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日記ロワイアルコミュの知って、守ろう、貴重なもの

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 海外を旅するときに気をつけなくてはいけないこと。それは、貴重品の扱いである。

 置き引き、スリ、偽警官――被害にあった話は枚挙にいとまがない。

 ヨーロッパにおいて耳にするスリの手口は芸術レベルと言える。知り合ったイタリア人男性はあきれるように言った。

「ズボンの前ポケットの中の、さらにチャックのついていた中に札を入れていたのに、それだけ抜かれたことあるよ」

 まったく気づかないのだという。見事な技術である。

 また、日本人の男の子が、「ぱつぱつのジーパン」の前ポケットに折りたたみの財布を入れてローマ市内を歩いていたとき、これまた「まったく気づかない」うちに財布を抜かれていたらしい。

 彼の場合、財布にチェーンをつけ、それをベルトに結んでいたため、盗難は免れた。けれどもしもチェーンをつけていなければ、「きっと気づかなかったと思う」と彼は断言した。犯行に気づいたのは、チェーンが「びよーん」と伸びた瞬間だったらしい。腰が引っ張られ、目を下に向けると、チェーンがまっすぐに伸びていたというのだ。慌てたときには、犯人と思われる男性は小走りに離れていったところだった。

 有名な手口では「ケチャップ強盗」というのがある。「背中(もしくはリュック)が汚れてますよー」と親切そうに声をかけてくるひとがおり、見るとたしかに汚れがついている(唾液、ケチャップ、マヨネーズ、鳥の糞など)。するとその親切な人が、「これで拭いたらいいですよ」とティッシュやタオルを貸してくれる。

「ありがとう」と言いながら拭いているうちに、財布をすられる。もしくは、違うひとがやってきて、下に置いた荷物を盗んでいくというパターンである。日本人の男の子が、スペインで同じ日に二度やられ、頭にきたと怒っていた(彼は何とか防いだが、汚されたことに激怒していた)。

 知識としてもっていても、いざその場面に遭遇すると、まずは汚れたことにショックを受け、意識がそちらに向くため、警戒が薄れるらしい。アルゼンチンで会った中国人カップルが、手口を知っていたのにその被害に遭い、ポケットから財布を抜かれ、札だけ取られ、財布はまたもとのポケットに戻っていたという(あとから財布を開いたときに気がついた)。



 偽警官が登場する手口もある。「パスポートのチェックをします」というもので、ついでに財布も確認され、札を抜かれるものである。巧妙になると、以下のような流れが発生する。


・ステップ1
 にこにことした観光客らしい人が、「すいません、写真撮ってもらえませんか?」と登場する。

・ステップ2
「ちょっと、向こうの像と一緒に撮りたいんですよね」と、人の少ないところに移動させられる。

・ステップ3
 偽警官が現れる。

・ステップ4
「パスポートと財布をチェックする」と言われる。

・ステップ5
 『写真を撮ってくれ』と声をかけてきた観光客風のひと(グル)が、「あ、はいはい判りましたー。ご苦労様です」と、さも当たり前のように財布を渡す。
 ※ここで心理的に、「あ、私も出さなきゃ駄目か」と思わせる。

・ステップ6
 偽警官があなたの財布を確認して、お金やクレジットカードを抜く。
 

 というものである。事例を知らなければ、ころっと騙されそうな巧妙さだ。



 わたしもベルギーの教会を観光していたとき、危うくスリに遭いそうになった。にこにことしたジプシー風のおばあさんが、英語以外の言葉で話しかけてきて、「お金くれ」というような仕草をする。断ると、教会のパンフレットのようなものを見せてきて、「買ってくれ」というような仕草をする。もちろん断るのだが、これが執拗だ。腕に触ったり、背中に触ったりとやたらボディタッチしてくる。まるで、わたしに恋をしているようだ。

 一応、愛嬌を振りまいてくるので、冷たくあしらうことはせず、「いらないよ〜」などと呑気に日本語で返事をしていると、開いたパンフレットの下、死角になっているところで、わたしのズボンの前ポケットに手をつっこんできた。

