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ヒプノ(催眠)癒しの小部屋コミュのABAとは何か?

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以下は、つみきの会のHP上で、
自閉症児のための行動療法ABAに付いて書かれたものですが、
あらゆる場面で応用が可能と思われますので、コピペします。
   
つみきの会 http://www.tsumiki.org/



  ABAとは何か
              

            つみきの会代表 藤坂龍司

  ABAは応用行動分析(Applied Behavior Analysis)の略称です。
  別名、「行動療法」とも言います。

  ABAの基礎になっているのは、「行動分析学」という学問です。
  行動分析学は、スキナー(B.F.Skinner)博士らが、鳩やネズミを使った
  数多くの実験によって動物や人間に共通する学習のメカニズムを解明し、
  その基礎を築きました。ABAはその行動分析学を人間の様々な行動の
  改善のために応用するものです。

  ABAの応用分野は幅広く、発達障害の治療教育だけでなく、
  企業の人事管理やスポーツのトレーニング法にまで広がっています。

  自閉症児やその他の発達障害児に対する治療・教育法としては1960年代から
  アメリカを中心に研究・実践が行われ、めざましい成果を上げてきました。
  ロヴァース博士らによる早期集中型ABAもそうした成果の一つです。

1.ABAの基本原理

  ABAは動物や人間に共通する行動の基本原理を、自閉症児の治療・
  教育のために応用します。その行動の基本原理とは、大きく言って、
  次の三つです。

強化

  人間の何らかの行動の直後に、その人の喜ぶもの、つまりほうびを伴わせ
  ると、以後、その行動は増加していきます。これを「強化」と言います。
  またほうびとなる刺激のことを「強化子」と言います。

  行 動 + ほうび → 行動の増加

  ほうびとなる刺激には様々なものがあります。
  例えば、子どものお手伝いは、
  おかあさんのほめ言葉やお小遣いによって強化されます。
  大人のテレビを見る行動は、番組の楽しさやきれいな映像などによって
  強化されます。

消去

  第二の原理は「消去」です。強化と反対に、人の何らかの行動の直後に、
  全くほうびとなる刺激が伴わないと、その行動は徐々に減少していきま
  す。
  これが「消去」です。

  行 動 + ほうびなし → 行動の減少

  例えば、子どもがお手伝いをしても、おかあさんがちっとも
  ほめてくれなかっなかったら、だんだんお手伝いをしなくなるでしょう。
  あるいは大人がテレビを見ていても、ちっともおもしろい番組がなけれ
  ば、だんだんテレビを見なくなるでしょう。これが消去の働きです。

罰(弱化)

  三番目の原理は「罰」です。この言葉の響きが悪いので、
  最近では代りに「弱化」という言葉もよく使われます。

  ある行動の直後に、その人にとって不快な刺激(嫌悪刺激)が与えられる
  と、以後、その行動は減少していきます。この現象を「罰」と言います。

  行 動 + 不快な刺激 → 行動の減少

  もっと正確に言うと、罰には不快な刺激を与える罰(積極的な罰)と、
  快刺激を取り去る罰(消極的な罰)とがあります。

  例えば、子どものいたずらに対して、大人が叱るのが積極的罰の例です。
  それに対して、スポーツ選手が試合中に反則をしたとき、
  退場処分を命じるのが消極的罰の例です。スポーツ選手にとって、
  試合に出て活躍することが生き甲斐ですから、退場は何よりの罰になるの
  です。

  ABAはこの三つの原理のうち、主に強化と消去を用いて、
  自閉症児の行動を改善します。適切な、伸ばしたい行動は、
  どんどんほめて、お菓子やくすぐりなどのごほうびを与えます。
  不適切な、抑えたい行動は、無視したり、阻止したりして、
  ほうびを一切与えないようにします。

  一方、罰は倫理的に問題があるし、乱用されやすいので、
  なるべく用いないようにします。重大な問題行動に対して、
  消去や代替行動の強化を行っても改善されないとき、
  始めてマイルドな罰を使用します。その場合でも、まずはしばらく
  部屋の隅に立たせる、などの消極的罰が試みて下さい。
  叱るときは、短く鋭く叱って、いつまでもくどくど叱らないように
  気をつけます。罰は効果を計算して冷静に用いるべきものであり、
  決して感情的になって、罰をエスカレートさせてはいけません。
  特に体罰は絶対に用いないようにして下さい。

