を遣わした。イエスのことばじりをとらえて、総督の支配と権威に引き渡すためであった。
21 彼らはイエスにこう質問した。「先生。私たちは、あなたがお話しになること、お教えになることが正しく、またあなたが人を分け隔てせず、真理に基づいて神の道を教えておられることを知っています。
22 ところで、私たちがカエサルに税金を納めることは、律法にかなっているでしょうか、いないでしょうか。」
23 イエスは彼らの悪巧みを見抜いて言われた。
24 「デナリ銀貨をわたしに見せなさい。だれの肖像と銘がありますか。」彼らは、「カエサルのです」と言った。
25 すると、イエスは彼らに言われた。「では、カエサルのものはカエサルに、神のものは神に返しなさい。」
26 彼らは、民の前でイエスのことばじりをとらえることができず、答えに驚嘆して黙ってしまった。