3月5日、アンソニー・ジョン・グレイバーIII(Anthony John Graber III)さん(24)はバイク運転中にスピード違反で警察に呼び止められました。現在彼はヘルメットマウントのビデオカメラでその模様を撮影した罪で刑事起訴に直面しています。
この事例の問題点をまとめるとこうです。
1) 逮捕されたのは警察と会った直後でなく、その10日後。YouTubeに動画を一部投稿し、それで州警察官のJ. D. Uhlerさんが慌てた後に逮捕されたんです。動画の中でUhler州警察官は警察の車とわからない普通車からいきなり普段着で飛び降り、拳銃を振り回して叫んでました。警官と名乗ったのは、後になってから。このYouTube動画が警察の目に止まり、グレイバーさんにさっそく令状を取って実家(おそらく彼も親と同居中)を家宅捜索し機材を押収、通信傍受法違反で起訴と相成ったのです。
2) メリーランド州の通信傍受法がこのような使われ方をするなんて聞いたこともないと、マルチモアの刑事弁護人スティーヴン・D.・シルバーマン(Steven D. Silverman)さんは言ってます。つまり今広がりつつある警察の職権濫用を録画する行為を犯罪化する動きに同州も加わったことになります。シルバーマンさん自身は、「これは通信傍受法違反と言うより、"警察の侮辱罪"の領域ですよね」と言ってますよ。
3) 警察広報のグレゴリー・M.・シプレイ(Gregory M. Shipley)さんは、「気まぐれな報復措置」ではないとし、グレイバーさんの交通違反は特にひどいものだったと言って、起訴追求の立場を弁護しています。でも妙なこともあるもので、あの動画が出るまでは、逮捕が要るほどひどい交通違反でもなかったんですよね。