2.問題行動への対処

  自閉症児には様々な「問題行動」があります。
  問題行動とは本人の安全や社会適応の妨げになったり、
  周囲に迷惑をかけたりするために、抑える必要がある行動です。
  ここでは典型的なものとして、「かんしゃく」「他害」「自己刺激」
  を取り上げます。

 かんしゃく

  自閉症児はよくかんしゃくを起こします。思い通りにならないことがある
  と、ひっくり返って暴れたり、大泣きしたりします。
  相手を叩いたり(他害)、自分の頭を壁にぶつける(自傷)などの行動に
  出ることもあります。

  自閉症児はいろんなこだわりを持っていますが、
  そのこだわりに干渉されたとき、しばしばかんしゃくを爆発させます。

  子どもがかんしゃくを起こすと、私たちは叱ったり、なだめたりします。
  またやむを得ず譲歩して、要求をかなえてしまうこともあります。
  実はそのような私たち周囲の人間の対応が、知らず知らずのうちに
  子どものかんしゃくを強化してしまっているのです。

  かんしゃくはほとんどの場合、1.要求の実現、2.不快な事態の回避、
  3.注目の獲得、のいずれかによって強化されています。

  スーパーで好きなお菓子を買ってもらえないときに床にひっくり返るのは 1の例です。
  過去に何度か、大人が根負けしてお菓子を買ってやった経験が、
  その子の「ひっくり返る」という行動を強化してしまったのです。
  私たちが、時々しか勝てなくてもパチンコに行ったりするように、
  時々しか強化されなくても、十分その行動は維持されます。
  これを「間欠強化」と言います。

  学校で、勉強するのがいやで起るかんしゃくは、2の例です。

  特に気をつけなければ行けないのは、3の注目の獲得です。
  子どもがかんしゃくを起こしたとき、「どうしたの?」と
  やさしく声をかけたり、なだめたりするのは、もちろんこの
  「注目の獲得」にあたります。しかしそれだけではなく、
  「叱る」ことも、一種の注目を与えることになり、
  それが知らず知らずのうちに、かんしゃくを強化してしまうのです。 
  ですから子どもがかんしゃくを起こしても、叱らないように
  しなければいけません。

  では、子どもがかんしゃくを起こしたら、どうしたらいいか。
  基本的な戦略は「消去」、つまりかんしゃくに対して、
  ほうびになるようなもの(要求の実現、回避、注目)を一切与えないことです。

  お菓子が買ってほしくてスーパーでかんしゃくを起こしたときは、
  どんなに泣いて暴れても、絶対にお菓子を買わないようにします。
  他のお客さんの迷惑になる場合は(大抵そうですが)、
  抱いたり引きずったりして、店の隅や外に連れて行き、
  そこで子どもが落ち着くまで待ちます。私たちはつい叱ったり、
  なだめたりしがちですが、それは子どもに「注目」という
  強化子を与えてしまうことになるので、やめて下さい。

  子どもが床に頭を打ち付けるなどの自傷行為をするときは、
  体を起こすなどして制止します。床との間にやわらかい物をはさんだりして、
  衝撃を妨げることも効果的です。つかみかかってくるようなときも、
  手を押さえて制止します。子どもが力を抜いたら、こちらも力を緩めます。
  この間、声はかけません。視線もできるだけそらします。

  子どもが落ち着いてきたら、始めてやさしい声かけをしてあげます。
  「買ってあげればよかった」という後悔の念があるのなら、
  このあとで、しばらくおりこうさんにしていられたことのごほうびとして、
  お菓子を買ってあげて下さい。そうすれば、かんしゃくを
  強化したことにはなりません。もちろん、そのまま我慢させて
  買い物を続けたり、帰宅しても結構です。

  勉強が嫌でかんしゃくを起こしているときに、こちらがうろたえて、
  席を立たせてしまったりしてはいけません。それは「不快な事態の回避」
  というほうびを与えてしまうことになるからです。いったん
  かんしゃくが始まってしまったら、椅子にすわらせたまま、
  収まるまで待つか、そんなにひどくなければ、あと数試行、
  手を取って正解させてから、そのほうびとして席を立たせます。

  とは言っても、激しいかんしゃくの場合は席に座らせ続けようとしても
  無理な場合がありますから、その場合はやむを得ず席を立たせて、
  落ち着くまでしばらく待ちます。その間、声をかけてはいけません。
  遊ばせてもいけません。落ち着いたら、初めて優しい声をかけて、
  席に戻し、手助けして正解させてから、席を立たせましょう。

