ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

たのしい特別支援教育研究室コミュの【算数・自立活動】「100並べ」を作ろう 「トモニ療育センター」所長・河島淳子さんの実践より

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
写真を入れた見やすい形にした日記があります。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1762350510&owner_id=4821859

この「100並べ」という教材は愛媛県にある「トモニ療育センター」の所長である河島淳子さんが中心となって開発普及されてきたものです。
参考文献『講義・講演資料2009年 自閉症スペクトラム児 育児と教育』
トモニ療育センター http://ww81.tiki.ne.jp/~tomoni/

河島淳子さんのプロフィール

笠岡市生まれ。昭和41 年岡山大学医学部卒業,小児科医師,高知県立中央病院小児科勤務後,第三子自閉症のため,家庭療育に専念する。
 自閉症児の母親たちと「わかば会」結成,わかば共同作業所を設立,顧問に就任。'97 年に法人化し,理事長に就任。トモニ療育センター所長としても活動を展開する。『精神科医の子育て論』服部祥子著(新潮選著)で,その家庭療育が詳しく紹介されている。


実は先日、勤務校の若い男性教師から声をかけてもらって自立活動部の夏の研修でこの「100並べ」の教材作りを通して河島淳子さんと「トモニ療育センター」の自閉症教育の実践を知ることができました。

一言で言って「このトモニ療育センターの自閉症教育は本物だ!」と直感しました。

僕は自閉症をはじめとする障害を持った子どもたちの「主食となる教科教育のための教材」をずっと探し続けてきました。
「ものつくり」や数時間楽しめる教材などはいくつも見つかりましたが、「これこそ主食となるような達成感を得られる教材」というものはなかなか見つかりませんでした。

教材の作りが単純で作ろうと思えば安価で製作することができ(500円程度で厚さ1?の馬糞紙1枚、工作用紙2枚を購入でき2セット作ることができます。僕は教えてもらいながら4時間ほどかけて1セット作ることができました。)、使用する手順が過去10年以上の様々な子ども達への実践を通して確立されており、成果もすでに確認済みです。

「100並べ」は自閉症を始めとした障害を持った子ども達を「数の世界」へと誘います。
手教材は、馬糞紙で作った数字カード(1辺2.5?)と、小箱(3×3×0.5?)を貼りつけた数字盤で、手を添えてあげれば、数字の見分けもつかず、マッチングもできない2歳程度の幼児も成人もできます。初めは、右手に手を添えて数字カードを読みながら、1から順番に小箱に入れさせてあげる。手を添えてあげると、模倣力が無くても、言葉が理解できなくても、指示に従えなくても、数字カードを小箱に入れて並べて行くことができます。

【数字1〜100並べ、小箱付き台紙】

100までの数字が入ると、時計やお金の学習へと導くことができます。親たちは、文字指導ができることに希望を持ちます。発展性のある具体的な取り組みができ、子育てが楽しくなります。
【写真 数字1〜100並べ、小箱付き台紙】

☆作り方
準備物(2セット)・・・馬糞紙1枚(多分ホームセンターで買うことができると思います。90?×90?ぐらいのもの。正式にはなんていうサイズなのかなあ・・・かなり大きいサイズです。)
工作用紙2枚(50?×36?)1枚で100個の小箱を作ることができます。
ハサミ、カッターナイフ(頑丈なもの)、カッターのマットアルミのサシ(50?のものが使いやすいです)、鉛筆(4B以上1本・・・小箱の中に数字を書く時に使います)、黒の油性のマーカーペン(数字カードに数字を記入する時に使います)、ハサミ、両面テープ(台紙に小箱を貼りつける時に使います)

(1)工作用紙に1辺4?の四角を100個書きます。
 この時に工作用紙の線のを3?の正方形が見えるように取り、その正方形の周りに5?の折りあげる部分がくるようにしておくとあとで箱のように折り上げる時の作業が楽になります。
 全部の四角を描き終わったらハサミで切り抜く前に、カッターナイフの背の部分かハサミの刃の先で定規を使って折り線にあたる部分に線を引いておくのがうまく作業を進めるコツです。
(2)100個の四角を切り取り、それぞれの4?の四角を5?の四角をハサミで切り落とし折りあげて蓋のない四角のお盆のような箱を100個作ります。

