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銀英伝自由創作同盟コミュの銀英年 外伝 居酒屋シリーズ特別企画 超人戦隊ゲルハルト 第52話「ゲルハルト 危機一髪!」

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前回までのあらすじ

世界征服をたくらむ秘密結社バーラトの野望を阻止すべく、日夜戦い続ける秘密組織ゲルハルト。
苦しい戦いの末、彼らはついに大幹部の一人、獣人将軍アレブレヒツベルガーを倒すことに成功した。
だが、彼らの前にはさらなる強敵が待ち受けているのであった。

コメント(8)

世界征服をたくらむ悪の秘密結社バーラトのアジト。ここでは日夜世界征服に向けて日々よからぬ策謀がうごめいていた。

「世界を我が手にせんとする我々バーラトに邪魔する秘密組織、ゲルハルトの壊滅はまだ出来ぬのか!?」

首領のジェネラル・マディガンが地を這うような低い声で言った。

「申し訳ございません。ジェネラル。しかし、今回私が立てた作戦は完璧でございます。一両日中にはゲルハルトを壊滅させてご覧に入れましょう。」

女幹部の鉄腕参謀リヒテンシュタインが年甲斐もなく(いや、失礼)レザーの露出の高い衣装を身にまとって言った。

「加えて、私が出撃いたしますればゲルハルトの壊滅は必至。必ずやジェネラルに両方をもたらしましょう。」

顔の右半分を道化師の化粧で塗りたくった道化将軍テンシュテットが主にひざまづいて言った。

「ふふふ・・・我がバーラトの2大幹部が出るとな?これは面白い。さぁ行け!!こしゃくなゲルハルトを壊滅させ、世界を我が手に!!!」

ジェネラルは黒いマントを翻し、2大幹部に命令を下した。

「ビバ!デモクラシー!!」

2大幹部はそう言うと闇に消えた。
フェザーン郊外のエナ渓谷。自然美豊かなこの場所が今はライトニング・ハインリヒこと、ハインリヒ・ランベルツ・ミッターマイヤーと秘密結社バーラトとの死闘の場になっていた。

「とう!!」

険しい岩場を見事な跳躍で飛び越え、一人、また一人とランベルツはバーラトの戦闘員を倒していった。

「ビバビバビバビバ!!」

しかし、数十人は下らない戦闘員を生身で片付けるのは困難なようだった。ランベルツは一気に片をつけるため、腕のゴールデンブレスレットを使って、ライトニング・ハインリヒに変身しようとした。

「待て!ライトニング・ハインリヒ!!」

ブレスレットに手をかけ、変身しようとしたその時、頭上から女の声が聞こえた。ランベルツが振り向くと、そこには二人の美女の姿があった。一人はレザーのスーツに身を包んだバーラトの女幹部。そして、もう一人は彼の恋人だった。

「貴様は鉄腕参謀リヒテンシュタイン!!それに・・・クララ!!」

「あははは!覚えていてくれて光栄だねぇ・・・おとなしくしないと、この女がどうなっても知らないよ?」

鉄腕参謀リヒテンシュタインは腰からサーベルを引き抜くとクララの首に突きつけた。

「よせ!リヒテンシュタイン!!」

恋人を思い、ランベルツは叫んだ。彼の美しい恋人も自分のせいで戦うことが出来ない恋人を案じ、声を張り上げた。

「私のことはいいの、ハインリヒ。私に構わずあなたはバーラトを倒して!!」

レザーの女幹部は再びクララに剣を突きつけると、悪どい笑みを浮かべた。

「黙れ、小娘!・・・ふふふ、泣かせるわねぇ。でも、世の中、そんなに甘いものじゃないのよ。」

鉄腕参謀リヒテンシュタインが目で合図すると、戦闘員がランベルツに一斉に襲いかかった。

「ぐあぁぁぁっ!!!」

「いやぁぁぁぁっ!!」

渓谷には女幹部の高らかな笑い声がこだましていた。
ゲルハルト本部。ここでは皆、つかの間の平和を謳歌していた。

「平和はいいものだ。この調子でバーラトの連中がずっと現れないことを祈るばかりだ。」

シュトルム・フェリックスこと、フェリックス・ミッターマイヤーが大きく背伸びをして言った。

ゲルハルト本部の広い司令室には隊員一人一人が座るコンソールがおかれ、隊員たちはフェザーンや各都市で事件がないか日々チェックしていた。

「そうですね。いつの日か、本当にバーラトを倒して世界に平和が来る時が来ますよ。」

オペレーターのジェシカが言った。そのとき、司令室の扉が開いた。ウィザード・セラことセラフィーナ・コクランが三人分のコーヒーを持って入って来た。セラはジェシカとフェリックスにコーヒーを渡しながら言った。