「こんなところで何て積極的! かつハレンチ!」

 とは思わず、わたしは反射的に激昂した(言葉が通じないときは、態度で示すしかない)。

「ゴラァぁぁぁ!!!」

 そのとき、わたしのポケットにはデジカメが入っていた。古い型で若干大きかったのが功を奏し、抜くのに手間取ったらしい。もちろん、この死角を作る手口も耳にしており、どことなく注意していたため、すぐに気づくことができた。けれど、もしもそれがおばあさんではなく、優香のような女性だったら、こちらから差し出したかもしれない。

 教会中の注目を浴びるほど怒鳴ったわたしに、おばあさんは「ぷいっ」と知らん振りをし、離れていった。反省の色は見えなかった。おそらく今も同じ盗みを続けているに違いない。


 
 これらの手口はヨーロッパ以外でも起こる。けれど、他の土地に行くと「暴行」されるパターンが発生する。

 アフリカのどこぞの土地では、バスターミナルから50メートル離れただけで、屈強な黒人たちが「ラグビータックル」をしてくるらしい。身包みはがされ、あとには何も残らない。

 また、南米では「首絞め強盗」や「ノックアウト強盗」、ブラジルやフィリピンでは「拳銃強盗」と命の危険までさらされる。こうなってくると、芸術的なスリのほうが、千倍ましに思える。肉体的被害に遭うのはできる限り避けたい。

 ではどうするか。まずはとにかく狙われないようにするしかない、と思う。バックパッカーとして南米を旅したとき、鞄などの荷物はいっさい持たず、ズボンの内側に袋をぶら下げ、全て隠すようにした。また、お金は三つに分けて持ち、いざというときはダミーの二つを差し出して許してもらおうという対策もした。夜間はなるべく出歩くことをせず、危険なところには近寄らないようにした。

 ――と、このように言えば、まるで戦場を歩くように気を遣っていたようだが、そうでもない。わたしはとにかくブラジルに行くのが怖かったのだが、行ってみると、普通に人びとが生活していた。街を闊歩し、笑っていた。日本と同じだった。街のいたるところがスラム街のように危険なわけではない。最低限のことに気をつければ、犯罪に巻き込まれる可能性は低くなる。

 置き引き、スリに遭わないように貴重品を管理すること、また、首絞め強盗などに狙われないよう、最低限の荷物で済ませること。

 これらを意識していた結果、ほぼ被害には遭わなかった。数年にわたってオーストラリアやヨーロッパ、南米を旅したが、盗まれたのは、誰も盗まないようなぼろぼろのサンダルと、安宿の共同台所の冷蔵庫に入れておいた二日目のおいしいカレー、そして、各地の美女に盗まれた恋心だけである。

 これだけで済んだのは、相当に幸運だったとは思う。どんなに気をつけていても、まるで事故のように、盗まれる人は盗まれる。
 


 こうして悪い部分ばかり書くと、海外旅行が怖くなってしまうかもしれない。けれど、知識としてあれば、また、警戒する意識が働けば、防げることが多いと思う。

 盗難などの被害に遭うと、それだけで旅行が台無しになる。楽しく過ごし、素敵な思い出にするためにも、貴重品の管理は大事である。



 長い旅を終えて日本に帰国したとき、嬉しかったことの一つは「貴重品の管理」というストレスから解放されたことだった。心底ほっとした。現在でも財布などを置きっ放しにはしないなどの癖がそのまま残っているが、それでもぴりぴりするほどのストレスは感じない。


◇◇◇


 先日、友人を介して、イギリス出身のジェームスと札幌のススキノで酒を飲む機会があった。彼は七年ほど日本に住んでおり、日本語も流暢で、日本が本当に好きだということだった。

 適度に酔いもまわった深夜二時頃、他の店へ移動しようとパブを出た。

 酔客の多い路地を歩いていると、すこしして、「お客さーん」と我々を呼ぶ声がした。振り返ると、小走りに寄って来た店員さんが、「これ、違いますか?」と肩掛けのバッグをこちらに示した。

「あ! おれのだ! すみません!」と、ジェームスは頭を下げながら、それを受け取った。

 そして、「日本で良かった!」と、嬉しそうに声を出した。

 その一言に、深い感慨があるなあとわたしは思った。


◇◇◇


 願わくは「安全」と「安心」を誇れる日本であってほしい。

 どうか、ずっと、いつまでも。

コメント(63)

これを読んで少し不安になっていましたが、娘が無事台湾旅行から帰国しました。

日本程、安全な国はないですね。
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