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「フリーライターにはまだ遠い」コミュの第37章 フリー(ライ)ター 鮎川芽衣

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また1年が終わろうとしていたこの年の年末、私はそれまで細々と続けていたアルバイトをきっぱり辞めた。ライターとして、それ一本でやっていこうと決めたのだ。
 これまで、アルバイトがなければ引き受けられたという仕事も何本かあったので、ちょうど短期のアルバイトが期間終了したことをきっかけに、これ以上アルバイトは探さないことにした。
 しかし、アルバイトを辞めてしまうと急に生活が困難になってきた。今までだって贅沢をして暮らしてきた訳ではない。フリーとして仕事をしていると、仕事道具は全て自分で揃えなくてはいけない。これはファックス用紙やプリンターのインク、そして一番金額の張る電話代など、細かいものを合わせると結構バカにできないほどの額になり、その上打ち合わせや取材の時の交通費なども、地方取材でない限りほとんど出ないのが常識だ。
 私はどちらかというと質素に、仕事の経費以外ではほとんど金を使わないような暮らしをしてきたのに、その経費を出してしまうと全てなくなってしまうほどの金しか私の元には入ってこない。

 仕事はたくさんしていた。布団では寝れていたものの、これ以上の仕事を入れると人として常識と思われる範囲の生活はできないよな、と言えるくらいの仕事量をこなしていたつもりである。なのに何で金が入ってこないんだ?
 一人暮らしをしているアキヒロに相談してみた所、私がやっている一つ一つの仕事は、どれもギャラが安いという結論に達した。
 私は、いつまでも両親と一緒に住み続けようとは思っていなかったし、家を出て一人で生活ができた時、初めて一人前になったと言えると思っていた。そのためには、私が定めていた最低ラインをもう少し上げることが必要だった。
 私は仕事の合間をぬいながら、再度新地開拓を進めていった。この頃にはだいぶ経験も豊富になり私の作品も増えていたので、新しい会社で仕事をもらうことは以前に比べればだいぶ難しいことではなかった。しかし、それでもやはり編集者にとっては初めてのライターを使うということはかなりの冒険らしい。営業に行けば行くだけ仕事がもらえるという訳でもなかったので、以前やったようにアルバイト情報誌を見ながら外注のライターを募集している所に持ち込みに行っていた。

 そこで見つけたのが、動物雑誌を専門に作っている出版社の「ライター募集」の記事だった。外注ライターではなく社員の募集だった。特にフリーにこだわっていた訳ではないが、できれば仕事内容にこだわりたいと思っていた私は、
「おもしろそうな仕事の上に、ここで働いて毎月決まった額の給料をもらえれば家を出ることができる」
 と思って履歴書を送った。返事はすぐに来て、後日面接に出かけて行ったが、残念ながらここの仕事は私の思っていたようなものではなかった。書店で販売する動物雑誌ではなく、ペットショップや動物病院に売る専門誌で、内容も動物やペット用品の商品カタログのようなものだった。

コメント(2)

こんばんは、はじめまして。
僕は、かつてやっていた仕事を辞め、現在はライターを目指しています。
2時間前にこのコミュニティに行き着いてから、0からここまで吸い込まれるように読み通してしまいました。
仕事の辛さ、内情が伝わってきますし、何よりもメイメイさんの奮闘っぷりが伝わってきて、読み手としてはとても面白かったです。そして、自分自身がこれから動き出す為の勇気を分けて貰えました。
これからも、自身のモチベーションを高めるために読ませていただきたいと思います。

ありがとうございます!

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