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日記ロワイアルコミュの危ない広島(お笑い/エッセイ)

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旅先、広島にて

銭湯で一日の汗を流し

さて、風呂上り

さっぱり気分で脱衣所に向かうと

なぜかがらがら

お一方しかおりません。

よく見るとそのお一方、

お背中がこの上なく華やか。

ドラゴンボールを七つ集めたわけでもないのに

シェンロンがおいでになられます。

しかしマンガとは違い

願いが叶う雰囲気は皆無です。

共通点といえば

その場に暗雲が立ちこめていることくらい。

どうみても道を極めていらっしゃる。

一般の方々は

極力関わり合いたくない人種でしょう。

例にもれず私もねじれの位置に身を置きたいところですが

足を踏み入れてしまったのが運の尽き。

首の骨をねじられる前に

空気よ、私は空気。

と全力で自己暗示。

吐息にすら気を払いながら着替えます。

すると御仁はそんなことなど意に介さずトイレへ

いまのうちです。

かつてない速さで早着替え。

30秒生着替えを強要されたアイドルも

いまの私には敵いません。

しかし、そんな努力空しく

パンツをあげる間もなく、突然お声がかかります。

「おう、兄ちゃん、ちょっとええか!?」

パンツすらはきかけ

何一つええわけありません。

が、ドスの聞いたその声は

「NO」の選択肢を許しません。

「兄ちゃん・・・」







「フロントでトイレの紙もらってきてくれんかのう?

わし、これ(お背中の柄シャツ※脱げないタイプ、をさしながら)じゃけえ行かれんのよ。」

一瞬走馬灯が浮かびかけましたが

話しぶりは穏やか。

警戒するほどではなかったかと向き直ります。

が、眼光がやけに鋭く

まともに視線を合わせられません。

そんな御仁のトイレ後

なぜだか旅の話で盛り上がります。

「うちの兄貴ものう旅が好きでなぁ…あぁ、兄貴言うても実の兄貴やぞ」

大丈夫です。一般人に実の兄貴以外の兄貴はいません。

そんな雑談30分

話ははずみ

ご飯へのお誘いを受けました。

かつてないほど緊張感にあふれた

「飯食いに行こう」

もちろん丁重にお断り

できる空気は微塵もありません。

早速車に押しこま・・・

ではなく、乗り込み

御仁に促されるまま焼肉店へ。

昼に食べたお好み焼きが胃に重くのしかかりますが

「ほら食え」
「どんどん食え」
「もっと食え」

御仁なりの心配りか

電光石火でお肉が運ばれてまいります。

「ノー」と言えない日本人の血を色濃く感じながら

決勝を迎えたフードファイターよろしく限界突破でかきこみます。

そして食事後、まさかの展開

ご自宅へ拉致・・・

ではなく、ご招待。

向かう道すがら、

せめて明るい話題を振りまこうと

旅で起こした失敗談を語りはじめると

なぜだか人より短い小指が目に入ります。

思わず御仁に「これまでの失敗談は?」と話題を振りそうになりますが、

取り返しのつかないことになる前に、ぐっと言葉を飲み込みます。

さてそんなことを気にしている間に到着。

わりかし普通の和風なお宅です。

しいて普通じゃない点をあげれば

玄関先など、一部ところにより防犯カメラが付いているところでしょうか。

無機質なレンズが、ただならぬ負のオーラを醸し出しており

早くも心折られそうになりますが

ここまで来たら、と

腹をくくって玄関を開けます。

ガラッ!

ご丁寧にも、はく製の虎がお出迎え。

玄関あけて2秒で虎、

来訪者の心臓へ与えるダメージは計り知れません。

まあしかし、趣味は人それぞれ

人生観が変わるほど見方を変えれば和風なインテリアじゃありませんか。

平静をよそおいながら

2階にあがると

あら和洋折衷なリビング。

革張りのソファに神棚、そして重厚な応接机。

どう見ても事務所です。

家族団欒とかけ離れた感じがたまりません。

壁にはお得意先からの寄贈品と思われるカレンダー。

何気なくかけられていますが、

会社名は『彫富(ほりとみ)』

一部上場がはてしなく難しそうな社名もさることながら

どの月を開いてみても

柄シャツ(脱げないタイプ)をまとった

ふんどし一丁の男衆が仁王立ちの装幀。

ケツの締まり具合が尋常ではありません。

そこはまさしくリアル男塾。

威圧感しか感じません。

そのただならぬ存在感から

一般家庭に贈られてくることはまずないでしょう。

そして先ほどから

あえて外した視界のすみにうつる

テーブルにごろんと置かれた黒いものはチャカ…

いやモデルガンです。誰が何と言おうとモデルガンです。

いやあ最近のモデルガンは造りが精巧だから困っちゃうな。

なんとしても見なかったことにします。

応接間をあとにし、寝室に入ると

枕元にはドス…

いや笛です、笛。

長さといい大きさといいどう見ても笛。

あら?この笛吹くところがないなあ、いやあ珍しい。

強引に自分を納得させねば眠りにつけそうにありません。

そんな僕の様子を見かねてか御仁が一言。

「すまんのう、わしはこれがないと眠れんのや。」

すみません、僕はそれがあると眠れません。

はたして無事に朝は来るのか。

どうか枕元の笛が大活躍しませんように、と願いをこめて

おやすみなさい。

コメント(90)

すみません
僕はこの日記に一票です。
きっとその方は優しい方ですほっとした顔
一票です桜
布団の中で普通に声出して笑ってしまいました。
一票を入れさせてください。
違うおやすみになられません様に…(笑)

一票www
笑ってしまいましたあせあせあせあせ(飛び散る汗)あせあせ(飛び散る汗) 一票ですほっとした顔

、、、けど、広島の人に怒られそうあせあせ
たまたま遭遇した場所が、そこだったのですね。

一票
この作品、かなり前に読んで、大笑いしました。

一票です。

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