  かんしゃくへの対応で、「消去」と並んで重要なのは、
  代わりとなる適切な行動を強化することです。これを
  「代替行動の分化強化(DRA)」と呼んでいます。
  (DRAはdifferential reinforcement of alternative behaviorの略です)

  さきほど、かんしゃくが収まったら、やさしく声かけする、
  と言いましたが、これがDRAの例です。不適切な行動を
  消去するだけでなく、その代わりとなる適切な行動を強化することを
  同時に行なえば、余計に効果が高くなるのです。

  言葉のない自閉症児が、意志をうまく伝えられなくて
  かんしゃくを起こしているとき、ただ無視するだけではかわいそうです。
  そこで、後で述べる「適切な行動の教え方」を使って、
  意志を伝える適切な行動を教えてあげます。身振り、絵カード、
  言葉、何でもかまいません。両手を前に出す「ちょうだい」
  サインを教えるだけでも、かんしゃくは減ります。
  適切な要求手段を教えたら、子どもがそれを使うことを奨励し、
  できるだけその要求に応えることで強化してあげてください。
  これもDRAの1つです。

  もう1つ大切なことは、かんしゃくの引き金となった
  原因が無理もないものであるときは、そのような原因をなるべく取り除く、
  ということです。

  例えば勉強が嫌でかんしゃくを起こす子どもの場合、
  課題が難しすぎて、いくら我慢しても正解による達成感が
  得られないので、いたたまれなくなってかんしゃくを
  起こしたのかもしれません。そんなとき、ただ我慢させるだけでは
  問題は解決しません。そういうときは課題を見直し、
  もっと思い切り簡単な課題に変えてください。
  またふんだんにヒントを与えて、正解に導いてください。
  可能なら、1回正解したらすぐにほめて立たせるくらいにします。
  そうすれば、勉強のストレスが大幅に減りますから、
  無用のかんしゃくは起こさずに済みます。

  しかしかんしゃくの原因を常に取り除くことはできません。
  かんしゃくを起こさせないために、いつも腫れ物に触るように扱って、
  嫌なことをなるべく回避させたり、ほしいものは常に与えたりしていると、
  いざというときに我慢できない子どもに育ちます。
 「我慢させるべきは我慢させる」という姿勢で臨みましょう。

他害行為・いたずら

  かんしゃくとは別に、ちょっとしたことで他の子どもを突いたり、
  たたいたりする子がいます。また物を投げたり、
  棚から落とすなどのいたずらをする子もいます。

  これらは思い通りにしたい、という「要求の実現」や、
  他の人の気を引きたい、という「注目の獲得」が原因になっています。
  「注意引き」とまでは行かずに、単に相手の反応を見て
  喜んでいることもあります。

  まず大人を叩いたり、噛んだりする行動には、「消去」が有効です。
  大人は多少のことは我慢できますから、叩かれたり噛まれたりしても、
  多少のことは気づかないふりをして無視してください。
  「痛い!」と叫んだり、叱ったりすると、その変化が面白くて、
  ますます子どもの行動を強化してしまいます。

  ただ、そんなことを言っても、大人だって人間ですから、
  我慢できないこともあります。そういうときは、子どもの手や身体を
  押さえて、叩かれないようにしましょう。あくまで無表情を貫き、
  「やめなさい」などの声かけはしません。子どもが他害行為をやめたら、
  こちらも手を離します。

  物を投げたり、落とす、高いところにわざと上がる、
  といったいたずらは、大抵、注目によって強化されていますから、
  これも叱らずに、できるだけ無視してください。誰も相手に
  してくれなかったら、そのうちにしなくなります。
  どうしても困る場合は、黙って制止します。

  これらの「消去」の際に気をつけないといけないのは、消去を始めると、
  一時的に返ってその行動の激しさが増す、という現象があることです。
  これを「消去バースト」と言います。

  いたずらを無視していると、子どもはかまってもらえないので、
  もっと激しいいたずらを始めます。このときに「こら、やめなさい!」
  などと言ってしまうと、子どもの思う壺です。ですから、
  子どものいたずらを消去するときは、次にどんな手に出るかを
  あらかじめ予想しておいて、そうなっても困らないように
  準備しておかなければいけません。例えば落とされたら困るような
  ガラスの水槽とかがある場合には、さりげなくその前に行っておいて、
  それだけはガードする、などの配慮をします。

  大人や物が対象となっているときには、このように無視して
  消去することが可能ですが、他の子どもが対象となっている場合は、
  そうは行きません。子どもは、叩かれれば反応してしまいますし、
  そばにいる大人には、その子どもを守る義務があります。
  では、どうすればいいのでしょうか。

