驚異的な新発見:太陽光の熱を蓄えるレアーメタルを用いて 「再充填が可能な太陽熱バッテリー」の製作が可能に (Hot new discovery: Rare metal that stores heat from sun makes the 'rechargeable solar battery' possible:12月5日英語版配信分)
米Massachusetts Institute of Technology(MIT)は2010年10月25日,同大学の研究者が,ある画期的な蓄熱材料のふるまいを解明したと発表した。近い将来の「充放電可能な太陽熱電池」の開発につながる研究だとする。論文は化学材料系の学術誌「Angewandte Chemie」の10月20日号に掲載されたという。 今回論文を発表したのはMIT,Department of Materials Science and Engineering,the Carl Richard Soderberg Associate Professor of Power EngineeringのJeffrey Grossman氏らの研究グループ。「fulvalene diruthenium(フルバレン・ジルテニウム)」という分子の熱の出入りに伴う状態の変化の様子について,その詳しい動作機構を解明したとする。 この分子は,太陽光などが照射されるとその電磁波を吸収して,分子構造が変化する。変化後の状態は非常に安定だが,わずかな熱を外から加えるか,ある種の触媒を加えると,200℃前後で発熱しながら変化前の構造に戻る。しかもこの構造の変化は何度も繰り返せる,といったことが以前から知られていた。このため,持ち運び可能な太陽電池と同様,同材料で「太陽熱電池」を作れば,太陽光にかざして熱を蓄熱しておき,そのエネルギーを使って別の場所で湯を沸かしたり,スターリング・エンジンなどを利用して発電したり,といったことが可能になる。 ただし,この分子は名前にある通り,レアメタルのルテニウムなどから成る。これが実用化のネックになっていた。 今回の研究では,分子構造の変化を分子レベルで詳しく解析し,上記の二つの状態の他に,中間的な状態が存在することを発見した。これで,太陽光を照射した後の状態が安定であることの理由が判明したという。さらに,変化の状態を詳しく解析したことで,同様な熱に対する性質を備えたルテニウムを含まない材料の開発に道が開けたとする。「この分子の振る舞いの鍵となる構造を見つけた。同様な構造を持つ別の材料を発見できれば,それは太陽熱電池の材料として使えるだろう」(MITのGrossman氏)。 今後Grossman氏らは,コンピュータ解析と化学実験,そして数千万の既知の化学物質のデータベースを駆使して,構造や振る舞いが似た材料を探索するとしている。