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科学は愛ですコミュのガラスが半導体に - 東工大、絶縁体の高温メルトの金属的電導体化を確認

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ガラスが半導体に - 東工大、絶縁体の高温メルトの金属的電導体化を確認
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110704-00000061-mycomj-sci

東京工業大学フロンティア研究機構 細野秀雄教授と金聖雄特任准教授の研究グループは、細野教授が2003年に実現した典型的な絶縁体である酸化カルシウムと酸化アルミニウムから構成されるセメントの構成成分「C12A7」結晶の中のナノサイズのカゴに電子を入れることで、金属のように高い導電性を示すC12A7電子化物について、1600℃で溶融したメルトにて、金属のように電気を良く通すことを発見した。同研究はJSPS最先端研究開発支援プロジェクト(FIRST)で実施され、米科学誌「Science」にて掲載された。

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液体アンモニア(融点:-78℃、沸点:-33℃)は、19世紀のはじめに内部にアルカリ金属を溶かすと、金属がイオンと電子に分かれ、着色した溶液となることが発見され、その後、液体ながら金属のようによく電気を通すことが判明し、電子がアンモニアの分子によって囲まれることで安定化された状態(溶媒和:Solvation)で生じることが解明されていた。通常の金属では、電子は構成される原子の軌道に緩く束縛されているが、この溶媒和した電子は、液体分子の軌道には属さず、分子同士のすきまの位置を占めることが特徴となっている。このような溶媒和した電子は、これまで液体アンモニアのような低温の特殊な溶媒中でしか安定には存在しないと考えられてきた。このため、典型的絶縁体の金属化は、ドロドロに融けたメルトやそれを急冷したできたガラスでは実現が困難と思われていた。

今回の成果は液体アンモニア(融点:-78℃、沸点:-33℃)にアルカリ金属を溶かした溶液が、金属伝導を示すのと同じ現象で、アンモニアにおける現象が低温に限定されるのに対し、マグマのような高温のメルトの中に溶媒和した電子が安定に生成させることができることを示すものとなる。

C12A7(12CaO・7Al2O3、融点〜1450℃)はナノサイズのカゴが立体的に繋がった構造をしており、このカゴの中に電子を入れると、電子はトンネル効果で壁を通り抜けて隣のカゴに移ることができ、結果として絶縁体が良伝導体に変わる。また、電子をカゴの中にいれたC12A7:e-(C12A7エレクトライド)を、酸素ガスを取り除いた不活性ガス(アルゴン)の雰囲気で、1600℃まで加熱して融かすと、強く着色した状態が確認されていた。今回、このドロドロの状態のメルトの電気伝導度を測定したところ、伝導度は通常の電子を含まないC12A7のそれよりも2〜4桁高く、しかも伝導度が金属のように温度とともに減少することが分かった。

同メルトの雰囲気に酸素ガスを流すと、着色が消え透明になり、伝導度は通常の電子が入っていないC12A7(室温では絶縁体)を融かしたものと同じになることから、C12A7:e-を酸化しない雰囲気で融かした状態は、アルカリ金属を溶かしたアンモニアのように液体の金属になっていることが判明した。

次に研究グループは、この融けてドロドロになったメルト状態を、急速に冷却してガラスを作製した。得られたガラスは、黒褐色で、メルトのようには(金属的に)電気は流ないものの、普通の透明なガラス(窓やコップ)と比べると数桁以上高い伝導度を示した。

電子をカゴの中に入れていないC12A7を融かして作製したガラスは、普通のガラスと同様に透明で電気を通さないことから、今回得られたガラスは半導体となったといえる。ガラス中に含まれる電子濃度を、標準的な方法であるヨウ素滴定により測定したところ、出発に用いたC12A7:e-結晶中の電子濃度(1021個/cm3程度)が、そのまま得られたガラス中にも含まれていることが確認された。ガラスはメルトを素早く固化したものであるため、メルト中にも原料の固体のC12A7:e-の中と同じ濃度の電子が存在すると考えられるという。

今後、これらの成果を応用することで、CaO-Al2O3系のメルトは、電気化学的に安定で、酸化や還元をされにくいことから、通常の液体金属(水銀やガリウムなど)では不可能な電解合成の高温溶媒として使用することができる可能性がでてきたほか、ガラスは水に溶けると電子が放出されるため、水中で使える還元剤として有効と考えられることから、水を溶媒とする有機合成反応(例えばピナコールカップリング反応)に利用できるものと研究グループでは説明している。

また、溶媒和した電子は、これまで極性のある溶液に放射線を照射した直後など過渡的に存在することがよく知られていたが、安定な溶媒和電子は、液体アンモニアのように低温の特殊な溶媒に限定されていた。しかし、今回の発見により、溶媒和電子がさまざまな物質系や高温でも安定に作りだせる可能性が示されたことから、「電子の高温溶液」という新しい分野が開ける可能性がでてきた。さらに、セメントの構成成分(C12A7)である石灰(CaO)とアルミナ(Al2O3)というありふれた物質を用いて、融かす雰囲気を制御することで、電子の高温溶液が実現されたことから、ありふれた元素を使って新機能に発現を目指す「ユビキタス元素戦略」の可能性がさらに広がることとなると研究グループではその可能性を指摘している。

[マイコミジャーナル]

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