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最新ハリウッド映画釘付け評論会コミュの『インセプション』

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 今夏最大の話題作『インセプション』は『ダークナイト』のクリストファー・ノーラン監督によるSF大作。

釘付け度指数: 80

今夏最大の話題作『インセプション』は『ダークナイト』のクリストファー・ノーラン監督によるSF大作。なかなか楽しめました。

 難解な映画だとの前評判だったが、意外と解るストーリーライン。現実と仮想世界の行き来というプロットが解り難さの要因だが、例えばデビッド・クローネンバーグの『裸のランチ』『スパイダー』、デビッド・リンチの『マルホランド・ドライブ』『インランド・エンパイヤ』などのその系のタイトルと比べればぜんぜん解りやすいです。だって『インランド・エンパイヤ』に至っては監督自身が「自分でもよくわからん」って言いながら撮ってたらしいので。

 ノーラン監督の作風を知ってる人なら案外すんなりと理解できそうです。彼の初期作『フォローイング』、出世作『メメント』同様、コンセプトはずばり「現実と非現実の狭間で翻弄する男」の物語です。本編は2時間28分だが、実に最初の50分ほどを各キャラのデヴェロップメントと技術的な説明に費やしている。その後も必要に応じて説明を補っている。つまりはそれほど説明的な映画といえる。

 「現実と非現実の狭間で翻弄する男」はノーラン作品全般に見られる傾向です。ちょっとずれるけどハリウッド・デビュー作の『インソムニア』は誤って射殺した同僚の隠蔽工作と凶悪犯との戦いに翻弄される男、『プレステージ』は商売敵のマジシャンと自分自身に翻弄される男、『ダークナイト』は仮面を被った都合のよい正義が引き起こす弊害と「善悪」の定義に翻弄される男の話だ。

 本編もノーランがプロデュースと脚本を兼任しているが、『メメント』以降最も彼のオリジナル色が強い作品と言える。インディペンデントで低予算の『メメント』が世界に衝撃を与えるも、あの『マトリックス』は斬新な「仮想世界」で話題を一気にさらった。『メメント』は斬新なストーリー展開だが時間軸の逆行が一般客には馴染めずマニア向きのカルトな位置づけのみを獲得した一方、『マトリックス』は難解なストーリー展開にも関わらず一般客にも受け入れられ後の続編2本も大ヒットした。

 たぶんノーランはマトリックスの成功を悔しがり、「オレならもっと上手く仮想世界を撮れる」って感じで『インセプション』のコンセプトはそのころには既に彼の頭にあっただろうが、まだ充分な実績がなくタイミングも悪いのでフランス映画『インソムニア』のリメイクを引き受けた。『バットマン』シリーズは大成功を収めたがあくまでもリメイクとPre-quelだ。それらで資金と実績を蓄えたノーランが自由度を増して撮ったのが本編だと思う。

 なので本編は彼のベイビーである『メメント』との類似点が非常に多く、ずばり「メメントのマトリックス版」です。(ちなみにノーランは『メメント』では『マトリックス』の役者2名を起用している。)『メメント』は10分しか記憶を保てない男の終わりのない妻の復讐劇で、本編は失った妻と子供を追い求める産業スパイの捜査劇です。

 以下は自分なりのアナリシスですがネタバレ情報を含んでるのでこれから見に行く人はスキップしてね。

疑問と自分なりの見解(ネタバレ注意)

他人の深層意識(ドリーム)の中から更に他の人間のドリームに入り込める?

これは胸を撃たれて重症の渡辺謙が(たぶん)ディカプリオのドリームではぴんぴんしていること、崖から転落したバスが転落中にエージェント達が他の仮想世界でシンクしながら仕事を進めていることなどからそうだと判断できる。

でもこれは逆を言えば劇中のシーン全てが仮想世界である可能性を示唆する。個人的にはたぶんそうだと思う。


ディカプリオの妻の存在とは?

劇中のディカプリオの説明では、彼は妻を仮想世界で自分の都合に合わせて欺き、嫌気がさした妻は仮想世界で建物から飛び降りて記憶を消失させようとした。(ドリーム内で死ねば記憶障害や記憶消失が起きるという設定。『マトリックス』では仮想世界で死ねば現実でも死んでしまうので被りを回避した設定だと思われる。)

しかし実際に妻が飛び降りたのは現実の世界だそうだ。なので妻は既に死んでいてドリーム内でのみディカプリオのSub-Conscious(幻想)としてのみ存在する、となっている。

しかし、物語の終盤、年老いた老夫婦が手をつないで歩くという短いショットが存在する。お話上それはディカプリオと妻のはずだ。つまり、彼らは老年まで一緒にいたことを示唆する。『メメント』でもそうだったが、殺されたはずの妻は実は生きていて、男の記憶傷害が勝手な復讐劇を始めたという切ないオチがある。これはノーラン流の「本末転倒」的なプロットで、ここでもかという感じです。なので妻は死んでいない、もしくは最初から存在すらしないという可能性もあります。


ディカプリオの子供の存在とは?

ディカプリオがもっとも気にしていた自分の子供二人ですが、おそらく最初から存在していないでしょう。彼らはディカプリオが妻との間に望むものの象徴でSub-Consciousとして登場します。ラストの子供たちもおそらくドリームの中の存在でしょう。


ベーゴマの存在とは?

劇中に現れる金属製のコマですが、あれは仮想世界の象徴として使われているのだと思います。妻が金庫に隠したものがそのベーゴマでした。ディカプリオは妻が必死に隠しているものを突き止めるために彼女の深層意識に入りました。その行為が"Inception"です。その前実績があったからこそ渡辺謙が依頼する企業スパイの仕事を引き受けたのです。


渡辺謙だけが老いたのは?

不明です。ただそれも深層意識での存在なので、ただのSub-Consciousとしての姿かもしれません。個人的にはディカプリオも渡辺謙も現実世界では年寄りだったと思います。深層意識では若くいられるわけです。他のエージェントなども実在なのかただのSub-Consciousなのかは判断できません。全てディカプリオか誰かの夢、でも成立します。


Architect(建築家)の存在とは?

『ハードキャンディー』や『ジュノ』でちっちゃい爆裂女を演じたエレン・ペイジちゃんの今回の役どころが仮想世界の建築家。人の深層意識に入るのもあらかじめ建築家がデザインした仮想世界があってのことという設定。ディカプリオは最初エレンを面接して仮想世界をスケッチさせる。四角く平面的で一般的なデザインをボツにして丸く非現実的なデザインを褒める。これは高い建物から落ちた(と勝手に思い込んでいる)妻の件のトラウマで、どんな状況でも「落ちない」「逃がさない」世界への渇望の現われだと思う。

ネタバレ終わり。

 以上、自分なりの解釈ですが他の解釈も聞きたいです。ひとつ驚いたのが渡辺謙の扱い。最初から最後までバランスよく登場し続けます。なんかよくわからない『バットマン・ビギンズ』とは大違い。エンドクレジットもディカプリオの直ぐ後。現在もっとも活躍する日本人俳優ですね。映画が始まって一番最初のセリフが日本語です。今のハリウッドはジャパンがナウい(←死語?)本編がいきなり始まってタイトルは終了後にようやくでるという、『アバター』と同じスタイルを採用している。

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