奇跡体験！アンビリバボーコミュの生存率0の4歳児　　09年11月19日放送

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　川口祐典くんは兵庫県・相生市で産声を上げた。家族は、両親と兄、そして4歳になった時には弟も産まれた。
　そんな頃、祐典くんのお腹が少し硬いと感じた吉代さんが、念のため病院に連れていった。そして精密検査の結果、祐典くんは『肝芽腫』と判明した。肝芽腫とは、こどもの肝臓に発生するガンで発症率は約100万人に1人とも言われ、小児ガンの中でも稀なガンの一種。
　幼い息子にガンとは言えず、祐典くんの病気は『おなかにいる虫さん』と呼ばれることになった。行きたかった場所、食べたかったもの、入院前の2日間、両親は祐典くんの願いを全て叶えた。
　入院の日、祐典くんは丸坊主に、抗ガン剤治療で髪の毛が抜けたとき、傷つかないで欲しいという願いからだった。入院生活が始まった。まずは抗ガン剤でガンを小さくし、それから手術という方針が決まった。そして2週間後、治療が始まった。右胸にカテーテルを挿入し、強い抗ガン剤が投与された。だが、祐典くんは弱音を吐かなかった。
　しかし、1ヶ月たっても治療の効果は見られなかった。そして、病院から生体肝移植が提案された。腫瘍に侵された祐典くんの肝臓を取り出し、3親等までの親族の肝臓の一部を移植するのである。
　日に日に祐典くんの体調は悪化の一途をたどった。生体肝移植をするということは、そんな祐典くんの肝臓を全て取り除くことを意味していた。
　しかし、このままでは余命一年。さらにもし移植が成功しても、転移、再発したら、2年生存率は0％だというのだ！
　死への恐怖に怯える日々が続いた。そんなある日、子供病院にピエロの格好をした珍客がやってきた。
　ロビン・ウィリアムズ主演でヒットした、映画『パッチ・アダムス』。そのモデルとなったのが、ハンター・アダムス医師。
「健康とは心も体も全てが良い状態にあること」と考え、ピエロの格好で病気の子供達を見舞い、笑いとユーモアで心を癒す。
　アダムス医師はそのために世界中を飛び回っていた。明日をも知れない日々を送っていた祐典くんと吉代さんにとって、その出会いは一生の宝物になった。
　2004年秋、親族の中で一番適した吉代さんの肝臓を移植することが決まった。だが祐典くんは、「（体を傷つけるから）お母さんの肝臓なんかいらない、自分で治す」と言っていたという。
　手術5日前、つかの間の一時帰宅が許された。そして移植手術2日前、祐典くんは運動会に参加。体調が心配されたが、両親はどうしても出たいという祐典くんの意思を尊重した。肩に治療用の管をつけたまま、徒競走に参加、見事にゴールした。
　そして2004年10月、生体肝移植が行われた。吉代さんの肝臓の4分の1を祐典くんに移植、13時間におよぶ大手術だった。手術翌日、吉代さんは祐典くんと対面を果たした。
　あれほどの大手術にも関わらず、祐典くんの回復ぶりは驚異的だった。わずか6日後、祐典くんは立って歩けるまでになった。手術から16日後、一時退院、大好きな家に帰ってくることができた。
　余命宣告から1年、一家は幸せな生活を送っていた。しかし、恐れていた最悪の事態が、2005年8月、ガンの再発・・・。
　今度は自家抹消血肝細胞移植をすることになった。それは、血液細胞の大元となるなる造血幹細胞を自分の血液から採取、冷凍保存しておき、その後通常の10倍の抗ガン剤投与を行って、善玉、悪玉関わらず全ての血液細胞を根絶。そして再び造血幹細胞を体内に戻すという手法。だが、祐典くんのような症例に対してこれまで行われたことはなかった。
　しかしガンが再発した以上、リスクが高くてもこの治療法にかけるしかなかった。祐典くんにとって最後の手術がはじまった。
　まず、肺に転移した腫瘍を取り除き、移植のための造血幹細胞を採取。そして、ちいさな体に大量の抗ガン剤が投与された。
　生存率0％、それでも祐典くんは闘い続けた。もう一度、大好きな家族と過ごす日を夢見て。
　今年の5月、あのパッチ・アダムスが再来日。
そして、そこには祐典くんの姿が！祐典くんは生存率0％の闘いに打ち勝ったのだ！
　そして現在、祐典くんは地元の小学校に通う4年生になった。毎朝、免疫抑制剤を飲む生活は続いているが、それ以外は普通の子供となんらかわらない。
　二人のお腹には勲章がある。それは、軌跡を起こした勇者だけがもらえる命の勲章である！
　二度と迎えられないかもしれない、一度はそう思った両親に取って、5人で囲む食卓はかけがいのない時間。現在、祐典くんは二人の兄弟と一緒に週に一度、和太鼓の練習に通っている。
　祐典くんの夢は『お金持ち』。それは、臓器移植してお金が足りない家族のために寄付がしたいからだという。