【写真 工作用紙を4?四方に切る】

上に向く方は工作用紙で言うと裏側、無地の面になります。
(3)馬糞紙40?の大きさにカッターナイフ切り取ります。
 ものすごく堅いです。カッターナイフで5〜6回同じ線の上を切ると切り離すことができます。
 あとで端から3.5?離して33?四方の四角を描きます。3.3?四方の格子状の100のマスを黒のマーカーペンで描き3?四方の小箱を貼りつけていきます。
横1列分の所に両面テープを2筋に貼りつけてその上に小箱をしっかり固定するように台紙に描いた四角にきっちりと貼り込んでいくように丁寧に作業を進めます。
(4)100個の小箱を貼り終えたら、1〜100までの数字を左から右、上から下の法則で記入します。この時「1〜9」の数字を記入する時も真ん中に書くのではなく「10の位」を空けておいて右半分に書き、それぞれの「1の位」の数字の位置が箱の右半分になるように鉛筆で目で見て分かりやすい数字で書きます。
「数字のマッチング」ができるようになったらあとで消すことができるように鉛筆で書くということですが、僕の感じではこれはこれで消さずに置いておいてあと1セット「数字の入っていない台紙」を作る方がいいんじゃないかなあと感じています。
少しずつ数字を消して行くという指導方法もあるかもしれません。
(5)ここまでできたら半分以上できたようなものです。
 「数字カード(駒」)を馬糞紙で作ります。
 馬糞紙を使うのはこの大きさのカードは子どもが口に入れる可能性もあるので、「飲み込めない、飲みたくない、投げても安全、安価、すぐ作れる」ものだからです。
 公文(クモン)の「100並べのプラスチックの駒」もあるようですが、これは飲み込んだら危険ですし、投げると落ちた時に音がします。その音が気になったり、なくすと困るということで教師が落としたら拾いに行くことを子どもが面白がって本来の指導の目的から外れる余計な刺激になることがありがちです。馬糞紙の場合ですと、落としても音もしませんし、色も地味ですので数字以外の余計な刺激がありません。 
・2.5?の大きさの四角を100個作ります。
・25?×25?の四角を馬糞紙に描き2.5?の格子を書いて、数字を先にマーカーペンで書いておきます。(その方が作業がしやすいと思います。)
・カッターナイフで切り取っていきます。かなり堅いです。力を入れるよりも刃のあたる角度の方に気をつける方が大切なようです。5〜6回同じ所を切ると切り取ることができます。がんばりどころです。10個ずつできた駒を台紙に並べていくと「あといくつだ」という見通しもできて頑張ることができます。子どももこの「100並べ」を完成させていく時に30ぐらいまではすぐにできてもそれ以上は励ましがないと最初はなかなか続けることが難しいそうです。そして80を超えるあたりになると「終わりの見通し」が持てて「100」まで到達すると達成感が得られるようです。
この「終わりの見通しが見える」ということが最後まで頑張るためのかなり重要なポイントのようです。
・これでできあがりです。
子ども達が「100並べ」を完成させた時は、褒めて大切そうにそっと置く場所を決めておいて保管して下さい。
子どもの前では決して並んだものをバラバラっと壊さないようにして下さい。子どもが時間をかけて作り上げた「100並べ」の達成感を子どもと共に味わって下さい。
次回の用意はあとで指導者が子どもがいない場所ですればよいことです。

また、単なる描いたマス目ではなくて、「どうして小箱を作るのか?」ということですが、箱に入れるので並べたカードをぐしゃぐしゃにしてしまいにくく、子どもの抵抗に挫けて取り組むのが困難に思えた場合でも、この小箱の台紙でスムーズに取り組むことができるということです。

