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日記ロワイアルコミュの『顔スロット』

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スロットあるでしょ?
パチ屋とかに置いてるやつ。
それがパチ屋より豪華なラスベガスみたいな施設に
ずらーっと並んでて
そこにわんさか人がいるけどみんな真剣に
見てるわけ。
観客として。

すげぇ出してる客がいるのかなと思ったけど
箱も積んでなくてコインもないの。

で、何かなーと思ってたらそこに店員というか
老婆がそのスロットの脇で説明してるの。

長い説明だったから端折ると
『顔スロット』といって
どうやら自分の記憶や年齢はそのまんまで、
顔を換えてくれるらしい。

やり方はスロットと一緒。
各リールに目、鼻、口が並んでてストップボタンで
押すと止まる仕掛けだ。

そしてこのスロット
・コインではなく自分の顔を賭ける。

・2回限りが原則(※2回目やるかどうかは任意)
で当然ゲーム後は自分の顔には戻れない。

・個人の能力は基本的にそのまんま
(※イングヴェイの顔になったからといって
ギターがうまくなるわけではない その時は諦めよう!)

・下手するととんでもなく生きているのが
キツイ顔になってしまったりする可能性もあるが、
うまくいくと福山とか妻夫木も夢じゃないという事だ。

聞いてる分には面白いが、やるとなると慎重になるわなぁ・・
何年間もこの顔で生きてきた分、不細工だろうが
気に入らない部分があろうが愛着ってもんがある。

だが顔コンプレックスって大小あれど必ず
誰にでもあるもんじゃん?

だから興味はあるよね。
で、誰かやらねぇかなと思ってたら
見るからに秋葉系っぽい子が挑戦した訳だ。
俺も観客に混ざって見ることにした。


スロットを多少やった事がある人なら
わかると思うがスロットっていうのは
レバーを引いた瞬間に役が決まる。
つまりどんなに目押しがうまかろうが
777が揃わないのは役を引いていないからで
レバーを引いたらそこで役が抽選され
補正されて引いた役が揃う様に出来ている。

このスロットもそこの理屈は
一緒で、かっこいい目とか鼻が通った所で
ストップボタンを押しても役を引いていなければ
ズレてしまうという事。
まぁ・・ 超高速なのでとても目押しが
出来る速さではないし、一周するのにどんだけ
絵柄があるか確認できないほどパーツ数があるので
どっちにしろ目押しとは無縁な訳だ。

老婆にかっこいい目が引ける確率はどの位あるのか
聞いてる人がいたが、
老婆は
「人間の顔のかっこいい悪いはよくわからん。
あたしにしてみりゃみんな魚の顔と一緒だしのぉ」
と、全く関心のない様子でかったるそうに説明してくれてた。

「じゃがしかし・・」

老婆は続けた。


「TV?とかに出てる有名人や芸能人の顔のパーツの
フラグ(役)を
引いた場合にはレバーを引いた瞬間に予告音がなるのじゃよ。
それから押し終わった後にその人の名前も表示してくれるぞぃ」

ほほぅ!前予告機能付スロット。

そりゃレバーを引く瞬間にも力が入る。

説明を聞き終えた秋葉君はうなずき、
一息ついたあと天高く腕を振り上げ

「き・・キアヌ・リーブスーーー!!!」

叫びながらレバーを叩いた。


予告音は・・・・・




鳴った!!!!!

どどどいんどいんどいん♪


うぉおおおおお
観客の心の底からの声が響く。


秋葉君は震えながら順々にストップボタンを押す。

パパパーン!
画面表示は

ピッ
【たk

ピッ
【たけだ

ピッ

【武田真治】


おおぉ!秋葉君の顔が武田真治の顔に変わっていく・・・!