「そうね。つかの間の平和だけれど、それがいつの日か永遠の平和になって欲しいものだわ。」

セラが話し終えたそのとき、緊急ブザーが司令室に響き渡った。時を経ずして、ゲルハルト長官、ロバート・ウェブスターが作戦参謀のフランツ・フォン・シュタイエルマルクを連れてやって来た。ウェブスターは深刻な面持ちで言った。

「諸君、大変だ。フェザーンのエナ渓谷でライトニング・ランベルツがバーラトと交戦したとの情報が入った。」

「兄さんが?」

フェリックスはウェブスターに尋ねた。ウェブスターは頷いた。

「だが、ランベルツはその連絡を最後に消息を絶っている。彼の身になにがあったのかもしれん。急いで現地に飛んでくれ。」

「了解!」

二人は敬礼する直ちにエナ渓谷へ向かった。

「兄さーん!!」

フェリックスは大声をあげて渓谷中を探しまわった。ほどなくして彼は岩場に倒れているランベルツとクララを見つけた。

「兄さん!!気をしっかり!」

クララは気を失っているだけだったが、ランベルツは深い傷を負っていた。ランベルツは血を吐くと、弱々しい声で弟に言った。

「弟よ・・・早く逃げ・・・わ・・・」

それだけ言うと、兄は気を失った。
「兄さん!」

フェリックスは兄を呼びかけたが、応答はなかった。そのとき、背後から風を切る音が聞こえ、フェリックスは兄を抱え上げて飛んだ。彼のいた場所には数十本のナイフが突き刺さっていた。

「ははは。私のナイフ避けるとは、さすがはシュトルム・フェリックスと言ったところか。」

森の暗がりから、ナイフを持った道化師のような男が現れた。

「お前は・・・道化将軍テンシュテット!!」

「ははは!!今日が貴様たちの命日になるのだ!!」

テンシュテットが高笑いすると、同時にセラが別の森から飛び出して来た。彼女の唇からは少し血がにじんでいた。

森からもう一つ影が飛び出ると、道化師のとなりに着地した。

「鉄腕参謀リヒテンシュタイン!!」

「そうよ・・・ボウヤたち・・・そこのお兄さんと仲良くあの世にお行きなさい!!戦闘員ども!やっておしまい!」

森から50人ほどの戦闘員がわいて出てフェリックスとセラに襲いかかった。

「とう!」

「たぁ!」

二人は生身にも関わらず、次々と戦闘員を倒していった。

「ぬぬぅ・・・おのれ!いでよ!!赤鯱幻獣アデナウアー!!」

道化将軍テンシュテットが叫ぶと、岩場に雷が落ち、そのあとには赤い幻獣が現れた。アデナウアーは口を開くとミサイルを発射し、二人を吹き飛ばした。

「くっ!こうなったら変身よ!」

「おぅ!」

二人は腕のゴールデンブレスレットをきらめかせた。

「インペリアル・チェンジ!!」

二人は同時に叫ぶと輝かしい戦闘服に身を包んだ姿で現れた。

読者貴兄に説明すると、ゴールデンブレスレットに収納されたこの戦闘服は「インペリアル・チェンジ」のかけ声とともに二人の身体に0.1秒で装着される。現代科学の粋を集めてつくられたこの戦闘服は生身の彼らの25倍まで身体能力を高めることが出来るのだ。

「シュトルム・フェリックス!」

「ウィザード・セラ!」

シュトルム・フェリックスに変身したフェリックスは腰にマウントされた剣、シュトルム・ブレードを手に取ると高速で回転させはじめた。

「シュトルム・タイフーン!!」

シュトルム・ブレードから竜巻が現れ、周りにいた戦闘員を全て吹き飛ばした。

「くっ!・・・おのれ!!」

鉄腕参謀リヒテンシュタインが毒づいた。味方は赤鯱幻獣アデナウアーしか残っていなかった。

「今だ!セラ、ゲルハルトキャノンだ!!」

「えぇ!!」

「ゲルハルトキャノン!!」

シュトルム・フェリックスが叫ぶとどこからか、大きなバズーカ砲が飛んで来た。ゲルハルトキャノンと呼ばれたそれは二人の肩に乗ると、赤鯱幻獣アデナウアーを照準におさめた。

