漫画喫茶で心静かに過ごす、のどかな日曜日の昼下がり。
至福の時を過ごすオレを、現実に引き戻すように、
携帯が鳴った。
んん？
珍しいな、父からだ。
「もしもし？」
『すぐ帰ってきて！！』
「ど、どうしたの！？」
『１００万円当たった！！！』
Σ(°Д°；
まじすか？！(((( ;ﾟдﾟ)))ｱﾜﾜﾜﾜ
６時間パック(前払い)を２時間で切り上げて、帰ろうとしたら、
レジのおねーちゃん困惑気味。
そうだろう。
６時間パックを２時間で切り上げるような豪快な男は中々おらんだろう？
そうだろう。
おねーちゃん、
ひょっとしてこの人、親の死に目！？
みたいな心配そうな顔つきで、
しめやかに、
「前払いでいただいた分はお返しできませんが、、、
よろしいですか？(´・ω・`)」
って。
いいんです！
１００万円の前では、はした金ですから(*゜∀゜)=3!!
で、
急ぎ帰宅してみると、
リビングで家族会議中。
１００万円何に使う？！
みたいな熱い議論。
これは夢ではないかしら？
大丈夫、
さっきぶつけた足の小指は、
めちゃくちゃ痛かったから。
満を持して、
その熱気の中に飛び込む。
「１００万当選したって！？
どういうこと？？！！
宝くじ？！」
興奮気味の息子に、
父は黙って携帯を差し出す。
( ･ิω･ิ) ？？
『おめでとうございます！
あなたは見事１００万円に当選しました！』
っていう、
メール。
ﾎﾟｶｰﾝ…（ﾟoﾟ ）
父よ・・・。
父よ・・・。
これは、ただの、
迷惑メールじゃないのかよっ(;´Д`)ﾊｧﾊｧ
そんでもーね、
いたたまれなくなって父の顔を見やったら、
何とかアイコンタクトで
「違うよ」
って伝えたくて見やったら、
なに？？
その満足気は顔(((( ;ﾟдﾟ)))ｱﾜﾜﾜﾜ
父さんすごいだろーみたいな(((( ;ﾟдﾟ)))ｱﾜﾜﾜﾜ
父よ・・・。
いや、もはや父という言葉すら生温い。
和雄よ！
あなたの、そんなピュアさが大好きだけど、
大好きだけど、、
もうね、
胸が痛い。
心が痛い。
キリキリ痛い。
久しぶりの胸の痛みは、
もっと甘酸っぱいキュンキュンした痛みだと思っていたのだけれど。
「と、父さん、、、
いつ、応募したの？？」
『いや、応募した覚えはないけど、
無意識のうちにしたんじゃないかな？』
そんなミラクルねーよΣ(°Д°；
その薄い耳たぶで、
そんなミラクルな金運が巡ってくるわけねーよΣ(°Д°；
いや、言いにくいんだけど、、、
これってただの、、、
「迷惑メール、じゃない？？(;´Д`)ﾊｧﾊｧ」
ざわめく家族。
まぢかよーみたいな。
でも確かになーみたいな。
冷静に考えればそうよねーみたいな。
しかし和雄は食い下がる。
わかる。わかるよ。
男は間違いを認められない、そんな引けない時があるよ。
『で、でも！
こんなにはっきりと【１００万円当選】って書いてあるじゃない？！』
父のプライドを傷つけないように、
この事件を、収束に導かなければ。
それが息子の務めだ。。。
「いや、それはさ、なんつーか、
１００万円に当選する権利に当選しましたみたいな！
日本語の妙ってヤツだよ！
日本語って難しいよね！」
『しかし！！』
父さん。
大好きな父さん。
１００万円当選という夢から覚めたくないという
父さんの気持ちは、わかります。
痛い程、わかります。
だって、
だってね、父さん、
オレも先週、
そのメール、受信してんだ(;´Д`)ﾊｧﾊｧ
正直、ガッツポーズを繰り出した。
１００万円の使い道を真剣に悩んだ。
【当選者の方は、こちらのフォームから情報を入力して送信してください】
っていうページから
何の疑いもなく情報を送信した。
そして音沙汰なく３日が過ぎた頃、気付いたよ。
あ、これ迷惑メールだわ( ･ิω･ิ)
その日はちょっと、飲みました。
飲まずにはいられませんでした。
でもね、父さん。
ボクは嬉しいんだ。
ボクと父さんは、
間違いなく親子だって、感じる事ができたんだから。
父さん、
今週末は、
２人で並んでパチンコを打とう。
きっと２人で１００万円くらい勝てるから。
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