す・・すげぇw

でも俺は聞き逃さなかった。

秋葉君はちっと舌打ちをした。

お前

どんだけ期待してたんだよ・・・

お前の人生からしたらそんな出世はありえないんだぞ!
と思ったがまぁ自分からしたら好みの顔になれないんなら
納得はいかないのかもな・・・。

しかし本物の『顔スロット』と証明されたこのスロットと
結果に観客のボルテージはかなり上がってきて
俺も俺もと続き始め、スロットの前には長蛇の列ができた。



「うぉおお!妻夫木ー!!!」

「キムタクこいーー!」

「福山ーーー!!」

「松潤ーーー!」

「松山ケンイチーーー!!」

「加藤鷹ーーー!」



・・・

それぞれがなりたい顔を叫びながらレバーを叩いていく。

予告音がなる人、ならずに痛い子になる子、
ならずともかっこいい顔になれた人、
本当にそれぞれだった。

そんな多くの挑戦者の中でちょっと目を惹いたのが
ホスト風の男だった。
城咲仁をもうちょっとかっこよくした感じ。

ちょっと待て!お前はこのスロットやらなくても
充分だろうがこのリア充が!!
と、ツバをかけたくなる感じではあったが
その挑戦者精神に感服した俺は静かに見守ることにした。

城咲は落ち着いた感じで静かにレバーを叩いた・・・


どどどいんどいん♪


予告音だ!!!!


・・淡々とストップを押す。


ピッ
【しr

ピッ
【しろた

ピッ

【城田 優】

・・・結果【城田 優】!!!!

おい・・神は二物を与えたか・・
やはり神はイケメンの味方なんやね・・・

と皆が思った瞬間である!

城咲改め城田は
「これ・・2回まで挑戦できるんだよね?もっかいやるよ」


お・・い・・

おい!!
おいおい!!

こいつ馬鹿じゃねぇのか!自分の元の顔には戻れないんだぞ?
どこの山の頂上を狙ってんのかしらねぇけど
お前の山は十分高いだろ!!満足しとけ!これが
俺のエベレストです!って言っちゃえよ!!!



しかし城田はまたしても静かにレバーを叩いた。
無常にも回り始めるリール・・


予告音は・・・





ない。


そして・・・ストップ・・


止まった顔は・・・

残念ながら奥さん・・・もう現代の科学では
これ以上の・・・手遅れでした・・
もっと早く処置できていたら・・・と医者がうつむきそうな
とても残念な顔に仕上がっていた・・・。

残念な顔なのにスーツがビシッと決まっている姿が
とても痛々しい・・・。

しかし城咲改め城田改めホンコン似は ぼそっと言った。



「よかった・・・これで彼女も諦めてくれる・・・」



男前ゆえの男前にしかわからない悩み・・・
この男の人生をちらっと想像できた瞬間であった・・。



その後も挑戦者は増えていった。
喜ぶ者、悲しむ者、もう一度だけと哀願し泣き崩れる者、
それぞれであった。


そして俺の番が回ってきたのであった・・・。


熱狂する挑戦者達がレバーを叩いていく長い待ち時間の間
俺は考えていた。

本当に自分の顔と交換してまでレバーを叩きたいのか?
確率論至上主義で生きてきた俺が
確率もわからないギャンブルに手を出して
本当に後悔しないのか?




幼少期から鏡を見てきた。

ここがもっとこうだったら・・
鼻がもっとツンとしてたら・・
でもこの部分は気に入ってるな〜・・
あの子好みの顔だったらあの時フラれてなかったかも・・
いっその事人生諦めれる位ぶっさいくだったら開き直って
性格も今より明るかったりして・・


でも・・やっぱ・・

かっこよくなりたい・・
かっこよくなりたい・・・
かっこよくなりたい!!!


俺の心は決まった。

婆さん!妻夫木ひくぜ!!
俺はそのスロットの脇にずっと立ってる
店員らしい婆さんにむかって叫んだが、
それは本当は婆さんに向けた叫びではなく
俺自身を奮い立たせるために叫んだのだと
頭ではわかりながらも
婆さんをにらみつけて叫んでいた。

婆さんはあくびをしていた。




つーまぶきっ!


つーまぶきっ!

どこからともなく観客からの妻夫木コールが沸き始めた。

うおお!ありがとう観客のみんな!俺ひくぜ!!

つーまぶきっ!!

つーまぶきっ!!

俺は思いっきり手を振り上げ、レバーを目指して
一気に腕を振り下ろした!
届け!俺の思い!!

