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日記ロワイアルコミュの宝物の価値なんて

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その頃はお互いに今より忙しくしていて、すれ違いはいつもの事だった。

無理に逢える時間を作るほど心に体に余裕も無くて、まだ梅雨時の天気にも気が滅入る。



「疲れた」の交換ばかり。

メールも電話もどこか上の空。



そんなある日、本当に久しぶりにお互いの休みが合って、一緒に過ごせる時間があった。


「ケーキ買って帰ろうか?大きいの」

「なんで?俺甘いの食べないの知ってるじゃない。食べたかったら買ってあげるよ」

「・・・うん、じゃあこれがいい」


普通の大きさのチョコレートケーキを指差す。

なんだ、生クリームが苦手、甘いものが苦手。
そんなの昔から知ってるはずなのに。



久しぶりに二人で過ごす時間はあっという間で、鬱陶しい朝が来る。

仕事へ、日常へ、意識を剥ぎ取られる。








深夜、灯りの点かない部屋に帰宅。

他人の物の様に重たくなった体をソファに投げ出して、見もしないのにテレビを点ける。

不規則なテレビの光に反射して、小さなほこりがキラキラ光る。なんとなく目で追いかけてふと、テーブルの上に何か置いてある事に気付き、重たい腰を上げて蛍光灯を。



飾り付けられた小さな小包とメモ。



「全然気付かなかったね、22回目の誕生日おめでとう」



あぁ、そうだったんだ。

疲れていた、と言えばそれまで。
人事の様にしか感じられず、メモをクシャクシャと丸めてゴミ箱へ、すると見慣れない綺麗な紙箱が捨ててある。
なんだか気になって手に取ると中を覗いてみた。



色とりどりのロウソク。


銀紙が巻いてあるロウソク。


22本ちょうどのロウソク。




何ヶ月も前にした会話を思い出す。


「誕生日ってさ、ロウソク消すじゃない」

「うん」

「どうして消すんだろう?」

「消すんじゃなく点けるんだよ、それでも消さなきゃケーキ食べらんないし、ね」

「ふーん、俺あれやったコトないんだよね、やってみたい」

「じゃあ次の誕生日に準備してあげるね、でもケーキ食べないでしょ?」

「いや、食べる、その日は、我慢して食べる」



あんなの、覚えてたんだなぁ。

休みも無理に合わせたんだろうか。

思い出しながら、自分でも気付かずに泣いていた。




俺が今でもそのロウソクを大切に取って置いている事を、嫁は知らない。

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