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ハンマーダルシマーコミュのハンマーかハンマードか

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 僕の日記で話題になった、Hammer DulcimerかHammered Dulcimerかの、青木陽子さん(打弦楽器協会)の見解をコミュにも載せておきますね。長いですが、興味のある方は読んで下さい。

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小松崎健 さま

これまでの私の理解は、Jean Ritchieが(アパラチアの)ダルシマーを持ってフォーク・シーンに登場して以来、2種類のダルシマーが存在するようになったというものです。

私はダルシマーと出会ったとき音楽図書館員でしたので、仕事の空き時間や休みの日に書庫にこもり、アメリカの音楽史の本を漁ったことがありました(1998年ごろ)。
けれど音楽史というのは普通クラシック音楽の歴史で、その中にDulcimerは本当に登場しないのです。ただ、20世紀に入ってからの新聞広告か何かにDulcimerという言葉をみつけたと記憶しています。楽器を販売するとか教えるとかの内容です。

その後フォークソングの歴史を見ればよいのだと気づいたのですが、そちらはJean Ritchieのダルシマーばかりが出てくるのです。例えば1976年に出版されたThe Folk Music Sourcebookでも、Jean Ritchieを紹介する中に、She often sings solo voice, or with dulcimer とあります。この本の中でdulcimerは今で言うマウンテン・ダルシマーで、ハンマー・ダルシマーがhammered dulcimer あるいは、Dulcimer, Hammered と区別されるのです。どうやら一時期のアメリカではDulcimerといえばJean Ritchieのダルシマーだったようで、私はあるアメリカの音楽史シリーズの翻訳本の中で、ダルシマーが弦をはじく楽器を示しているということを知らずに、混乱したことがあるくらいです。(有名な人の本なのに、不用意にdulcimer という語を用いたがために日本の翻訳者もそれをただダルシマーと訳し、私はスウェーデンにハンマー・ダルシマーがあるのかと誤解したのです。)

英語ではもともとDulcimerだけで打弦楽器のことですから、Jean Ritchieの方がおかしいという人もいたようですが(アメリカの音楽辞典でもDulicmerというエントリーで打弦楽器を説明)、彼女の家とその周辺では代々あれがDulcimerと呼ばれてきたことが認められ、次第に両者を対等に区別するようになってきます。最初のうちは撥弦楽器を Appalachian DulcimerとMountain Dulcimerと言い、打弦楽器は、Hammer Dulcimer あるいはHammered Dulcimerと言っていて、最近ではそれがMountain Dulcimer(MD) とHammered Dulcimer(HD)に集約されてました。

さて、ではHammer DulcimerかHammered Dulcimerかという問題ですが、今はHammered Dulcimerの方が一般的です。けれどHammer Dulcimerが間違いでないことは、Paul M.Giffordの"The Hammered Dulcimer : A History" (The Scarecrow Press, 2001)にありました。

1959年に開催されたThe Newport Folk Festivalはさまざまな地域からのブルーズ・シンガー、バラード・シンガーだけでなく新しいフォークの若いプロの演奏家たち、Joan BaezやBob Dylan(当時18歳)を含む、今までとは違うフェスティバルだったそうです。そこにJean Ritchieが登場し、アパラチアのダルシマーが注目を集めました。マス・メディアにThe Newport Folk Festivalがレポートされるにつれ、ElgiaHickokは自分が何年も弾いてきたdulcimerを紹介したいと思い、1963年に参加、翌年の1964年、Chet Parkerとともに"Golden Slippers"などを演奏し、それが"Hammer" dulcimerと記録されたのだそうです。

The Newport Folk Festival以来Chet Parkerの人気は高まり、熱狂的ファンが彼の演奏を録音してそのテープをFolkways Recordsに送り、それがThe Hammer Dulcimer Played by Chet Parker として1966年に出ます。(これは現在Smithsonian Folkwaysからオンラインで購入できます。)

ですから最初はHammer Dulcimerでした。でも多分文法的におかしいのか語感がおかしいのかわかりませんが、1966年にはRussell Fluhartyの広告が "America'sgreatest hammered dulcimer player"と書かれ、両者が混在するようになったようです。(以上Giffordの16章、The Dulcimer's American Revivalより。)

英語にHammer Dulcimerがあるので、日本語もハンマー・ダルシマーで問題ないと言えますが、今ではアメリカでHammered Dulcimerと呼ぶのだからハンマード・ダルシマーが良いと思う人もいるでしょう。どちらでも良いと思いますが、私自身は日本人にわかりやすく説明するため、ハンマー・ダルシマーで通しています。バチを示して、これがハンマーですと言ってしまうのが簡単なので。でも実際は、Hammerの訳は、槌とか金づち、それに似たものですからちょっと無理があるかもしれません。それに対してhammerを動詞として使うと、たたく、打つという意味になるので、打たれるダルシマー、打弦楽器という言葉により近くなるのですが、そこまで説明するのは第二段階と思っています。

■以下、ぼくの質問

K:米国では、Hammered Dulcimerが主流のようですが、Hammerと呼ぶ人もいるのですか。

A:います。

K:もともとDulcimerだったのが、Mountain Dulcimerと区別して、Hammer あるいはHammeredと付けたと理解しているのですが、

A:もともとDulcimerだったのですが、先にメディアにMountain Dulcimerが出てしまったので、区別するようになりました。

K: もしかしたら、昔から(中世の時代から)Hammered Dulcimerだったのでしょうか。

A:アメリカだから必要だった区別なのに、今ではイギリス人でもHammered Dulcimerという言葉を使っています。

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