  まずその子どもが他の子どもをたたいてしまう原因を探らなければいけません。
  他の子どもがちょっかいを出して、その子はそれがいやなのだけれど、
  うまくそれを伝えられないので、思わず叩いてしまう、
  という可能性があります。そういうときは、一方的に叱っては
  かわいそうですから、「いや」と言ったり、逃げたり
  といったほかの適切な対処方法を教えてあげるといいでしょう
  (教えることができれば、の話ですが)。まだ子どもが小さくて、
  力も弱い場合は、その子がもう少し成長して意志を
  適切に伝えられるようになるまで、他の子どもに我慢してもらう、
  という手もあります。

  子どもが大きかったり、力が強かったりして、他の子どもが
  けがをしかねないような強い他害行為をする場合には、
  様子を見るわけも行きません。その場合は、直ちに介入します。

  方法はいくつかあります。まず誰かがそばについていて、
  その子が他の子に危害を加えそうになるとき、すばやく制止します。
  叩こうとした場合は手を、蹴ろうとした場合は足を押さえます。
  制止が間に合わなかった場合でも、その直後であれば、
  同じように制止します。その際、「だめ!」あるいは「しない!」と、
  一声、大声で叱りつけてもかまいませんが、一声だけにしておきます。
  くどくど叱っても、効果は薄いからです。

  あとはそれ以上声かけはしないまま、そのまま30秒間、
  制止したままにします。こちらに危害を加えてくる場合は、
  それも制止します。心の中で30数えたら、何もなかったかのように
  解放してあげてください。「もうしない?」などと聞く必要はありません。
  他の子どもに謝らせる必要もありません。「もうしません」
  「ごめんなさい」など、謝るせりふばかりを覚えて、
  一向に他害行為が減らない子どもがたくさんいるからです。

  行動を制止される、ということは、それだけで結構不快なものなので、
  軽い罰として機能します。こまめに続ければ、徐々に効果が現れて、
  他害行為が減ってくるはずです。一週間続けても減らない場合は、
  効果がないと考えて、別の方法を採りましょう。

  制止では他害行為が減らない場合は、別の方法を採ります。
  1つの方法は「タイムアウト」です。

  タイムアウトとは、一種の退場処分です。その場の活動が楽しいことが
  前提ですが、悪いことをした罰として、しばらく部屋の隅に立たせたり、
  後ろ向きに座らせたりすることによって、楽しい活動から一時的に
  遠ざけるのです。

  例えば、幼稚園で室内遊びのときに、Aちゃんが他の子を
  叩いたとしましょう。それを見つけた先生は、Aちゃんを黙って
  部屋の隅に連れて行き、壁に向かって後ろ向きに立たせます。
  Aちゃんが逃れようとするので、しっかり両脇を抱えて
  逃がさないようにします。この間、声かけはしません。
  心の中で30数えたら、何事もなかったかのように、
  Aちゃんを離して、遊びに戻します。Aちゃんが他の子を叩くたびに、
  この手続きを繰り返します。

自己刺激

 「自己刺激」とは、自閉症児がしばしば行なう、単調な行動の反復です。

  手をヒラヒラさせる、手を打ち合わせる、爪を噛む、皮膚を引っかく、
  かさぶたをはぐ、唾を出す、奇声を上げる、独り言を言う、くるくる回る、
  ピョンピョン飛ぶ、つま先で歩く、車のおもちゃを前後に動かして、
  タイヤの回転に見入る、紐をヒラヒラさせる、指をトントンと
  何かに打ちつける、頭を何かにガンガンぶつける、
  など実に多様な自己刺激があります。

  これらは、遊びに乏しい自閉症児が、脳に必要な刺激を与えるために、
  自分で刺激を作り出している、と考えられています。
  ですからある意味必要な行為であり、簡単にやめさせて
  いいものではありません。

  しかしこれらの自己刺激を放置しておくと、傍から見て奇妙で、
  孤立の原因になるだけでなく、自己刺激に注意を奪われることによって、
  学習の妨げになります。完全にはなくせない場合でも、
  ある程度は抑える必要があります。

  ではどうやって抑えるか、ですが、まず覚えておいてほしいのは、
  かんしゃくとちがって、自己刺激には基本的に消去が効かない、
  つまり無視しても止むことはない、ということです。

  前に述べたように、かんしゃくは、1.要求の実現、2.不快な状況の回避、
  3.注目の獲得、のいずれかによって強化されています。
  これらはいずれも他人の存在を前提としています。つまりかんしゃくは
  他者によって強化されているのです。

