何を漏洩するかを独占的に判断する新聞として、アサンジは、ニューヨークタイムズ、ロンドンのガーディアン、ドイツのデア・シュピーゲルを選んだ。ニューヨークタイムズは、サダム・フセインに対する虚偽のプロパガンダを展開し、イラク戦争に導いたこともある新聞であり、その種の「サービス」では実績がある。アサンジは、あまりに膨大なページ数のため、自ら精査する暇がなく、信頼できる編集者に任せたと言っている。それで既成権力側(エスタブリッシュメント)のメディアの編集者に、何を公表すべきかの判断を任せたわけである。何とも「反・既成権力」なことだ。ニューヨークタイムズは、上層部の一人、デーヴィッド・E・サンガー(David E. Sanger)を、ウィキリークスの資料発表の担当に任命してさえいる。サンガーは、既成権力の外側にいる人間ではない。彼は、エリート組織のCFR(外交問題評議会)のメンバーであり、コンドリーザ・ライス、ウィリアム・ペリー元国防長官、ジョン・ドイチェCIA長官、ロバート・ゼーリック世界銀行総裁(元国務副長官)たちと一緒にアスペン研究所の戦略グループの一員でもあった。