「ターゲット、ロック!!」

「ファイエル!」

光球が幻獣に向かって行き、命中と同時に赤い色をした禍々しい幻獣は粉々に吹き飛んだ。
「おのれ、シュトルム・フェリックス!ウィザード・セラ!」

鉄腕参謀リヒテンシュタインは剣を抜き、渓谷を飛び降りて二人に白兵戦を挑んだ。参謀とはいえ、幻獣を束ねる存在である。白兵戦でも二人を相手にひくことはなかった。

さらに援護のために道化将軍テンシュテットも渓谷を飛び降り、フェリックスと対峙した。彼のナイフさばきと正確な射撃はフェリックスを圧倒した。

一方、リヒテンシュタインと戦っていたセラも追いつめられていった。

「ふふふ・・・どう、お嬢さん?もう終わりよ。素直に倒されなさい!」

「まだよ!ウィザード・ロッド!!」

ウィザード・セラが持っていた杖をきらめかせた!その瞬間、ウィザード・セラが二人になった。

「ばかな・・・ウィザード・セラが二人になっただと!?くそっ!!」

女幹部は前にいたセラを一刀のもとに斬り捨てた。だが、彼女が切ったはずのセラは一瞬で消滅し、背後とセラがいないはずの前方から斬撃を受けた。

「ばかな・・・誰もいなかったはずなのに・・・!」

美貌の女幹部は崩れ落ちた。

「リヒテンシュタイン!!えぇい!!」

自分が隙だらけになるのも構わず、テンシュテットはリヒテンシュタインのもとに走っていった。

「しっかりしろ、リヒテンシュタイン!!」

そう言って、テンシュテットは鉄腕参謀を抱え上げた。

「勝利を・・・我が手に・・・あなたを愛している。」

そう言うと、鉄腕参謀リヒテンシュタインは静かに息絶えた。ほんの数秒テンシュテットはその場を動かなかった。フェリックスとセラは攻撃を与えることもできたが、そうせずにただ立ち尽くしていた。

ゆらりと立った道化将軍の目には涙がにじみ、怒りの炎がゆらめいていた。

「おのれ・・・死神博士クリス!!我に力を!!」

崖の上に白衣に身を包んだ科学者が現れた。

「巨大化光線照射!!さぁ・・・敵を踏みつぶすがいい!テンシュテット!!」

「鉄腕参謀リヒテンシュタインの仇!!覚悟!!」

巨大化したテンシュテットはセラとフェリックスを見下ろした。

「ゲルハルトロボで戦うぞ!セラ!」

「えぇ!」

「ゲルハルトロボ!!」

フェリックスが呼ぶと、ゲルハルトの本部から巨大な人型ロボットが飛んで来た。ロボットが着地すると、二人はすぐさまロボットに飛び乗った。

ゲルハルトロボと巨大化テンシュテットはお互い構えたまま静止した。強力な相手同士、勝負がつくのは一瞬でそして一撃で終わると考えたためだった。先に仕掛けたのはテンシュテットだった。

「必殺!ナイブズ・オブ・サーカス!!!」

テンシュテットの体から数百本のナイフが現れ、ゲルハルトロボに向かっていった。ゲルハルトは後ろに何歩か引いたが、その激しい攻撃に耐え抜くことに成功した。

「今度はこちらの番だ!テンシュテット!!」

ゲルハルトロボの目が光った。

「斉射三連!必殺!グレートノヴァ!!」


ゲルハルトロボの胸の主砲がきらめくと、6本のビームが巨大化テンシュテットの体をつらぬいた。

「ビバ・・・デモクラシー!!」

断末魔の叫びとともに、道化将軍テンシュテットは爆散した。

数日後、けがを負ったランベルツの病室をフェリックスとセラ、そしてジェシカが見舞った。ランベルツの病室に入ると、そこにはランベルツのためにリンゴの皮を剥くクララの姿があった。