  それに対して、自己刺激は、4.それ自体のもたらす感覚刺激、
  によって強化されています。つまり自分で自分を強化しているのです。
  ですから、無視してもいつまででもやっています。
  (注:自己刺激も消去の方法がないわけではありません。
   例えば頭をガンガンぶつける行為に対して、
   クッションをはさむことによって感覚を和らげるのは一種の消去です)

  では、叱ってやめさせたらいいのでしょうか。
  罰は一時的な効果がありますが、すでに述べたように、
  自己刺激は、脳に必要な刺激を自ら作り出している、
  という面がありますので、1つやめさせても、そのままだとまた復活したり、
  別の自己刺激が現れたりして、もぐらたたきのようになってしまいます。

  そこで、長期的に自己刺激を減らすためには、簡単な、
  それ自体子どもにとってある程度楽しい、適切な行動に従事させて
  あげる必要があります。そのような余暇スキルのレパートリーがなければ
  (ないから自己刺激にふけるのですが)、ABAの方法で、
  少しずつ教えてあげなければいけません。

  例えば、手を使う自己刺激にふけっている子どもには、砂遊びや粘土遊び、
  お絵かきやボール遊びなど、手を使う遊びを教えます。
  もし子どもがそれにうまくはまれば、その活動のために
  手がふさがっていますから、少なくともその時間は
  自己刺激にふけらずに済みます。

  奇声やひとり言にふけっているお子さんには、
  ABAで適切な発話や会話をしたり、歌を歌ったりすることを
  教えてあげなければいけません。

  このように適切な余暇スキル、遊びスキルを教えてあげることによって、
  自己刺激を減らすことができます。ある程度、余暇スキルの
  レパートリーが増えれば、もう自己刺激を制止したり、
  軽くたしなめたりしてやめさせても大丈夫です。制止するときは、
  先ほどの他害行為のときと同様、30秒間手や身体を押さえて、
  その間自己刺激ができないようにしておきます。
  30秒過ぎたら、さっと手を離します。自己刺激が再開したら、
  また制止します。

  ただしこのとき、手や身体に触れられることが、
  一種のほうびとして機能し、かえって自己刺激を強化してしまう
  可能性もあります。ですから余りやさしく触れないようにして、
  手ではなく、腕を服の上からつかむようにするといいでしょう。

  頭をガンガン打ち付けたりする自傷行為は、要求実現や注目獲得の
  手段であることもあれば、自己刺激であることもあります。
  いくつかの機能が複合していることもよくあるので、注意が必要です。

  見分け方ですが、一人の部屋でも相変わらずやっているときは
  自己刺激です。それに対して、誰かがそばにいるときだけ
  やっているようなら、要求実現や注目の獲得が
  強化子になっている可能性が高いです。

  自傷行為が自己刺激であれば、制止して別の適切な行動に誘導しましょう。
  要求実現や注目獲得の手段であれば、消去と代替行動の強化
  (DRA)が有効です。

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3.適切な行動の教え方


  自閉症児の治療・教育に当たっては、問題行動を抑えるとともに、
  本人の社会適応・自立のために必要な、適切な行動を積極的に引き出し、
  伸ばしていくことが基本になります。

  ABAによる適切な行動の伸ばし方は、大きく分けて二通りあります。

  1つは子どもを自由にさせて、適切な行動を自発するのを待ち、
  それを強化する、いわば受身の方法で、「フリー・オペラント」
   などと呼ばれています。典型的には、子どもを自由に遊ばせ、
  そこで生じる自発的な発声を強化することで、言葉を引き出そうとします。

  もう1つは子どもに積極的に指示を出し、手助けをして適切な行動を
  引き出してはそれを強化する、いわば攻めのアプローチで、
  「ディスクリート・トライアル・トレーニング(DTT)」
  などと呼ばれています。デスクに座らせてセラピーをすることが多いので、
  「デスク・セッティング」とも呼ばれます。

  両者の中間的なアプローチとして、日常生活の中で要求表現などの
  機会を積極的に作り、そこで自発した反応を強化する、
  「機会利用型教授法」あるいは「インシデンタル・ティーチング」
  と呼ばれる方法もあります。

  このうち、最初に開発されたのはDTTで、ロヴァース博士の
  早期集中型ABAもこの方法に基づいています。その後、
  この方法の欠点を補うものとして「フリー・オペラント」や
  「機会利用型教授法」が開発されました。今日では、この三つの方法を、
  状況に応じて使い分けたり、併用するのが通例になっています。

