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<小説>放課後の、音楽室♪コミュの≪SCENE-10≫カプセルの、パフューム。

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最近ユウコがお気に入りの『カプセル』の「パフューム」。

それを、ふと耳にしたボクが、
「カプセルの匂い、がどうかした??」
と驚いて言うと、ユウコにくすくすと笑われてしまった。
コンピューター・ミュージック(CM)が大好きなユウコは、最近は『YMO』や『クラフトワーク』はとうに聴き飽きたらしく、今では『カプセル』がお気に入りなのだそうで。

カズヤもカズヤだがボクも同様、CMに興味を持つユウコにしろ三人が三人とも、本当に三者三様だと思う。現代音楽の果てである音楽の終焉に興味を抱くカズヤ、幼さ溢れる軽快で単純な管楽器にココロ奪われるボク、テクノの出生から近未来ポップまで、シンセを巧みに用いた音楽に魅了されるユウコ。そんな三人が放課後の音楽室で日々練習に励み合奏を繰り返すジャンルが童謡だなんて、ね。
改めて、音楽は自由なんだなと思い知らされた今日この頃だった。
「若いうちは、カプセルとか聴かなきゃでしょ?ピアノ曲とかリコーダー楽団とかさ、老いてから聴いた方が色褪せて良いんじゃない?」
「老いてからってさ、、、それは云い過ぎなんじゃない?」
珍しく、ボクとカズヤは声を揃えた。
「テクノ・サウンドは老いてからじゃ、聴くのキツイでしょ?」
「てか、そもそもテクノなんかに興味ないし。な?マコト?」
「そうだな。てかさ、ボクにはジョン・ケイジすら訳判んねーよ」
「バカだな、彼はスゴすぎるんだよ。何もかもがな」
「?」
ユウコはボクを見ては、首を横に軽く傾げた。
「まぁいいや、音楽なんて人それぞれだもんね?でもさ、一度聴いてみてよ、パフューム」
「判った判った、とりあえず今日帰って聴いてみるよ」
カズヤとボクはそれぞれ「パフューム」のCDを借りて、ユウコに明日感想を述べる事を約束した。


ボクはやがて家に着き、ユウコに借りた「パフューム」を聴いてみる事にした。
「ピコピコ云ってるだけだろ、どうせ」
テクノ嫌いな人が決まって云う台詞を堂々と吐いて、ボクはCDケースを開けた。
「?」
が、しかし、中身がない。
「あー、もう!!」
人から借りるCDって、どうしていつもこうなのか?
「せっかく、聴く姿勢になってたってーのにー!」
ボクはしばらくウダウダ云いながらも、せっかくなのでケースの中のジャケットを手に取った。
「、、、唄ってる人たちは、カワイイなー」
パフュームは、三人組の女の子。とは云っても、ボクらより全然年上なんだけど。
唄のタイトルはどれをとっても近未来なコトバばかり。「モノクローム」だの「リニアモーターカー」だの、おまけに「ファンデーション」だなんて。
「明日ユウコに云って、今度こそ聴こう」
そう誓って、今日は眠る事にした。

せっかくでもユウコから借りた訳だし、とか何とか云いながらベッドの枕元にそのCDをまるで家宝かの様に置いて夢見る事にした。
「、、、どんだけさ、ユウコが好きなんだよな、ボクは」
まだまだボクは子供の考え方しか出来ないのかもしれないけど、好きで何が悪いのか判らない。
「好きだから、好きなだけなんだよ、、、」
ちょうど真上にある晴れやかな夜空には、雲にも隠れない満月が光って見えた。そこに映るユウコの顔を眺めるや否や、少し笑顔になっていたボクがそこにいた。

そんな儚い、マゴコロのまにまに。

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