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科学は愛ですコミュの原始の洞窟で薬剤耐性菌を発見

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原始の洞窟で発見された薬剤耐性菌にスーパーバグ治療の可能性が
(Discovery of antibiotic-resistant bacteria in ancient cave could
lead to cure for superbugs:4月15日英語版配信分)


http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20120412003&expand#title
[ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト]
アメリカ、ニューメキシコ州にある未開の洞窟の奥で、現代の抗生物質が効かないバクテリアが100種近く発見された。

 見つかったバクテリアは、地下約487メートルにある岩石でできたレチュギア洞窟の壁を覆っている。最近まで、これらの微生物は人間や抗生物質と接することなく過ごしてきた。

 この洞窟は400万〜700万年前に、分厚いドーム状の岩石によって外界から隔絶された状態となった。流れ込む水が洞窟深部に到達するには約1万年の時間を要する。したがって、洞窟内の生物が現代の医薬品と接触する機会はまったくなかった。

 洞窟で見つかったバクテリアは、人間には感染しないものの、最新の合成薬剤を含む複数クラスの抗生物質に耐性を持つ(抗生物質は作用機序や化学構造によっていくつかのクラスに分類される)。今回の発見は、薬剤耐性疾患が出現する仕組みを解明するための興味深い手がかりとなるものだ。

「臨床微生物学者たちは長年頭を悩ませてきた。新たな抗生物質を病院に投入すると、数カ月〜数年以内という短期間のうちに必ず耐性が出現する」とカナダ、オンタリオ州にあるマックマスター大学の化学生物学者で、今回の研究を率いたジェリー・ライト(Gerry Wright)氏は話す。

「この耐性がどこから来るのかは、今なお大きな謎だ。これまで他のバクテリア、すなわち必ずしも病気を引き起こさないバクテリアに関しては、ほとんど誰も目を向けることを考えなかった」。

◆拡大する“スーパーバグ”の問題

 レチュギア洞窟は、カールズバッド洞窟群国立公園で最も深く、最も広い洞窟の1つだ。地図化されている経路の総延長は少なくとも209キロに及び、確認されている限りでは世界で7番目に長い洞窟としても知られる。

 1984年、洞窟探険家たちが砕石だらけの古い採掘坑を掘り始め、事前の予測どおりそこに洞窟の入口を発見した。1986年には入口が開かれ、地球上で人類が足を踏み入れたことのない最後の環境の1つが姿を現した。

 アメリカの国立公園局は洞窟への立ち入りを厳しく制限しているが、2008年からはノーザン・ケンタッキー大学の地質微生物学者ヘイゼル・バートン(Hazel Barton)氏のチームが、微生物のサンプル採取のための立ち入りを許可されている。

「バートン氏は、明らかに人間がそれまで触れたことのない場所を選んでサンプルを採取した。あまりに手つかずのため、誰かが歩いたところはすべて見ればわかる。サンプルを採取した場所のいずれかが、地表の物質によって有意な影響を受けているとはまず考えられない」とライト氏は述べている。

 バートン氏は洞窟の壁に育っていたバクテリアの厚い層、バイオフィルム(菌膜)を削り取り、それをライト氏の研究室に持ち込んだ。ライト氏のチームは3年をかけてサンプルを調査し、抗生物質耐性の有無を確認した。

 病原バクテリアの中には、数十クラスある抗生物質の多くに耐性を持つものが急増している。しばしば“スーパーバグ”と呼ばれるこのような菌株は、天然および人工合成の抗生物質を無効化したり、食べたり、ブロックしたりすることができる。

 スーパーバグは病院や牧畜場など、抗生物質を多用する場所にはほぼ確実に出現する。このような環境では強い進化圧がかかるため、微生物は短期間で複数薬剤への耐性を獲得する。

 しかし、耐性がどのように獲得されるのかは厄介な謎だとライト氏は言う。抗生物質に抵抗する遺伝子の優位性が生じるまでには数千〜数百万年の時間がかかることが研究によって示唆されているためだ。

 バクテリアは通常、同じ環境内にいる他のバクテリアとの間で遺伝子の交換、受け取り、奪取を行っており、謎を解くカギはそこにあるのかもしれない。このことから、微生物学者の多くは、耐性遺伝子は古代から存在しており、非病原性バクテリアはそうした遺伝子の巨大な“備蓄庫”として、病原性バクテリアに遺伝子を移す働きをしているのではないかと考えている。

◆多様な耐性遺伝子

 ライト氏のチームは、洞窟から採取されたバクテリア500種の分離に成功したが、そのうち培地で育ち、26種類の抗生物質に対する耐性を試験できたものは93種のみだった。

 この93種のうち、約70%が3〜4クラスの抗生物質に耐性を持っていた。これら菌株のうち3つは、炭疽症を引き起こす芽胞を形成するバクテリアと遠い類縁関係にあり、26種類の抗生物質のうち14種類に耐性を持っていた。

「正直なところ、これほど多様な遺伝子がこれほど種類の異なる抗生物質に耐性を持つとは予想していなかった」とライト氏は述べている。

◆抗生物質と耐性、どちらが先か

 ブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)の著名な微生物学者であるジュリアン・デイビーズ(Julian Davies)氏は、バクテリア菌株を異質な環境から実験室に移して培養した結果、抗生物質に耐性のある遺伝子がみられたということは、本来は抗生物質と戦うために発達したのではない遺伝子がもたらした偶然の副産物かもしれないと指摘する。デイビーズ氏は今回の研究には参加していない。「この結果は、抗生物質耐性を持つ遺伝子が非常に古いものであることを示してはいるが、それがなぜ病院に入り込むのかを説明してはいない」。

 タフツ大学医学部の内科医・微生物学者で、同じく研究には参加していないスチュアート・リービー(Stuart Levy)氏も次のように述べている。「これはニワトリが先か卵が先かという問題だ。微生物はまず抗生物質を作り出し、その後に耐性が発達したのか、あるいはその逆なのか」。洞窟に生息するバクテリアの場合、微生物同士が競争しあう「化学戦」の一環として、天然の抗生物質が生み出される可能性も考えられるという。

 今回の研究成果は、4月11日付で「PLoS ONE」誌に発表された。

Photograph by Max Wisshak, speleo-foto.de

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