ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

日記ロワイアルコミュの霊感の強い派遣社員。

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
「…なあ、また『出た』らしいよ…。」

 休憩所で社員が噂話をしている。

 『幽霊』の噂だ。


 俺の働いているこの工場は創立60年以上を迎えた古い工場だ。

 事故の多い作業が多いので、幽霊が出て来ても何ら不思議は無い。

 



 俺(…幽霊と言えば、『Nクン』は元気にしているのかな…。)

 この話を聞きながら、俺は先月まで職場にいた『派遣社員のNクン』の事を思い出した。



 Nクンは少し変った人物だった。

 他人とあまり関わりを持とうとせず、職場では「浮いた存在」だった。

 たまに口を開いたかと思えば、「あそこに白い服を着た女がいる!」とか「ここはお祓いした方がいいですよ。」とか言いだしたりするので、皆少し距離を置いていた。

 実家が「神社」らしいので霊感が強いのは分かるが、少々絡みづらい22歳の今時の風貌の持ち主だった。


 Nクンは先月で派遣会社との契約が満了だった。

 契約の更新をしてまだ働きたかったらしいのだが、不運にも「トヨタショック」の煽りを喰らってしまい、退社する事になってしまった。

 
 そこで先月の下旬、他の退社する派遣社員を含めて、職場で「送別会」をする事になった。

 会場は近所の居酒屋。

 何の因果か、俺はNクンの隣の席になってしまった。


 ここでもNクンは周りと絡もうとしない。

 誰かが話し掛けて来ても、生返事をするだけ。

 俺(…このままじゃ、盛り上がれないな…。)

 俺はNクンと絡んでみる事にした。


 俺「…Nクンは普段、部屋で何をしてるの?」

 Nクン「…テレビを見てますね…。」

 俺「…どんな番組を見てるんだい?」

 Nクン「…『アニメ』ですかね…。」


 …『アニメ』か。 『ガンダム』とか『エヴァンゲリオン』とか有名なところなら、何とかついて行けるかな?


 俺「俺もアニメは好きだよ♪」

 Nクン「え? そうなんですか? 高橋さんはそんなキャラじゃ無いと思っていましたから、何だか意外ですよ〜♪」


 …おおっ、喰い付いてきた!

 …ヨシ、ちょっくら『アニメ』で絡んでみるか♪


 俺「実は俺、エヴァの綾波レイが好みなんだ〜♪(話を合わせる為の作り話です)」

 Nクン「うおお、そうなんですか〜、僕はですね、この娘なんですよ♪」

 そう言うとNクンは、自分の携帯の待ち受け画面を俺に見せてきた。


 …、

 …、

 …だ、誰???

 そこには俺の知らない『萌え系のアニメキャラ』が、こっちを向いて微笑んでいた。

 …し、しかし、せっかくNクンが盛り上がってくれているんだ。

 …な、何とか話を合わせなければ!!


 俺「…イ、イイところを突いているじゃない♪」

 Nクン「でしょでしょ? …ちなみに高橋さんは、この作品の好きなキャラは誰ですか?」 

 俺「…え? あ、うん、あ、あの『メガネ』をかけた……」

 Nクン「ああ〜、○○ですか♪ 高橋さんもイイところを突いていますよ♪」

 俺「…そ、そうかい?」

 Nクン「…じゃあ、○○○○では誰が一番可愛いと思いますか?」

 俺「…う、うん、え〜と、あ、あのヒロインの……」

 Nクン「お、○○ですね♪ 僕と趣味が合いますね♪」

 俺「…お、おう!」


 他の人達は、職場の愚痴やこれからの事等で盛り上がっている中、2人(実質、一方的に1人)でアニメ話で盛り上がった。

 この後もNクンの口からは「必殺技のようなアニメの名前」や「呪文のようなアニメキャラの名前」が次々と飛び出してきた。

 俺はアドリブで何とか話を続けたが、どうにかNクンには伝わっていたようだ。

 こうして何とか無事に、送別会は終了した。

  

 それから数日後の月末、作業を終えて設備のメンテナンスの工具をロッカーに取りに来たら、ロッカー上に紙袋が置いてあった。

 中を見ると、手紙と『萌え系キャラの携帯ストラップ』が入っていた。

 手紙には

 ≪退勤時間が合いませんでしたので、このような形になりました。 
 高橋さんの好きなキャラの携帯ストラップです。
 イベント会場でしか手に入らないレア品です。
 お世話になりました。
 ps.高橋さんには強力な守護霊が居ますので、これからも安泰だと思います。 N ≫

 と、書かれてあった。


 俺(…アイツ、意外と気を使ってくれるヤツだったんだなあ…。)

 俺は早速、携帯にこの『萌え系ストラップ』を有り難く付けさせて貰う事にした。


 …しかし、この『萌え系ストラップ』、かなり不愉快な機能が備わっていた。

 「明るさ」に反応して『声』を発する、何の興味も無い俺には、イライラ度満点の機能だ。


 紙袋から取り出すと、


 『お兄ちゃ〜ん♪』


 携帯をポケットから取り出すと、


 『お兄ちゃ〜ん♪』


 携帯を開くと、携帯画面のライトに反応して、更に、


 『お兄ちゃ〜ん♪』



 …イライライライライライラ!!!



 この萌え系ストラップには『ライト機能』も備わっていたので、俺は設備のメンテナンスの時に使おうと、工具の入った腰袋に入れて、設備のメンテナンスに向かった。


 その日は設備の調子が悪く、配線を取り換える必要があった。

 配線等の部品は下の階にある為、俺はエレベーターを使い、下の階に
取りに行った。

 しかしその帰り、俺はエレベーターと床の段差につまづき、腰袋の中身を床にばら撒いてしまった。

 慌てて落ちたモノを拾い集めたが、工具が何点か足りない。

 そして『萌え系ストラップ』も見当たらない。

 …どうやら、エレベーターと床の隙間に落してしまったらしい。


 俺(…工具は申請すればまた貰えるけど、『萌え系ストラップ』は勿体なかったな…。)

 俺はNクンに申し訳無さを感じつつ、その場を後にした。
 






 
 …あ、話が脱線し過ぎた。

 そうそう、「工場に幽霊が出る」って言う話をしたかったんだった。


 今回のこの幽霊、かなりの人数が遭遇しているらしいです。

 エレベーターに乗ると、声が聞こえてくるらしいです。

 しかも『女性』で、どうやら『女の子っぽい』らしいです。

 『…お兄ちゃ…ん』と聞こえるらしいです。


 俺には霊感がありませんので、幽霊の正体はサッパリ分かりません。

 …こんな時に霊感の強いNクンが居ればなぁ〜。

コメント(139)

(;゜3゜)〜♪な少佐が頭に浮かびました(笑)

一票

ログインすると、残り108件のコメントが見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

日記ロワイアル 更新情報

日記ロワイアルのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。