「おじゃましちゃったかい?兄さん。」

フェリックスは冗談めかして兄に言った。

「こら、子どものくせにオトナをからかうんじゃない。・・・よくやったぞ。フェリックス。」

クララに助け起こしてもらって、ランベルツは弟をねぎらった。

「ありがとう。兄さん。だけど、まだ戦いは終わらない。ジェネラル・マディガンを倒して、世界に平和をもたらすその日まで、俺たちは戦い続ける。」

フェリックスは窓を開けた。窓からは清々しい風が吹き込み、窓の向こうには澄み渡った青い空が広がっていた。セラも、ジェシカも、そしてランベルツたちも空を見上げた。彼らは世界の平和を取り戻す日を青空に願うのだった。

「おのれぇぇぇ!!!ゲルハルトども!!」

二人の大幹部を失ったジェネラル・マディガンは怒りの叫び声を上げた。

「お怒りをお鎮めください、ジェネラル。今度は私が参りましょう。」

マディガンの後ろから声が聞こえた。

「おぉ!お前は大長老ヘル・ハーヴェイ!!」

「二人は若さ故に敗れました。だが私はそうはいきませぬ。必ずや、ジェネラルの前に憎きゲルハルトの者どもの首を献上してご覧に入れましょう。」

「おぉ、お前が出るのであれば、ゲルハルト壊滅は決まったようなもの!!見ているがいい、ゲルハルトどもめ!世界は我らのものに!!行け!ヘル・ハーヴェイ!!」

「ビバ、デモクラシー!!」

そう言うと、ヘル・ハーヴェイは静かに闇の中に消えた。アジトの中ではジェネラル・マディガンの高笑いがいつまでもこだましていた。
「なかなかの作品じゃないか。フェリックス。」

試写会が行われた劇場で、ローエングラム王朝2世皇帝アレクサンデル・ジークフリート・フォン・ローエングラムは笑った。

「アレクさ・・・いや、陛下・・・」

フェリックスは耳まで真っ赤になっていた。もともとこのような演劇じみたことは苦手で、今回主役と聞き、即座に辞退しようとしたが、お祭り好きのヴェルナーとセラに阻まれ、さらにアレクより勅命まで受ける羽目になってしまい、内心渋々ながら、主人公を演じきったのだった。

「そうですよ。名演技でしたよ。司令官。」

セラがフェリックスの隣で笑いをこらえていた。

「セラ姉さんもかっこ良かったです。でも、フェルの方が・・・」

ジェシカはそう言うと顔を赤らめた。セラは妹のようなジェシカを見て、優しく微笑んだ。

「うちの参謀長もノリノリだったし。しかし、あの年甲斐のないボンテージスーツ、誰が考えたのか・・・ゲフぅ!!」

「誰が年甲斐のないですって?ヴェルナー!!」

ナオが視聴席から立ち上がって、ヴェルナーのみぞおちに一発、拳をたたきこんだ。

「まぁまぁ、喧嘩はなしだぜ、嬢ちゃん。それよりも皆で行こうや!打ち上げ、打ち上げ!俺のおごりだ!」

今回、演出をかって出たマディガンが一同に言った。一同は歓声をあげてマディガンについていった。広い劇場にはアレクとフェリックスの二人だけが残された。

「なぁ、フェル。今日は家で茶でもしないか?アンネがザッハトルテを焼いて、家に持って来てくれたんだ。」

23歳の若き皇帝は親友に言った。親友は少し頭を抱えた。フェリックスの妹のアンネはアレクの数少ない女性の友人だった。彼女はことあるごとに焼き菓子を焼いてはアレクのもとにやってきて、アレクとともにお茶を楽しんでいた。アレク自身も親友の妹と過ごす時間が好きで、例え忙しい政務の間であっても、彼女のために時間を割いて彼女の手作りの焼き菓子と彼女のおしゃべりを楽しんでいた。

「まったく、アンネの奴。アレク様にご迷惑な真似はするなといつも言っているのに。」

「何を言う、フェル。俺は迷惑などと思ってはいないぞ。お前は妹に厳しすぎる、フェル。それとも、俺がアンネと仲良くするのが嫌か?」

フェリックスは真っ赤になって、かぶりをふった。

「いえ、アレク様。そのようなことは・・・それよりも、お茶、ご一緒させていただきます。」

親友の百面相を楽しんだアレクはさらに決定的な一言を言った。

「なら、早く帰るとしよう。アンネも美味いコーヒーを入れて待っているぞ。三人でお茶を楽しもう。」

「な!!」

あっけにとられたフェリックスの顔に笑いながら、アレクは劇場を出て歩いて行った。フェリックスは急いで金髪の親友のあとを追った。彼らの頭上には澄み切った青い空が広がっていた。


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