【左手の位置について・・・作業に集中させるポイント】
子どもは右手で数字カードを小箱に入れて行くのですが、左手をどうするのかというのがかなり重要なポイントです。
左手は机に固定させます。最初は指導者が子どもの手を軽く押さえて「ここに手を置くんだよ」という支援から始めます。自然に子どもが慣れてできるようになるまでガイドするとよいでしょう。
左手を机に固定させると右手に集中して取り組み、やがて数字の区別がつき、配置に気づくようになります。

数字に気づくうちに、マッチングすることができるようになります。マッチングと分類ができると、教育の可能性が広がります。
同時に手を添えてなぞり書きではなく、運筆で数字を書けるようにします。


 僕が実際に作った経過を振り返りながら思ったことなども付け加えながら書いてみましたが、読まれた方は「作ってみよう」という気持ちが膨らんだでしょうか?


【「100並べ」でできること】
認知に障害を持つ子どもたちには「分かりやすい教材」「分かりやすい指示」が必要です。
この「100並べ」はその両方を兼ね備えるものであると言えると思います。

数字は「0」〜「9」までの数字を組み合わせることで、たくさんの情報が得られます。
生活の中で数字によてたくさんの情報を得ることができます。

〈「100並べ」でできること・・・ポイント〉
・認知の方向を定める(左から右、上から下)
・手指の操作性向上(左手を定めることで右手の作業の集中)
・学習の体勢を身につける(達成感、指示理解)
・数字の区別がつく(マッチング、書字、数唱、順序性)
・数字を書く練習もしながら時計やお金の学習につながる
・対象生活年齢無限大
・いつ始めるか?いつからでも →「いつ始めるんですか! 今でしょ!」by東進ハイスクールCM

【指導の実際】
・左手をきちんと机の上に置く支援
 最初は子どもの手を軽く押さえて「ここに手を置くんだよ」という支援から始めます。 子どもは机に座って学習するという学習に対する構えを身につけます。

〈一番最初の支援〉
子どもの手をガイドしながら、
「1」を置くよ、「1」「1」「1」・・・・
「よくできたねー」
次は「2」を置くよ、「2」「2」「2」・・・・
「よくできたねー」
という感じで子どもに応じた評価や励ましを入れながら支援していきます。

「1」という数字
目と耳から情報を入れて、最初は1枚ずつ手渡しで、場合によっては手を添えながら指導します。
親指と人差し指で数字カードをつまむことから教えていきます。

〈支援の進み方・・・ガイドの外し方〉
・直接体に触って子どもの手をガイド
・指さしで視覚的支援→「ここに入れます」
・言葉で支援→「1」の所に入れます

何をするかを具体的に教えて行くことが大切です。
そうしてできるようになってきたら段々と支援を外して自分でできるように導きます。

【「励まし」で頑張れる段階から「達成感」で頑張れる段階へ】
 30ぐらいまでは子どもも指示に応じてくれます。
 30〜80ぐらいまでは「頑張ろうね」と励ましながら進めていきます。
 80ぐらいになると子どもの顔つきが変わってきて、100まで並べきると「やった、終わった」という達成感が得られます。


【「100タイル並べ」でできること】
・「数字100並べ」と並行して「100タイル並べ」も学習していきます。
 「100タイル」とは「水道方式」で使われる「半具体物」である「タイル絵」によって示された「1〜100」までの数字を量的に示した絵です。
・数の形(量)を学習できる
・5,10,50を固まりとして捉えることができる
・お金や時計、重さ、長さの学習に繋がる
・やり遂げる達成感が得られる。

【「1〜100並べ」の療育的効果】
(1)指示を理解し、指示に沿って行動できるようになる。
(2)やりとりする力がつく。
(3)より質の高い信頼関係ができる。
(4)長時間着席し、手を膝にして待てるようになる。
(5)小さなカードを摘んでは置いていくので、手指の微妙な機能や感覚は磨かれる。
(6)手を添えられて学ぶことに慣れ、身辺自立の取り組みや新しい課題にも取り組みやすくなる。
(7)人から学んで、分かる喜びを味わう。
(8)見分ける力がつき、判断力が養われ、自発性が育つ。
(9)注意力、柔軟性、集中力を養われる。
(10)努力してやり遂げる力がつく。