  DTTの欠点としてよく挙げられるのは、「教えたことが、
  他の場面に般化しにくい」「大人が主導権を握るので、
  子どもの自発性が育ちにくい」といったことです。
  しかし早期集中型ABAでは、デスクで教えたことを、
  直ちに機会利用型アプローチで日常場面に般化させますし、
  日常場面での自発的な反応も、親がその場で強化します。
  またセラピーが進んでくると、徐々に大人のコントロールを緩めて、
  役割交代などで子どもにも主導権を与えるようにします。
  ですから、DTTの欠点と言われるものは、それほどあてはまらない、
  と思っています。

  逆に、フリー・オペラントや機会利用型教授法は、
  かける時間の割りに学習効率が悪い、複雑な課題を教えにくい、
  という欠点を抱えています。ですから、自閉症児の療育においては、
  DTTを主体として、それを他の二つの方法で補わせるのが
  よいのではないか、と思います。

  以下は、主にDTTを念頭において、一対一で自閉症児に何かを
  教えるときのポイントを説明します。
スモールステップ

  自閉症児に何かを教えるとき、いくつかコツがあります。
  第一のコツは、「スモールステップ」ということです。

  自閉症児に言語療法を施すとき、言葉のない自閉症児に、
  いきなりカードによる選択を教えようとする例をよく耳にします。
  しかし椅子にすわる習慣もなく、コップやタオルなど、
  日常の身の回りの物の名前もわからない自閉症児に、
  どうしてカード選択ができるでしょう。もちろんできる
  お子さんもいますが、それは少数のはずです。

  まだ何も学んだ経験のない自閉症児を相手にする場合は、
  もっと思い切り簡単なことから、療育をスタートする必要があります。
  例えば手渡した積み木をおわんの中に入れさせたり、
  ほんの一秒だけ椅子にすわったり、といったことです。

  それができるようになったら、少しだけステップアップします。
  例えば手渡した積み木を、差し出したおわんに入れることが
  できるようになったら、今度はおわんの代わりに手を差し出して、
  「ちょうだい」と言って、手の上に積み木を乗せさせるようにします。
  その次は、積み木をテーブルの上に置いておいて、「ちょうだい」
  と言いながら手を差し出したら、自分で積み木をつかんで
  手渡せるようにします。

  椅子にすわるのも同様で、最初は無理に椅子にすわらせずに、
  立ったまま、あるいは床にすわったまま教えてもいいのですが、
  そのうちに警戒感が取れてきたら、テーブルの前に好きなおもちゃを
  おくなどして、徐々に椅子に誘導します。最初は、子どもが
  立とうとしたら邪魔をせず、すぐに立たせます。
  慣れてきたら、立ち上がろうとするのをちょっとだけ押し留めて、
  こちらの指示に一度だけ答えさせてから立たせるようにします。
  こうして徐々に、5分程度はすわったまま、簡単な課題に
  従事できるようにしていきます。

プロンプト

  二番目のコツは「プロンプト」です。プロンプトとは
  正解を引き出すための、ヒントや手助けのことです。

  健常児の教育では、しばしば失敗を通じて学ばせる「試行錯誤学習」
  の方法が採られます。しかし自閉症児は、一、二度失敗すると、
  すぐに学習が嫌になって、逃げ出そうとします。ですから、
  ノーヒントで能力を試そうとするのではなく、まずはふんだんに
  ヒントを与えて成功体験を積ませることを最優先に考えます。

  積み木をおわんに入れさせる課題を例に取りましょう。
  幼い自閉症児は、最初は積み木を握らせようとしても、
  こちらの意図がわからずに全く握ろうとしなかったり、
  握ってもすぐに離してしまったりします。そこでこちらが
  手を取って握らせてやり、そのまま手をつかんでおわんに誘導します。
  これがプロンプトです。

  プロンプトして正解を引き出したら、すかさず大げさにほめて、
  強化します。最初のうちは1つ成功したらすぐに席を立たせて、
  しばらく自由に遊ばせるとよいでしょう。そのうち、子どもが戻ってきたら、
  また積み木を持たせて、やさしくおわんに誘導します。
  おわんに積み木が入ったら、またほめて、ごほうびのお菓子を
  与えたり、すぐに遊ばせたりします。しばらくはこれを繰り返すのです。

  しかしいつまでもプロンプトして正解させるわけに行きませんから、
  次は徐々にプロンプトを減らしていきます。
  これを「プロンプト・フェーディング」と言います。

  おわんの例で行くと、最初は積み木を持たせてから、
  手を取っておわんまで誘導し、そこで積み木を離させますが、
  数試行正解させたら、今度は手を取って途中まで誘導し、
  おわんに到着する直前で手を離すようにします。それでも自分で
  積み木をおわんに入れられたら、思い切り強化してください。
  これを数試行繰り返してから、さらにもう一段、
  プロンプトを減らします。今度はもっと離れたところで、
  手を離すようにするのです。

  こうして、最終的には、全くプロンプトなしで、
  積み木をおわんに入れられるようになります。

  プロンプトには、

  1.身体的援助(手を取って動作をさせる)

  2.指差し(正解を指差す)

  3.モデリング(動作をやって見せてまねさせる)

  4.教材の工夫(正解を前に出す、正しい位置に目印をつける)

  などの方法があります。TEACCHの視覚支援も、
  プロンプトの一種と考えることができます。課題に応じて、
  それにふさわしいプロンプトの方法を工夫しましょう。
強化

  三番目の、そして最大のポイントは強化です。自閉症児に何かを
  教えるときは、何はさておき、何をごほうび(強化子)にするか、
  を考えて、それを用意してから教えるようにしてください。学びたい、
  という意欲が最初から備わっていれば別ですが、
  そういう自閉症児はごく稀だからです。
  「強化子なしに何かを教えようとしてはいけない」
  これが鉄則だと思ってください。

  強化子は、子どもの喜ぶものであればなんでもかまいません。
  お菓子でもいいし、好きなおもちゃでも、くすぐりでも、
  何でもいいのです。自己刺激すら、強化子にすることができます。
  例えば子どもが喜ぶ唯一の遊びが、紐をヒラヒラさせることだとすれば、
  簡単な指示に応えたごほうびとして紐を与えて、しばらくヒラヒラさせます。

  「ばからしい。そんなことで自閉症児が伸びるものか」と
  思う方がいるかもしれません。しかし強化の力は絶大です。
  紐をヒラヒラさせることが本当に好きなら(そして指示に応えたときしか
  それが許されないなら)、その子どもは徐々に指示に応えるように
  なるはずです。

  強化子の候補には、次のようなものがありますので、参考にして下さい。

  1.お菓子、フルーツ、好物の食べ物、飲み物など

  2.くすぐり、キス、高い高いなどの身体接触

  3.おもちゃや絵本、シャボン玉など

  4.休憩、好きな活動(走る、寝転ぶ、遊ぶなど)

  5.ほめことば、笑顔(社会性強化子)

  6.課題自体の楽しさ、正解による達成感

  このうち、ほめ言葉や笑顔には、自閉症児は初めのうちほとんど
  反応しません。それは自閉症児に社会性の障害があるからです。
  また課題自体もなるべく子どもが興味の持てるものにしますが、
  それにも限度があります。ですから、最初のうちは特に1〜4の強化子を
  多用することになります。教室などで食べ物、飲み物が使えない場合は、
  くすぐりやおもちゃ、休憩などを使ってください。

  ただし、お菓子やおもちゃを使う場合でも、必ずそれと同時に、
  ほめるようにします。それによって徐々に、ほめ言葉に
  強化子としての力が乗り移っていくようになるからです。
  そうなれば、お菓子やおもちゃは少しずつ間引いていくことができます。

  ほめるときは、感情を込めて大げさにほめます。
  役者になったつもりで、少し演技過剰なくらいに派手にほめてください。


  強化子は、飽きが来ないように、少しずつ、ちびちび使うのがコツです。
  お菓子なら、小さくちぎって、1回に一かけらずつ与えます。
  ジュースなら、ストローを指でつまんでおき、一口飲んだら、
  すぐに指でストローをふさぐようにします。シャボン玉は1回に一吹きだけ。
  休憩なら1回に1分間だけ与えます。

  よく「お菓子を使いたいと思うのだけれど、うちの子はちびちび
  与えようとすると怒るので、使えないんです」という人がいます。

  確かに最初のうちは、全部もらおうとしてかんしゃくを起こすかも
  しれませんが、それに負けてはいけません。かんしゃくは無視して、
  その代わり、プロンプトして正解させては、すかさず強化子を
  与えるようにすれば、徐々に慣れてきて、かんしゃくを
  起こさなくなるはずです。最初のうちは、一度正解しただけで、
  お菓子を一袋全部与えるようにし、時間をかけて徐々に
  その量を減らしていく、という方法も有効です。
次のコツは、すばやく強化する、ということです。
  子どもが指示に正しく応えたら、それから1秒以内に
  強化するよう心がけて下さい。強化の効き目は、1秒遅れるだけで
  大幅に低下することがわかっているからです。

  そのためには、お菓子は手に持っておいて、子どもが指示に応えたら、
  パッと手を広げて強化子を見せるようにします。ほめ言葉はさらにすばやく、
  子どもが正解したら、瞬時にほめるようにしてください。
  それから一瞬遅れて、お菓子やおもちゃなどの強化子を提示するようにします。

  子どもが間違って反応したり、全く何も反応しないときは、
  強化するわけには行きません。そんなとき、私たちはすぐに
  指示を繰り返したり、手を取って訂正させがちですが、
  それはやめて下さい。自閉症児の学習を促すためには、正解には強化、
  不正解には強化なし、というコントラストをできるだけ
  はっきりさせる必要があるからです。

  そのためには、子どもが失敗してしまったとき、
  すぐに追加の指示を出して訂正させるのではなく、
  そのままだまって3〜5秒ほど間を空けて下さい。
  その間、子どもが自分で訂正しようとしても、手を押さえて
  させないようにします。
  (やる気を出させるために、あえて訂正を認めることもあります)
  しばらく間をおいてから、改めて指示を出します。
  今度はすかさずプロンプトして、必ず正解させるようにして下さい。
  二度続けて失敗させないのが基本です。

  子どもが反応しないときも、すぐに追加の指示を出すのではなく、
  3〜5秒ほど間を空けてから、改めて指示を出します。
  そしてプロンプトして正解を引き出し、強化します。
ランダムローテーション

  四番目のコツは「ランダムローテーション」です。これは、
  区別させたい指示が2つ以上ある場合に、それらをランダム、
  つまりバラバラの順番で出して、それを正確に見分け(聞き分け)
  させる、ということです。

  健常児なら、そんな面倒なことをしなくても、例えばコップを指差して、
  「これはコップだよ」と言えば、物の名前を覚えてくれます。
  しかし自閉症児はそうは行きません。まだ言葉の理解のない自閉症児に
  コップを見せて、「コップちょうだい」と言ったらそれを手渡すことを
  プロンプトと強化で教えたとしても、次にコップと積み木を並べて、
  「コップちょうだい」と言ったら、どちらを取ったらいいか、
  もうわからなくなって、あてずっぽうにどちらかを(あるいは両方を)
  取ってしまいます。

  そこで、まずコップと積み木を並べておいて、「コップ」と言ったらコップ
 (だけ)をさわることを、プロンプトと強化で教えます。
  コップと積み木の左右の位置を入れ替えても、やっぱりコップだけを
  さわるようになるまで、辛抱強く訓練を続けます。

  次に、今度は「積み木」と言って、積み木(だけ)をさわることを、
  やはりプロンプトと強化で教えます。

  しばらく、この手続きを交互に繰り返した後で、ランダムローテーション
  に移行します。つまり「コップ、積み木、積み木、コップ、積み木、
  コップ、コップ...」と、不規則に2つの物の名前を言っていき、
  その通りに触れるようになるまで、訓練を繰り返すのです。
  途中、子どもが間違えたら、先ほど述べた方法で、
  少し間を空けてからもう一度指示を出し、今度はプロンプトして
  正解させます。しばらくプロンプト・フェーディングをした後、
  またプロンプトなしの試行に戻します。

  ランダムローテーションで、子どもが10回中9回以上
  正解するようになるまで、この手続きを辛抱強く繰り返してください。
  ただし、もちろん適当に休憩を入れながらです。一度に10〜15試行を
  限度にして、それ以上はいったん休憩を取るようにしてください。
  また5分以上同じ課題を続けるのではなく、5分経ったら、
  別の課題に切り替えるようにします。

  時には、二つの指示を区別するのに、数週間、あるいは数ヶ月
  かかることもありますが、それをクリアしないと、自閉症の子どもたちは、
  いつまで経っても本当には何もわからないまま、大きくなってしまうのです。
  一つ一つ、ハードルを着実に越えていくことで、
  徐々に子どもの進歩が加速していきますので、粘り強く取り組んでください。


  他にも、適切な行動の教え方については、お話したいことが
  たくさんありますが、より詳しい手続き、具体的な
  教育プログラムに関しては、ご入会の上、
  「つみきBOOK−自閉症児のためのABA早期集中療育マニュアル−」
  をご覧下さい。
                   (2006年10月記

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