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日記ロワイアルコミュのドラえもんとミーちゃんの恋の話

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母がいなかった。

夜遅く父が迎えに来るまで、ベビーシッターの家でずっと飽きずにドラえもんの映画を見てた。

僕はドラえもんが大好きだった。

そんなドラえもんが僕にくれた人生最高のプレゼントが、昔の恋人、「ミー」だった。

高校の文化祭で、クラスがコスプレ喫茶を企画した時、周りがメイドやブルースリーなどをやる中で、僕はドラえもんのコスプレをした。

それが功を成し、コスプレ企画の中でトランプゲームを一緒にした相手の女の子が、一週間後に恋人になっていた。

生まれて初めてのちゃんとした恋人は、ドラえもんのコスプレをしている時に出会ったのだ。

付き合っていた頃、彼女は自分のことを「ミー」と呼んでた。

名前に一文字も「み」が入っていないのに。

「自分は英語でMEでしょ? だから、誰でも自分をミーって呼べるんだよ」

って得意げに言ってた。

「なにそれ」

って言ったけど、でも、実はミーの響きが好きだった。
ミーちゃんはドラえもんのガールフレンドだったし。

人見知りで、猫かぶりで、でも一度なつくと、とことんなついてきて、留守電が30件なんてざらで、メールの返事をしないと涙マークだらけのメールを何通も送ってくる、俗にいう「重たい女」だった。

でも、家庭がうまくいってなくて、いつもどこか孤独だった自分には、その重さがむしろありがたかった。

最初に母がいないと書いたけど、実は幼稚園の時に新しい母が家に来ていた。
最初は血がつながっていないことや、他のいろんな悲しいことで、お互いに摩擦を起こして、その頃は母親が大嫌いだった。

だから、初めての彼女に甘えまくってた。母親に甘えてこなかった分、思いきり甘えた。



実は、そのおかげで今、僕は母親に感謝しているし、愛情も感じてる。

それは、彼女が僕のために泣いてくれたり、笑ってくれたり、ぎゅーって抱きしめてくれたりしているうちに、僕が「愛情」を拒まずに受け取れる人間になったから。

結局ね、それまで母親に反抗していた部分がほとんどだったんだ。
母親に感謝もしなければ、母親がときどき発する愛情のシグナルを、残酷なまでに切り捨ていたのは、自分だったんだ。

そんな僕を彼女が変えてくれた。彼女は大きな大事な物をくれたんだ。

彼女の家はあまり裕福という方ではなかったし、自分もバイト代は彼女に会いに行くための電車賃(往復3000円)を繰り返せばすぐに消えてしまうくらいの、貧乏カップルだった。

でも、今までで最高に幸せな時間だった。

初めてのデート、キス、誕生日の手作りケーキ、ペアリング、手編みのマフラーも、夢に見てたものを全部、彼女は叶えてくれた。

お金をつかえないからデートはほとんど彼女の部屋だったけど、狭いけどでも整理された彼女の部屋が大好きだった。

そこにいる時間が一番幸せだった。そこで愛情とか大事な物を全部もらった。

でも人間て、満たされると、ありがたさを忘れてしまうんだね。

2年半の月日が経った頃には、お昼だけ二人一緒に食べて、その後すぐに僕は一人でジムに行き、彼女は一人でショッピングに行く。そんな関係になった。

そして、お互いに別々の人を好きになった。

2年半の間にどれだけ泣いただろ。

夜の公園で彼女に
「今までありがとうございましたあああ!」
って泣きながら叫んで、翌日に電話で泣きながら会いたいって彼女に言われて、泣きながら復縁したこともあった。

でも、最後の電話では、お互いに笑ってた。

「同時に別の人を好きになったんだね」って。

電話を切った後で、今までで一番泣いた。



その後、僕は別の人、Sさんとデートの約束が決まった。

Sさんは以前、僕にミーと別れちゃえと言ってきた女性だった。

ミーと付き合っていた時も、別れるまでの最後の半年は、最低かもしれないけどSさんのことが頭を離れなかったほどSさんに一目ぼれしていた。

デートの待ち合わせ場所に着くと、Sさんの薬指には指輪がしてあった。

Sさんには恋人がいた。

官僚の娘であり学部のマドンナであるSさんは、大手企業勤めの彼氏と付き合っていた。

とても動揺したし、浮気は大嫌いだから浮気は良くないのではと、夕食を食べながら尋ねた。

Sさんはすごく眩しい笑顔で言った。

「え、浮気、良くない?」

自分の心がパリンと割れる音が聞こえたみたいだった。

それからどのくらいの時間が経っただろう。

あれから、一度も誰かを本気で好きなれない自分がいる。

好きになっても、どこかで保険を作ってる。

わかってる、保険をつくらない真剣勝負な恋をするのを恐れているだけ。

自分を信じるのも相手を信じるのをやめて、誰かを傷つけた時期もあった。

そんなことをしているうちに、恋に冷めた人間になってた。

そんな時だった。

たまたま机を整理していたら、昔使っていた携帯が見つかった。

充電したら、自称ミーの彼女との昔のメールが残ってた。

彼女は今、とても優しい別の恋人と一緒にいる。

「あなたにとても似ているよ」

電話でそう言われたことだけが、なんだか心の救いだった。

そんな彼女とのメールを読み返すなんて、未練たらしいと思ったけど、読んでしまった。

ハートがいっぱいだった。

それを一人読みながら、ふと気付いた。

ドラえもんの着ぐるみコスプレをしていた僕はまったくドラえもんなんかでなくて、むしろいろんなことを叶えてくれたミーが、ドラえもんだった。

そう思ったら、なんだか涙が止まらなかった。


ねえ、ドラえもん。

もう一度、誰かを本気で愛してみたいよ。

そんな道具あったらいいのに。

ううん、でもそうじゃないんだよね。

君と過ごした大事な思い出のどれもこれも、決して豪華じゃなかったけど、思いだすと涙出るよ。

君が教えてくれたんだ。

人は最後は道具なんかでなくて、心で笑顔になれるんだよね。

大事なのが心なら、もう一度心を開かなきゃ。

もう一度心を開けるかな。

君が教えてくれたんだもん、頑張ってみるよ。

ありがとう。

そして、さようなら。

今度は、僕が誰かにとってのドラえもんになってくるね。

コメント(187)

俺も自分のことミーって言う子と楽しい時間を過ごしたことがありますww

一票
ねえ、ドラえもん。
もう一度、誰かを本気で愛してみたいよ。
に一票。
ドラえもんネタあった!
と思いきやw
一票

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