【参考・トモニ療育センター所長  河島 淳子さんのNHK障害福祉フォーラムのレジメから】
NHK障害福祉フォーラム1999.2.14

自閉症児を育てる〜親の立場から〜

トモニ療育センター所長  河島 淳子

プロフィール
笠岡市生まれ。昭和41 年岡山大学医学部卒業,小児科医師,高知県立中央病院小児科勤務後,第三子自閉症のため,家庭療育に専念する。
 自閉症児の母親たちと「わかば会」結成,わかば共同作業所を設立,顧問に就任。'97 年に法人化し,理事長に就任。トモニ療育センター所長としても活動を展開する。『精神科医の子育て論』服部祥子著(新潮選著)で,その家庭療育が詳しく紹介されている。

 はじめに

 昭和46 年に生まれた息子に障害があるとわかった時,「すでに脳に何らかの障害を負って生まれてきたのであるなら,残っている健康な脳の機能をフルに活かして発育を助け,彼ができるだけ自由に楽しく豊かに生きていけるように,精一杯の子育てをしよう」と決意した。その頃はまだ,言葉の遅れはあっても,整った利口そうな顔付きをしているので,頑張れば就学までに追いついていくだろうと楽観していた。
 ところが,その外見からはとても想像できない深刻な認知の障害があり,その悟りにくさ,わかりにくさ,パニック,こだわり,問題行動,関係の持ちにくさなどで,年々非常に育てにくくなり,「私が育てなければ生きていけない」と危機感を持つようになった。
 それだけでなく,非常に歪みやすく,ついた歪みを取り除くのに,親も子も大変な苦労をしなければならない状態で,その子育ては困難を極め,仕事を断念した。いや,可能性が見え隠れしていて,親としては子育てに全力投球せずにはいられなかったのである。

 「家庭は社会生活の基礎を学ぶ場で,一番重要な療育の場である。母親である私がすぐれた療育者にならなければ,子どものよりよい成長は望めない。誤った育て方で,息子を歪めてしまってはならない」「嫌われない人に育てよう。豊かに自由に生きていけるようにしよう」「人間はひとりでは生きられず他者との関係の中で生きている。自分のことが出来るとともに,人のことも喜んでできる人間にこの人がいてくれて助かると思われる人間に,感謝できる人間に育てよう。仲間と一緒にいることを楽しめる子にしよう」そうした思いで,自閉症について経過と予後について学び,二次的,三次的障害をできるだけつけないように,また,生活年齢と内面の育ちに配慮しながら,精一杯努力した。私は,自閉症を我々と変わりない存在として,共感をもって理解し,障害があっても一人の人間として,「あたりまえの子育て」を丁寧にやってきた。

 その息子は今27 歳。自閉症の特徴は厳然と残しながらもかなり好ましく育ってくれた。自宅で洋裁の勉強を続け,家族の洋服だけでなく知人の服も,先生の指導の下に一応縫えるまでになった。現在,昼間は市内の事務機器や文房具などを扱う店で働き,夜の時間や休日に洋裁をして小遣い稼ぎをしている。モダンダンスのレッスンにも通い,多忙である。

 自閉症児は朝顔のようである。方向を定めてやらないと,その蔓つるは,思うままに元気いっぱい曲がりくねって伸びていく。一度曲がったものをのばすのは苦労である。好ましく伸ばすために,早期から行き届いて関わっていかなければならない。適切な一貫性ある継続的な個別指導を,長期にわたって取組むことにより,課題の上達だけでなく,好ましい対人関係や社会性の発達・成長をも促すことができる。

【具体的なそれぞれの項目の話は以下のホームページを開いてご覧下さい。】
http://www.interq.or.jp/japan/aschiba/Michi/No57/m57_kawashima.htm

コメント(1)

2月に和歌山県田辺市で河島さんの講演会があるようです。

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

たのしい特別支援教育研究室 更新情報

たのしい特別支援教育研究室のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング