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備後の歴史を歩くコミュの千社札

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千社札

重要文化財に指定された社寺の対象堂宇に、千社札を貼り付ける行為は文化財保護法に違反するのか。そもそも千社札とはどのようなものか。「神社仏閣に参拝したときに、記念として貼るお札」であらかた間違いでは無かろう。自分が貼り付けた札がはがれ落ちるまで、そこに参籠していることになるというような信仰心もいわれている。発祥は江戸時代の江戸である。江戸っ子達の間でたちまちに流行した。誰よりも一番目立つ所に貼る。新築落慶すると誰よりも一番早く貼る。そこに勝った負けたという趣向が生じ、そのうちに今の「○○見参」や「××参上」的な札に変わってきたのではないだろうか。

私は社寺に参拝すると、そこに千社札があれば「深小川」という札をつい探してしまう。東京在住の人らしいが、備後でも岡山でも関西でも四国でも、行く先々でとてもよく見かける。想像だが東京深川の小川さんではないだろうか。決められた長方形の和紙に墨で印刷した千社札を天然糊で貼り付ける。自然素材で作られた札はそのうちに風化が進み、自然に消えて無くなる。墨書きされた文字の部分は空白の部分よりは多少長持ちするようで、札から文字だけが木材に残る。これを「抜け」と称し珍重される。また、他の参拝者を見下ろすような高いところが好んで貼られる。これを「人見(ひとみ)」というらしい。手の届かないところには専用の竿を使って貼る。千社札を一つの文化と認識されている愛好家は、決められた手順に従って札を貼られているようである。参拝するとお布施、お賽銭とともに納経祈願し、千社札を貼るべく許可をいただく。許可された場合にのみ貼るのだそうだ。そうして次の社寺へと歩を進める。これが江戸時代から連綿と続けられている正当な千社札の楽しみ方で、文化を形成していると言っても過言ではない。

しかし、一方でシールやステッカーを千社札と称して貼り付けてあるのもよく目にする。糊も強力で簡単にははげない。しかも安価で大量に作ることが出来るから、正に軒並み貼っていく。こうなると落書きと変わらなくなってしまうから、貼られる側も困惑するし、拒否するだろう。

先日、岡山県備前市の閑谷学校を見学してきた。寛文10年(1670)に、岡山藩主池田光政が全国に先駆けて創立した庶民教育のための学校である。元禄14年(1701)に完成した講堂は国宝に指定され、儒学の始祖孔子を祀った聖廟や、天和2年(1682)に没した池田光政を祀るため、貞享3年(1686)に建てられた閑谷神社など、ほとんどの建造物が国指定重要文化財である。この国指定重文の閑谷神社拝殿内部の天井に「深小川」を見つけた。貼られている千社札はこれ一枚だけであった。拝殿入口には柵が置かれ入室は禁じられている。その位置から遙か先の天井に「竿」の伸ばして貼り付けたと思われる。

私は史跡閑谷学校の管理者に次のような質問書をメール送信した。
「先日は見学させていただきありがとうございました。その時の気付きを書かせていただきます。閑谷神社拝殿内の天井に「深小川」という千社札が貼り付けてありました。閑谷神社では千社札は認めておられるのでしょうか。千社札を貼る人たちは文化なのだといいます。認めるならば、それは限られた地域のことであって、それを全国の文化財に指定された社寺に当てはめるべきではないと思います。「見参・参上」的な千社札は落書きと何らかわらないし、貴重な文化財に貼り付ける行為は法的にも許されないと思います。犯人?を特定し、早急に復旧させるべきではないでしょうか。一枚を黙認、容認すると二枚・三枚と次第に増え取り返しのつかないことになりかねないと思います。「千社札禁止」とはっきり明記することが必要なのではないですか。閑谷神社が千社札を容認されているのであれば、私も遠慮無しに貼らせていただきます」

翌日、閑谷学校の管理者から電話をいただいた。閑谷神社は一般民衆の祈願対象となる神社ではないこと。文化財である建造物に、たとえ千社札とはいえ私物を貼り付ける行為は文化財保護法に抵触する可能性があることなど、貼る行為を決して認めてはいないということであった。私が「犯人を特定し、または警察に被害届を出してみては」と進言したので「深小川」なる人物について質問されたが、正体は依然不明で、これまで個人的に「深小川」だけに限らず千社札について注目していることのみを話して電話を切った。

今は少なくなったが、かつて公衆電話ボックス内にピンクビラが所狭しと貼られていたのを思い出した。千社札も貼り方や貼り場所を間違えるとピンクビラ同様、文化などとは雲泥の差が生じてしまう。文化財へ貼り付ける行為は、まず管理者が毅然とした態度で拒否しなければならないし、貼る方もわきまえていただきたい。文化財の修復には税金が使われるのであるから。「深小川」には、このことを強く申し上げたい。

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