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科学は愛ですコミュの生体ロボット、動力源はラット心臓細胞

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http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20121120003&expand#title

ラットの心臓細胞と合成素材から新型の生体ロボットを作成したとする新たな研究成果が発表された。今回の成果は、人体内で病気を退治するロボットの端緒になる可能性もある。

この「バイオボット」は1センチほどの長さで、心筋細胞をヒドロゲルでできた柔軟性のある骨組み(体部)に付着させる構造で作成された。ヒドロゲルは、人が目に直接着用するコンタクトレンズなどにも使用されている素材だ。

 バイオボットの体部を作成するため、研究チームでは3Dプリンターを用いた。これは柔らかい資材を何層にも積み重ね、それを融合・硬化させることによって立体的な物体を作る手法だ。

 心臓細胞の収集はかなりの注意を要する作業だった。研究チームは、生後間もないラットに麻酔をかけて心臓を丸のまま取り出し、この心臓を小片に切り分けた後に処理し、細胞間の結合を緩めて心臓細胞を分離した。次にこれらの細胞をロボットの体部に付着させ、ロボット1台につき数千から数十万個の細胞が含まれるようにした。

「数日のうちに、これらのロボットは鼓動を始め、動き始めた」と、研究の共著者でこのロボットの開発に関わったイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の工学者、ラシード・バシール(Rashid Bashir)氏は述べている。

 このバイオボットでは心臓細胞が“エンジン”の役割を果たし、細胞の収縮によってロボットの体部がたわみ、1秒あたり数十〜数百マイクロメートルの速さで前進する仕組みだ。これらのバイオボットには2本の脚があり、うち1本は前進の推進力となり、もう片方は動きを安定させる役割を持つ。

 バイオボットの動力源として心臓細胞が選ばれたのは、これらの細胞が他の細胞とタイミングを合わせ、自発的に収縮、つまり“鼓動を打つ”性質を持つからだと、バシール氏は電子メールで解説している。

◆生命を模倣したバイオボット

 今のところ、バイオボットは動力となる心臓細胞を生かしておくために、栄養分が豊富な液体に全体を浸けておく必要がある。しかし、将来的にはこうした生物マシンに血管を通じて「養分を供給する」ことも可能になるかもしれない。

 マサチューセッツ工科大学(MIT)の機械工学者、ロジャー・カム(Roger Kamm)氏によれば、「他の実験室で行われている研究の中には、高度化が進み、大型化するバイオボットの筋肉の代謝要求に応えるため、血管系の作成を目標としているものもある」という。カム氏は今回の研究には関与していない。

 合成物と生物由来の素材を融合させることで、完全に機械的な構造を持つロボットではまだ実現できていない、生物的な能力を持たせることが、こうした研究の狙いだ。

「生物学的な活動の中には、現在の無生物素材では再現できないものが数多くある」と、カム氏は認める。「例えば、生物の鼻は高性能のセンサーだ。空港で爆発物を検出する際には、いまだに犬の嗅覚に頼っているほどだ」。

◆応用に高まる期待、現実はまだ遠い

 バイオボットの用途としては、ありとあらゆるものが考えられると、研究者たちは見ている。

「毒性のある物質を検知し、それに近づいていって中和する、体内を這ったり泳いだりできるバイオボットの作成も可能だろう」と、カム氏は将来的な応用例について語った。同様に、「体内に入り、腫瘍細胞が分泌する(化学物質)を検知し、組織内を移動して腫瘍にたどりつき、そこで腫瘍細胞を破壊する物質を放つ、そんなバイオボットも考えられる」という。

 しかし、このような用途はすべて遠い将来の話だと、今回の研究の共著者のバシール氏はくぎを刺している。「今のところは、基礎となる原則や設計の規則の理解に向けて研究を進めている段階だ」。

 今回のバイオボットについては、11月15日付の「Nature Scientific Reports」誌に詳しい記載がある。

Illustration courtesy Janet Sinn-Hanlon


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