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集え!ガチな映画感想家達よ!コミュのキル・ビル Vol.1

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監督3作目の『ジャッキー・ブラウン』で大人の映画作家の仲間入りをしたタランティーノがついにここまでのエネルギーを爆発させた。この作品は彼が前々からやりたかった事だ、ファンなら映像を観れば分かる事でそれが嬉しい。タランティーノが愛したグラインドハウスのエクスプロイテーションから引用しまくって完成した、究極サンプリングムービーが『キル・ビル』こういうB級な映画達を愛しているような人にとっては涙が出るほど嬉しい傑作中の傑作。映画の出来は二の次だ!こういう映画をハリウッドで作って公開出来た事にタランティーノのすごさを感じる。

おそらく『マトリックス』を見て彼は嫉妬を覚えたのだろう、「これはオレがやりたい事にかなり近いぞこのやろう!!!」と吠えたかどうかは定かではない。実際彼は『マトリックス』はお気に入りらしいが、『リローテッド』は嫌いらしい、ジェットリーとジョンウーと押井守と『ブレードランナー』を足し、『スターウォーズ』シリーズのようなA級のサイバーパンクに仕上げたウォシャウスキー兄弟に対抗し、タランティーノは、ブルースリー(グリーンホーネットっていうところが渋い)やジミーウォング『少林寺三十六房』などのショウブラザーズの香港映画、セルジオレオーネ風のマカロニウエスタン、そして『子連れ狼』をはじめとする日本の時代劇やジャパニメーションと呼ばれる日本製アニメをミックスしたB級活劇を提示してきた。これはジャンル映画における詩的な世界の再構築であり。この作品を初めて観て「バカ映画とはこういうものなんだ」と思った人はたくさんいるに違いない。

タランティーノは今まで好きな映画の匂いをふんだんに散りばめ、それらの映画を再評価させてきた。実際彼が取り込んだ映画はDVDになったり、雑誌に取り上げられたりして、再注目される。タランティーノがこんかい寄せ集めたのはエクスプロイテーションと言われるキワモノ映画。ドライブインシアターやグラインドハウスで上映されるようなB級と呼ばれる物。マカロニウエスタンは西部劇の亜流だし、『子連れ狼』は黒澤さんの時代劇からみればキワモノなスプラッターサムライだ。ショウブラのカンフー映画にしたって、ブルースリーやジャッキーチェンよりも知名度がない。タランティーノはそれらの映画、つまり評論家が見向きもしないようなバカ映画(いい意味での)に愛情をそそぎ『キル・ビル』を完成させたのだ。映画評論家の町山智浩氏は『「片腕カンフー対空飛ぶギロチン」を愛するようなヤツには最高の映画だ』と言った。これはこの映画を完璧に捉えた言葉だと思う。

まず面子がすごい。ソニー千葉を崇拝しているのは、『トゥルー・ロマンス』を観れば一目瞭然だし、デヴィット・キャラダインも、『パルプ・フィクション』のサミュエルジャクソンが引退を決意した時「その後は大地を彷徨い歩くんだ、『燃えよ!カンフー』のケインみたいに」というセリフでオマージュを捧げている。さらにリューチャーフィーである。『少林寺三十六房』のリューチャーフィー。まさか彼をハリウッドの作品で観るとは…この古今東西のクンフースター(しかも有名どころじゃない)を集めただけでもこの作品は傑作なのだ。

そして音楽。今までのどの作品よりも使い方がいい。完璧と言ってもいいだろう。布袋寅泰から『グリーンホーネット』のテーマまで飛び出すそのセンスはタランティーノでなければ出来なかったDJセンスだ。現にサントラも一番最後まで聞けるものになっている。

前半、復讐に徹する主人公が小気味いい脚本だが、あいかわらずの時間軸の入れ替え。普通に進行させたらたるい場面も出てきそうだが、この構成は見事。映画が始まっていきなり、家の中で暴れ回るのが抜群。ナイフを使った格闘シーンをなんなくこなしている。このシーンだけで、ユマサーマンは練習をつんだ事が分かる。

そしてプロダクションIGに製作させたアニメも見事。ジャパニメーションもこよなく愛するタランティーノだが、ここまで本格的に映画に登場させるとは思わないだろう。ジャンルがコロコロ変わるのもこの作品のおもしろいところだが、グラインドハウスで3本立ての濃い映画を観て来たタランティーノは1本の映画でそれをやろうとする。

青葉屋での死闘は見事、栗山千明のアクションは素晴らしく、おいしすぎ。かなり練習を積んだのだろう、かっこよすぎである。『片腕カンフー対空飛ぶギロチン』を意識したギロチンボールは現実的にあり得ないものの、迫力満点だ。

そもそもこのシーンで『死亡遊戯』のトラックスーツ着て、日本刀で暴れ回るなんて卑怯の極み。ぎこちないカメラワークとウーピン師匠が振付けたと思えないダサいワイヤーアクションが、昔の香港映画を彷彿とさせる。『大酔侠』や『迎春格之風波』などの昔の香港映画。それがさらに揺るぎない品格を与えている。

そしてリューチャーフィー!!個人的にはもっと強くあって欲しかったが、彼のアクションを観れるだけでも我慢しなくてはならない。ガラスの下から撮るシーンは明らかに清純監督、おそらく画面が青くなるのもそうだろう。ふすまを開けたら雪がふってるのも、もしかしたら『東京流れ者』あたりからの引用かもしれない

そして梶芽衣子ばりに現れるルーシーリュー。ここでの立ち回りはクレイジー88と真逆でキレイに日本風に決める。ルーシーのアクションは完全に日本の物。梶芽衣子の『修羅雪姫』を意識してるのは格好を観れば明らかだが、ここでさらに主題歌である修羅の花が…

これだけ書いても映画は終わらない、そうこれは2部作なのだから…続く。

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