最新ハリウッド映画釘付け評論会コミュのスティーブン・キング「１４０８」

　名は体を現すホラー小説のキング、スティーブン・キング原作、ジョン・キューサック主演、サミュエル・Ｌ・ジャクソン助演のゴーストホラー。
　マイクは売れないミステリーライター。世界中のゴーストスポットを訪れ宿泊しては自分の実体験を本にするがどれも空振り。だって何も起きないんだもん。そんなある日ニューヨークの古いホテルの開かずの部屋「１４０８」の存在を知り触手が動く...

釘付け度指数：　７９

　いや〜、スティーブン・キング原作の映画はやっぱ基本的に面白い！理屈ぬきにエンターティメントに徹してるから単純好きなアメリカ人には大人気です。

　「１４０８」はトラブる作家の話だけど、それってキング作品では決して新しいプロットではない。古くは「シャイニング」、ちょっと前は「ミザリー」、そして本編。そのどれも優れた原作です。イカれる作家というプロットはキング自身憧れのキャラなのでしょう。彼もいい加減イカれかかってるでしょうから。

　映画化にあたっては、「１４０８」は極めて今風の味付けで作られた感じを受けました。良い意味でも悪い意味でも。面白かったけど、おどろおどろしさ（またはリアルさ）が削ぎ落とされた感じがします。
　
　「ミザリー」はキング原作ではマイ最高傑作のひとつです。釘付け度１００。もうキャシー・ベイツのアンポンタン女最高！！やっぱり生のブスでブタで勘違いした女ほど世の中で怖いものございません。私はトラウマになってスーパーのレジでもあの手のパートさんは避けてましたから。

　「シャイニング」は巨匠キューブリックによるメガホンが裏目に出て×。リアルすぎ。重すぎ。しゃれになってない。ホラーなんて三文監督が撮ればよろしい。「２００１年宇宙の旅」や「時計じかけのオレンジ」のような哲学を映像化できるような監督があえてホラーのような映画監督の登竜門ジャンルに挑んで失敗したケースです。例えるならマンガを油絵師に油絵具で描かせたようなものです。

　だからホラーというジャンルは「死霊のはらわた」のサム・ライミなんかが最高なんです。ホラーをうまく表現するには笑いのつぼも押さえなければいけない。落語家が語る怪談なんかがやけにリアルで怖いのもその為でしょう。清水祟の「呪怨」なんかギャグですよ、あれは。

　そんで「１４０８」。ホテルの呪われたスイートです。なぜ１４０８かと言うと、１＋４＋０＋８＝１３だからです。西洋の嫌われナンバー１３です。単純〜。だからタイトルは「１０５７」でも「１２４６」でも構わない。キング師匠なんだからもう少しパンチの効いたタイトルにして欲しいところ。

　映画自体の出来はですねぇ、「ミザリー」同様「拘束＆脱出」がテーマなのですが、「ミザリー」ほどの緊迫感は期待しないほうがいいかもしれません。でも意表をついた演出をしています。「裏切られた」という思いを裏切られました。詳しくは書けませんが...

　とにかくホテルの一室が全体の９割以上の舞台なので飽きさせない為の涙ぐましい努力は伝わりました。部屋にあるものほとんど全て使います。お祭りの「ビックリハウス」です。

　予告編でも見せてる死んだはずの肉親との再開などの使い古されたプロットはさすがのキング先生でもいただけないです。観客はもっと「ホステル」のような強い刺激を求めているぞ〜。

　もう完全にジョン・キューサックの一人舞台です。ちょっと間抜けな感じがはまり役ではなかったでしょうか。サミュエル・ジャクソンは「友情出演か？」とツッコミたくなるほど出番が少ないです。相変わらずいい味は出してましたが、やっぱり「パルプ・フィクション」や「ジャッキー。ブラウン」や「アンブレイカブル」や最近の「ブラック・スネーク・モーン」のようなイカれたブラザーが最高です。イイ奴演っても良かったのは「シャフト」その他数本で、「ロング・キス・グッドナイト」なんか映画自体ももう最悪。釘付け度２０以下！！
　
　余談だがロスのシーンでは近所のヘルモサ・ビーチやそこの郵便局が重要なロケ地として使われた事を発見。夏に行ってみよう！！