「栗山千明ーーーー!!!」

なぜ俺は栗山千明と叫んだのか・・・いまだに謎だが
それ以来俺は本当に栗山千明が好きだ。


予告音は・・・・




どどどいん!!どいんどいん!!



うぉおお!キターー!!

ストップボタンを押す瞬間が永遠に感じられた。



結果が出始める・・

ピッ
【やま 

あぁ・・やまの時点で
ツマブキちゃうか・・・

ピッ
【やましt

やましt・・?
山下か!うぉ山P入りましたよ!!!
あんま個人的には好きじゃねぇけど自分の顔になると
わかればおいちゃん愛せる!!

ピッ
【山下真司】

・・結果【山下真司】






・・・
ねぇ・・知ってる?

スクールウォーズだよ?



中途半端・・・って言うかーー!
ぶっちゃけハズレだよねえええ?
俺そこまで歳とってねぇっすよ!!

とりあえず俺はクスクスゥと笑う観客に向かって
歯を食いしばれ!これからお前らを殴る!!!
と、身も心も山下真司になって叫んでみたが2秒で飽きた。


か・・考えさせてくれ・・・

婆さんは静かにうなずいている・・。


俺は心の自分と初めて真剣に向き合った。

俺よ・・俺。山下真司の顔で生きていく?
確かに今の俺よりは男前なのかもしれんが・・・
老けすぎてねぇか?

・・あと一回チャンスあるわけだが・・
もしよ・・次で蛭子さんとか
引いちゃったらどうすんだよ?

馬鹿!弱気でどうする!
山下真司で妥協して生きていく人生でいいのかよ!
妥協を求めてこのスロットに挑戦したのかよ!
クララの馬鹿!いくじなし!!死ね!カス!
うじ虫!!社会のゴミ!!ナマハゲ!クズ!ボーフラ!



そうだ・・妥協をしない・・後悔したくない!
俺・・やります!!

婆さん!もう一回だ!!


俺改め山下真司の目には 迷いなど微塵もなかった。

「俺は次の結果をどうあろうと受け止める!
倒れるなら前のめり。
いきだおれるとしても前に進みながら倒れたい。
後悔したくねぇんだよ婆さん!!」

観客の数人は俺の心の叫びを感じ取って泣いていたと思う。

無論俺改め山下真司も泣きながらしゃべっていたと思う。

神経を限界まで研ぎ澄ませた。



雑音が・・・

消える・・





ガキの頃 かすかに聴こえた2階で兄貴が
みてるテレビの音がうるさくて勉強ができないと
泣いたあの日を思い出す・・


あの日以来の集中力・・


心臓の音さえ うるさい・・


予告音は鳴るはず。
俺はここ一番に強いタイプ。
大丈夫。いける!
俺(改め山下真司)の手は居合いの達人の如く
鋭くレバーに対して一直線に向かい、
レバーをはじいた。




俺の仕事は終わった・・・
後はストップボタンを押すだけ。

騒がしい音が
レバーを叩き、燃え尽きていた俺を
現実に呼び戻す。

観客達の声・・ざわめき・・

集中力が切れると徐々に
雑音が俺の耳に戻ってくる・・。


どいんどどどいんどいん♪


予告音が鳴り響いていた・・。



あたったな・・


結果を見ないでも何となくわかる感覚。

ある一定のレベル以上
スロットを打つ人や麻雀を打つ人なら何となく
わかるだろうか・・
ビッグかレギュラーか押さなくても何となくわかっちゃう感覚。
危険牌を打つ刹那 稲妻が奔る感覚。

ストップボタンを押す事さえもうどうでもいいくらいに・・。


俺はタバコに火をつけ、

ゆっくりとボタンを

押した。















もうすぐ俺が森末慎二になって2年目の夏がくる・・。

終。

コメント(51)

微妙!!w

森末さんに1票入れまぁーーーすぴかぴか(新しい)

笑いました。
設定も面白いです星
一票
加藤鷹って叫んだ人が気になるWW
一票exclamation
ウケた(・∀・)♪
私なら『柴咲コウー!』
1票
設定からおもしろかったです。一票。

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